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【獣医師監修】猫もおならをすることがある! 臭いの原因や関連する病気を解説

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古江 加奈子

古江 加奈子

パーク動物医療センター副院長。福岡県獣医師会、福岡市獣医師会、日本獣医がん学会に所属。言葉の話せない動物を治療するうえで、動物たちに聞く代わりに飼い主から沢山のことを聞き、飼い主とのコミュニケーションを最重視するドクター。

猫も生理現象でおならをすることがある

猫もおならをすることがある

猫も人間と同じように、おならをすることがあります。おならは、食べ物を消化する過程でお腹の中に溜まったガスを体外に排出する行為です。

口から入った食べ物は食道を通り、胃で分解され、腸内でさらに分解された後、体に必要なものが栄養として吸収されます。その過程の途中、腸内では善玉菌による「腸内発酵」や悪玉菌による分解が行われています。このときに発生した炭酸ガスと、口から入った空気が混ざったものが「おなら」になります。

猫も人間と同様に体内で消化・吸収が行われることでおならが出るので、生理現象の範囲であれば特に心配はいりません。いつ、どんなときに必ず出るということもなく、猫によってよく出る子、あまり出ない子など個体差があります。

猫のおならは音がしない?

「猫もおならをするというけど、うちの猫がおならをしてるのなんて聞いたことない」という飼い主さんは意外と多いかもしれませんね。

それもそのはず。猫のおならは人間と違って音がしないことがほとんどなんです。

おならの回数や量は、飲食時に体内に取り込まれた空気の量が影響するといわれます。猫は人間や犬に比べるとあまり空気を飲み込まずに食事をすることが多いため、おならから出るガスの量も比較的少なく、音がしにくいのだそう。

また、人間がおならをするときに「プー」「ブッ」などの音が出るのは、ガスが排出されるときにお尻の皮膚(肉)が揺らされているためです。猫のように肛門周りがスッキリしている動物は、人間のようなおならの音が出ることはほとんどありません。

姿勢にもよりますが、音がするとしても大抵は「スー」「プスー」というようなガスが抜けるような音だけです。寝ながら無音でおならをすることもあるので「なんだか臭いな」と思ったら飼い猫がすかしっぺをしていた、なんてこともありえます。

もし猫が大きい音を出しておならをしていたら、かなりのレアケース。むしろ聞くことができて「ラッキー」と思っても良いかもしれませんね。

例外として、うんちと一緒におならが出た場合は比較的大きい音がすることもあります。

猫のおならが臭いときに考えられる原因

猫のおならは臭いがするのが一般的なので、普段通りであればあまり心配する必要はないでしょう。とはいえ、異様に臭かったりいつもと違う臭いがすると体調が悪いのではないかと心配になってしまいますよね。

猫のおならが臭いときに考えられる原因をまとめたので参考にしてください。

1.食べ物

肉食の猫はおならが臭い

基本的に猫のおならは、人間よりも臭いといわれます。これは、主に食べ物が原因です。

おならは、野菜や芋類など食物繊維の多い食べ物を食べている分にはあまり臭くなりません。しかし、肉や魚など動物性たんぱく質の多い食べ物をたくさん食べていると臭いがキツくなります。動物性たんぱく質は腸内の悪玉菌によって分解されるため、過剰な摂取は臭いガス=臭いおならを発生させる原因になってしまいます。

ただし、猫はもともと肉食なので健康のことを考えると動物性たんぱく質はしっかり摂取する必要があります。猫用の総合栄養食やおやつには動物性たんぱく質が豊富に含まれていることがほとんどなので、食べ物によっておならが臭くなるのはある程度仕方のないことといえます。

また、フードを変更することでおならの臭いが変わることもあります。動物性たんぱく質や硫黄成分がより多く配合されているフードに変えた場合、猫のおならが臭くなったと感じることもあるかもしれません。

しかし、おならが臭いからといって動物性たんぱく質の摂取を制限してしまうと、猫の健康に支障をきたす恐れがあります。治療など特別な理由がない限り、自己判断で制限することは避けましょう。

2.ストレス

精神的なストレスから胃や腸の調子が悪くなるという人がいますが、これは猫にもあてはまります。急におならが臭くなったなと感じたら、何か猫のストレスになるようなことはなかったか思い返してみましょう。

