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元気そうな猫がくしゃみをするのは病気? 獣医師が原因と見分け方を解説

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古江 加奈子

古江 加奈子

パーク動物医療センター副院長。福岡県獣医師会、福岡市獣医師会、日本獣医がん学会に所属。言葉の話せない動物を治療するうえで、動物たちに聞く代わりに飼い主から沢山のことを聞き、飼い主とのコミュニケーションを最重視するドクター。

猫のくしゃみの原因は病気だけじゃない

人間と同じように、猫もくしゃみをすることがあります。

元気そうにしていた飼い猫が突然くしゃみをすると「風邪をひいたのかな?」と心配になってしまうことがあるかもしれません。しかし、鼻がムズムズしてくしゃみが出ることは猫にとっても珍しくないのです。

猫のくしゃみは大きく分けて「生理現象」と「病気」の2つの原因があります。前者であればあまり気にしなくても大丈夫です。

生理現象のくしゃみは、鼻腔(鼻の粘膜)に刺激を感じたときや鼻の中に空気中のホコリなどの異物が入ってしまったときに起こります。そのため、外の冷たい空気や強い香りを吸い込んだときなどにくしゃみが出ることがあります。

生理現象の場合、異物が排出されて違和感が消えればくしゃみは収まります。1回~数回程度でくしゃみが止まり、その後特に異変がみられないようであれば生理現象である可能性が高いでしょう。くしゃみと一緒に鼻水が出ることもありますが、透明でサラッとした鼻水が一時的に出たくらいであればあまり心配はいりません。

しかし、くしゃみが止まらない場合や、粘り気のある鼻水が一緒に出るような場合は要注意です! もしかしたら何かの病気が潜んでいるかもしれません。

猫のくしゃみで注意が必要なケース

猫のくしゃみ

飼い猫のくしゃみが生理現象かどうか判断するためには、くしゃみ以外にも何か異変がないか観察することが大切です。

猫のくしゃみで注意が必要なケースをまとめたので参考にしてください。

  • 1日に何度も連続でくしゃみをする
  • 何日もずっとくしゃみをしている
  • 黄色や緑色の粘性のある鼻水が出る
  • 鼻血が出る(ピンクや赤っぽい鼻水が出る)
  • 目やにや涙が出る
  • 食欲がない、元気がない
  • 体が熱い(熱がありそう)
  • 鼻のあたりが腫れている

くしゃみを伴う病気のなかには、早期の発見・治療が重要なものもあります。上記のうち何か1つでもあてはまるようであれば、かかりつけの獣医師に相談するか早めに動物病院へ連れて行きましょう。

猫のくしゃみの原因として疑われる主な病気

くしゃみの原因として疑われる猫の病気は、ウイルスや細菌による感染症、副鼻腔炎、アレルギーや歯周病など様々です。必ずくしゃみが出るわけではありませんが、症状の1つとしてくしゃみが出ることがあるので覚えておきましょう。

1.猫風邪(上部気道感染症)

くしゃみの原因として疑われる猫の病気とは?

猫風邪とは、ウイルスや細菌の感染により人間の風邪のような症状が現れる感染症の総称です。

くしゃみや鼻水が出ることが多い病気の1つですが、原因となるウイルスや細菌によって細かい症状は異なります。

猫風邪は混合感染を起こしやすく、免疫力が低いシニア猫や子猫などが感染すると命にかかわる危険もあります。異変に気づいたらすぐに動物病院を受診するようにしましょう。

【猫カリシウイルス感染症】

カリシウイルスによる猫風邪は、くしゃみや鼻水以外に口内炎や舌炎の症状が出やすいのが特徴です。よだれが増えたり口臭が強くなる他、口の中にできた水泡が痛み、食欲が落ちてしまう猫も多いです。

感染力がとても高く、一度完治したと思ってもウイルスが体内に残るやっかいな病気です。強いストレスや免疫力の低下などによって再発する恐れがあり、重症化すると関節炎や肺炎を引き起こしてしまうこともあります。

【猫ヘルペスウイルス感染症(猫ウイルス性鼻気管炎)】

ヘルペスウイルスに感染すると、くしゃみや鼻水の他、目やにや充血、涙目、発熱や食欲不振などの症状が出ます。目に異変が現れることが多く、結膜炎や角膜炎を引き起こしたり、ひどくなると角膜潰瘍や眼球癒着の症状が出ることもあります。

