意外に多い「隠れ口呼吸」に注意! デメリットだらけなので治し方を医師に聞いてきた
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(※編集部注:ここからしばらくミミズの生態と生ゴミ分解の話が続きます。すぐにコンポストの話を読みたい方は、3ページ目以降に飛んでください。)
手も足もなく、糸のような1本線の未知なる生物ミミズ。
ミミズを育てている話を友人たちすると、「ミミズって何を食べて生きているの?」とよく聞かれます。ミミズを育てるのに、エサを買う必要はありません。
ミミズたちの主食は、土に含まれる植物の腐敗した有機物。そして生ゴミが大好物です。家庭で出る生ゴミを日々あげるだけですくすくと育ってくれます。なんとも手がかからないいい子たちです。腐敗物に付着している大量の原生動物やカビの菌を食べ、栄養源として取り込んで成長します。
さて、一般家庭では、生ゴミを可燃ゴミとして処分する場合が多いですが、生ゴミの約80%は水分なので、それらを燃やすために多くのエネルギーが使われ、大量の二酸化炭素(CO₂)が排出されています。
二酸化炭素(CO₂)の大量放出は、地球全体の平均気温を上昇させる地球温暖化を引き起こします。地球温暖化がこのまま続くと、人間を含む多くの生き物がこの地球で生きていくことができなくなってしまうと言われています。
そこで、活用すべきなのがミミズ。生ゴミをミミズたちに食べてもらい、生ゴミを燃やす必要がなくなれば、CO₂排出の削減となり、地球環境の保全につながるのです。
ミミズのすごいところは、生ゴミを食べるだけでなく、良質な天然肥料を生み出すことができる点です。家庭菜園や農作物を育てている方は、「ミミズがたくさんいる畑はいい土だ」という言葉を聞いたことがある方も多いはず。ミミズの糞は「ミミズ堆肥」と呼ばれ、植物の成長促進も証明されています。
欧米諸国では、「Black Gold=黒い黄金」ともいわれているほどで、世界中の有機農家でも貴重なものとして扱われており、人工的な化学肥料よりも高値で取り引きをされることもあります。
ちなみに、ミミズのヌルヌルとした体液が、じつはミミズの尿で、これも重宝されています。抽出した尿は「液肥」と呼ばれ、かなり濃度の高い肥料となり、通常は5〜10倍に薄めて使われます。ミミズ堆肥の効果は次のとおりです。
このように天然由来の肥料として、世界的に注目されているミミズによる糞尿。近年の農業界のトレンド、化学肥料を用いない「有機農業」でも注目されています。
化学肥料は、工場で人工的に製造されるので、低コストであり品質が安定しているというメリットがある一方、環境負荷が指摘されています。
化学肥料のメリット・デメリット
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実際に、日本やEUなどの先進諸国では、2030年までに化学肥料の使用量を20%削減するという野心的な目標を掲げています。(注:日本は2030年までに2016年時点での使用量に対して20%削減)
こうした有機農業を広げる動きが日本を含め世界的に広がる中で、化学肥料の代わりになる肥料を活用する方向性が強まっています。
一方、ミミズ堆肥は植物の成長にとても役立ち、病気も防いでくれます。そのうえ生成過程は、ミミズが生ゴミを食べて、糞を出すだけなのでエコです。
また、天然の肥料なので、自然環境へ流出しても環境汚染のリスクは非常に低い。むしろ、痩せた土地を肥沃な土地に生まれ変わらせます。
ここで注意してもらいたいのが、ミミズにはたくさんの種類がいるということ。生ゴミの処理を得意とするミミズとそうでないミミズがいることは書いておかなければなりません。そもそも世界中にミミズが何種類いるか研究者でもわかっていないのは前述のとおりです。
私が着目しているミミズは、シマミミズと呼ばれる種類です。身体に縞模様があることから、シマミミズと呼ばれています。一般的に釣りエサとして売られているミミズもこの種類が多いです。釣りエサの中で1番メジャーな『熊太郎』も、主にシマミミズを使用しています。
