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【獣医師監修】猫の毛玉対策は自宅でできる? 吐く理由やケア方法を解説

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古江 加奈子

古江 加奈子

パーク動物医療センター副院長。福岡県獣医師会、福岡市獣医師会、日本獣医がん学会に所属。言葉の話せない動物を治療するうえで、動物たちに聞く代わりに飼い主から沢山のことを聞き、飼い主とのコミュニケーションを最重視するドクター。

猫が毛玉を吐くのはグルーミングが原因

猫が毛玉を吐くのはグルーミングが原因

猫が毛玉を吐く原因は、グルーミング(毛づくろい)によって自分の毛を飲み込んでしまうためです。

猫の舌には無数の突起があり、ブラシのように汚れや抜け毛を絡めとる役目を持っています。ザラザラした舌を使ってグルーミングをすることで毛並みを整え、体を清潔に保っています。

猫は1日の2/3は寝て過ごすといわれますが、起きているうちの20%くらいはグルーミングに費やしているといわれます。体温調節や気持ちを落ち着かせる作用もあり、猫にとっては欠かせないライフワークなのです。

グルーミングによって舐めとられた抜け毛はそのまま飲み込まれ、消化管を通って一時的に体内に溜められます。腸まで到達した毛は便と一緒に排泄されますが、残ったものは少しずつ胃に溜まっていきます。

この溜まった抜け毛が口から吐き出されたものが、毛玉です。

毛玉を吐くのは猫にとって生理現象なので、通常なら心配はいりません。一般的には、1~2週間に1回程度で吐いたものが猫の毛の塊だけであればあまり気にしなくても大丈夫といわれます。食べた直後だと、毛玉にフードや胃液が混じっていることもあります。また、換毛期や長毛種の場合は毛玉を吐く頻度が増えることも珍しくありません。

しかし、毎日繰り返し吐く、異物が混じっている、食欲や元気がないなどの場合は病気が潜んでいる可能性もあるので注意しましょう。後述の「注意が必要な毛玉の吐き方」を参考に、異変を感じた場合はかかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。

自宅でできる飼い猫の毛玉ケア

毛玉を吐くのは猫にとって日常とはいえ、吐く行為自体は全く体の負担にならないわけではありません。こまめなケアで毛玉を吐く回数や量を減らすこともできるので、ぜひ試してみてください。

1.こまめにブラッシングする

こまめにブラッシングする

手軽にできて効果的な毛玉対策は、こまめなブラッシングをすることです。定期的なブラッシングで体についた抜け毛を取り除くことで、グルーミングの際に猫が飲み込む毛の量を減らすことができます。

個体差はありますが、長毛種であれば毎日、短毛種であれば2~3日に1回、1回につき3分~5分程度を目安にしましょう。春先の3月頃と冬前の11月頃は換毛期で特に毛が抜けるため、回数を増やしてあげると良いです。

ただし、ブラッシングが苦手な猫の場合、やりすぎると却ってストレスになってしまうのでしつこくしないことがポイントです。リラックスしているときを狙ってブラッシングをしてみて、嫌がったらすぐ止める…という風に、徐々に慣らしていきましょう。

ブラシの種類も、スリッカーブラシや獣毛ブラシ、ラバーブラシやグローブタイプなど色々なものが発売されているので、飼い猫が好むものを探してみてくださいね。

2.必要に応じて汚れを拭き取ったり、シャンプーをしたりする

毛玉予防や抜け毛の量を減らす対策として、シャンプーやペット用ウェットシートで拭く方法もあります。

基本的に猫は完全室内飼いであれば頻繁なシャンプーは不要といわれます。しかし、長毛種の猫や換毛期だとグルーミングとブラッシングだけではまかなえないこともあります。ひどくなると汚れた毛が絡みあって毛玉ができてしまうこともあるので、必要に応じてシャンプーやシートでケアをしてあげましょう。

