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「猫の目の色」というと、一般的に角膜の内側にある虹彩と呼ばれる薄い膜の色のことをいいます。この虹彩に含まれるメラニン色素の量が多いか少ないかによって、猫の目には異なる色が現れます。
メラニン色素の量は母猫と父猫から受け継いだ遺伝子によって変わるため「猫の目の色は遺伝で決まる」といえるのです。
ただし、兄弟でも目の色が微妙に違うことや突然変異によって目の色が全く違う子が生まれることもあります。
生まれたばかりの仔猫は生後10日くらいで目が開きはじめますが、はじめはみんなグレーがかった青い目をしています。「キトンブルー」と呼ばれる、子猫時代にしか見られない特別な目の色です。
子猫の目が青い理由は、虹彩のメラニン色素がまだ沈着していないためです。表面にわずかにあるメラニン色素が青色の光を強く散乱することで、キトンブルーを作り出しています。「レイリー散乱」といって、空が青く見えるのと同じ原理です。
大人になるにつれ猫の目は本来の色に変わっていきます。いつ変わるかは個体差がありますが、大体生後1~2ヶ月くらい経つと徐々に目の色が変わりはじめ、生後6~8ヶ月を過ぎる頃には目の色が決まります。
歳を取り老猫になると、運動能力や内臓機能だけでなく目にも変化が見えはじめます。猫は7歳からシニアの入り口といわれますが、老猫になると目は白く霞みがかったような色になり、目ヤニや涙目が目立つようになります。猫によっては視力が低下し、高い所から降りられなくなったり、何かを探して鳴くような仕草が見られたりすることもあります。
目の変化には思わぬ病気が潜んでいる可能性があるため、若い猫でも異変を感じたら注意が必要です。病気が疑われる目の色の変化については後述しているので参考にしてみてください。
猫の目が暗闇で光っているのを見たことはありますか? 猫の目が光るのは、人間にはない「タペタム」という反射板が備わっているためです。タペタムは網膜の外側を囲んでいる器官で、網膜を通り過ぎた光を反射し網膜に送り返す働きがあります。
猫の目が暗闇で光って見えるのは、この反射した光を見ているためです。猫は、タペタムの働きによって光を増幅させることでわずかな灯りしかない闇夜でも活動することができます。
また、猫は体のサイズの割に目が大きく、瞳孔が完全に開いた時には目の表面積の約90%にもなります。瞳孔には開く大きさによって光の量を調節する役割があるので、大きければその分多くの光を取り込むことができるのです。
一方で、猫の視力は人間の10分の1程度といわれます。瞳孔が大きく、光を取り込むことに特化した目の構造上、細かい物の輪郭をはっきり捉えることはできません。識別できる色も人間より少なく、赤い色はほぼ認識できないといわれています。
猫の目の色は個体によって様々ですが、メラニン色素の量によって現れる色の系統が分かれます。
色の判断基準はまちまちなので、呼び名は必ずしも統一されているわけではありません。同じ猫の目を見て「金色」という人もいれば「アンバー系」などと答える人もいます。
猫種によっては、協会で定められた目の色以外は純血種と認められないケースもあります。
「宝石のように美しい」と例えられることが多いのが、青い目の色の猫です。濃さによって「ブルー」「サファイヤブルー」「アクア」などと呼ばれ、光の角度によっては紫やグレーっぽい水色に見えることもあります。
青い目の猫は、実際に目の中に青い色素を持っているわけではありません。虹彩にメラニン色素をほとんど持たないため、人間には美しい青い目の色に見えるのです。
日本の猫には比較的珍しい目の色ですが、一部の純血種はほぼ必ず青系の目の色になります。
また、雑種でも白猫は遺伝的に青い目になるケースが多いです。個体差はありますが、白猫や青い目の猫は警戒心が強く神経質な性格な子が多いといいます。まっさらな白い体や輝く青い目は自然界では目立ってしまうため外敵に狙われるリスクが高く、本能的に警戒心が強くなったともいわれます。
青の次にメラニン色素が少ないのが、緑系の目の色です。「オリーブグリーン」や「エメラルドグリーン」などと呼ばれ、青と同じく光の散乱の作用で緑の目の色に見えています。