ヘルペスウイルスはカリシウイルスと同様に、一度感染すると症状が改善しても体内に潜伏し続ける病気です。なかには季節の変わり目に再発を繰り返したり、慢性的な鼻炎になってしまう猫もいます。

【猫クラミジア感染症】

猫クラミジア感染症は、偏性細胞内寄生細菌という病原体(クラミジア)によって粘膜に炎症が起きることで主に結膜炎の症状が出る病気です。目やにや充血、涙目など目の症状が主ですが、くしゃみや鼻水、咳、食欲不振、発熱などの症状が出ることもあります。

大抵の場合、片方の目から感染がはじまり、進行すると両方の目に症状が現れます。症状が悪化するとドロドロした膿のような目やにが出はじめ、不快感からしきりに前脚で目を擦ったり、まぶたがくっついて開かなくなってしまうケースもあります。生後6ヶ月くらいまでの子猫は特に感染しやすく、最悪の場合死に至る危険もあります。

2.副鼻腔炎(蓄膿症)

ぐったりした猫

鼻腔の奥には、副鼻腔と呼ばれる骨の隙間(空洞)があります。この副鼻腔の粘膜に起きる炎症を副鼻腔炎といいます。主な症状はくしゃみと鼻水、鼻づまり、目やにや涙目などです。

黄色っぽい粘り気のある鼻水が出て鼻の通りが悪くなるため、ズーズーという呼吸音がしたり、口を開けて呼吸をするようになる猫もいます。炎症がひどいと鼻が腫れて熱を持ってしまったり、嗅覚が鈍って食欲不振になってしまうこともあります。

原因は、鼻炎による炎症であることがほとんどだといわれます。鼻炎を治療せずに放置したり、治療しても改善せずに副鼻腔まで炎症が達してしまうと、副鼻腔炎を発症します。

副鼻腔炎は一度発症してしまうと完治が難しく、慢性化して蓄膿症になったり、後遺症が残ってしまうケースもあります。飼い猫のくしゃみや鼻水が止まらないことに気がついたら、放置せずに早めに動物病院を受診しましょう。

3.腫瘍・ポリープ

鼻の中にできた腫瘍やポリープが原因で、くしゃみが出ることがあります。主にくしゃみや鼻水、鼻血、食欲低下など、鼻炎と似たような症状が現れます。腫瘍が大きくなると鼻の周りが腫れ、顔が変形して見えることもあります。

腫瘍には悪性と良性がありますが、猫の鼻腔内腫瘍は悪性(癌)であることが多いといわれるため注意が必要です。リンパ腫は、猫に発生する癌のなかでも特に割合が多いといわれています。

4.クリプトコッカス症

クリプトコッカス症は、真菌(カビ)による感染症の一種です。主に土の中や植物、鳥類(ハト)の糞などに含まれ、風に舞って飛んだクリプトコッカスの胞子を吸い込むことで感染します。

くしゃみや鼻水、鼻づまりなど呼吸器の症状が主ですが、眼疾患や皮膚疾患、神経疾患などが現れる猫もいます。鼻の周辺や目の周辺にしこり(肉芽腫)ができることも多く、顔が大きく腫れあがったり鼻が変形して見えることもあります。

クリプトコッカス症は猫だけでなく犬や人間にも感染する危険があり、特に免疫力が低下しているときにかかりやすいといわれます。

5.歯周病

意外に感じるかもしれませんが、歯周病が原因でくしゃみが出ることもあります。

歯周病は、食べ物の残りカスなどで溜まった歯垢に細菌が繁殖して炎症を起こす病気です。症状が進行すると「口鼻瘻管(こうびろうかん)」と呼ばれる状態になり、鼻と口の間の骨が溶けて穴があいてしまうことがあります。すると細菌が鼻の中まで侵入し、鼻にも炎症が起こるためくしゃみや鼻水などの症状が出るようになります。

6.アレルギー性鼻炎

猫にもアレルギーがあり、人間のように花粉やハウスダストがくしゃみの原因になることがあります。

ただし猫の場合は皮膚に症状が強く出るケースが多いため、体や目を痒がるような仕草の方が目につくかもしれません。それに伴い、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目やに、目の充血などの症状が現れることがあります。

7.その他、異物の吸引など

おもちゃで遊ぶ猫

小さな虫やゴミなどを誤って吸い込んでしまったときにも、くしゃみが出ることがあります。鼻の中に入ってしまった異物を出そうとして反射的に出る生理現象ですが、あまり連続してくしゃみが出るようなら中の異物が出てこないでいるのかもしれません。