また、体についている抜け毛の量が多いとその分猫がグルーミングで飲み込む毛の量も増えてしまいます。毛玉を吐く回数や量が増えるばかりでなく、体内に溜まった毛玉が自分で吐けないサイズにまで成長してしまうこともあるので注意が必要です。

シャンプーをする際は軽くブラッシングをしてからにすると、被毛が整って汚れが落ちやすいのでおすすめです。

3.毛玉ケア用フードに変えてみる

毛玉ケア用フードに変えてみる

毛玉の吐き戻し軽減には、毛玉ケア専用のフードに変える方法も有効です。

「毛玉ケア」や「ヘアボールコントロール」などと明記されているフードは、猫の被毛や皮膚の状態を整え、抜け毛の量を減らすように栄養成分が調整されています。通常のフードと比較すると食物繊維が多く配合されているため、体内の毛玉を絡めとりスムーズに排泄する手助けをしてくれます。

フードは体質によって合う合わないがあるので、切り替えてからしばらくは飼い猫の様子に異変がないか観察するのを忘れないでください。持病がある猫や、消化器官が衰えはじめたシニア猫などは、事前にかかりつけ医に相談してからにすると安心です。

4.毛玉ケア用おやつや毛玉除去剤(サプリメント)を取り入れてみる

毛玉を上手に吐けない猫に有効なのが、毛玉ケア用おやつや毛玉除去剤(サプリメント)です。

毛玉ケア用のおやつには食物繊維が多く配合されていて、体内の毛玉の形成を抑え、飲み込んだ毛がスムーズに排泄されるようサポートしてくれます。味や香りは一般的なおやつと変わらないものが多いので、毛玉ケア用フードを食べない猫でも取り入れやすいのがメリットです。

一方、毛玉除去剤は流動パラフィンや白色ワセリンなどを主な成分とする動物用医薬部外品です。ねっとりしたペースト状の製剤が猫のお腹の中に溜まった毛を包み込み、便と共に排泄されやすい状態にしてくれます。苦しそうに咳こむだけで毛玉を吐けない猫や、体内の毛玉が原因で消化器疾患を起こしている猫の治療のために動物病院で処方されることもあります。

チューブ式なので扱いやすく、1日1回数gを舐めさせるだけなので薬が苦手な猫でも比較的受け入れてくれやすいでしょう。商品によって成分や使用方法が異なることがあるので、使用の際は記載されている注意事項をよく読んでからにしてください。

毛玉除去剤は毛玉への効果が期待できる反面、与えすぎると便が緩くなるなどの副作用が起きてしまうこともあります。可能であれば、まずはブラッシングやフードなど日常的なケアで補うことを優先しましょう。

毛玉除去剤は人間でいう便秘薬や軽めの下剤のような役割なので、換毛期のみの使用や、どうしても毛玉が吐き出せないときの手段として使用することをおすすめします。

自宅でケアできないときはトリミングサロンや動物病院へ!

自宅でケアできないときはトリミングサロンや動物病院へ!

どうしてもシャンプーをさせてくれない猫や、自宅でケアしきれない猫の場合はトリミングサロンや動物病院を頼る方法もあります。特に被毛や毛玉をカットしたいときは、誤って皮膚を傷つけてしまう恐れもあるのでプロに任せる方が安心です。

近頃は犬だけでなく猫のトリミングを行っているサロンもあるので必要であれば調べてみてください。

また、長く外で暮らしていた猫だと、フェルト状の毛玉がこんがらがってどうにもならず不衛生な状態になってしまっていることがあります。もしそのような猫を保護したときは、被毛のケアと健康診断を兼ねてまずは動物病院へ連れて行きましょう。

注意が必要な毛玉の吐き方

猫が毛玉を吐くのは基本的に心配いりませんが、なかには注意が必要なケースもあります。危険性がある毛玉の吐き方や猫の様子をまとめたので、1つでもあてはまったらできるだけ早めに動物病院を受診してください。

