食べられる家具をショコラティエが本気で作ろうとした
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目次/ INDEX
18の春。高校を卒業してすぐ、わたしは東京で暮らし始めた。両親といっしょに揃えた白い家具に囲まれて。
そうと決めた明確なきっかけはなくて、ただなんとなく、惹かれるのが白だった。
いつからか写真やデザインなど、表現するものが白基調になり、自然と「もし一人暮らしをしたら……」の妄想にも「統一するなら白」という決まりごとができていた。
睡眠のお供に、と最近導入した抱き枕も白。
程よいかたさ、うねっとしたかたちと大きめのサイズ感で抱き心地が良い。隣にあると安心する存在感だ。
わたしの1日は、白ではじまって白でおわる。
ベッド周り、フレーム以外は白色で揃えてあるから、目が覚めたときも眠りにつくときも最初に目に入るのは白だ。
23区外、1K9畳の部屋。
コーヒーテーブル、デスク、棚、ベッドリネン、歯ブラシ、ハンドソープ。全部白。
てかてかした真っ白い冷蔵庫は嫌で、少し大きめの、柔らかな白色をした冷蔵庫を買った。
カーテンまで白っぽいものにしたら、父に「病院みたい」と笑われ少し変えようかと悩んだけれど、つまるところその無機質な感じが、わたしは好きだった。
無機質で、フラット。メインにも、脇役にもなる。何にでも合う。それが白。黒や赤にももちろん合うし、木材や真鍮といった素材との相性も良い。
そんなもっともらしい理由を後付けしてみたけれど、結局わたしは、白が好きなのだ。
眠る前にはボディクリームを。アロマディフューザーと間接照明をつけて、ゆったりとマッサージをしてみる。
すこしだけの「ていねいな時間」で自分を許す。
白に囲まれたていねいな生活、などと言いつつ、毎日使うものに関しては、いちいちしまったり出したりするのが面倒だと思ってしまう性分なので、インテリアに馴染むパッケージ選びに気をつかっているだけとも言える。
ボディクリームが置いてあるべッドサイドテーブルの下にはちょっとした収納ボックスを設置。
ここも白、白、白。
とにかくほとんどが白で構成された部屋。見る人によれば冷たく感じるのかもしれないが、わたしにとってはとても落ち着く空間で気に入っている。
収納の中にはアロマオイル、耳かき、めがね、体温計……といった、毎日は使わないけれどそこにあってほしいものをしまっている。
白に囲まれた生活。
なんとなく惹かれて揃えた白い家具がきっかけだったけれど、気づけば今やそれがわたしのアイデンティティのひとつになっていて、現にこうして「白」を題材にした文章を書いている。
一部の人から「白水桃花といえば白」という方程式が成り立っているのである。
人生はおもしろい。
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