庭もない、お金もない、世話もしたくないから、知り合いの家に俺の家庭菜園を作った
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「美味しいおつまみを少量で味わいたい」。そんな酒飲みの素朴な願いを叶えてくれるのが、「菊正宗 ご当地つまみの旅」シリーズ。ヒット商品でもあることから、すでに知っている・食べたことのある人も多いのではないでしょうか?
「菊正宗 ご当地つまみの旅」シリーズ
「ご当地つまみの旅」シリーズは、「日本全国を旅するおつまみ」をコンセプトに、ご当地感あふれる食材を用いて、日本酒にもピッタリの味わいに仕上げたおつまみパック。
「神戸」「新橋」「鹿児島」…パッケージには、美味いものが集まる全国各地の都市の名前が。行ったことのある人も、まだ行ったことのない人も、おつまみを食べればご当地気分を味わえる、そんな遊び心も詰まっています。
兵庫県・灘の老舗酒蔵である菊正宗酒造株式会社(以下、菊正宗)と、酒類卸大手の日本酒類販売株式会社(以下、日酒販)により共同開発されたというこの商品。2013年1月の第1弾発売当初から好評を博し、現在は、第6弾まで商品を拡充。累計販売個数も360万個を突破しています。200円台とお手頃&少量の食べきりサイズも人気の理由です。
そんな「ご当地つまみの旅」シリーズを開発するに至った経緯や商品の特徴、合わせて飲みたいおすすめの日本酒などについて、菊正宗の脇阪さん・川野さんと日酒販の小林さんに話を伺いました。
菊正宗酒造記念館(写真提供/菊正宗)
菊正宗は、日本の三大酒どころの一つとして名高い兵庫県・灘で、江戸時代前期の1659年に創業した老舗酒蔵。江戸時代より続く、丹波杜氏(たんばとうじ)伝承の技・生酛(きもと)造りにこだわり、通常の約2倍以上(約4週間)の時間と手前をかけて生み出される高度な酒造技術により、料理を引き立てる「本流辛口」の味わいを守り続けています。
昭和初期の生酛造りをしている様子(写真提供/菊正宗)
「菊正宗」といえば、特に30代以上の方には「やっぱり俺は菊正宗」のCMでもおなじみですね。長年培った発酵技術をもとに、近年では、化粧品や食品など酒造りの枠を超えた分野にも進出しています。
一方、日酒販は、酒類・食品の市場において、主に卸売事業や海外との輸出入事業を手掛けています。1949年の創業から、70年以上にわたって小売店や飲食店など独自の幅広いコネクションを築き上げ、営業拠点は全国40ヵ所以上、酒類の専業卸売上高は国内第1位を誇る、中間流通のプロといえるでしょう。
多くの社員がソムリエや利き酒師などの資格を有することも、他社にない提案力の裏付けとなっており、独自の情報網によって導き出した消費者のニーズをもとに、メーカーに対して商品開発のアイデア提供も行っています。
「造り手」と「卸」という立場の違いはあれども、まさに日本酒を知り尽くすプロフェッショナルたち。2社がタッグを組むことになったのは必然の流れでした。
日酒販では、酒類市場を活性化させるオリジナル商品の開発を行おうと、2011年1月に新商品開発委員会を立ち上げ、社内で意見交換をスタート。その結果、「お酒に合うおつまみ」に絞って取り組むことになり、メーカーが小売業向けに製造する留型商品としてコラボレーションできる酒造メーカーを探していました。そこで、真っ先に候補に挙がったのが、独自に食品開発を手掛けている菊正宗でした。
菊正宗 事業開発部 東日本販売課 課長 脇阪さん。シリーズの中で好きな味は「焼きチーズ オニオン風味」
「当社としても、古くから深くお付き合いいただいている日酒販さんが、食品の開発を強化するとのことで、ぜひ協力できればと考えていました。当時は、日本酒市場にようやく復調の兆しが見られた頃で、『日本酒に合うおつまみで市場をさらに活気づけたい』という思いが一致したんです」(脇阪さん)
こうして2011年6月に、菊正宗と日酒販のコラボによる開発がスタート。ペルソナは「鈴木ヒロシさん」という架空の人物を想定。「首都圏在住の62歳・男性、子供たちは独立して妻と二人暮らし。旅行会社で働いていたが退職後は妻と旅行三昧」である鈴木さんが喜ぶおつまみを作るのが狙いでした。
日酒販 営業本部 食品事業部商品課 課長 小林さん。シリーズの中で好きな味は「あさりの酒蒸し風 醤油仕立て」
「ご当地」のアイデアは「飲みニケーション」から生まれたのだとか。当時、日酒販の開発メンバーだった小林さんはこう振り返ります。
「会議室から居酒屋に場所を移して、お酒を飲み交わしながらざっくばらんに話をする中で、「全国各地のおつまみを集めたようなご当地感あふれるシリーズ」という方向性が、何の迷いもなくすんなりと生まれたんです」(小林さん)
開発当時、300円台以上のおつまみが多く見られるなか、「ご当地つまみの旅」シリーズは200円程度という低価格が人気の理由の1つ。
左:上撰 樽酒ネオカップ 、右: ご当地つまみの旅 酒粕入りどて焼き 大阪編
「新幹線や特急列車の中で、ワンコイン(500円)で気軽にお酒とおつまみを味わいながら旅気分を楽しめるように、当社の『上撰 樽酒ネオカップ』と併せて購入いただくことを想定しました。それで商品名の「〇〇編」にも鉄道の駅名を付けています」(脇阪さん)
この「上撰 樽酒ネオカップ」とは、吉野杉の酒樽に、辛口酒を詰め、杉の香りが程よくのった頃合いで取り出して、軽量で携帯に便利なカップに詰めた1杯。爽やかな杉の香りと芳醇な風味が手軽に味わえます。瓶詰タイプの「上撰 純米樽酒」もおすすめです。
左:上撰 樽酒ネオカップ、右:上撰 純米樽酒
また、「ご当地つまみの旅」シリーズは、どの商品もあえて小容量になっています。中高年層は量よりも「美味しいものをちょっとだけ食べたい」嗜好が強いことから、量を抑える分、味や食べやすさを追求したのだとか。窒素ガスを充填させて食品劣化の原因となる酸化を防ぐ「新含気(がんき)調理法」を採り入れたレトルトパウチをパッケージに使用することで、常温で長期保存が可能に。開けた瞬間、いつでもできたての美味しさが味わえるのもうれしいですね。