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「小川張り」の張り方を徹底解説! テント前に広いリビングスペースを作ろう

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関 美奈子

関 美奈子

アウトドアライター/デザイナー。ホームセンター・100均DIY主婦キャンパー。自然や人に優しいキャンプのアイデアを発信しています。子育てを終え、夏は高原、冬は海辺へと夫婦でデュオキャンプ、最近はバックパック・ソロキャンプを満喫中。ガールスカウト世界連盟ジャンボリー日本代表(1982年)、ガールスカウト日本連盟・野外活動指導者資格取得。キャンプ歴は46年。

「小川張り」で、快適なリビングスペースが叶う!

小川張り

ソロテントや、小型のドームテントでキャンプするとき、雨模様だったら? また、暑い夏の時期、テントの中は蒸し風呂状態。外で過ごそうにも、涼しい木陰のサイトの予約が取れるとは限りませんね。

「小川張り」は、そんな不便を解消し、テント前に広々とした快適スペースが作れる、テントとタープの張り方テクニックです。

「小川張り」とは? そしてオススメの理由は?

テントの出入り口にリビングスペースを作る

テントの後方から延長用のロープやベルトを延ばしてタープを張り、テント出入り口の上にリビングスペースを作る張り方を総じて「小川張り」と呼びます。もともと、この張り方を提唱したテントメーカーの名から、「小川張り」の通称ができました。

タープを「小川張り」にすると、雨露をしのぎ、強い陽光をさえぎり、テントだけのときより、さらに居心地のいいキャンプサイトを作ることができます。テントとタープを連結して張ることにより、雨の日などいちいち雨具を脱ぎ着して出入りする面倒もなくなります。

今回は、「小川張り」の張り方を、1ステップずつ詳しく解説していきましょう!

「小川張り」のメリット・デメリット

小川張りのメリット・デメリット

「小川張り」のメリット

  • テントの延長線上に広いリビングができる
  • 雨天時、テントの出入りで濡れにくい
  • テントとタープの連結で、サイトに一体感が生まれる
  • テントがタープで守られるので、テントのフライシートが劣化しにくい

「小川張り」のデメリット

  • タープ、ポール、ロープ、タープ延長ベルト、ペグなど、荷物が増える
  • タープを独立して張るときより、位置などの微調整が必要
  • サイトの形状や面積、樹木などによっては、張れない場合がある

「小川張り」のメリット・デメリットを並べてみました。筆者はソロキャンプのとき、ほぼ「小川張り」にしていますが、その快適さは、荷物や手数の増加というデメリットをはるかに上回ると感じています。

「小川張り」に使う道具はこれ

小川張りに使う道具

それでは、「小川張り」の張り方を、順を追って解説しましょう。今回は、2本のタープポールを使用し、ソロ用小型ドームテントの上に、5角形のミニタープを張っていきます。

小川張りに使う道具は、

  • テント、テントポール
  • タープ
  • ープポール(150〜180cm調整可能×2本)
  • タープ延長ベルト
  • ロープ(メインの二股ロープ×2本、サブロープ×4本)
  • ペグ(8本)
  • ペグハンマー

 

小川張りの張り方1 まずテントを立てる

テントを配置

まず、テントを立てる位置を決め、テント付属のペグで4隅を仮に留めておきます。

テントを立てる

ポールを組み立て、テントのインナーを立ち上げます。ワンポールテントの場合は、床のペグを留めないとポールが立ちませんので、ペグを全て打ち込んで中心のポールを設置してください。

フライシートをかける

インナーテントにフライシートをかけます。あとでテント位置を微調整するので、ここでは風で飛ばない程度に、軽く留めるだけにしておきます。

ワンポールテントの場合、あとからテント位置の変更はできませんので、十分吟味して位置決めを行ってください。

小川張りの張り方2 タープの位置を決める

タープポールを置く

大まかにテントの位置が決まったら、タープポールを組み立て、テントの前後に置いてください。ポールの先端がだいたいタープ先端の位置にくる見当です。

タープを置く

タープを縦に2つ折りし、タープをどの位置に張るかを考えながら、テントの横に仮置きします。

小川張りの張り方3 タープ延長ベルトを接続する

タープ延長ベルト

ここで、今回の「小川張り」になくてはならない「タープ延長ベルト」の登場です。このベルトをタープの後方に接続して、テントの後側から引っ張ります。
※「セッティングテープ」の名称で販売されている商品もあります。

