八百屋歴10年のプロが指南。新鮮でおいしい産直野菜を選ぶコツ
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園芸を楽しむ中でよくある悩みのひとつに挙げられるのが、使用済みの土の処分や再生方法についてです。そのまま使うのはいろいろ問題もあるというし、土を買い直すのも、処分するのも大変と困っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は使用済みの土を簡単にリサイクルできる「再生材」について解説します。
ひとことで土の再生材といっても種類が豊富なので、どれをどのように使ったらよいか悩んでしまうかもしれません。この記事では、再生材の使用方法や、ホームセンターなどで手に入るおすすめの再生材をピックアップしてご紹介します。
よく、使用済みの土は処分するか、再利用するために面倒な作業が必要だと聞いたことはありませんか?
なぜ一度使用した土はそのまま再利用してはいけないのでしょうか。
まずは、植物を栽培するためによい状態の土についてや、使用済みの土がどのような状態になっているのかを知りましょう。
一般的に良い土とは、「保水性」・「排水性」・「保肥性」がある清潔な土のことをいいます。
これらの条件がそろうことで、植物が健康に育つ栽培環境といえるのです。
植物を栽培する過程で、土の中の有機物や肥料などの養分が植物に吸収されていきます。そのため、土は固くなり、養分が不足した状態です。
そのまま新たな植物を植えても、養分を根から吸収しにくいため順調に育成するのが困難になってしまいます。
古い土には、これまで栽培してきた植物の根や落ち葉、雑草の根や種子といったゴミが紛れているかもしれません。
ゴミが多い土では、新しい植物が根を張るのを邪魔してしまいます。さらに雑草の種子が発芽して、土の中の養分を奪ってしまうかもしれません。
土の中には目に見えない病原菌やウイルス、小さな害虫などが潜んでいるかもしれません。
そのまま新しい植物を植えると、前作の植物の病気が移ってしまう可能性や、コガネムシの幼虫のような根を食べてしまう害虫の被害にあう可能性もあります。
団粒構造とは、土の粒子がまとまって小さなかたまりを作っている状態のことをいいます。団粒構造ができている土は、かたまりとかたまりの間に適度な隙間ができて、保水性や排水性・通気性が良い状態です。
一般的にふかふかの土といわれるのが団粒構造の土ですが、古い土はかたまりが崩れた「単粒構造」になっているかもしれません。通気性や排水性が悪くなるため、根腐れを起こしやすくなってしまいます。
同じ科の植物を続けて栽培すると、育ちにくくなってしまう障害のことを「連作障害」といいます。
同じ植物だけでなく、同じ科の野菜でも障害が発生してしまうので注意が必要です。
例えば、ハクサイ・ブロッコリー・ダイコンのようなアブラナ科の野菜や、ナス・じゃがいも・トマトなどのナス科の野菜などで連作障害がおこりやすいといわれています。
古い土をそのまま再利用してはいけないのはわかりましたか?
では、新たに植物を植えたいときにはどうしたらよいのでしょうか。
古い土を処分して新しい土を購入すれば簡単かもしれませんが、土は廃棄物として回収をしてくれない自治体がほとんどで、処分方法に困るという人が多いのです。
使用済みの土を元気な状態にリサイクルしてみましょう。
ここでは、古い土の再生する手順をご紹介します。
あらかじめ土をよく乾燥させて、ビニールシートの上に土を広げます。目に見える茎や葉っぱなどは手で取り除き、その後荒目・中目・細目の順でふるいにかけます。
荒目・中目のふるいで手では取れなかったゴミを取り除けます。細目のふるいから落ちた微塵は、細かすぎて根詰まりの原因となるため処分してください。細目のふるいに残った土をリサイクルしていきます。
ふるいでは取り切れない害虫の卵や土壌病原菌、ウイルスなどを熱消毒します。
黒いビニール袋の中に湿らせた土を入れて、太陽光に当てます。1週間に1回袋をひっくり返して、よく土を混ぜるようにしながら1か月ほど続けて完成です。
他には熱湯で消毒する方法もあります。60℃以上の土と同量の熱湯を、高温に耐えられるバケツなどに入れて15分以上放置してください。温度を保つためにビニールなどで覆っておくとよいでしょう。
