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家庭菜園は、プランターや畑などで野菜を栽培することを指します。ある調査によると、日本人の約50%が家庭菜園の経験があることがわかっています。また、約70%の人が3年以上続けており、長期的に楽しむことのできる趣味といえるでしょう。
家庭菜園の代表的なスタイルには、プランターを使ったプランター菜園があります。また、キッチンで水耕栽培などを行うキッチン菜園も人気です。市民農園を活用して本格的な野菜作りに挑戦することも、家庭菜園のひとつのスタイルです。
今回はそんな家庭菜園について、グリーンギャラリーガーデンズ店長の堀田裕大さん監修のもと解説してもらいます!
堀田裕大
1300坪の敷地に花苗、植木、観葉植物をはじめ、植木鉢や雑貨を世界中から取り揃えているガーデニングショップ「GreenGalleryGardens」の店長。2017年日比谷公園ガーデニング賞コンテナガーデンコンテスト農林水産大臣賞を受賞した。
家庭菜園の最大の魅力は、育てた野菜を収穫して味わえることです。とれたての野菜は鮮度が高く、そのおいしさは格別ですよ。また、上手に育てて大量の野菜が収穫できれば、食費の節約にもつながります。
さらに家庭菜園では、よく使う野菜や傷みやすい野菜を新鮮なまま保存できます。使いたいときに使いたい分だけ収穫できるのは大きな魅力です。また化学薬品の使用が気になる方は、無農薬栽培や有機栽培も可能です。
家庭菜園に最低限必要なものは、野菜の苗や種、培養土、プランターです。さらにジョウロがあれば、水やりが楽に行えるでしょう。そしてスコップやハサミ、軍手などをそろえれば野菜の手入れがやりやすくなりますよ。
ただし、最初からあれもこれもそろえようとすると初期費用がかさみます。まずは最低限の道具だけをそろえて、必要に応じて追加購入しましょう。
まずは家庭菜園の方法を決めましょう。手軽でおすすめなのがプランター菜園です。自宅の庭はもちろん、ベランダでも栽培できます。
また、庭に畑を作って家庭菜園を楽しむこともできます。より本格的な野菜作りをする場合は、市民農園を利用するのもおすすめです。
さらに手軽かつ省スペースな家庭菜園の方法がキッチン菜園です。土を使わない水耕栽培や、リボーンベジタブル(リボベジ)と呼ばれる野菜の切れ端からの再生栽培などがあります。
プランターを選ぶポイントは、大きさ・排水性・材質です。
プランターはなるべく大きいものを用意しましょう。小さすぎると、野菜が根詰まりを起こして十分に育たなくなってしまいます。小型や大型、深型などさまざまなプランターがありますので、育てる野菜に合わせて適切なサイズを選びましょう。
プランターの排水性も重要です。排水性の高いプランターを選ぶことで、水がスムーズに排出され、過湿や根腐れの防止になりますよ。
また、プランターの材質にも注目しましょう。よく家庭菜園に使われるのは、プラスチック製や素焼きのプランターです。プラスチック製のプランターは軽量で取り扱いやすく、素焼きのプランターは通気性や排水性に優れています。
家庭菜園の計画に合わせて、適切なプランターを選びましょう。
野菜を育てるための土を準備しましょう。1から調合もできますが、市販の培養土を使うのが手軽で確実です。あらかじめ肥料が含まれた土を選べば、後で肥料を混ぜる手間もなくなりますよ。
家庭菜園で育てる野菜を選びましょう。主に食べたい野菜や育てたい野菜を考えてみてください。初心者の方は、まずは比較的育てやすいものから選ぶのもいいでしょう。
また、日当たりの悪い場所での家庭菜園では、日陰でも育つ野菜を選ぶことをおすすめします。特にハーブは日陰でも育ちやすく、香りや風味を楽しめますよ。
家庭菜園を始めるタイミングは、主に春か秋です。野菜の多くは温暖な気候を好むため、初心者の方は春に始めることをおすすめします。
もし秋に始める場合は、9月頃からスタートしましょう。ただし、まだ暑さが残っていることが多いため、植え付けの日は暑さが比較的穏やかな日を選びましょう。
家庭菜園を成功させるためには、よく育つ苗を選ぶことが重要です。基本的には、茎が太くしっかりとしていて、葉が濃い緑のものがよい苗です。一部が枯れている、斑点や変色があるものは病気の恐れがあるため避けましょう。葉の裏などに害虫がいないかも確認します。
家庭菜園をするときは、野菜の茎や葉が広がりすぎないように支柱を活用しましょう。支柱は野菜の成長を手助けするだけではなく、栽培スペースをコンパクトにしてくれる効果もあります。
土に生えた雑草はこまめに抜きましょう。そのままにしておくと野菜の成長を妨げますし、病害虫の原因にもなり得ます。見つけたらすぐに除草してください。土をビニールなどで覆うマルチングも効果的です。
家庭菜園では、病気や害虫による被害が大きな問題です。環境や植物の種類によって、さまざまな病害虫が発生しますので、適切に対処しましょう。市販の農薬を使用するのは手軽かつ確実な方法です。
ここからは家庭菜園について、堀田さんに詳しく聞いてみました!
