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目次/ INDEX
パンジー、ビオラは冬の花壇に彩りを加えてくれる、ガーデンの強い味方。一般に花が小型(花径が4cm未満)で花がたくさん咲くものをビオラ、花が大型(花径が4cm以上)のものをパンジーとすることが多いです。
現在ではビオラとパンジーを交配して作られた品種も多くあり、大輪のビオラや小輪のパンジーもあります。そのため厳密な意味でパンジーとビオラを分けることは難しい状態です。
園芸家の中には、両方ひっくるめて「パンビオ」と呼ぶ人もいます。ここでも両方併せて「パンジー、ビオラ」として紹介します。育て方は同じです。
スミレやサンシキスミレ、ヴィオラ・ルテア、ヴィオラ・アルタイカなどから作られたグループだと考えられています。
属にサンシキスミレ、三色スミレなどと呼ばれることがありますが、純粋なサンシキスミレViola tricolorとは別物とされます。
人工的に交配されて作られた品種群なので原産地はありませんが、もとになったサンシキスミレなどはヨーロッパに広く自生しています。
パンジーはちょっと首をかしげるようにして咲くことがあるためか、「物思いにふける」という意味のフランス語のパンセpenséeという言葉がその名の由来。花言葉も「物思い」です。そのほかにも、花色ごとに異なる花言葉があります。
国内外でいわれている花言葉を紹介します。
最近は10月になると冬の花壇苗としてホームセンターや園芸店に苗が並び始めますが、以前は年明け以降に植えつけて春の花壇を彩る花でした。5〜20℃と比較的低い温度を好むため、流通しはじめの10月ごろに植えつけると株が徒長することがあります。気温が高くなり始めるとやはり徒長するので、ゴールデンウィークごろが見頃の終盤です。
発芽温度が15〜20℃と低い性質があります。年内に花壇で花を咲かせるためには、平野部ではタネを8月下旬〜9月下旬にはまかなければなりませんが、最近の気候では難しいところです。年内に開花させるためには、苗からスタートするのが無難でしょう。
タネでしか流通しない品種、タネじゃないと入手しにくい品種を育てる場合、タネを購入して大量に育てたい場合は、後ほど説明するちょっと手間がかかる方法を採る必要があります。
ホームセンターや園芸店では花付きの苗が販売されるので、好みの花色を選びましょう。葉の緑色が濃く、葉と葉の間隔が詰まったものがおすすめです。
庭植えにしないで育てるときに使います。1鉢に1株植えつけるのであれば、7号(直径約21cm)程度の大きさの鉢が適しています。
60cmプランターであれば、3株ほど植えつけるのが適正株数です。鉢植えでうまく育ち、鉢から株があふれるほどになったときは、直径が3〜6cmほど大きな鉢に植え替える「鉢増し」をしてもよいでしょう。
鉢には底に鉢底網と鉢底石を入れて使います。プランターで、底にすのこ状のスペーサーがついているタイプは鉢底網、鉢底石ともに不要です。
市販の草花用培養土か赤玉土6:腐葉土4の配合用土などを使います。自分で用土を配合する場合は、緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおきます。
市販の草花用培養土には肥料がすでに混ぜ込んであるので、肥料を追加する必要はありません。
庭植えにする際には植えつけ前に、植えつけ場所を中心に直径30cmの範囲の地表に腐葉土か牛ふん堆肥を集めに敷き詰め、深さ30cmほどスコップで掘り返してよく混ぜておきます。
水はけが悪い場所であれば、小粒の軽石か黒曜石のパーライトを1〜2ℓほど混ぜ込んでおきましょう。植え場所のまわりをレンガ(またはブロック)で囲み、レンガと同じ高さまで土を足して植え場所を高くしても水はけがよくなります。
足す土は市販の草花用培養土や赤玉土6:腐葉土4の配合用土を使いましょう。また、植え場所の土には緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
このほか鉢に土を入れる土入れ、庭土を掘り返すスコップ、水やりに必要なじょうろやホース、園芸用のグローブやハサミなどもあるとよいでしょう。
