窓やサッシの結露・カビ対策に! 窓を知りつくすプロ「YKK AP」がコツを伝授
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世の中に「便利」を謳った調理器具は数多くありますが、“多すぎて選べない問題”に直面している人も多いと聞きます。さらには、コロナ禍による「おうち時間」の増加によって自宅で料理をする人が多くなり、そんな迷える料理愛好家もさらに増えているとか。
以前から料理をガッツリやられていた方なら、自分のスタイルに合った調理器具を迷わず選べるかもしれませんが、新たに料理を始めた方が「何から買えばいいの?」「いろいろあるけどどっちがいいの?」と足踏みしてしまうのも、よ〜くわかります。日本には本当にたくさんの選択肢があり、大半の調理器具に「便利」「簡単」「お手軽」などのキャッチコピーがついていますからね。
申し遅れましたが、私はカインズで調理器具の商品開発やバイイングを担当している山口涼二と申します。いわゆる“転職組”で、カインズに入る前は、調理器具のメーカーや問屋で計20年ほど働いていました。今回は、調理器具の製造・販売に長く携わってきた立場から、極めて個人的なおすすめ調理器具をご紹介したいと思います。
おすすめ商品をご紹介する前に、私のキャリアについて少し触れておきます。
前職のキッチンアイテムメーカーでは、オリジナルの調理器具や、取引先のオリジナルブランドの開発・製造などを担当していました。開発した調理アイテムは50シリーズ以上、商品数は300点以上。当時、競合だったカインズのオリジナル商品は、常にベンチマークにしていました。
外から見て感じたカインズの強さは、「楽カジ」という明確な軸があること。新製品を開発するにしても、既存の製品をアレンジするにしても、この軸があるかないかで、製品の“あるべき姿”に辿り着けるスピードと完成度が変わってきます。
累計170万枚を上回る販売数を誇るストーンマーブルフライパン
その成功例を挙げるとしたら、発売開始の翌年2017年に調理器具部門でカインズ史上最高の売り上げを達成した『ストーンマーブルフライパン』シリーズ 。
“使いやすい・洗いやすい・保管しやすい”の3つを叶えた『取っ手が外せる 』タイプは、とにかくリピーターが多いので、当時は競合だった立場として驚きをもって見ていました。
『取っ手が外せる5点セット 』
ほかにも『箸先がつかない菜箸 』や『シリコンコンビツール 』、直近のヒット商品で言うと『まな板シート 』や『しっかり切れるホイルケース 』など、多くの人が直面する料理の困りごとを解決するために、ちょっとした工夫が随所に施された商品を数多くリリースしています。そのクオリティの高さは、国内外のさまざまなアワードを受賞したという事実が物語っているのではないでしょうか。
もちろんその裏には、長い時間と労力をかけて1ミリ単位・1グラム単位の精度にまでこだわるバイヤーの努力とプライドがあります。ひとりのバイヤーとして見習うべきお手本が多いのも、カインズに入社してよかった点のひとつかもしれません。
では、いったいどんな調理器具が「理想」なのか?
