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猫にチーズはNG? 獣医師に聞いた注意点と病気のリスク

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古江 加奈子

古江 加奈子

パーク動物医療センター副院長。福岡県獣医師会、福岡市獣医師会、日本獣医がん学会に所属。言葉の話せない動物を治療するうえで、動物たちに聞く代わりに飼い主から沢山のことを聞き、飼い主とのコミュニケーションを最重視するドクター。

猫に人間用のチーズを与えるのは基本的にNG!

おやつやおつまみ、食事やデザートにも人気のチーズ。栄養豊富な発酵食品ということから、近頃はダイエットやトレーニング食としても注目されています。

人間には人気のチーズ

人間にとってメリットの多い食べ物ですが、猫に人間用のチーズを与えるのは基本的にNGです!

人間用のチーズを猫が食べることで下痢をしたり、肥満からくる健康障害の原因になってしまうことがあります。

種類によって成分は異なりますが、一般的によく食べられているカマンベールチーズやパルメザンチーズ、プロセスチーズ、チェダーチーズなどはどれも脂質やカロリーが高いため猫に与えないようにしましょう。もちろん、チーズ鱈やチーズケーキ、チーズかまぼこなど人間用のチーズ加工品も与えてはいけません。

もし猫にチーズを食べさせるのであれば、猫が食べられるおやつとして販売されている専用のものを与えましょう。なかにはチーズが大好き!という猫もいますが、基本的に猫が食べていいのは猫用のチーズだけだと思っておいてくださいね。

チーズやに含まれる栄養素と主な働き

チーズは「白い肉」と呼ばれるほど栄養が豊富な食べ物です。

チーズ

牛乳には人間に必要な栄養素がバランスよく含まれていることは有名ですが、乳から水分を取り除いて作られるチーズにはさらにギュッと凝縮された栄養が詰まっています。10gのナチュラルチーズには、牛乳およそ100ml分の栄養が入っているといわれます。

【チーズに含まれる主な栄養素】

  • たんぱく質(アミノ酸)
  • カルシウム(ミネラル)
  • リン(ミネラル)
  • ナトリウム(ミネラル)
  • ビタミンA/B2
  • 脂肪

 

たんぱく質(アミノ酸)

種類にもよりますが、チーズに含まれる栄養素のうち約22~28%がたんぱく質です。たんぱく質は20種類のアミノ酸から構成され、筋肉や細胞、血液などを作る働きがあります。

人間にとって欠かせないものですが、肉食動物の猫にとってもエネルギー源となる重要な栄養素です。体を作るだけでなく、猫の皮膚や被毛を健やかに保ったり、筋肉の成長や維持など体の調子を整える働きもあります。

カルシウム・リン・ナトリウム(ミネラル)

カルシウムとリンは、猫にとって主要必須ミネラルの1つです。主に健全な骨や歯の形成や発育、維持をする働きがあります。猫の場合、カルシウムやリンは摂りすぎても摂らなすぎても良くありません。適切なバランスで摂取することが大切です。

カルシウムの過剰や欠乏はいずれも骨格異常や尿路結石症のリスクを高めます。リンの摂りすぎは「ストルバイト結石」や「シュウ酸カルシウム結石」の原因になったり、腎臓病の悪化を招くこともあります。

健康な猫であれば、カルシウムとリンは<カルシウム(1~1.5):リン(1)>の比率で摂取するのが良いとされています。

ナトリウムも同じく主要ミネラルの1つで、体液のバランスを整えたり、エネルギー代謝や神経伝達に関与している栄養素です。猫の場合は、ナトリウムが欠乏することは稀です。摂取した塩化ナトリウム=塩分も、健康な成猫であれば体に溜め込まずに上手く尿中に排泄させることができるようになっています。

ビタミンA/B2

ビタミンAの主な働きは視覚を正常に保ち、皮膚や被毛の健康を維持することです。

ビタミンB2も同じく皮膚や被毛の健康を保つ働きをする他、脂肪からエネルギーを生成する役目もあります。

脂肪

脂肪には、たんぱく質の約2.5倍のエネルギーが含まれています。摂取した脂肪は消化吸収されエネルギー源となり、ホルモン、核膜、細胞膜を構成する成分として働きます。その他に、皮下脂肪や内臓脂肪として保温や断熱材の役割を担ったり、脂溶性ビタミンの吸収を助けるなどの働きもあります。

効率的なエネルギー摂取のために必要な栄養素である一方で、過剰に摂取すると肥満の原因になるので注意が必要です。

猫用チーズのおやつは成分が調整されている

チーズの栄養素とその働きだけを見ると、猫の体にもメリットが多い食べ物のように思えますよね。チーズは豊富な栄養を含むスーパーフードではありますが、それもあくまで人間にとってのこと。猫には栄養過多になりかねないのです。