緑に黄色やアンバーが混ざったような目の色は「ヘーゼル」と呼ばれ、目の中心から外側に向かってグラデーションのようにメラニン色素が濃くなっています。
緑系の目の色は、ヨーロッパの寒い地方原産の猫種に多いです。
一説には、寒い国の猫は日光が少ない環境で暮らしていたため紫外線から目を守る必要性が少なく、メラニン色素があまり形成されなかったのではないかということ。日本の雑種猫のなかにも緑系の目の色をしている子はいますが、洋猫ほど数は多くありません。
緑色の目は、茶トラやサバトラ、シルバー、パステル三毛など、比較的被毛の色が薄めの猫によく見られる傾向です。ただし、稀にグリーンアイの黒猫などもいるので絶対ではありません。
筆者の実家では何匹か雑種猫を飼っていましたが、グリーンアイの母親から生まれたキジトラとサバトラの姉弟猫はどちらも緑系の目の色をしていました。
虹彩のメラニン色素量が中間程度だと、「イエロー」や「ゴールド」の目の色になります。日本ではオレンジ系の次に多い猫の目の色として知られています。
イエローやゴールドの目は黒猫に多く、サビ猫や三毛猫、キジトラ(キジ白)猫やキジトラ猫にオレンジ色を混ぜたような麦わら猫などにもよく見られる色です。混色の猫の場合、顔の中で白やオレンジの毛色の割合が多いと緑寄りの目の色になり、黒い毛の割合が多いと黄色やオレンジ寄りの目の色になるともいわれます。
シャルトリューやボンベイは、黄色やオレンジなどの暖色系の目の色でないと純血種として認められないことがあります。
虹彩のメラニン色素が多い猫は、オレンジ系の目の色になります。濃さや色味によって「アンバー」「オレンジ」「カッパー」などと呼ばれますが、明確な定義があるわけではありません。
アンバーの目は「琥珀色」ともいわれ、ヘーゼルのグラデーションを混ぜて単色にしたような、黄色味のあるオレンジとも淡い茶色ともとれる色をしています。
「銅色」ともいわれる濃いカッパーは、光の加減によって赤や茶色にも見えます。
オレンジ系の目は日本の猫に最も多く、日本人にとっては黄色系と並んで猫らしいイメージが強い目の色といえるでしょう。
左右で色が異なる目のことを「オッドアイ」といいます。オッドは英語で「奇数の」や「片方だけの」などという意味で、正式には「虹彩異色症」といいます。オッドアイの猫は片方の目の色が青で、もう片方の目の色はイエローやアンバーなどになることが多いです。
白猫はオッドアイになることが多く、25%程度の確率で現れるといわれています。猫に限らず人間にも現れることがありますが、猫や犬ほど高い確率ではありません。
オッドアイには先天性のものと後天性のものがあり、前者は遺伝子の突然変異が原因といわれますが明確な理由は判明していません。後者は、事故や病気によって片目のメラニン色素の量が変化することが原因です。
オッドアイのなかでもさらに珍しい目の色が「ダイクロイックアイ」です。
ダイクロイックは「2色性の」という意味で、ダイクロイックアイの猫は1つ目に2色の異なる色が現れます。グラデーションカラーではなくはっきりと2色に分かれているのが特徴で、後天的にダイクロイックアイになることはありません。
赤い目の色をした猫は「アルビノ」と呼ばれる遺伝子疾患を持つ猫です。「先天性色素欠乏症」とも呼ばれ、遺伝子の突然変異によってメラニン色素を持たずに生まれてきます。
アルビノの猫の被毛は真っ白か限りなく白に近い淡い色をしていて、肌は薄いピンク色、目は血管の色が透けるため赤く見えます。
発症は非常に稀ですが、猫や人間以外にもネズミやカラス、蛇やワニ、ゴリラ、クジラなど、様々な種のアルビノが発見されています。
猫の目の色には、病気による変化が現れることがあります。成猫の目に以下のような変化が突然現れたら、病気が潜んでいる可能性があります。
目の表面が白く濁ったような色になっている場合、「角膜炎」や「角膜潰瘍」が疑われます。
角膜炎は、目の表面にある角膜の負傷や感染症などが原因で起こる病気です。炎症を起こしている角膜がむくむことで目の透明さが失われ、白っぽく見えます。