体の調子は良さそうなのにくしゃみだけが止まらないときは、何か異物を吸い込んでいないか動物病院で診てもらうと良いでしょう。

病気の予防や対処法

くしゃみを伴う病気を予防するために、効果的な方法をまとめました。

1.混合ワクチンを摂取する

混合ワクチンを摂取する

猫風邪などの感染症にかかるリスクを減らす最も有効な方法は、混合ワクチンを接種することです。成猫が年に1回接種するワクチンには大きく分けて2種類あり、予防できる感染症の範囲が異なります。

【3種混合ワクチン】

  • 猫ヘルペスウイルス感染症(猫ウイルス性鼻気管炎)
  • 猫カリシウイルス感染症
  • 猫汎血球減少症

【5種混合ワクチン】

  • 猫ヘルペスウイルス感染症(猫ウイルス性鼻気管炎)
  • 猫カリシウイルス感染症
  • 猫汎血球減少症
  • 猫白血病猫白血病ウイルス感染症
  • 猫クラミジア感染症

日頃から外に出る猫の場合は、猫白血病ウイルス感染症の予防ができる5種混合ワクチンが勧められます。完全室内飼いで単頭飼いでも感染症にかかるリスクはゼロではないので、防ぐためには定期的なワクチン接種が重要になります。

2.温度・湿度を快適に保った室内で飼育する

快適な温度・湿度を保つ

くしゃみの原因となる病気や誤飲、その他ケガや事故などのトラブルを防ぐには、完全室内飼育が望ましいです。

室内はこまめに掃除をして、ハウスダストやダニなどくしゃみの原因になりそうなものを極力減らしておきましょう。猫にとって快適な温度・湿度を保ち、運動できる環境を作って、体調不良やストレスからくる免疫力の低下を防ぐことも大事です。

【猫にとって快適な室内環境の目安】

  • 室温22~28℃前後
  • 湿度50~60%前後

また、外から帰宅した人間がウイルスを持ち込んでしまう可能性もあるため、帰宅したら必ず手洗いをすませてから飼い猫と触れ合う習慣をつけると良いでしょう。外出時に野良猫や小動物などと触れ合ったときは特に要注意です。

3.こまめにブラッシングする

こまめなブラッシングをすることで、猫の被毛についた異物がグルーミングによって体内に入ってしまうのを防ぐことができます。ハウスダストやダニなどはくしゃみやアレルギーの原因となることがあるため、こまめにブラッシングして被毛を清潔に保ちましょう。

4.普段から飼い猫の様子を観察する

生理現象のくしゃみかどうかを見分けるためには、普段から飼い猫の様子をよく見ておくことです。

体に異常がない状態で出る「いつものくしゃみ」がわかっていれば、いつもと様子が違うくしゃみにも気づきやすくなります。くしゃみとあわせて飼い猫の様子を観察し、病気の疑いがありそうな場合は動物病院へ連れて行きましょう。

また、ヒマラヤンやペルシャ、エキゾチックショートヘアやブリティッシュショートヘアなどの短頭種は、鼻腔が狭いため他の猫種に比べてくしゃみや鼻水が出やすいことが多いです。短頭種の猫が鼻炎になると慢性化しやすいため、特に注意してあげましょう。

鼻をグーグー鳴らしながら連続的に息を吸い込む「逆くしゃみ」と呼ばれる行動も短頭種に多いですが、生理現象であればあまり気にしなくても大丈夫です。

5.定期検診を受ける

定期検診を受ける

歯や口の中の様子や、パッと見ではわからない体内の異常をチェックするには定期検診が有効です。

おすすめなのは、元気に見える若い頃から血液検査などを行い、数値を出しておくことです。歳をとってから比較できるので体の変化がわかりやすく、病気の早期発見にも繋がります。年1回のワクチン接種のついでに定期検診を受けることにすれば、病院嫌いな猫の負担にもなりにくいので実践してみてください。

猫がくしゃみをしていたら様子をうかがおう

猫のくしゃみは生理現象の場合とそうでない場合があります。

毎日頻繁にくしゃみをしていたり、粘性のある鼻水が出るときは1度獣医師に相談してみると良いでしょう。思わぬ病気が潜んでいる可能性もあるので、軽視は禁物です。

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