ちょっとしたコツを知っておくと植えつけたパンジー、ビオラの根がよく張り、株が大きくなってたくさんの花を咲かせることができます。
パンジー、ビオラは日当たりと風通しのよい場所が大好き。光が十分に当たらない場所だと、葉と葉の間が間延びして成長してしまう徒長(とちょう)をしてしまいます。
水はけがよければより理想的ですが、水はけがあまりよくない場合は、小粒の軽石や黒曜石のパーライトを混ぜ込んでおくとよいでしょう。
苗を植えつけるときは植えられているポリポットを外したら、根鉢を軽く崩します。根鉢とは鉢植えの土と根が一つに固まったものです。
ポリポットの中の根は、ポットに入った土の状態に合った根。植えつけたときには新しい土に合った根を張っていかなければなりませんが、苗をそのまま土に植えつけても、新しい土に合った根は伸びにくい性質があるのです。
根鉢を少し崩して根を刺激してあげると、新しい土に合った根が出て、根の張りもぐんとよくなります。
根鉢の表面にうっすらと根が見えている程度の根鉢であれば、根鉢全体を軽く揉んでから揺すり、土を落とす程度で十分です。
かなり根が伸びている根鉢は、まず全体を軽く揉んで根をゆるめておきます。次に、鉢底の根を4箇所ほど少しちぎり、再度全体を揉んでから軽く揺すって土を落としましょう。
ポット苗のときの土の高さと植えつけたときの土の表面が同じように植えつけます。
庭植えの場合は、土づくりをしておいた植え場所に根鉢を崩した苗を植えます。植えつけたら苗のまわりにたっぷりと水を与え、一度水が引いたら再度水を与えて、土の中までしっかり水やりをしましょう。
鉢植えは鉢底網、鉢底石を入れた鉢に少し土を入れ、ポット苗の土の高さと植えつけたときの土の高さが同じになるように調整します。土の表面は、鉢の縁から2〜3cm程度低くなるようにし、水やりの水が溜まるウォータースペースができるようにしましょう。
たっぷり水やりをし、水が引いた後に土がへこむようであれば再度土を足して水やりをします。
植えつけについてはこちらの記事でも詳しく紹介しているので、参考にして下さい。
植えつけ後は庭植え、鉢・プランター植えともに、土の表面が乾いたら水やりをします。庭植えは植えつけて2〜4週間ほどすると根が張ってくるので、水が切れて萎れるとき、雨が少なく土がカラカラに乾いたとき以外は水やりは不要です。
鉢・プランター植えは、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと水を与えましょう。
パンジー、ビオラは長い間、次々と花を咲かせるので、肥料を切らさないのがたくさんの花を楽しむコツ。庭植え、鉢・プランター植えともに、市販の草花用培養土を使わない場合は、植えつけの際には土に緩効性肥料を混ぜ込んでおきます。
その後は、月に一回程度、土にばらまくタイプの緩効性化成肥料を与えましょう。鉢・プランター植えは、2週間に1回ほどのペースで、水やり代わりに液体肥料を与えるのでもOKです。
植えつけ後は枝数をふやしてたくさんの花を咲かせるための「摘心」と、病気の発生を防げて見た目もよくなる「花がら摘み」をしましょう。
摘心は枝の先を摘み取ることで、こうすることでわき芽が多く伸びて枝数が増えるので、結果的に花の数も多くなります。
摘心は植えつける前か、植えつけてからまず一度行い、その後も新しく伸びた枝の葉の数が4〜5枚になるたびに摘心を行いましょう。枝数が増えるとこんもり茂った株姿になり、見た目もよくなりますよ。
花がら摘みは咲き終わった花を摘み取ることです。咲き終わった花をそのままにしておくとタネができて体力を消耗したり、葉っぱに張りついた花びらからカビが発生したりと病害の原因となることがあります。黄色くなったり、土に落ちたりした葉も、同様に取り除いておきましょう。
パンジー、ビオラは単体で植えてもきれいですが、ほかの植物と組み合わせて華やかな寄せ植えを作るのにもぴったり。
パンジー、ビオラはこんもり茂るタイプなので、背が高くなるタイプや鉢の縁から枝垂れて広がりと動きを出してくれるタイプなどと組み合わせるとよさが引き立ち、まとまりもよくなります。
例えばこんな植物と組み合わせるのがおすすめです。
寄せ植えの際も、植えつけるときと同様に根鉢を崩し、草花用培養土などで植えつけます。