猫も人同様に、精神的なストレスを感じると消化器官に影響が出ることがあります。ストレスから自律神経が乱れ、腸内環境が悪化して悪玉菌が増加すると、下痢や軟便、便秘になったり、おならの臭いが臭くなることがあるのです。

もちろん性格や個体差がありますが、猫は環境の変化に敏感な動物です。お気に入りのマットを洗濯されてしまった、雷や大雨で外が騒がしかった、知らない人が遊びに来た、など、人間にとっては些細なことでもストレスに感じてしまう場合もあります。

他にも、食欲低下、過度なグルーミング、落ち着きがない、攻撃的になる、などは猫のストレスサインとして知られています。ストレスからグルーミングが急激に増え、過度なグルーミング→抜け毛をたくさん飲み込む→消化器症状が起こる、という負の連鎖になってしまうこともあります。

3.加齢

加齢でおならが臭くなる?

加齢とともに消化器官が衰えると、腸内細菌のバランスが崩れて猫のおならが臭くなることがあります。

消化液の分泌量が減ったり、胃腸の働きが鈍ると腸内の悪玉菌が増え、臭いおならのもととなるガスの発生が多くなります。

シニア猫は特に些細なことでも腸内バランスが乱れやすいので注意が必要です。前述のストレスや食べ物の変化なども、腸内バランスが乱れる一因になることがあります。腸内バランスが乱れるとおならが臭くなるだけでなく、免疫力が低下して病気にもかかりやすくなります。

4.消化不良・病気

消化不良や便秘などによって食べ物がスムーズに消化吸収排出されない場合も、臭いおならの原因になります。

本来排出されるはずの食べ物の残りカスが長く腸内に留まっていると、腸内環境が悪化し、その分臭いおならのもとになるガスの発生が増えてしまいます。消化不良の主な原因は、食べ物や体調不良、ストレスなどです。

他にも、特定の病気が原因でおならが臭くなることも考えられます。おならの臭いに関連する病気については、次の見出しを参考にしてください。

こんなおならには要注意! 病院に連れて行った方が良いケース

猫のおならは生理現象ですが、なかには注意が必要なケースもあります。飼い猫の様子をよく観察して、おなら以外にも以下のような症状が見られたら病気を疑いましょう。

【おならと併せて注意したい症状】

  • お腹が張っている
  • お腹の周辺を触られるのを嫌がる(痛がる)
  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 下痢、軟便、血便
  • 便秘
  • 嘔吐
  • 体を痒がる、過度なグルーミング など

 

猫のおならに関連する病気(1) 腸閉塞(イレウス)

腸閉塞になると腸管内の通り道が塞がれ、うんちやガスが外に出られず腸内に留まってしまいます。腸閉塞の主な原因は毛玉や異物の誤食、腫瘍などです。物理的な閉塞以外にも、様々な原因から腸が動かなくなる機能的イレウス(腸管の麻痺)が起きることがあります。その場合も腸閉塞と同様に腸内の内容物が流れなくなり、排便やガスの排出に支障が出てしまいます。

食欲不振や元気消沈、嘔吐や下痢、便秘などの症状の他、お腹を触るとしこりのような固さを感じたり、お腹周りを触られるのを嫌がる様子が見られます。ご飯を食べていないのにお腹が張って見えることや、水を飲むだけでも激しい嘔吐を繰り返してしまうこともあります。

程度には個体差がありますが、症状が重く、通路が完全に塞がってしまっている場合はおならもほとんど出なくなります。塞がってはいるけど多少ものが通過できる状態の場合は、時々出るおならがとても臭くなるのが特徴です。

腸閉塞は放っておくと猫の命にもかかわる危険な病気です。異変を感じたらすぐに動物病院へ連れて行きましょう。

猫のおならに関連する病気(2) 慢性下痢症

慢性下痢症に注意

慢性的な下痢が原因でおならの回数が増えたり、おならの臭いがキツくなることがあります。「慢性」とは、概ね3週間以上、下痢の症状が続く場合を指します。

程度によりますが、下痢やおなら以外に嘔吐や食欲不振、体重の減少などの症状が現れます。血便が出たり、腸内環境が悪化することから口臭が臭くなる猫もいます。慢性下痢症の原因は様々で、感染症や腸疾患、アレルギー、誤飲、ストレスやフードが合わないなどの場合もあります。

