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目次/ INDEX
一対の強大なハサミと鉤状の後腹部を持つサソリ。他の生物を威嚇しているようなシルエットから「凶暴」「危険」「毒」といったイメージを持つ方は多いかもしれません。しかし、多くのサソリはそれほど危険ではなく、初心者でも十分に飼育可能なことをご存知でしょうか。
本記事では、サソリの上手な飼い方を必要なアイテムや注意点とともに紹介します。「飼ってみたいけれど刺されたら怖い」という方向けに、サソリの毒についても詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
沖縄の砂浜を歩くマダラサソリ
分類学上、サソリは節足動物門 ・鋏角亜門(きょうかくあもん)・クモガタ綱・サソリ目に属する生き物です。鋏角亜門とは一対のハサミと複数対の歩脚を持つ動物群のことで、そのなかのクモガタ綱にはクモやダニがいます。したがって、平たくいうとサソリはクモの仲間です。
ギリシャ神話にも登場するように、サソリははるか昔から生息していた生き物の一種です。たとえば初期のサソリの一種である「プロスコルピウス」は、約4億年前のシルル紀末に生息していました。
サソリ最大の特徴は、一対の強大なハサミと尻尾のように長く伸びている後腹部でしょう。後腹部先端の尾節には毒を溜めておくことができ、毒が強い種類ほど太く発達している傾向があります。意外にもハサミそのものには攻撃力はなく、獲物を捉えるのに役立つ程度です。 ただし、種類によります。
体長は成体で4~10cmほどの種類が多いですが、20cmを超えるダイオウサソリなどもおり、種類によってさまざまだといえます。ドミニカ協和国の山麓地域では、成体でも10mmに満たないサソリが発見されたそうです。
サソリは砂漠や熱帯雨林にいるイメージが強いですが、森林、草原、樹上、海岸、高山地帯、洞窟などさまざまな場所で暮らしています。南極を除くすべての大陸に分布しており、日本も例外ではありません。宮古島や西表島など沖縄の西端・先島諸島では、ヤマエサソリやマダラサソリなどが住み着いています。
大きく分けて、多湿を好む「多湿系」と、乾燥を好む「乾燥系」とがおり、出身地によって決まります。たとえば ヤエヤマサソリは多湿系で、湿度が低い環境だと弱ってしまいます。反対に、マダラサソリはやや乾燥系なので、じめじめとした場所は苦手です。さすがのサソリも苦手な環境に順応する力はないため、飼育するときはどちらのタイプかを知っておく必要があります。
河合さん
ただし、どちらにも分類できない種類もいるので注意しましょう。
ギリシャ神話では、英雄オリオンを一撃で仕留めるほどの猛毒を振るうサソリですが、実はそのような種類はサソリ全2,000種類のうち十数種と、ごくわずかです。
多くのサソリの毒は食事の標的となる昆虫や小動物を捉える程度の威力であり、人間が刺されても腫れやかゆみが出る程度で済むことがほとんどでしょう。
とはいえ、アナフィラキシーショックを起こす可能性はあるため、不用意に触るのは止めましょう。
サソリは肉食で、昆虫や小動物を捕まえて食べています。狩りに出る時間は種類によってさまざまであり、昼行性・夜行性の両方がいます。
食性において最も特筆すべきは、サソリは極めて少食であること。成体であれば、1週間にコオロギ1匹ほどでも問題ありません。これはサソリが過酷な環境を生き抜くうえで身につけた特殊能力であり、獲物が乏しくなると代謝をぐんと下げることもできます。種類によっては、1年に1度の食事でも耐えられるようです。
サソリの求愛行動は「婚姻ダンス」と呼ばれており、オスがメスの前で前後左右に体を震わせるのが特徴です。カップル成立となれば、手を取り合うようにしてくるくると回り、オスは精包という白いカプセルのようなものをメスに受け取らせます。これで受精完了です。なお、オスとの交接を必要とせず、メスだけで生殖できる種類もいます(単為生殖)。
サソリはお腹の中で卵を孵す卵胎(らんたい)生で、赤ちゃんを背中に乗せて保護します。幼体は脱皮をして大きくなり、やがて親から離れて自立します。
種類によってさまざまですが、産まれてからの寿命は2~5年、長くて10年程度といわれています。しかし、25年間も生きた種類も報告されています。たとえばヤエヤマサソリの寿命は約2年、ダイオウサソリは約8年、デザートヘアリースコーピオンは最長で25年です。