土の温度が下がったら、ビニールシートの上に土を広げて天日で乾燥させて完成です。
団粒構造が崩れてしまっている古い土をもう一度良い状態にすることと、土づくりに欠かせない有機物を混ぜて土壌を改善させてあげます。
消毒し終えた土に腐葉土や堆肥、培養土などを混ぜる作業を行いますが、土の再生材や土壌改良剤、リサイクル材などと名前が付いた商品を使うと手軽です。
古い土は、植えていた植物が養分を吸収したり、雨によって養分が流れ出たりするため、次に植える植物の生長に必要な養分が足りない状態です。
元肥となる緩効性の肥料を混ぜて完了です。
前述のように、古い土を再利用させるためにはある程度時間がかかります。
団粒構造を形成させるためには堆肥や腐葉土などをバランスよく配合させる必要がありますが、園芸初心者では難しいと感じるでしょう。
そこで再生材(土壌改良剤・リサイクル材など)を使用すると、栄養分もバランスが良く入っているので簡単でおすすめです。
再生材とは、土の栄養だけでなく通気性や保水性を改善させたり、微生物を増やして土壌を豊かにすることが目的の資材です。
土壌化良材としては腐葉土やバーク堆肥、牛糞堆肥、もみ殻くん炭などさまざまな種類があります。原料によって特徴があるので、目的に合わせて組み合わせて使用します。
商品として販売されている再生材は、さまざまな土壌改良剤がブレンドされているので、いろいろ買い集める必要もなく手軽に土壌改良することが可能です。
土の再生材は、商品によって材質が異なります。
腐葉土やバーク堆肥のような植物由来の堆肥は、肥料分は少ないですが土をふかふかにして、保水性や保肥性を良くしてくれます。牛糞堆肥のような動物由来の堆肥は肥料分が多かったり、もみ殻くん炭は酸性の土壌を中和させたりというように、目的はさまざまです。
こういった土壌改良材をブレンドされているのが再生材なので、商品によって使用目的が異なるだけでなく、古い土に混ぜる割合も違います。
古い土をふるいにかけたり消毒させる前に段階で、再生材を混ぜ合わせてすぐに次の植物を植え付けることができるものもありますよ。
使用方法はパッケージをよく読んで、正しく使用しましょう。
一度使った土や古い土を新たな栽培に適した土に変貌させます。土にまくだけで、土をリサイクルでき、ゴミ削減にも貢献します。
善玉微生物の働きで土の環境が自然に改善され、健康な植物の育成が可能です。
バーク堆肥やパーライトなどを配合し、ふかふかな土壌をつくるカインズオリジナルの再生材です。特殊な活性炭が配合されており、連作障害の原因となるアレロパシーを吸着してくれます。
土に混ぜるだけでなく、古い土の上に撒くだけでも土が甦る手軽さもおすすめのポイントです。
石灰・牛糞・木炭といった複数の有機質素材を配合し、古い土をふかふか蘇りさせます。
混ぜた直後に植え付けが可能。新しい用土に混ぜ合わせれば、地力をアップさせることもできるでしょう。
もみ殻たい肥やコーヒー豆のかすなどの、食品原料を使って作った再生材です。
菌根菌を配合することで病害虫に強くなり、減農薬・減堆肥栽培が可能な土が作れます。さらに堆肥を使用していないため、においが気になるという方にもおすすめです。
バーク堆肥やパーライト、ピートモス、木炭などを配合した再生材です。プランターや鉢植え、花壇や庭木など、さまざまな場所で使えます。
また、元肥(緩効性化成肥料)を配合しているので、古い土を再生後すぐに植物を植え付けることが可能です。
牛糞、動植物性残さ、豚糞、鶏糞といった、腐植を多く含んだ土壌改良剤を使用しています。オーガニック志向の方におすすめです。
有機物が豊富なので、連作障害対策としても使用できます。
再生材としてだけでなく、増し土としても使える商品です。
花壇や菜園の土が減ってきたというときに、今ある土にそのまま追加すればOK。地力が弱った土壌も回復させてくれます。
ガーデニングや家庭菜園を楽しむうえで欠かせないのが土。植物を健康に育てるためにはふかふかで養分の豊富な土が必要です。そんな土も古くなれば養分が失われたり病害虫によって汚染されてしまったりすることもあります。
土の処分は何かと大変なので、健康な状態に再生させてリサイクルしましょう。
初心者には手間ひまかかる土のリサイクルも、再生材を使えば簡単に行うことができます。使用目的に合わせてお好みの再生材を選んで使ってみてくださいね。