下痢が続くと体力が低下し、脱水症状や他の病気を併発してしまう恐れがあります。特に子猫は下痢をしやすく、一見元気そうで食欲があっても下痢が続くこともあるので早めに動物病院へ連れて行きましょう。たかが下痢と侮らず、成猫でも2日以上続くようなら1度動物病院を受診することをおすすめします。

猫のおならに関連する病気(3) 膵外分泌不全症

膵外分泌不全症(すいがいぶんぴつふぜんしょう)は、膵臓にある「外分泌」と「内分泌」の2つの分泌器官のうち、外分泌が90%以上機能しなくなり消化不良を起こしている状態をいいます。

外分泌には食べ物の消化・分解を行う消化酵素を出す働きがあるため、膵外分泌不全症になると十分な栄養素を吸収することができなくなります。すると、食べているのに痩せて衰弱していくようになります。

他にも、下痢や白くて柔らかい脂肪便が出るようになったり、毛ヅヤが悪くなる、食糞をしようとする、おならの回数が増えるなどの症状が現れます。

食欲や元気はあるのに痩せていくように見えたり、下痢が続く、うんちの色が薄いなどの場合は膵外分泌不全症の可能性を疑ってみてください。検便や血液検査で診断するため、動物病院へ連れて行く際は可能であれば小さいタッパーなどに便を採取していくと良いでしょう。

猫のおならに関連する病気(4) 寄生虫

猫の体内にいる寄生虫が原因でおならが臭くなったり、軟便や下痢、嘔吐を引き起こすことがあります。

寄生虫には様々な種類がありますが、有名なのは猫回虫です。5~10㎝程度のそうめん状の虫で、土の中などに潜む幼虫を口にしたり、猫回虫に寄生されたネズミなどを食べることで感染します。便や母乳を介して感染することもあり、人や他の動物にもうつる人畜共通感染症として知られています。

上記の症状の他にも、お腹が膨れたり、栄養不良で痩せてしまったり、子猫の場合は発育不良になることがあります。ただし軽度の場合は一見無症状であることも多く、元気そうな猫を保護したら便から回虫が出てきて驚いた、なんていう話も珍しくありません。

猫回虫症は、駆虫薬の投与で治療することができます。主な予防法としては、完全室内飼いにすることとネズミや害虫などを口にさせないことです。人間が外から持ち込んでしまう可能性もあるので、庭仕事などで土に触れたときは必ず手をきれいに洗ってから飼い猫に触れるようにしましょう。

猫のおならに関連する病気(5) 皮膚疾患

皮膚疾患でおならが増えることも

意外かもしれませんが、アレルギー性皮膚炎などの皮膚疾患によっておならの回数が増えることがあります。

皮膚疾患を患っている猫は痒さや不快感から過剰にグルーミングをするようになるため、その際に多くの空気を飲み込んでしまいます。するとお腹の中に入る空気が増え、結果としておならの頻度が高くなることがあります。

最近おならの回数が増えたなと思ったら、頻繁にグルーミングをしていたり、被毛が剥げてしまっている箇所があったりしないかチェックしてみてください。あてはまる場合はアレルギー性皮膚炎や他の皮膚疾患を疑ってみましょう。

また、猫は心因性のストレスからグルーミングをしすぎてしまうことがあります。「舐め壊し」や「舐性皮膚炎(しせいひふえん)」と呼ばれ、被毛が剥げて皮膚が炎症していても止めずに舐め続けてしまうような猫もいます。

過剰なグルーミングは猫のSOSサインでもあるので、気がついたら原因を探り、可能な限り取り除いてあげる工夫をしましょう。

猫のおならの臭いや回数を減らす対処法

対処法はある?

