リンクをコピーしました

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • もっと見る

猫がよだれを垂らすのはなぜ? 原因や注意したい病気

ユーザー

古江 加奈子

古江 加奈子

パーク動物医療センター副院長。福岡県獣医師会、福岡市獣医師会、日本獣医がん学会に所属。言葉の話せない動物を治療するうえで、動物たちに聞く代わりに飼い主から沢山のことを聞き、飼い主とのコミュニケーションを最重視するドクター。

猫がよだれを垂らす原因は病気?

よだれの原因とは?

飼い猫がよだれを垂らしているところを見たことはありますか?

日常的に口呼吸をする犬と比べると、猫は口から垂れるほどよだれが出ることは多くありません。とはいえ、よだれが出る原因は病気や口内トラブルに限ったことではないので安心してくださいね。

猫のよだれは、リラックスしている時や極度の緊張状態のときなどにも出ることがあります。猫がよだれを垂らしている姿を発見したら、そのときの様子や状況と併せて原因を推測してみましょう。

猫がよだれを垂らしていてもあまり心配いらないケース

心配のないよだれ

急によだれが出ると不安になってしまうかもしれませんが、特に心配がいらないケースもあります。2つの例をご紹介するので参考にしてみてください。

1つ目は、猫が甘えるときや好物を目の前にしたときに出る「サラサラ」としたよだれです。心身がリラックスしているときの猫は副交感神経が優位になり、唾液の分泌が活発化します。すると、よだれの量が多くなることがあります。

リラックス状態のときに出るよだれは、粘り気が無くサラサラとしているのが特徴です。例えばゴロゴロと喉を鳴らして飼い主さんに甘えているとき、睡眠時にふみふみしているとき、おやつを食べて嬉しいときなどに、そのようなよだれが出ることがあります。

唾液の分泌量は個体差があるので、リラックス中によだれが出やすい猫もいれば、出ない猫もいます。

2つ目は、興奮しているときや極度の緊張状態のときに出る「ネバネバ」としたよだれです。1つ目のケースとは逆に、緊張状態にさらされているときの猫は交感神経が優位な状態になっています。すると唾液内のタンパク質量が増え、ネバネバしたよだれが出るようになります。

例えば保護されたばかりの野良猫や、苦手な病院に連れていかれたときの猫などは、極度の緊張からネバネバしたよだれを垂らすことがあります。なかには威嚇をしながらよだれを垂らしたり、興奮から一時呼吸が荒くなってしまうような子もいます。

ストレス状態が続くのは良くありませんが、一時的なものであればこちらもあまり心配いりません。ただし、長く続くようなら病気やトラブルを疑いましょう。

他にも、子猫の場合は歯が生え変わるタイミングでよだれが増えることもあります。

猫のよだれで注意が必要なケース

では、猫のよだれで注意が必要なのはどのようなケースなのでしょうか?

もし病気や誤飲などのトラブルが起きている場合は、よだれの量、色、粘度などに異常が現れることが多いです。

【病気やトラブルの疑いがある猫のよだれ】

  • すごい量のよだれが出る
  • だらだらとずっとよだれが出続ける
  • 臭いよだれが出る
  • ドロドロ、ベタベタとした粘性の高いよだれが出る
  • 膿のようなゼリー状のよだれが出る
  • 泡状のよだれが出る
  • 血が混じったようなよだれが出る
  • 黄色や緑色、茶色など色のついたよだれが出る

上記のようなよだれが出ているときは、猫の体調に異変が起きている可能性があります。目安として、拭き取った後にまたすぐに垂れてくるような量は異常といえます。発見したらできるだけ早めに動物病院へ連れていきましょう。

よだれと併せて猫の様子を観察し、獣医師に現在の状態を伝えると診察がスムーズです。

【よだれと併せて注意するべき猫の様子・症状】

  • 口が異様に臭い
  • 口の周りや顔を触ると痛がる
  • 顔が腫れているように見える
  • 元気がない、ぐったりしている
  • 食欲がない
  • 粘り気のある鼻水が出る
  • 吐き気や嘔吐が見られる
  • 呼吸が荒い(口呼吸をする)
  • 発作を起こす

特に、繰り返しの嘔吐やよだれを伴う口呼吸、発作などの症状は危険信号です。誤飲や重度の中毒症など一刻を争うケースもあるので、すぐに動物病院を受診してください。

猫のよだれに関連する8つのトラブル

猫のよだれの原因として考えられる病気やトラブルの具体例をまとめました。もし病気のサインとしてよだれが出ているのであれば、早めの対処によって改善される可能性があります。「ここ最近、猫のよだれが増えた気がする」など思い当たることがある場合は、他にも兆候がないかチェックしてみてください。