人間用のチーズは猫にとっては脂質やカロリー、塩分などが高いため、少しの量を食べただけでも猫の体に悪い影響を与えてしまうことがあります。肉食動物である猫は草食動物に比べて塩分を体外に排出することに長けていますが、基準を超えた過剰な摂取は推奨されていません。 

詳しくは後述していますが、チーズには猫の体内では分解しにくい成分も含まれています。肥満や病気のリスクを高める恐れもあるため、人間用のチーズは猫に与えない方が懸命です。

一方、猫用またはペット用として販売されているチーズは、猫や犬がおやつとして食べてもいいように成分が調整されています。

カロリーや塩分が控えめの商品や、保存料・着色料不使用の商品などメーカーによって様々な種類があります。一口サイズのサイコロ状のものや、スライスタイプ、パウダータイプ、ピューレタイプなど、形状も猫の好みに合わせて色々と選べるようになっています。

チーズが好きな猫にあげるなら、猫用のおやつとして作られているものを選びましょう。成分や原材料、形状などを比較して、飼い猫に合ったものを探してみてください。

猫が人間用チーズを食べたときの病気のリスク

では、猫が人間用のチーズを食べてしまうと具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか?

猫が人間用チーズを食べたときに起こる可能性のある症状や病気についてまとめました。

1.乳糖(ラクトース)による体の不調

牛乳や乳製品には「乳糖(ラクトース)」という糖分が含まれています。人間の小腸には、乳糖を分解し栄養として吸収するための「乳糖分解酵素(ラクターゼ)」という酵素が存在します。しかし、肉食動物である猫はこの酵素をほとんど持っていません。

猫は乳糖を上手く分解できない

そのため乳製品を食べても乳糖を上手く分解できず、消化不良による下痢や軟便になりやすいのです。乳糖を分解するラクターゼは、一般的に生後間もない子猫の頃が最も多く、成長するにつれ少なくなります。

乳糖を分解できずに起こる体調不良は「乳糖不耐症」といって、実はヒトにもあてはまります。乳製品を口にするたびにお腹を壊してしまうような人は、もしかしたら乳糖不耐症かもしれません。

チーズはその製造工程中に多くの乳糖が失われるため、牛乳に比べるとごくわずかな量しか含まれていないといわれます。しかし乳製品でお腹を壊しやすい人がいるように、猫も体質や体調によってはわずかな乳糖を摂取しただけで体調を崩してしまう場合があるので注意しましょう。

市販されている猫用チーズには乳糖フリーの商品もあるので、乳糖不耐症を予防するにはそちらがおすすめです。

2.脂質やカロリー過多による肥満

チーズは脂質量が多く、種類にもよりますが比較的カロリーが高めの食べ物です。特に人間用のチーズは少しの量でもあっという間にカロリーオーバーになってしまうため、猫には肥満の原因になります。

チーズは脂質やカロリーが多い

チーズのカロリーと脂質量

参照:食品成分データベース|文部科学省

参考までに、スライスされたプロセスチーズ1枚の重さが大体18g程度なので、1枚で約56kcalと約4.6gの脂質を摂取することになります。

完全室内飼いで健康な成猫の場合、1日の適正カロリーは体重1kgにつき大体50~70kcal程度といわれます。体重3kgの猫だと、150~210kcalが適正量です。ということは、スライスチーズ1枚で1日の約1/3のカロリーを摂取することになってしまうのです!

肥満は万病のもとといわれますが、猫も肥満になると免疫力が低下し感染症や糖尿病のリスクが高くなります。関節への負担が増えることから関節炎のリスクもあがるので、飼い猫の体重管理のためにも人間用のチーズを与えるのはおすすめできません。

3.塩分の過剰摂取による中毒や腎臓への負担

人間用のチーズには、多くの塩分(ナトリウム)が含まれています。製造工程のなかで、味付けや菌の繁殖を抑えて発酵熟成させる目的によって食塩が加えられているためです。

チーズのナトリウム量

参照:食品成分データベース|文部科学省

ナトリウムの量=塩分量というわけではありませんが、基本的にナトリウムの含有量が多い食品は食塩相当量も多くなります。<ナトリウム量(mg)×2.54÷1000=食塩相当量(g)>の計算式で割り出すことができるので詳しく知りたい場合は参考にしてみてください。

猫に限らず、食塩を大量に摂取すると食塩中毒を起こすことがあります。概ね体重1kgあたり塩分4g程度が致死量といわれているため、チーズでもよっぽど大量に食べない限り中毒にはなりにくいですが、誤食などには気をつける必要があります。

前述のように、基本的に猫は体内に摂り込んだ塩分を分解・排出することが容易にできる体のつくりをしています。過去には塩分摂取量の増加が原因で高血圧や腎臓病になるリスクが指摘されていたことがありますが、現在ではそのようなリスクは低いというのが一般的な見解です。