猫がおならをすること自体は生理現象なので、特に予防をする必要はありません。

臭いがとても強い・回数が多いなどの場合は腸内環境や生活環境が原因の可能性があるので、改善することが対処法になります。

【おならがとても臭い場合】

  • 消化に良いフードを選ぶ
  • 1日のご飯の回数を増やし、1度に与える量を減らす
  • 水分をしっかり摂らせる
  • 腸内環境が改善する猫用サプリメントを取り入れる
  • 運動量を確保する
  • ストレスの原因を取り除く など

 
臭いおならへの対処法は、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えることです。フードが合わずに消化不良を起こしておならが臭くなっているのであれば、猫の年齢や体調に合ったフードに変更することで緩和される可能性があります。

短時間に大量の食べ物を摂取すると消化がおいつかず、腸内環境の乱れに繋がることがあります。少しの量を3~4回に分けて与える方が胃腸には優しいので試してみてください。日中は家にいないなどの理由で難しい場合は、タイマー式の自動給餌器を使用する方法もおすすめです。

サプリメントや整腸剤は比較的効果が見えやすいですが、使用する際は念のためかかりつけ医に相談してからにすると安心でしょう。

また、猫も人間と同じようにしっかり運動することが便秘予防になります。腸に刺激を与えてくれるだけでなくストレス解消にもなるので、飼い猫と積極的に遊んであげてください。

【おならの回数が多い場合】

  • 早食い防止の食器に変える
  • エリザベスカラーなどで過剰なグルーミングを防止する など

 
おならの回数が多い猫の場合、腸内環境の改善に加え、飲み込んでしまう空気の量を減らすことが対処法になります。

早食いはおならの回数を増やす要因になるので、早食い防止用の食器に変えるなど工夫してみましょう。

過剰なグルーミングはエリザベスカラーなどで抑止できますが、つけることが余計に猫のストレスになってしまうケースもあります。前述のように、猫の過剰なグルーミングは皮膚疾患である可能性もあるので、まず最初に動物病院へ相談してみましょう。

猫が甘えているときにうんち臭いのはおならではない?

気になる猫の悪臭

飼い猫が甘えるとき、お尻のあたりから悪臭がすると感じたことはないでしょうか? うんちのような、硫黄のような、ツーンとくる強烈な臭い…

これはおならではなく、肛門腺から出る「分泌液」の臭いです。分泌液は猫同士でコミュニケーションをとる時や、驚いたとき、興奮状態のときなどに出るドロッとした液体で、強烈な臭いがするのが特徴です。

定期検診などで猫を動物病院へ連れて行った際に「肛門絞り」をしてもらったことはありませんか? あの時に出てくる液体が分泌液です! 排便の際にも出されますが、上手く排出されずに詰まってしまうこともあるので定期的に絞るのが良いといわれます。

その分泌液がなぜ甘えるときに出てきてしまうのかというと、飼い主さんのことを母猫のように感じているからなのだとか。通常は授乳期の子猫が母猫の興味を引くために出るものなので、大人になってからも頻繁に出る子はあまり多くありません。

しかし大人になっても幼児性が抜けず、精神的に子猫のまま大きくなってしまうと、飼い主さんに母猫の愛情を求めて分泌液が出てしまうことがあります。特に幼い頃に母猫と別れ、人間の手によってつきっきり状態で育てられた猫にはその傾向が強く出るのだそう。

そういった子は四六時中飼い主さんの後をついてまわったり、少し姿が見えないだけで大声で鳴いて探すような行動をとることがあります。

直すには精神的な自立が必要なので簡単ではありませんが、トレーニングで改善されるケースもあります。おもちゃや運動できるキャットタワー、同居猫との遊びなど、できるだけ飼い主さん以外のものにも興味を持たせましょう。

飼い猫が可愛くてもいわれるまま甘えさせるのではなく、がまんを覚えさせてください。短時間でも良いので猫と離れる時間を作り、徐々にその時間を長くしながら「いなくなっても戻ってくるから大丈夫」ということを刷り込むのも有効です。なかなか問題行動に改善が見られない場合は、一度かかりつけの動物病院へ相談してみることをおすすめします。

猫のおならは健康のバロメーターにもなる

普段はあまり意識することがない猫のおなら。臭いや回数が健康のバロメーターになることがあるので、体調管理の一環として参考にしてみてください。

我慢できないほどの異臭がしたり、普段と違う様子が見られたら何か病気が潜んでいる可能性もあります。「病院を受診するほどではないかな」と思ったら、1度かかりつけ医に電話などで相談してみると良いでしょう。

画像:黒岩ヨシコ

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