堀田さん
スーパーで香草系のものを買うと意外と高いし、使い切るのが難しかったりしますよね。でも家庭菜園で育てたら買う必要もなくなるし、収穫してもまた生えてきますからね。使いきれなかったら冷凍をすれば大丈夫です
──ちなみに、家庭菜園を始める人はどんな方が多いのでしょうか?
堀田さん
小さいお子さまがいるご家庭や、ご年配で趣味探しをしている方が多いです。お子さまがいるご家庭は、一緒に野菜の育成を楽しめるものを購入されます。ご年配のお客様は、しっかりと予算をかけて実がたくさん収穫できるものを選ぶことが多いですね
堀田さん
大きく分けて夏野菜と秋野菜があるのですが、夏野菜だと、トマト、きゅうり、ナスがおすすめです。秋野菜だと、白菜、ブロッコリー、キャベツがおすすめですね
──夏野菜と秋野菜は、いつごろ植え始めたらいいのでしょうか?
堀田さん
夏野菜は4月〜6月に始めるのがおすすめです。秋野菜は8月下旬〜10月に始めるのがいいと思います
──どのくらいで収穫できるものなのでしょうか?
堀田さん
夏野菜はけっこう早く収穫できます。たとえばきゅうりですと、植えてから約2週間後くらいから収穫できます。ほかの種類でも、だいたい1ヶ月くらいで収穫できますね
堀田さん
秋野菜ですと、白菜なら約70日前後で収穫できます。苗によっては75日タイプや90日タイプなどがあります。秋野菜は全体的に、10月に植えたら年明けには収穫を楽しめるものが多いと思いますよ
──では、夏野菜を育てたあとに同じ土でそのまま秋野菜を育てることもできますか?
堀田さん
植物は、土中の菌と共存して成長します。そのため、1度植えた植物に適応した生態系の菌に再度同じ植物を植えると、“連作障害”というものを起こして、うまく育たない場合があるんです。なので、同じ植物を植えるときは1度土を取り替えるか、土壌改良剤などを使用してください
──違う種類の野菜を植える場合は、大丈夫なのでしょうか?
堀田さん
そうですね。たとえばトマトを育てたあとにきゅうりを植えるのは大丈夫なのですが、もう1度トマトを植えると、連作障害を起こして枯れてしまうことがあります。育てる野菜の種類に合わせてしっかり適切な対応をすれば、家庭菜園は通年を通して楽しめものなんですよ
堀田さん
野菜の出来のよさは、半分苗選びにかかっていると言っても過言ではないくらい、苗選びは重要ですね
──具体的には、どのようなところを見て選べばいいですか?
堀田さん
まずは売られている時点で、虫や病気になっていないものを選んでください。特に秋野菜は葉物が多いので、葉に虫がつきやすいんです。あとは、葉っぱが黄色くなっていないかどうかも、見るといいですね
葉が黄色くなり、伸びきってしまっている苗
堀田さん
あとは、伸びてしまっているのも避けましょう。植物は、お店で仕入れて店頭に並んでいるあいだも成長してしまいます。特に夏野菜なんかは1日に5センチ近く伸びることもあります。そうなると土の量に対して野菜が成長しすぎしまっているので、できるだけまだ成長していない苗を選ぶのがおすすめです
堀田さん
また、根がグラグラしているかどうかも確認してください。根がグラグラしていると、土の中で根がしっかり張っていないということなので、そこも見てあげるといいですね
堀田さん
種類にもよりますが、だいたい1つの野菜を育てるには15リットルほどの土が必要です。土が少ないと病気になる原因になったり、大きく育たなかったりしますので、たっぷりと用意してあげてください
堀田さん
野菜の収穫量と味を左右するので、土選びは重要です。根の張り、肥料持ちも良く、肥料を多く必要とする実もの野菜におすすめな、安心の有機培養土になります
堀田さん
ちなみに、『培養土』というのは、植物が育つためにいろんな素材が混ざった土のことを言います。『培養土』を使えば、それだけで最初は育てることができるので、簡単に家庭菜園を始められると思いますよ
堀田さん
まず使用する土が、肥料が含まれているタイプなのか、含まれていないタイプなのかを確認してください。先ほど言った『培養土』の場合ですと、ほとんどが“元肥(もとごえ)”という名前の肥料が含まれていることが多いです。元肥入りの培養土に肥料を混ぜ込んでしまうと栄養過多になってしまうので、注意しましょう
堀田さん
元肥入りの培養土を使用した場合は、最初は肥料を入れずに育てて、苗を植えて2週間ほど経ったら肥料を追加してください
堀田さん
逆に元肥が入っていない土もあります。その場合は、植えた野菜の種類に合わせて、元肥を混ぜてから野菜を植え付けてください
──肥料には、「有機肥料」と「化成肥料」がありますが、何が違うのでしょうか?