傷が進行してしまうと角膜潰瘍になり、さらに悪化すると「角膜穿孔」といって角膜に穴が開いた状態になります。
角膜炎になると目に強い痛みが出るため、しきりに目を気にする仕草をしたり、涙の量が増加します。稀ですが、十分に涙が生成されないことで角膜が乾燥し「乾性角結膜炎」になってしまう場合もあります。
瞳の中心が白くなっている場合は「白内障」である可能性があります。白内障は、人間と同様に高齢の猫によく見られる目の病気です。目の真ん中にある水晶体が白く濁り、徐々に視力が低下していきます。
痛みや体調不良などの症状はありませんが、重度になると他の眼疾患を併発してしまう恐れがあります。高齢だから仕方ないと侮らず、病院で治療や定期的な観察を行いましょう。
また、加齢以外にも外傷や糖尿病などの代謝疾患が原因で起こることがあります。若い猫でも目の色が白く変化していることに気がついたら早めに動物病院へ連れて行くことをおすすめします。
白目の部分やまぶたの裏側が充血したように赤くなっている場合、「結膜炎」の恐れがあります。結膜炎は、ウィルスや異物、外傷などが原因で目の中にある結膜が炎症を起こす病気です。
いわゆる「猫風邪」の原因になるヘルペスウィルス、カリシウィルス、マイコプラズマ、クラミジアなどは感染性結膜炎を引き起こすことが多いウィルスです。
目の色が赤い以外にも、やたらと目を気にする、涙が目やにが増えた、目がはれぼったく見える、などの変化が見られた場合は結膜炎を疑いましょう。
感染性結膜炎は他の猫にうつってしまう可能性があるため、多頭飼いの場合は完治するまで部屋を分けるなどの対策が必要です。
白目が黄色く変化している場合、肝臓の病気が原因の可能性があります。
肝機能が低下すると血液中の「ビリルビン」と呼ばれる黄色い色素の濃度が高くなり、体や目に黄疸の症状が出ます。「肝硬変」「肝炎」などの病気の他、感染症や肝臓の腫瘍などが疑われます。
白目が黄色いのは黄疸の症状が全身まで進行している状態といえるので、すぐに動物病院へ連れて行き対処してもらってください。
猫の目の色が黒く変化するのは、ケガによって血が固まっているか、病気が原因かもしれません。
目の表面が黒く濁ったように見える場合は「角膜黒色壊死症(角膜分離症)」の疑いがあります。ウィルスなどが原因で角膜の一部が壊死し、かさぶたになっている状態です。強い痛みがあるため、目を細めたり足でこするような仕草が見られます。
また、猫の目に茶色や黒っぽい斑点がある場合は「悪性黒色腫(メラノーマ)」の恐れがあります。悪性黒色腫は、目や皮膚などにできる悪性の腫瘍(がん)です。猫の悪性黒色腫の場合、最も有効な治療は外科手術だといわれます。
目の斑点は「虹彩メラノーシス」という良性のシミである可能性もありますが、悪性に転じる危険もあるため、発見したら早めに動物病院を受診することをおすすめします。
他にも、「高血圧症」になっている猫は瞳孔が普段より大きくなるため黒目がちに見えます。
その他、注意したい猫の目の病気に「緑内障」があります。緑内障は眼球内にある「房水」が上手く排出されず、眼圧が上昇してしまう病気です。中高齢以上の猫に多く、「ブドウ膜炎」などの眼科疾患が引き金となり緑内障を併発するケースが一般的です。
急性の緑内障は、眼圧が上がって痛みが出るため白目の充血や目やに、目を気にするなどの症状が出ることが多いです。進行すると眼球が肥大し、目が飛び出したように見えます。さらに悪化すると眼内出血を起こしたり、最悪の場合は失明してしまうこともあります。
また、慢性の緑内障の場合、いつの間にか視力がなくなって瞳孔が開きっぱなしになっていることがあります。「猫の目がギラギラして見える」「黒目が大きく見える」などの異変を感じ、病院へ連れて行ったらすでに失明していたというケースもあります。
たとえ些細な異変でも、飼い猫の様子がおかしいと感じたらできるだけ早めに病院を受診して重症化を防ぎましょう。
青や緑、黄色など、多彩で美しい目。柄やしっぽの形と同じように、猫の個性の一つです。
チャームポイントである一方で、目の色の変化は病気の発見にも繋がるため、ぜひ普段から飼い猫の目を観察する習慣をつけてみてください。