ただしこれは、塩分の過剰摂取を推奨するものではありません! 病気の直接の原因にはならなくても、塩分を過剰に摂取する猫は、適正量を摂取している猫に比べて腎臓や心臓に負荷がかかることが懸念されています。健康な成猫の場合、1日の塩分摂取量は体重1kgあたり大体0.5g程度が目安といわれます。

塩分の過剰摂取はNG

体の機能が衰えている老猫や、腎臓や心臓に持病を持っている猫だと、塩分(ナトリウム)の摂取が制限されることもあります。

ちなみに、塩分が猫にとって必ず悪いものなのかというとそうではありません。下部尿路疾患などを患っている猫には、飲水量と尿の量を増やすためにあえて塩分が多い療法食が処方されるケースもあります。

4.食物アレルギー

チーズに限らず、普段食べないものを食べさせると食物アレルギーを発症する可能性があります。

アレルギーの主な症状は、嘔吐や下痢、湿疹や皮膚の痒みなどです。例えアレルギーじゃなくても、食べ慣れないものを食べたことで消化器症状が出るケースもあります。

乳製品でアレルギーが出る猫は少なくないため、例え猫用チーズであってもそのような症状が見られたらすぐに病院へ連れて行きましょう。

猫用チーズを食べさせるときの注意点

猫用チーズはあくまで嗜好品・おやつの扱いなので、積極的に食べさせなくてはいけないものではありません。猫用チーズをおやつとして食べさせるときの注意点をまとめたので参考にしてください。

1.ごく少量から、様子を見ながら与える

初めて飼い猫に猫用チーズを食べさせる際は、規定よりも少ない量からはじめ、様子を見ながら与えましょう。

様子を見ながら与える

前述のように、初めての食べ物は猫の体質によってアレルギーを発症したり、体調に異変をきたす恐れがあります。食事中や食後に元気がなかったり、嘔吐や軟便・下痢をする、体を痒そうにするなどの反応が見られる場合は猫用チーズが原因かもしれません。

猫用チーズを食べた飼い猫の様子が普段と違うときはかかりつけの獣医師に電話などで相談してみるか、早めに動物病院へ連れて行きましょう。

2.食べさせる量に注意する

人間用チーズを避けるのはもちろんですが、猫用チーズを食べさせる場合にも量には注意が必要です。

たとえ猫用に成分が調整されていても、食べさせ過ぎは他のおやつと同様に栄養バランスの乱れや肥満の原因になります。いくら好物だからといって、欲しがるだけ与えては健康に良くありません。

猫用チーズを食べさせるときは、パッケージに記載されている適正量を守ることを忘れないようにしましょう。飼い猫の健康状態や年齢などを考慮して量を減らしたり、無理に与えないのも1つの選択肢です。

3.持病がある猫は獣医師に相談してからにする

病気の治療中であったり、過去に罹患したことがある病気によっては、猫用チーズを与えない方が良いケースがあります。

特に腎臓病の猫はリンの摂取量を制限されていることが多いです。せっかくリンの含有量を抑えた療法食を食べていても、猫用チーズなどのおやつから摂取してしまうと量によっては1日の摂取目安量をオーバーしてしまうでしょう。

食事療法によるリンの制限は、慢性腎臓病の猫にとって命に関わることです。他にも、心臓病や腎臓病の猫は病状に応じてナトリウムの摂取を制限されることがあります。

成分が調整されている猫用チーズであっても、持病があったり過去に心臓や腎臓の病気に罹患したことがある猫の場合、自己判断で食べさせるのはおすすめしません。飼い猫が食べても大丈夫かどうか、事前に獣医師に相談して判断を仰ぎましょう。

猫が人間用のチーズを食べてしまったときの対処法

万が一、猫が人間用のチーズを大量に食べてしまったことがわかったら、速やかに動物病院へ連れて行ってください。いつ・何を・どれくらい食べたのかわかる範囲で確認し、吐しゃ物や排泄物があれば可能な限り持っていきましょう。

速やかに動物病院へ

もともと病気やアレルギーがあったり、猫の体調次第では生死に関わる恐れもあります。

たとえ少量でも食べた後の猫の様子に異変がないかよく観察し、気になることがあればすぐに獣医師に相談してください。下痢や嘔吐、食欲不振などが続くと猫の体力や免疫力が低下し、他の病気にもなりやすくなります。軽い症状でも放置せず、早めの対処をしましょう。

猫にチーズを与えるときは栄養バランスに注意しよう

カロリーが高いおやつでも、猫に好物があるのは悪いことではありません。猫用チーズも、例えば食欲がないときにご飯にふりかけたり、薬を包んで飲ませたりするのに役立つことがあります。

なかには、カロリーも脂質も低いカッテージチーズを無脂肪乳で手作りして猫に与えている飼い主さんもいます。

無理して食べさせなくてはいけないものではありませんが、もし猫にチーズを食べさせるのであれば量や栄養バランスには十分注意しましょう。

画像:黒岩ヨシコ

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