タープ延長ベルトを接続

タープ延長ベルトのカラビナを、タープの後ろ中心の環またはハトメ穴に引っ掛けます。

タープと延長ベルトを接続

タープと延長ベルトを接続しました。

ロープを通す

延長ベルトには、たくさんのハトメ穴が並んでいます。テントの屋根に対して、タープをどのくらいの深さで被せるかを測りながら、ちょうどよさそうな位置のハトメ穴にタープポールの先端部分を差し込み、その上にメインの二股ロープを引っ掛けてください。

小川張りの張り方4 後ろポール部分の張り方

後方ポールの位置決め

後ろポールを立てる位置は、だいたいこの辺かな…。

後方ペグの位置を決める

後ろポールの位置を決め、メインの二股ロープを留めるペグを2本、やや浅めに仮打ちしましょう。後方ペグ1とペグ2は、後ろポールを基点として、おおよそ60度〜90度の間に角度を調整すると、強度的に安心です。

後方ポールを立てる

打ち込んだ後方ペグ1と2にメインの二股ロープを引っ掛け、ロープの長さを調節します。これで、後ろポールの設置ができました。

これは1人で作業する場合の張り方ですが、人数がいるときは、ポールを持つ人、ペグを打つ人、ロープを調整する人に分かれて作業するといいでしょう。

小川張りの張り方5 前ポール部分の張り方

前方ポールの位置決め

次は、前ポールの部分の張り方です。タープの前中心の環またはハトメ穴に前ポールの先端を差し込み、上からもう1本の二股メインロープを引っ掛けます。前ポールを軽く引きながら、タープがピンと張る位置を探り、前ポールの設置場所を決めましょう。

筆者の身長は150cm。ポールの高さは、後ろが150cm、前は頭上に余裕がある180cmに調整しました。テントのサイズや背丈に合わせて、ポールの高さを決めてください。

前方ペグの位置決め

後ろポールと同様に、前ポールの基点に対して60度〜90度の開きで、前方ペグ1と2を仮打ちします。

ロープの長さを調節

前方ペグ1と2にメインの二股ロープを引っ掛け、ロープの長さを調節してください。

テントの上にタープが立ったところ

横から見たところです。前後のポール2本、ペグ4本、二股ロープ2本で、テントの上にタープが立ちました。ポールは2本とも、基底部が少し内側に向くよう傾けると、風に対する強度が増します。

このとき、タープがテントの屋根の上にどのくらい被っているか、少し離れたところから確認しましょう。そして、タープ延長ベルトの穴の位置、ロープやペグの位置を微調整してください。調整が終わったら、ペグが抜けないように改めて深く打ち込み、ロープのスライダー(自在金具)でテンションを掛けましょう。

小川張りの張り方6 タープとテントをペグ留めし、ロープを調整する

4隅にペグを打つ

ここまで来たら、あとは細かい調整を残すのみ。タープがピンと張るよう4隅にペグ打ちし、ロープを引っ掛けます。

ロープのテンションを調整

次に、タープに付いている全てのロープのテンションを調整します。なるべくシワなくキレイに張ると、見栄えがいいばかりでなく、均等に力がかかるため、突風に対して強くなり、雨水もスムーズに流れます。

タープが張れました

タープが張れました。あとは最初に仮留めしたテントを、しっかりペグダウンしてください。

小川張りの張り方7 タープ延長ベルトを束ねる

タープ延長ベルトの始末

最後に、タープ延長ベルトの端をきちんと始末しましょう。

テープを束ねる

残ったベルトがヒラヒラしたままだと、風でロープやポールに絡まってしまいますね。ベルトの余りは、タープ延長ベルトの末端に付いている面ファスナーでまとめ、ポールに留めておきましょう。

「小川張り」の完成です!

小川張りの完成!

これで、「小川張り」の完成です! 一見、複雑なようでいて、やってみると、張り方はさほど難しくありません。写真の順番の通りに作業していけば完成するので、本番のキャンプを前に、庭や公園などで予行演習してみてください!