大切に飼えば長期間一緒に過ごすこともできるでしょう。
ここでは、一般的に入門種といわれている3種類のサソリを紹介します。
主な生息地 | アフリカ西部 |
生息環境 | 多湿系 |
体長 | 約10~20cm |
性格 | おとなしい |
寿命 | 約8年 |
価格相場 | 幼体:約1万円 成体:2〜3万円 |
サソリのなかでは最大級の体長と大きなハサミを持つダイオウサソリ。まさに「大王」と呼ばれるのにふさわしい外見をしています。黒光りするクールな体色の尾部分には力強い毒針がありますが、毒性は低く、見た目ほど恐ろしいものではありません。性格もおとなしいため、サソリの入門種ともいわれています。
多湿系に分類されるダイオウサソリは、日中は岩陰や朽木などじめじめした場所に隠れて静かに眠っています。保湿力のある床材を使用し、定期的に霧吹きをしてあげましょう。原産国はアフリカのため温度管理にも要注意。冬は必ずパネルヒーターなどで保温してやる必要があります。
なお、毒性が低いとはいえ油断は禁物です。大きなハサミで挟まれると危険であり、無傷では済みません。餌はピンセットで与え、絶対に脱走しないよう注意してください。
主な生息地 | タンザニアなど |
生息環境 | 多湿系 |
体長 | 約10cm |
性格 | ダイオウサソリより攻撃的 |
寿命 | 約5年 |
価格相場 | 数万円 |
レッドクロースコーピオンは東アフリカのタンザニア等に分布する、ダイオウサソリと近縁のサソリです。ダイオウサソリよりやや小型なものの、大きく見栄えも格好良いサソリとして人気があります。名前のとおり、身体やハサミ部分に赤みがかかっているのが特徴。
気性はおとなしいほうですが、ダイオウサソリと比べると攻撃的な個体が多いです。怒るとハサミを振り上げて威嚇してくるため、取り扱いには注意しましょう。
飼育の仕方はダイオウサソリとほぼ変わらず、初心者の方でも飼いやすいといえます。温度・湿度の管理もダイオウサソリと同じで構いません。
なお、現在は輸入していないため、販売価格が高騰している傾向にあります。
アジアンフォレストスコーピオンの一種・ウビンロングクローフォレストスコーピオン
主な生息地 | 東南アジア |
生息環境 | 多湿系 |
体長 | 約10cm |
性格 | 比較的 温厚だが種類差があることも |
寿命 | 約8〜10年 |
価格相場 | 4,000〜2万円 |
アジアンフォレストスコーピオンは、東南アジアの熱帯雨林に生息する「カワリハカリサソリ属」に属するサソリの総称です。全身は漆黒でクールな印象を与えます。また、成長すると15cm近くになる種類もいます。
見た目の格好良さだけでなく、体が丈夫で餌の食いつきも良いことから、サソリ入門者にもおすすめできます。性格は比較的温厚ですが、種類差もあるため油断は禁物です。手に乗せることはもちろん、多頭飼育もできるだけやめたほうがよいでしょう。
以下はアジアンフォレストスコーピオンの一種です。
主な生息地 | 北米の砂漠地帯 |
生息環境 | 乾燥系 |
体長 | 約12cm |
性格 | 少し気が荒い |
寿命 | 約8〜10年 |
価格相場 | 8,000円 |
北米の砂漠に主に生息するデザートヘアリースコーピオンは、乾燥系サソリのなかでは非常に人気のある種類です。多湿系のサソリよりもハサミが小柄で細く、体色は黄色や茶色でダイオウサソリのような迫力はありません。しかし実は意外に荒くれものなので、取り扱いには十分に注意してください。
とはいえ、一般的には乾燥系サソリの入門種といわれています。水切れにさえ注意すれば元気に過ごし、飢餓にも強いため成体であれば餌やりも2週間に1度程度でも問題ありません。
主な生息地 | 宮古列島、八重山列島、小笠原諸島 |
生息環境 | 乾燥系 |
体長 | 約4~6cm |
性格 | 温厚 |
寿命 | 約3年~ |
キョクトウサソリ科の一種であるマダラサソリ(Isometrus maculatus)は、日本に2種しかいない国産のサソリです(もう一種は八重山諸島、宮古諸島、沖縄諸島に生息するヤエヤマサソリ)。石垣島、西表島、宮古島、与那国島などに分布していますが、船の積荷に紛れ込んだために都内の港湾や倉庫で確認されたこともあります。
薄茶色の体色に見られる褐色のまだら模様が特徴で、体格は小柄でやや細長い体をしています。毒はミツバチ程度に弱く、性格も温厚なのでペットとして飼いやすいサソリではあります。