堀田さん
有機肥料にはさまざまな栄養分が含まれており、土に混ぜることによって、土中の微生物が活発に栄養分を分解し、植物へと吸収されます。化成肥料は、微生物を通さずダイレクトに植物が栄養分を吸収するものになりますね
堀田さん
環境がいい土というのは、微生物が活発に動いている状態のことを言います。ですので、即効性を求めるなら化成肥料、長期的にいい土にしていくのであれば有機肥料を使うのがおすすめです
堀田さん
培養土には原料に“堆肥”というものが入っていることがあります。堆肥というのは肥料とはまた違い、土の環境を整えてくれる役割があるものです。ですが高温で放置すると、カビや虫が出たりしてしまいます
堀田さん
ですので、土や肥料は日陰で保存してください。また、キノコやカビの発生原因になるので、しっかり密閉しましょう
堀田さん
家庭菜園用のプランターがあるので、そちらを使うのがおすすめです。家庭菜園用のプランターは、排水性がよくなるように底に網が敷いてあります。家庭菜園用でなくても、底に軽石を入れてあげると排水性がよくなるのでおすすめです
堀田さん
たっぷり土の入る設計、排水性、通気性を考慮しているので、根腐れがおきにくく、根の張りが良くなります
堀田さん
日当たりがよく、風通しがいいところがおすすめです。風通しが悪いと、病気や害虫の原因にもなってしまいます。また、直射日光はたくさん浴びせてあげてください。ただ、トマトは南米の標高が高いところで生まれた野菜なので、暑すぎると弱ってしまう可能性があります。野菜の特性は確認しておきましょう
──家のベランダでも風通しがあまりよくない場合は、どうしたらいいですか?
堀田さん
プランターの下に何か台になるものを置いてあげて、少し高くしてあげるのがおすすめです。風通しもよくなるし、背が高くなることで日光も浴びやすくなりますよ
堀田さん
基本的に1日に1回〜2回はあげた方がいいと思います。夏は1日2回あげましょう。きゅうりやナスなど水分を多く含むものは多めにあげます。また、雨が降った日も水やりは行ってください。あげる水の量が少ないと、病気になってしまったりするので
堀田さん
うどんこ病、炭疽病、ベト病などですね。水切れ、肥料のあげすぎ、風通しの悪さが原因の場合が多いです
──病気になってしまったら、もうその野菜は捨ててしまわなければいけないでしょうか?
堀田さん
有効成分が天然素材の殺虫・殺菌スプレーです。3種類の成分が入っているので幅広く効果が出ます
堀田さん
育てていた野菜が病気になってしまったら、家庭菜園用の薬剤を使用していただければ、野菜は復活します。病気は、カビの菌によって発症することが多いので、消毒してあげれば進行は止まります。今は手軽に使用できるスプレータイプのものもあったりするので、品種に合わせて用法容量を守って使用してください
堀田さん
トマトやナスは支柱を用意してあげる必要があります。また、きゅうりを育てるときはネットが必要ですね
堀田さん
トマトはピラミッド型や行灯型で支柱を立ててあげてください。ナスは外側に向かって伸びるように支柱を立てましょう。そしてきゅうりは、ネットを置いてあげれば野菜から巻きついていくのですが、そのほかの植物は誘引してあげる必要があるので、そのための結束バンドも用意した方がいいですね
今回はグリーンギャラリーガーデンズ店長の堀田さんに徹底解説をしてもらいました!
この記事が家庭菜園を始める際の参考になると幸いです。
夏野菜と秋野菜をマスターすれば、通年野菜の収穫を楽しむことができるので、ぜひ野菜を育てるときに役立ててください!
堀田さん
今人気なのは、ハーブや香草系ですね。実を収穫する植物に比べて手軽なサイズ感で始めることができるし、成長したら料理にも使えます