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獣医師資格取得後、小動物臨床経験6年。主に犬猫の臨床に携わる。現在は子育てをしながら、愛猫と暮らしている。
犬の高齢化が進むにつれて、見えにくい口の中や胸、おなかの内部などに腫瘍を患う犬が増えてきています。悪性の場合は命に関わることもあるので、早期発見・治療が大切です。そこで今回は、犬の注意したい腫瘍と、腫瘍を早期発見するコツについて解説します。
目次
- 犬の注意したい腫瘍(1)肥満細胞腫
- 犬の注意したい腫瘍(2)口腔内の腫瘍
- 犬の注意したい腫瘍(3)乳腺腫瘍
- 愛犬の腫瘍を早期発見するために
犬の注意したい腫瘍(1)肥満細胞腫
肥満細胞腫は、頭から尻尾の先、体表から体内にまでできる悪性腫瘍です。病状にもよりますが、手術によって取りきることができれば、悪性腫瘍とはいえ予後は良好な場合も。また、最近では副作用の少ない分子標的薬という薬が認可され、治療効果が期待されています。
なお、腫瘍の大きさは、虫刺されくらいのものから大きなしこりまでさまざま。色や形も異なり見た目では判断しづらいため、気になる症状が見られたらすぐに動物病院で受診しましょう。
犬の注意したい腫瘍(2)口腔内の腫瘍
口の中にできる腫瘍には、悪性黒色腫(メラノーマ)や扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)など、転移しやすい悪性のものが多いです。
口腔内では、腫瘍の大きさや発生部位によっては、外科手術だけでなく放射線治療や抗がん剤などを組み合わせて治療することもあります。
噛み方がおかしい、口臭がする、よだれが多いなどの症状が見られたら、獣医師に診てもらいましょう。
そのほか、歯肉種(しにくしゅ)という良性腫瘍ができることもありますが、腫瘍が大きくなると、口臭やよだれが増したり、咀嚼に問題が起こったりして、治療が必要になります。骨を溶かしてしまうケースもあるので、注意してください。
犬の注意したい腫瘍(3)乳腺腫瘍
乳腺腫瘍は未避妊のメス犬に多く見られる腫瘍です。良性と悪性の割合は50:50といわれ、早期発見してすべて切除できれば、完治を望める病気ともいわれています。
また、はやい段階で避妊手術を受けることで予防できる場合も。ただし、100%予防できるわけではないので油断は禁物です。
愛犬の腫瘍を早期発見するために
愛犬の腫瘍を早期発見するためには、体の表面をよくチェックするのはもちろん、歯磨きの際に口の中を確認することも大切です。また、特にシニア期になったら、年に1回以上は定期検査を受けて、体の中も詳しく確認してもらうようにしましょう。
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