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Animal Life Partner代表。ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、製品開発など幅広く活動。
犬ともっと仲良しになったり、健康管理してあげたりするために取り入れたいのが、マッサージ。正しい方法や注意点など、マッサージをするにあたって知っておきたい基礎知識を、ペットマッサージセラピストの資格を持つ獣医師の丸田香緒里先生に教えていただきました。
目次
- 犬にマッサージすることのメリットとは?
- 犬にマッサージをする前の準備はどうすればいい?
- おすすめの犬の全身マッサージの手順は?
- おすすめの犬の部位別マッサージは?
- 犬にマッサージをする時の注意点は?
犬にマッサージすることのメリットとは?
誰かにマッサージをしてもらうと、とても気持ちがいいですよね。これは犬も同じ。正しいマッサージを受けると気持ちがよくなり、リラックスできます。その結果、飼い主との絆が深まるのが、マッサージの大きなメリットです。
また、犬の全身マッサージを日頃から取り入れると、毛ヅヤが美しくなる効果が期待できます。と言うのも、マッサージをすると全身の血の巡りがよくなり、「リンパ」の流れが改善されます。リンパの流れがスムーズになると、体内の老廃物を排出するデトックス機能がアップするので、新陳代謝の働きで毛ヅヤをよくすることにつながるのです。
さらに、マッサージは健康管理にもメリット大。犬の全身を触ることで、腫瘍などの病気やケガに早く気づくことができます。マッサージのやり方によっては、筋肉の凝りをほぐしたり、胃腸の運動を促進したりできるなど、様々な健康効果が期待できますよ。
犬にマッサージをする前の準備はどうすればいい?
メリットが多い犬のマッサージ。飼い主としては、正しい方法を知って、自信を持って愛犬にマッサージをしてあげたいですよね。そこで正しいマッサージをするために、まず準備段階でやっておきたいことをチェックしてみましょう。
犬はリラックスしている?
マッサージをするタイミングは、犬自身がリラックスした状態であることがポイント。犬が興奮状態だったり、満腹や空腹だったりするときには、マッサージをしないのがおすすめです。飼い主自身もリラックスしているときにしましょう。
飼い主の爪は短い?
犬にケガをさせないように、マッサージの前に爪を短く切っておきましょう。
飼い主の腕時計は外した?
飼い主の腕時計など、犬の毛や皮膚に引っかかる可能性がある物は外しておきましょう。
飼い主の手は温かい?
マッサージ中の飼い主の手は、ある程度温かいほうが犬にとって心地よいもの。手が冷えている場合は、両手をこすり合わせたりして温めてから行うようにするとよいでしょう。
おすすめの犬の全身マッサージの手順は?
毎日行いたい基本的な犬の全身マッサージ方法をご紹介します。もちろん、「こうしなければいけない」という決まりはありません。犬の体勢によってマッサージできないところは無理にしなくても大丈夫。愛犬と一緒にリラックスしながらマッサージを楽しんでみてくださいね。
ステップ1:声をかける
犬が「伏せ」か「おすわり」をしているときに、「マッサージしようね」と声をかけます。特にマッサージに慣れないうちは、犬が飼い主の横で寝ているようなときに、ゆっくり触っていくのがおすすめです。
ステップ2:背中のマッサージ
リラックスをして深呼吸をしながら、犬の背中に手をのせていきます。手の温もりが犬に伝わるくらい、ゆっくりとしたスピードで、頭のてっぺんから尾の先まで手を滑らせていきます。
ステップ3:前脚と後ろ脚のマッサージ
背中が終わったら、次は四肢のマッサージ。首から前脚、背中から後ろ脚に手を滑らせ、手の温もり伝えていきます。
ステップ4:お腹のマッサージ
犬が立っている状態なら、お腹を上から下へなでていきます。犬が「伏せ」や横になっている状態であれば、お腹の触れられるところを上から下に向かってなでていきます。
マッサージは毎日行ってもOKですが、犬と飼い主がお互いにリラックスしてできることが重要。また、マッサージ1回の時間は5分程度でも十分です。全部のステップをできなくても、「また次回ね!」などと声をかけ、継続して行っていきましょう。
おすすめの犬の部位別マッサージは?
目周りや肉球など「特定の部位にマッサージをしたい」という時もあるもの。そんな時におすすめの部位別のスペシャルマッサージについてもご紹介します。こちらも、「こうしなければいけない!」という決まりはありませんので、無理なく行ってくださいね。
首のマッサージ
犬の首後ろの上部の皮膚を指で軽く挟み、挟んだままスライドさせて、下へと下ろしていきます。強すぎない圧で、ゆっくりつまむようにするのがコツ。「犬は飼い主を見上げるので首が凝る」と言われているので、マッサージで優しくほぐしてあげましょう。
目、口周りのマッサージ
犬の目周りを指でぐるりと一周なでます。目を囲む骨に沿って、指を優しく滑らすようにするとよいでしょう。口周りのマッサージも同様に、指を優しく滑らせてマッサージします。
足のマッサージ
犬の足先を飼い主が手で優しく握るようにし、そのまま上へ向かってスライド。小型犬なら片手で、大型犬なら両手で握るようにして圧をかけていきます。太ももや肩は、4本の指で少し圧をかけながら「の」の字を書くようにマッサージをしていくとよいでしょう。血流改善などに効果的。
お腹のマッサージ
おへそを中心に指先で「の」の字を書くようにマッサージをします。圧はかけず、温めるイメージで行いましょう。仰向けでなくても、犬がリラックスした状態で、お腹に指が届くなら、横向きや伏せの体勢でマッサージを行ってもOK。便秘解消などの効果が期待できます。
肉球のマッサージ
犬の指先に向かって肉球を広げるように、飼い主の親指で押していきます。肉球一つひとつをつまむようにしてもよいでしょう。肉球のかさつきが気になる犬には、あらかじめ肉球専用のクリームを塗っておくと指滑りがよくなり、マッサージが行いやすくなります。肉球のマッサージは、血行促進の効果が期待できます。
犬にマッサージをする時の注意点は?
マッサージは、犬と飼い主がお互いにリラックスして行うことが最も重要。犬が嫌がっているときには、その気持ちを汲み取ってあげることも大事です。マッサージ中には、犬が「気持ちいい」や「嫌だな」といったサインを出してくれることもあるので、覚えておくとよいでしょう
犬の気持ちよさのサイン
・体の緊張がない
・ゴロンとなりお腹を見せる
・瞬きをしたり、目がトロンとしたりして眠そうにしている
・あくびをする
・呼吸がゆっくりになる
このような仕草は、犬の気持ちのよさを示すサインです。犬が気持ちよくリラックスしているサインに気づけるようになると、飼い主もよりリラックスしてマッサージが行うことができるようになります。
犬が嫌がっているサイン
・その場から逃げようとする
・体を触らせてくれない
・緊張したように体が硬いままになっている
・マッサージ中、急に振り返るような仕草をする(そこに痛みや違和感があるサイン)
これらは、犬がマッサージを嫌がったり、不快に感じたりしている時のサインです。このようなサインを出したら無理にマッサージをせず、犬の体をなでてあげるだけでも十分です。
第2稿:2021年6月14日更新
初稿:2020年12月19日公開
※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。