1.口内炎・歯肉口内炎(尾側口内炎)・歯周病

口内炎や歯周病がよだれの原因に

口内炎や歯周病は猫にとっては比較的ポピュラーな病気で、よだれや口臭の原因としても知られています。

口内炎は口の中にできる炎症のことで、舌や頬の内側、歯肉など粘膜の柔らかい部分が赤く腫れ、潰瘍が発生します。口臭がひどくなり、粘り気のあるよだれや血が混ざったようなよだれが出るようになります。

よだれのせいで口周りが常に汚れて見えたり、口内の痛みで毛づくろいをしなくなり、毛ヅヤが悪くなる猫もいます。痛みが進行すると食事のしにくさから食欲が低下し、体重が減って痩せて見えるようになります。食器の前に座るけど食べない、ウェットは食べるのにカリカリは食べない、などの症状が出ることもあります。

口内炎の原因は様々で、多因子性であるため特定は難しいといわれます。一般的には、栄養不良や歯周病などによる口内環境の悪化、感染症や腎臓病などの病気、ストレスによる免疫力の低下などが要因とされています。猫の口内炎は、老猫になるにつれ増えるともいわれます。

人間にとって口内炎は放っておいてもすぐに治る一過性のトラブルといった感覚ですが、猫にとっては違います。口内環境の悪化は食欲不振を招き、栄養不良とストレスによって猫の健康状態を大きく害することもあります。重度になると水を飲むことも困難になってしまうため、たかが口内炎と侮らず早期的な発見と治療を行いましょう!

通常は歯石の除去や抗生剤の投与などによって治療を行いますが、一度口内炎が発生すると慢性化することも少なくありません。なかなか完治しないものは「難治性口内炎」呼ばれます。

口腔内の環境の改善をしても良くならない場合は抜歯を行うこともあります。歯があるせいで歯周病変が改善しないことがあるためです。

場合によっては抜歯も

人の場合、口内炎と歯周病は基本的に関係ありません。しかし猫の場合は関係していることが多々あり、「歯肉口内炎(尾側口内炎)」としてまとめてとらえられることが多いです。

尾側口内炎は、口腔の尾側(口の奥の方)を中心とした粘膜に発赤・腫脹・潰瘍病変・増殖性病変などが起こるのが特徴です。非常に痛がる猫が多く、患部は人間の目から見ても痛々しく見えます。原因はまだはっきりと解明されておらず、ウイルスや口腔内の細菌、その細菌のつくる毒素などに反応しているのではないかとされています。

また、口内炎の原因にもなる歯周病は、歯茎や歯を支える骨などに炎症が起こる口腔内疾患です。歯肉が炎症を起こしている初期状態を「歯肉炎」と呼び、炎症が進行した状態を「歯周病」と呼びます。

歯周病になると歯茎が赤く腫れ、出血、よだれ、悪臭、食欲不振などの症状が現れます。歯がぐらついたり、抜け落ちてしまうこともあります。

炎症が鼻腔まで進行すると顔全体に腫れが見られるようになり、膿のような鼻水やくしゃみが出るようになります。さらに進行すると細菌が血管を通り、腎臓や肝肝臓にまで悪影響を及ぼすこともあります。放置することで悪化してしまう病気なので、初期のうちに病院を受診し、治療することが大切です。

歯周病の主な原因は歯垢(プラーク)や歯石です。歯と歯肉の間に溜まったフードの残りカスなどが基になり、細菌の集合体である歯垢を作り出します。歯石は歯垢が石灰化したものです。

飼い猫の歯周病を予防するには、歯垢を溜めないように歯磨きなどの日常的なケアを行うのが有効です。

2.口腔内腫瘍

口腔内腫瘍がよだれの原因に

口腔内に発生した腫瘍が原因で、よだれがたくさん出ることがあります。猫の口の中にできるしこりのうち約80%が悪性腫瘍(がん)で、残りの20%は良性だといわれます。

腫瘍ができると違和感や痛みで唾液が過剰に分泌され、腫瘍からの出血により血が混ざったような茶色いよだれが出るようになります。口が異様に臭い、食事をしにくそうにしている(またはご飯を食べない)、やたらと口の周りを気にする、などはよく見られる症状です。

「扁平上皮がん」と「線維肉腫」は、10歳以上の高齢猫に多い口腔内のがんとして知られています。どちらも口腔内に限らず全身に発生する可能性があり、扁平上皮がんは耳・鼻・まぶたなどの皮膚に、線維肉腫は四肢・体幹・顔面・乳腺などに現れることが多いです。