1.1日に何度も吐く、毎日繰り返し吐く

1日に何度も吐く、毎日繰り返し吐く

1日に何度も吐いたり、毎日嘔吐を繰り返すような場合は、誤飲や病気などが疑われます。短時間のうちに何度も続けて吐くと脱水症状を起こして危険な状態になる恐れもあるため、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。

白い泡のようなものは胃液なので、胃液だけ頻繁に吐くような場合は何か誤って飲み込んででしまったものを吐き出そうとしている可能性があります。他にも消化器系の病気や神経系の病気、腫瘍や中毒、ストレスなど様々な原因が考えられます。

吐いたものが黄色い液体であった場合、空腹やストレスなどが原因で胆汁を吐いている可能性があります。1度くらいであればあまり心配いりませんが、続けて吐く場合は病気を疑いましょう。

2.吐いたものに毛玉以外の異物や血が混じっている

猫が吐いたものに毛玉以外の異物や血が混じっているのを発見したら、できる限り吐しゃ物を持参して動物病院へ連れて行きましょう。

おもちゃやゴミなどを誤飲してしまった際、吐き出した後は平気な顔をしていることもありますが、まだ体内に残っている恐れもあるので安心できません。

吐いたものに血が混じっているときは主に胃腸や食道、口の中からの出血が疑われます。鮮やかな赤い色ではなく、黒い液体や茶色っぽい液体である場合もあります。

3.毛玉を吐いた後元気がない、食欲がない

毛玉を吐いた後元気がない、食欲がない

毛玉を吐く頻度はそこまで高くなくても、吐いた後に元気がなかったり食欲が落ちている場合は要注意です。毛球症や、別の病気が潜んでいる可能性もあります。

■毛球症とは?
毛玉によって引き起こされる「反射性嘔吐」や「胃炎」などの消化器疾患の総称。「毛球症」は正確な病名ではなく、毛玉を吐くこと自体を毛球症と呼ぶこともある。

 
体内の毛玉が上手く排出されず、胃や腸の中に溜まり続けると毛球症の症状が現れることがあります。毛玉を吐いた後に元気がなかったり、食欲不振、体重減少、便秘や下痢などの症状が見られる場合は、体内の毛玉が原因かもしれません。

また、吐き出せずに大きくなった毛玉が胃から腸の方へ流れると、腸閉塞を引き起こして外科手術が必要になってしまうケースもあります。飼い猫の体調に異変を感じたら放置せず早めに病院を受診しましょう。

4.頻繁に咳こんでいるが吐かない(吐けない)

ケホケホ咳こんだり、ゲッゲッとえずいているのに何も吐かないときにも注意が必要です。

のどや口腔内の炎症、歯肉炎などの病気の他、異物を飲み込んだ可能性や、毛球症になり毛玉が吐けなくなっている可能性もあります。

なかには単純に毛玉を吐くのが苦手で咳こんでしまうような猫もいますが、頻繁に見られる場合は病院を受診しましょう。

5.下痢や便秘の症状がある

吐く以外に下痢や便秘などの症状があるときは、毛玉以外の原因が考えられます。

猫の場合、嘔吐・下痢・便秘は様々な病気の症状として現れます。単なる食べすぎや一時的なストレスだけでなく、感染症や腎不全など深刻な病気が潜んでいる恐れもあるので軽視してはいけません。「少し体調が悪いだけだろう」と侮らず、早めに動物病院へ連れて行って診断してもらうことをおすすめします。

猫の毛玉ケアを習慣にしよう

猫はグルーミングによって自分で体を清潔に保っている動物です。しかしそれだけではケアしきれないこともあり、毛が大量に抜ける換毛期や、毛の量が多く絡まりやすい長毛種の猫の場合は特に飼い主さんのサポートが必要です。

ぜひ飼い猫とのコミュニケーションの一環として、日常的な毛玉ケアを習慣にしてみてください。

画像提供:黒岩ヨシコ

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