別のアングルから見たところ

小型ドームテントの前に、広いスペースが生まれました。チェアとテーブルを置くもよし、レジャーシートを敷き詰めて、地べたスタイルもよし。

リビングスペースとして活用

「小川張り」したテント前の空間に、チェアとソロテーブル、バーナーを並べてコーヒータイム。奥にはキャンプギアを運んできたキャリーケースを横倒しにして、作業台代わりに。ほんの布一枚ですが、「小川張り」のタープがあるだけで、プライベート感のある空間の下、安心してくつろぐことができます。

「小川張り」の張り方で、注意する点は?

幕同士が触れないように設置

手順さえ頭に入れば簡単な「小川張り」ですが、張り方にはいくつか注意点があります。

テントとタープを設置するとき、幕同士が触れないよう、少し隙間を開けて設置してください。なぜなら、風で幕同士がこすれ合うと、摩擦で幕体が傷んでしまうからです。特に化学繊維製の小型テント生地は、軽量コンパクトを旨として作られており、摩擦熱や不快な静電気が発生し、劣化の遠因になります。

比較的厚手のコットンやT/C素材(コットン・ポリエステル混紡)でも、やはりこすれによる劣化は否めません。

同様に、ロープやポール同士も干渉し合わないように離してください。ロープがこすれると、風で煽られることによる摩擦で切れてしまうことがあります。

雨のときの張り方手順は?

雨天の張り方

以上は、雨が降っていない前提で「小川張り」の張り方を解説してきました。残念ながら、着いた当日から雨天だったときの「小川張り」の張り方は?

雨のときは、テントとタープを設置する順番を逆にしてください。まず先にタープを張ってから、その下でテントを組み立て、フライシートをかぶせてしまえば、テントを濡らさずに設営が可能です。

「小川張り」の張り方バリエーション5種

とても便利かつ居心地の良さを約束する「小川張り」。その張り方にはいくつかバリエーションがあります。キャンプサイトの形状によっては、張り方を変えた方がいい場合も。ご自身のテントや、友人同士のテントで、実際に「小川張り」をするときの参考にしてください。

ワンポール型のテントに張る

ワンポール型のテントに張る

ワンポール(ティピー)型のテントは、ポール1本で手早く立てられる反面、庇となる前室がないため、雨天時の出入りで内部が濡れてしまうという欠点があります。「小川張り」を組み合わせて、前室を追加してあげれば、内部に雨が吹き込むのを防げます。

ワンポールテントによっては、てっぺんのとんがり部分に被せて、タープ延長ベルトを設置するための部品が販売されていることも。

ドームテントの間に張る

ドームテントの間に張る

2つのドームテントの間にタープを設置し、共同のリビングを「小川張り」で作った例です。目の前の絶景や、焚き火、食事は共有し、寝室空間はそれぞれで過ごせるため、プライベート空間を重視したい人向けの張り方です。

大型テントの前に張る

大型テントの前に張る

大型テントの前面に「小川張り」を追加すれば、リビングスペースの延長が叶います。人数が多いときに、くつろぎの空間が広く取れ、リラックスタイムの充実感も増しますね。奥行きがあり、細長いサイトの場合に使えるやり方です。

大型テントの側面に張る

大型テントの側面に張る

こちらは、大型テントの側面に「小川張り」を組み合わせた例。ポールを4本使い、広々と開放的なリビングスペースになっています。一見、複雑なようですが、基本はドームテントの後ろと前にポールを設置する張り方に、ポールを2本追加し、タープ全体の高さを出しただけなので、さほど難しくありません。

テント全体を覆うように張る

テント全体を覆うように張る

「小川張り」は、別名「過保護張り」とも呼ばれています。大きめのタープを使い、テント全体をタープの下に持ってくる、「小川張り」のバリエーションのひとつがこちら。全ての装備がタープの下にあるため、雨天時など濡れるものが少なくて済みます。大型タープとテントを並べて張るのが難しい、比較的こじんまりとしたサイトに適した張り方です。

「小川張り」の張り方をマスターして、快適なキャンプサイトを作ろう!

小川張りで快適なキャンプサイトを作ろう!

「小川張り」の張り方手順を知っていれば、状況に合わせて過ごしやすいリビングを追加することができます。ソロキャンプのくつろぎ空間として、また、人数が多いときの宴会スペースにも最適です。雨が降っても、テントからタープへの移動にいちいち雨具を用意しなくても済む便利さ。手持ちのタープやポールを組み合わせて、ご自身のキャンプスタイルにぴったりな「小川張り」の張り方を探求してください。

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