腫瘍が大きくなるほど転移のリスクが高まるため、早期発見が治療のカギになります。

3.腎臓病(腎不全)

腎臓病がよだれの原因に

猫は、腎臓病(腎不全)の進行により臭いのするよだれが出るようになることがあります。

腎臓は体内の毒素を分解して尿として排出する役割を持っています。そのため、腎臓病になると体内に老廃物や有害物質が溜まってしまいます。

「腎臓病」は何らかの原因により腎臓の機能が低下する病気で、腎臓病が進行すると「腎不全」と診断されます。腎不全になると、腎臓の機能である老廃物や水分を排泄する働きやイオンバランスを整えるなどの働きが満足に行かず、猫の体に様々な不調を及ぼします。

長い年月をかけてゆっくりと機能が低下する「慢性腎臓病」に対し、中毒や熱中症、感染症、尿管や尿道結石による閉塞などが発端で急速に腎機能が低下することを「急性腎不全」といいます。腎臓病は猫にとても多い病気で、15歳以上の高齢猫の約80%が慢性的な腎臓病を患っているともいわれます。

猫の腎臓病の初期症状として特徴的なのが「多飲多尿」です。色の薄い尿を大量に出すようになり、その分水分を多く摂取するようになります。

病気が進行すると腎臓がほとんど機能しなくなり、末期になると「尿毒症」を発症します。尿毒症は、腎機能の低下により溜まった有害物質が血中にまぎれて体内を循環し、消化機能や神経機能などの働きを阻害する病気です。口内炎や胃腸炎になりやすくなり、食欲低下や嘔吐、貧血などの症状が現れます。

尿毒症になるとアンモニア臭がする臭いよだれが出ることがありますが、これはかなり深刻な状態です。早めに処置をしないと命を落とす危険もあるため、速やかに動物病院を受診してください。

重度の肝機能不全による「高アンモニア血症」になった場合も同様に、口からアンモニア臭のするよだれが出ることがあります。

4.感染症

感染症がよだれの原因に

猫のよだれが増える原因の1つに、感染症の罹患による免疫力の低下や内臓機能の低下があります。

猫カリシウイルス感染症(FCV)や猫ヘルペスウイルス感染症(FHV-1)などは、症状に口内炎を伴うことで知られています。口の粘膜や舌に水疱ができ、痛みで食欲が低下したり大量のよだれが出ることがあります。これらは「猫風邪」と呼ばれ、口内炎以外にもくしゃみ、鼻水、発熱、目ヤニなど人間でいう風邪のような症状が現れます。

猫免疫不全ウイルス感染症(FIV・猫エイズ)や猫白血病ウイルス感染症(FeLV)なども同様に、免疫力の低下によって口内炎の発症を招きやすい病気です。

また、これらの感染症によって結膜炎を起こすケースがあります。主な症状は涙目や目ヤニ、目の充血などですが、ウイルス性の結膜炎の場合はくしゃみやよだれが増えることもあります。

5.食道炎

食道炎になると、唾液の量が増えて猫がよだれを垂れ流すことがあります。

食道炎は食道の粘膜に炎症が起こる病気です。刺激物を飲み込んで食道が傷つけられたり、胃炎による胃酸の逆流などが原因で起こります。

食道に強い痛みが生じるため、食欲がある場合でも食べたものをすぐ吐き出すようになります。ゲップやよだれが増え、頻繁に唾液を飲み込もうとする仕草や、食事中に大声で鳴くなどの様子が見られます。

食道炎が長引くと「巨大食道症」や「食道狭窄(きょうさく)」などの病気を引き起こすこともあります。

6.熱中症・車酔い

熱中症・車酔いがよだれの原因に

猫は、熱中症や車酔いが原因でよだれを垂らすこともあります。

熱中症は、急激な気温の上昇や高温多湿な環境により体温調節機能が正常に働かなくなることで起こります。室温がそこまで高くないときでも、風通しの悪い室内や、直射日光が当たる車内を閉め切って過ごしていると熱中症になることがあります。

熱中症になると、ほてりやよだれ、ふらつき、嘔吐や下痢、口呼吸、発熱などの健康障害が現れます。熱中症は悪化のスピードが早いため、放置せず速やかに動物病院へ連れて行きましょう。

熱中症の症状や予防策について詳しくはこちらの記事で解説しています。
【獣医師監修】猫の熱中症に要注意! 症状や予防対策を徹底解説

また、猫は犬よりも車酔いをすることが少ないといわれますが体質や体調によっては酔ってしまうことがあります。ソワソワと落ち着かない様子で頻繁にあくびをする、よだれを垂らす、呼吸が荒くなるなどは車酔いの兆候です。