ずばり、「応用は利かないけど、1つの用途に優れた製品」。具体的に言うと、「初心者でもプロの料理家と同じ料理が作れる製品」だと考えています。
「多用途で汎用性の高い製品」=「便利」という考え方は、調理器具に当てはまらないんじゃないかと。アレにもコレにも使えるって、見方を変えると、どの用途でも中途半端になってしまうんですよね。
コロナ禍を受け、自宅で料理をし始める人が急増しました。レシピサイトの台頭によって、初めて包丁を握る人が熟練者のレシピで料理を作る時代。そんな方々でも簡単にプロクオリティを体感できる製品こそが、まさに「理想」なのです。
いま世に出ていない調理器具を作る──商品開発と聞くと、ついそう考えてしまいがちですが、ユーザー目線で考えると、それに終止してしまうのが最善とは言えません。
画期的な調理器具をゼロから作るというのは至難の業です。“新しいもの”は常に考えつつも、すでに世に出ている便利な調理器具を余すことなく取り揃えて、「カインズには、ありとあらゆる調理器具がお手頃価格で売っている」と感じていただける売場を目指しています。
多様な製品を展開するなかで、PBとNB(ナショナルブランド)の住み分けも考えています。すべての調理器具について同じように考えているわけではないですが、こと“便利グッズ”に限って言うなら、定番商品はPBとして開発・販売し、よりニッチな商品はNBの中から厳選して仕入れています。図にするなら、こんな感じでしょうか。
調理の便利グッズの全体図
個人的に、ライバルはドラえもんだと思っています。「用途はニッチだけど、そのためには最適な便利グッズ」が都合よく出てくるじゃないですか(笑)。
調理の便利グッズもそうあるべき。のび太でも、レシピと同じ料理を楽しく簡単に作れる──これが、目指すべき理想形のひとつですね。
お待たせしました、ここからは私がおすすめしたい調理器具をご紹介していきます。
こだわったポイントが2つありまして、1つはグリップの握りやすさです。これまでのグリップは、デザインが直線的だったり、おろし器と同じ薄さだったりで、とにかく「握りづらい!」と感じていました。厚みを持たせつつ流線型にすることで、握りやすさを大幅に改善。“おろす”という作業には力がいるので、握りやすさは必須ですよね。
もう1つは、おろし金の「穴」を先端まで空けないようにしたところ。人間の心理として、先端まで穴があるとそこまでこすってしまいますが、そのせいで大根がおろし器から外れてしまうことが多かったんです。穴を1列減らしても、おろせる量はほぼ変わりません。私も開発に携わった、一度使っていただくと手放せなくなる自信作です!
おろし器と同じく、グリップの握りやすさを追求した「もちやすい」シリーズのピーラーです。グリップ形状は同じで、用途の異なる3つのタイプをラインナップしました。
万能タイプの「ストレート刃(ディンプル形状)」は、食材の切り離れをよくし、刃にくっつく煩わしさを解消しました。「カーブ刃」は、丸みを帯びた野菜にフィットして、ストレートタイプよりも広く剥くことができます。「千切り刃」は、名前のとおり千切りができる仕様で、きんぴらやベジヌードル作りなどに最適です。
上面のリングを持ってひっぱると中の刃が回転し、少ない力で野菜や肉をみじん切りにできます。ハンドルをぐるぐる回すタイプが一般的ですが(Sサイズはそのタイプ)、それより疲れにくいのがポイントですね。
中の刃は簡単に取り外すことができて、掃除パーツもついているので、洗浄などのお手入れも簡単。刃ではなく、メレンゲを作るための専用パーツも付属しているので、スイーツ作りでも一役買ってくれますよ。
数多くある調理器具の中から厳選したニッチな商品の一つ、ローリングカッターです。
パイナップルしか切れませんが、パイナップルを切らせたら、このカッターに敵うグッズはありません! 包丁を使ってここまでキレイに切り抜くことは、おそらくプロでも難しいんじゃないでしょうか。
調理が難しいとされる、かき揚げの専用アイテムです。プロが作るような、丸くてサクサク食感のかき揚げを、誰でも簡単に作ることができます。
サクサク食感の秘密は、リングの側面にあけられた、たくさんの穴。油の対流をよくしながら、適度に空気を取り込んでくれるんです。油を熱した鍋にリングを入れて、その中に具材を入れ込み、かき揚げが浮いてきたらリングを外して30〜60秒ほど待てば……はい、できあがり!
市販のバターを、簡単に・キレイに・均等に切って保存できるアイテムです。本体にバターの塊をのせて、蓋を使って上からぎゅ〜っと押すだけ。非常に気持ちいいので、私の月イチの楽しみになっていますが、家族が先にやってしまっているとひどく落ち込みます……(笑)。
最大の特徴は、5グラムずつ均等に切れるところ。押し切られたバターは、すべて5グラムの小分けになって箱に入り、そのまま冷蔵庫で保存できます。
今回ご紹介した調理器具は、数ある便利アイテムのうちの、ほんのひと握り。店頭やECサイトをご覧いただくと、きっとアナタの「これが欲しかった!」が見つかると思います。
皆さんのクッキングライフが、少しでも楽しく、ラクになることを願っています。