また、上の写真ではパンジー、ビオラにカルーナとディコンドラ‘シルバーフォール’を組み合わせていますが、いずれもポット苗のまま大鉢に入れる「寄せ鉢」にしています。
寄せ鉢なら、ゲストをお迎えするときに玄関先をちょっと飾りたい、そんなシーンでも土をいじる作業なしでサッと作れるのでおすすめです。
パンジー、ビオラは花のバリエーションはありますが、株姿や葉の形はあまり変わらないので、何鉢も並べると全体に単調な印象になります。
また、背が高い品種もないので、低い位置で平板に並び、変化に乏しい感じになりがちです。並べて飾るときも、寄せ植えのように背の高いものや枝垂れるもの、葉の形が違うものと組み合わせて並べてみるのがおすすめ。
上の写真は買ってきたパンジー、ビオラをそのまま鉢カバーに入れ、カルーナ、ハボタンと一緒に並べたところです。
パンジー、ビオラは8月下旬〜9月下旬のうちにタネをまくと、年内に花が咲きます。
パンジー、ビオラは発芽温度が20℃前後なので、近年の厳しい残暑ではうまく発芽しません。しかし、夜に気温を20℃近くまで下げるだけでも、うまく発芽させることができます。
パンジー、ビオラのタネは、2〜3号(直径約6〜9cm)のポリポットにばらまきするか、プラグトレイなどに2〜3粒ずつ点まきします。土は市販のタネまき用土か、極小粒赤玉土6:パーライト2:ピートモス2などの清潔な用土を使います。
湿らせた用土にタネをまいたらポットやプラグトレイをフタができる発泡スチロールの箱に入れ、直射日光が当たらない明るい場所で管理。土の表面が乾いたら、タネが流れないように霧吹きで水を与えましょう。昼間はフタを開けておきますが、夜は食品などを冷やす保冷剤を入れてフタを閉めます。
フタをした箱の中が20℃まで温度が下がる量の保冷剤を入れて下さい。温度がどこまで下がったかは、ホームセンターや園芸店で手に入る「最高最低温度計」を使ったり、Wi-FiやBluetooth経由で温度変化をスマートフォンでモニターできる温度センサーなどを使ったりすると計ることができます。
朝になったら保冷剤を取り除き、明るい場所に置きましょう。夜になったら、また保冷剤で冷やします。タネまきから1〜2週間程度で発芽が揃ったら、午前中だけ日が当たる風通しのよい場所で、土が乾きすぎないように管理。
ポットであれば葉が3〜4枚出てきたら鉢に植えつけます。プラグトレイの場合は、底穴から根が出てきたら3号程度のポリポットに植え替え、葉が4〜5枚になったら鉢などに植えつけましょう。
パンジー、ビオラは冬が近づくと苗がたくさん出回るため、苗からのスタートがポピュラーですが、タネから育てることもできます。苗ではなかなか手に入らないレアな品種だけれどタネなら手に入る、安価なタネでたくさんの苗を作って花壇を花でいっぱいにしたいなどの場合は、タネからじっくり苗を作ってみてはどうでしょうか。
なお、パンジー、ビオラのタネはとても小さくてまきにくいです。小皿を二つにそれぞれタネと水を入れ、上の写真のように爪楊枝を水で濡らして先端にタネをくっつけてまくと、一粒一粒うまくまいていくことができます。
パンジー、ビオラの花は食べることができるため、エディブルフラワー(食用花)としても使うことができます。食用にするためは農薬を使わないで育てるようにしましょう。
それほどたくさんの数を育てないのであれば、毎日株の様子を観察して、外注が来ていたら捕まえて取り除く程度の管理で十分栽培することができます。
プロの生産者がエディブルフラワーを栽培している様子
エディブルフラワーは食用にするために無農薬で栽培しています。出入り口や通風のための開口部には虫除けのネットを設置し、外部から害虫が侵入するのを防ぎながら育てているそうです。
灰色のカビができる「灰色カビ病」が発生することがあります。株が濡れていると発生しやすいので、水やりの際には株に直接水をかけるのではなく、じょうろなどで株元に水を注ぐようにしましょう。
また、雨などで泥が跳ねると病気の原因となります。株元をバークチップなどで覆っておくと泥跳ね防止に効果的です。咲き終わった花や、萎れた葉がついているとカビの発生源になるので、見つけ次第取り除きましょう。
長きにわたって多くの人に愛され続けれるパンジーとビオラ。しっかりと育て方のポイントを把握し、美しい花を咲かせてみてください。