7.誤飲・中毒

おもちゃやゴミなどを誤飲したことで、猫がよだれを垂らすことがあります。

吐こうとしているのに吐けないような様子が見られたり、呼吸が苦しそう、ぐったりしている、口を開けたり閉じたりを繰り返す、などの症状が見られたら、何か誤って口にしたものはないか確認してみてください。

猫にとって毒性のあるものを食べてしまった場合も、中毒症状の1つとしてよだれが出ることがあります。ポタポタとしたたるほど大量のよだれや、泡のようなよだれが急に出てきたら中毒になるようなものを口にしてしまった可能性があります。ネギやチョコレート、ぶどう、タバコ、人間用の風邪薬や正露丸などは猫が食べると中毒を起こすことで知られています。

中毒の原因によって異なりますが、よだれ以外には嘔吐や下痢、痙攣、貧血、チアノーゼなどの症状が現れることが多いです。重度だと急性心不全や呼吸困難を招いたり、最悪の場合死に至ることもあります。

猫にとって観葉植物や花は毒になるものが多いので、部屋に飾る際は注意しましょう。特にユリ科やナス科の植物はイタズラでかじっただけでも重度の中毒症になる危険があります。猫がいる室内に置くのはおすすめしません。

ささいな誤飲や誤食が大きな事故に繋がる恐れもあるので、人間にとって何気ないものでも猫が誤って口にしないよう対策しておきましょう。

8.ケガ・やけど

口内のケガややけどが発端で、猫のよだれが増えることがあります。

突発的にケガややけどをした場合、それまで元気だった猫が急によだれを垂らしはじめ、口を痛がるような様子が見られます。口から出血していたり、血が混ざったようなよだれを出すこともあります。

部屋の中にいたのであれば、誤飲やイタズラをした形跡はないか確認してみてください。電源コードにじゃれついて感電したり、おもちゃに夢中になりすぎて口の中を傷つけてしまうなどはよくあるトラブルです。

また、冬場に猫の飲み水を電子レンジで温めたときなども要注意です。温度を確かめずに与えてしまうと、舌をやけどしてしまう恐れがあるので気をつけましょう。やけどが原因で口内炎になってしまうこともあります。

猫は口の中に痛みがあると食欲が落ちて健康を害する恐れがあります。軽症に感じても、早めに動物病院へ連れて行くことをおすすめします。

猫のよだれ予防のためにできる対策は?

よだれの予防策とは?

猫の異常なよだれを予防するためには、口腔内を清潔に保ち、健康状態を良好に保つことが大切です。

【猫のよだれに関連するトラブル防止対策】

  • 歯磨きを習慣化する
  • 歯磨きおやつなどを取り入れる
  • 普段から猫の口の中を観察する
  • 感染症予防のワクチンを接種する
  • 完全室内飼いにする
  • 中毒になるものは猫の手の届く場所に置かない
  • 誤飲、誤食の可能性のあるものを放置しない
  • ストレスのない環境作りをする

歯周病や口内環境の悪化を防ぐには歯磨きが一番です。しかし、何の抵抗もなく歯磨きをさせてくれる猫は多くないでしょう。まずは少しでも歯や口の中を触るところからはじめて、焦らず徐々にトレーニングをして慣れさせる方法がおすすめです。

猫の歯磨きのやり方や便利なグッズについて、詳しくはこちらの記事で解説しているので参考にしてみてください。
愛猫の口臭が気になったら! 猫の歯磨きグッズおすすめ10選

定期的なチェックとケアで口内トラブルを予防しよう

猫は頻繁によだれを垂らす動物ではありませんが、飼い主さんの側で甘えているときにはよだれが出てしまうこともあります。リラックスしきってよだれを垂らしているのだと思うと、なんだかいじらしくて可愛いですよね。

ただし、よだれの量や症状によっては注意が必要なケースもあります。特に猫は高齢になると口内トラブルが増える傾向です。

異変があったらすぐに気がつくことができるよう、若い頃から定期的なチェックと口内のケアを欠かさないようにしましょう。

画像:黒岩ヨシコ

loading

関連するキーワード

となりのカインズさんをフォローして最新情報をチェック!

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Instagram
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

RELATED関連する記事

POPULAR人気の記事

  • Daily
  • Weekly

広告掲載について

NEWS LETTER ニュースレター

Webライター・イラストレーター募集

取材のご依頼や情報提供はこちらから