しかし、2003年10月に「最も有毒なサソリ」としてギネス記録に認定されている「イエローファットテールスコーピオン」が飼い主の元から脱走、集合住宅内へ逃げ込む事件が引き金となり、キョクトウサソリ科の全種が特定外来生物に指定されてしまいました。結果、マダラサソリは国内産サソリであるにもかかわらず、飼育・譲渡・運搬・放流など原則として禁止されています。
サソリはホームセンターに売っている簡単な道具でも十分に飼育できます。多湿系か乾燥系かで必要なもの・あったほうがよいものが異なるため、それぞれを区別して紹介します。
飼育ケージは、飼うサソリの3倍程度の床面積があり、ふたがしっかり閉まるものなら材質は問いません。ガラス製、アクリル製、プラスチック製、どれでも問題ないでしょう。
ガラス製やアクリル製は保温性や保湿性に優れていますが、プラスチック製に比べると高価です。一方のプラスチック製はお手頃な価格で入手でき、多くのサソリ飼育者が利用しています。ただし、ガラス製・アクリル製ほどの保温性や保湿性はないため、きちんと対策してやる必要があります。
高さは重要ではありませんが、レイアウト素材をたくさん入れたい場合は、広めのものを用意しましょう。
多湿系のサソリには、ケージ内の湿度を保つために水分を含みやすい床材を用意してください。水苔、ヤシガラ土、ピートモス、バーミキュライトなどがよく使用されます。
乾燥系のサソリの床材には乾いた土が必要なため、デザートサンドなどを使用するとよいでしょう。
多湿系サソリには便利なアイテムです。床材の上に吹きかけることで湿度を調整します。
多湿系・乾燥系ともに水入れは必要です。ツルツルとした素材や加工品はサソリが滑ってしまうため、爬虫類用のザラザラとしたものがよいでしょう。
また、深めのお皿だとサソリが溺れてしまう恐れがあることから、浅めのお皿がおすすめです。サソリが引っくり返して水がこぼれないよう、ある程度重みのある水入れがおすすめです。
ストレス軽減のためにシェルターを入れてあげるとよいでしょう。サソリの全身がすっぽりと隠れるものなら素材は何でも構いません。爬虫類のウッドシェルターのほか、割れた植木鉢などでも機能します。
シェルターは、単独飼育の場合は特に必要ないという意見もありますが、「個体の性格に寄る」というのが多くの意見です。はじめは念のために入れておき、日々の観察のなかで必要ないと感じたら撤去するとよいでしょう。
温度管理も湿度管理も重要です。2つとも同時に測れる温・湿度計がおすすめ。
日本の冬は寒すぎるため、気温が下がってきたら保温してあげる必要があります。パネルタイプのヒーターでは不十分な恐れもあることから、植物用の簡易温室に爬虫類用の保温器具などで空間温度を上げてやるとよいでしょう。
基本的には生きた昆虫を与えますが、成体は週に1度くらいしか餌を食べません。その間に大量の生き餌を管理するのが大変なら、冷凍加工された昆虫を試してみるのもよいかもしれません(ただし、食べない種類のほうが多いです)。
ペットショップや昆虫ショップで入手しやすいのは、コオロギ、バッタ、ミルワーム、デビュアなどです。ダイオウサソリなど大型のサソリは、冷凍のピンクマウスやウズラなども食べます。栄養の偏りを考え、さまざまな種類の餌を与えることをおすすめします。
なお、幼体は多くの栄養源を必要とするため、週に5~8匹ほどの昆虫を与えてください。
給餌やサソリを移動させる際に用います。短いとサソリの尾節がピンセットをつかんでいる手に届く恐れがあるため、ある程度の長さのあるものがおすすめです。
お迎えしたサソリが少しでも長生きできるよう、上手な飼い方のポイントを注意点とともに解説します。
できるだけ出身地の温度・湿度を保ってあげてください。サソリの種類にもよりますが、温度・湿度の目安は次のとおりです。
どちらの種類のサソリも低温には耐えられますが、さすがに日本の冬は寒すぎます。夏以外の季節はエアコンやパネルヒーターなどで調節してあげないと、体調不良になったり拒食になったりする恐れがあるでしょう。
なお、パネルヒーターは底全面に敷くのではなく、1/2や1/3にずらすのがコツです。こうすることで、サソリが熱いと感じたときに避難場所を作れます。
湿度は霧吹きで調整しますが、飼育ケース内を濡らしすぎないようにしましょう。