シマミミズは落ち葉の腐ったところや、動物のフンの中にいます。体長はだいたい5〜10cmくらいで、比較的小柄なタイプです。彼らは生ゴミの分解を得意としています。
ちなみに、よく畑や庭の土を掘ったら出てくる大きなミミズは、フトミミズという種類で、生ゴミ分解には向いていません。ここでは、ミミズと表記したものはシマミミズを意味します。
では、シマミミズは実際にどれくらいの量の生ゴミを分解できるのか解説していきます。
結論を言うと、ミミズは1日に自分の体重の半分の量の生ゴミを分解することができます。
多いのか少ないのかピンとこないかもしれませんが、人間に例えてみると、体重60kgの人が1日30kg食べる、ということなので、案外多いかもしれません。
でも、そもそもミミズは小さいから、分解できるのも大した量じゃないと思う方もいるかもしれません。たしかに、ミミズの平均体重は0.4gなので、1匹での生ゴミの分解量は大したことありません。
しかし、ミミズの特性として
という側面があります。そのため、膨大な数が集めれば、生ゴミを分解できる量も多くなる、というわけです。
例えば、平均的な4人家族であれば、1日に家庭から出る生ゴミ(野菜の調理くずなど)は約500gです。1匹のミミズが平均体重の半分の約0.2gを分解すると、2,500匹のミミズがいれば、家庭の生ゴミをすべて処理することができるようになるのです。
ミミズ2,500匹と聞いても、ミミズに普段接していない方にとっては、なかなか想像できないかもしれません。
例えば、下の写真は、手のひらに収まるほどのサイズですが、これで300匹います。
ミミズは人間とは違って、とても狭い環境に密集して暮らすことができます。自然環境では、落ち葉の腐った場所に住んでいることが多く、ミミズ同士で身体を寄せ合わせてボール状になって生活をしています。
ミミズ300匹が塊でひしめきあっている様子。手のひらに収まるほどのサイズです。
具体的には、1m×1mの1m2あたり1万匹は平気で暮らすことができます。もう少しわかりやすく言うと、直径40cmくらいの一般的なバケツが1つあれば、その中におよそ1,200匹が住めます。
そのため、ちょっとした小さなスペースさえあれば、たくさんのミミズを飼うことができます。
もう一点、ミミズのすごさで挙げたいのは爆発的に数が増える点です。そう、繁殖力が凄まじいのです。
基本的に人間を含むほとんどの生き物は、雄(オス)と雌(メス)がいてはじめて子どもが生まれます。しかしミミズは雌雄同体(しゆうどうたい)といって、オス・メスの区別がないので、どの個体同士とでも交尾ができます。つまり、非常に密集した場所で、オス・メス関係なく交尾をするので繁殖力も高いわけです。
お互いの体を絡ませ合うのが、ミミズの交尾スタイルです。しかも、交尾中のミミズの集中力は非常に高く、本来嫌う光の明るさにも反応しなくなるといわれています。
あのダーウィンも、「ミミズの性的欲望は光の恐怖をしばらく忘れさせるほど強いものである」と、ミミズの生態以上の欲望に知性を感じたようです。
さらに、ミミズは生後10週間ほどで卵を産めるようになり、その卵からは2〜3匹ずつ子ミミズが生まれます。なので、増えるスピードは異常に早いです。
その結果、環境に問題がなければ、半年で10倍近くに増えることもあります。
でも、あまりに増えすぎたら、部屋がミミズだらけになってしまうのでは? という心配の声も聞こえてきそうですが、安心してください。過密・暑い・寒い・乾燥・水分過多など、ミミズにとって環境が最適でない場合は、ミミズたちは増えません。
心地の良い環境になるまで、数カ月間卵のままでとどまることもできます。
私の育てているミミズは、半年で8倍くらいになりましたが、まだまだ環境を整えてあげれば増えるペースを上げることはできます。ミミズは環境に敏感な生き物だからこそ、育成のしがいがあり、日々研究を重ねていきたいと思っています。
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