サソリは少食であり、飢餓に強い生き物です。自分の体と同程度またはやや小さめの餌を与えれば、1週間ほどは過ごせます。それ以上の頻度で与えても、お腹がいっぱいで餌を拒否することもあります。もちろん、食いしん坊な個体には食べる分だけ与えても問題ありません。
なお、脱皮前後や妊娠中のメスは拒食状態が続く傾向にあります。1週間以上、餌を口にしなくてもおかしくはないので、過度に心配する必要はありません。
性格がおとなしい種類のサソリでも、狭い飼育ケース内に同居させると喧嘩や共食いが起こる可能性が高いです。多頭飼いするなら広めの飼育ケースを用意したうえで、シェルターは飼育数だけ用意してください。もちろん、適切な量の餌を与え、空腹にさせないことが条件です。できるだけ単独飼育にしましょう。
サソリの毒は人間に重大なダメージを与えるものではありませんが、とはいえ刺されたら無傷では済みません。格好良いサソリに触れてみたい気持ちはわかりますが、素手で触るのはもちろん、ハンドリングするのはやめましょう。
サソリは意外に脱走がうまく、軽いふた程度なら簡単に押しのけてしまいます。ふたはきちんと閉め、絶対に逃げ出さないよう注意してください。
お迎えしたサソリを殖やしたいケースもあれば、お迎え前に実は妊娠しており、子を産み始めたというケースもあるでしょう。そこでこの項目では、サソリの繁殖と幼体の育て方について簡単に紹介します。
サソリの雌雄の見分け方は難しいといわれています。体型の違い(メスのほうが大型でオスのほうが細長い)で判断する方法もありますが、よりわかりやすいのは、体の裏側にある「櫛状板 (くしじょうばん)」を確認する方法です。櫛状板とは生殖板のことで、オスは大きく発達し、メスは小さく短い傾向があります。
オスの櫛状板
メスの櫛状板
ただし、櫛状板だけでは見分けられない種類もいるため、判断が難しい場合はお迎えしたショップに相談してみるとよいでしょう。
河合さん
大前提として、サソリは似た種類が多いです。意図しない雑種を作ってしまわないように注意しましょう!
オスはメスを気に入ると、体を震わせてアピールします。これを見てメスが威嚇等をしていなければ、いったん「脈あり」と考えてよいでしょう。反対に、オスがまったく興味を示さなかったり、バトルが始まりそうになったりしたら、すぐに引き離してください。そのままではお互いに傷つくだけなので、別の日に再トライすることをおすすめします。
2匹が向かい合い、手を取り合うような格好でくるくると回り始めたら、交接が始まります。オスが吐き出した精包をメスが受け取ることで受精しますが、受け取った直後にメスが豹変・攻撃的になることがあるため、オスに襲いかかるようなら引き離してください。
なお、仲睦まじく(?)過ごしているようなら同居させたままでも構わないでという意見もありますが、やはり同居はおすすめしません。
妊娠から出産までの期間は種類によって大きく異なり、短い種で2か月、長い種で2年といわれています。
親サソリはお腹の中で卵を孵し、赤ちゃんを背中に乗せて保護しますが、この期間はできるだけ刺激を与えないようにしてください。温度変化や湿度変化にも気を配り、とにかくストレスを与えないことが大切です。物珍しさに過度に観察したり、接触したりすると子食いする恐れがあります。
赤ちゃんが親の背中で脱皮し、サソリらしい体型になったら背中から降りて独り立ちします。ここで赤ちゃんサソリを隔離しましょう。そうしないと、子育てのために絶食していた親サソリに食べられてしまいます。
20〜30匹ほどの子サソリはプリンカップなどで個別に管理するのがおすすめです。種類に適した床材を用意し、すり潰したコオロギやデュビアを与えるとよいでしょう。少し大きくなったらデュビアの幼体などを生きたまま入れてもOKです。幼体は成長のためにたくさんの栄養を必要とするため、食べるだけ与えても構いません。
なお、幼体飼育の失敗例として多いのが脱皮不全です。温度・湿度管理は親サソリ以上の注意を払いましょう。
飼い主さんには格好良くてかわいい我が子でも、「サソリは毒を持つ恐ろしい生き物」というイメージが定着しています。実際に、猛毒を持つサソリが脱走して大騒ぎになった事例があります。
ご近所のためにも、またサソリ自身のためにも、脱走にだけはくれぐれも注意しましょう。大切に飼えば10年近く生きることもあるため、サソリとの末永い共同生活を楽しんでくださいね。
河合さん
また、世界最大種「インディアンジャイアントフォレストスコーピオン」は非公式ながら29.2cmの記録があります!