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スウェーデン人は根っからのDIYerだった。イケメンモデルが教えてくれた深イイ北欧ハウス事情

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Anton Wormann(アントン ウォールマン)

Anton Wormann(アントン ウォールマン)

スウェーデン出身、日本を拠点に活動するモデル、俳優、YouTuber、TikToker。CMや多数の雑誌、ウェディング広告などに出演。2021年より本格的に俳優活動を開始。自身のYouTubeチャンネル『DIYモデル ANTON WORMANN アントンチャンネル』は登録者11万人超え。

とある古民家の一軒家で、汗やホコリにまみれながら、床を剥がし、壁を壊し、階段をつくり替えていく一人のイケメン男性。一体何者……?

スウェーデン出身のモデル・Anton Wormann(アントン ウォルマン)さん

彼は、スウェーデン出身のモデル・Anton Wormann(アントン ウォールマン)さん。端正なルックスと抜群のスタイルで、さまざまな国でモデル活動をしてきた経験があります。

2019年から日本で本格的に生活を始めたアントンさん。自身のYouTubeチャンネルでは、彼の明るいキャラクターと本格的なDIY技術が人気を集め、今や11万人以上の登録者がいます。

自身の手でリフォームを進めている

2022年に築86年の古民家を購入し、自身の手でリフォームを進めているアントンさん。ゴミ出しルールの難しさやシロアリ問題に悩まされながらも、「DIYが楽しいんです」と、独学とは思えないほどの流暢すぎる日本語で話します。

モデルを本業としている彼が、なぜここまで高度なDIYスキルを持ち、さらには日本という地で古民家を購入したのか──。

アントンウォールマンさん

アントン ウォールマン

モデル、俳優、YouTuber、TikToker
所属事務所:Image 生年月日:1992年9月19日 出身地:スウェーデン 特技:DIY
身長 : 186 cm / B : 94 cm / W : 74 cm / H : 92 cm / Shoes : 28.0 cm
スウェーデン出身、日本を拠点に活動している。CMや多数の雑誌、ウェディング広告などに出演。
2021年より本格的に俳優活動を開始。

「日本で絶対に暮らしたい」北欧から来日したスウェーデン人モデル

アントンさん

──アントンさんはスウェーデン出身で、2019年から日本で生活をしていますが、なぜ日本で暮らそうと思ったのでしょうか?

アントンさん(以下、アントン):僕は11年間モデルとして活動していて、今まで数ヶ月のモデル契約で、欧米やアジアなど、いろんな国で生活をしてきました。日本へも数回訪れたことがあるのですが、さまざまな国での生活を経た中で、「日本で絶対に暮らしたい」という気持ちが強くなっていったんです。

──そう思ったのは日本だけだったのですか?

アントン:はい、日本だけでした。

──それはなぜでしょうか?

アントン:自分が暮らしてきたスウェーデンの文化と、日本の文化が全く違っていて、もっと知りたい! とものすごく興味を持ったんです。

例えば、ノルウェーとデンマークには似たような文化がありますが、日本って特殊じゃないですか。日本は独自の文化のユニークさが特に強いなと思いました。

日本人にとっての常識が、他の国からすると当たり前ではなかったり。不思議な部分がたくさんあって、それを知って理解していくのが楽しく感じたんです。

アントンさん

──特に、日本のどのような点に惹かれたのでしょうか?

アントン:いろいろありますが、まず挙げるとしたら治安の良さと街の綺麗さですね。

日本の友達に言うと「いや、渋谷や六本木は汚いよ」なんて返されるのですが、僕からすると渋谷も六本木も綺麗だと思います。

日本の夏ってすごく暑いのに、外を歩いていてもイヤな匂いがしませんよね。他の国だと、都会でもゴミがたくさん落ちていたり、気温が高ければそれが腐って、臭い匂いが漂ってしまいますから。

ゴミ箱がないのに、街中にゴミが溜まっていないのが僕にとっては衝撃でした。ルールをちゃんと守るマナーが浸透しているのが素敵だなと感じましたね。

──実際日本に住んでみて、そういったイメージとのギャップや、生活の中で大変だったと感じたことはありましたか?

アントン:大変なことは、もちろんたくさんありました。日本語は独学で学びましたが、最初の頃は全然話せなかったし、なにより日本の文化やルールをしっかり理解していなかったので。

例えば、ゴミの分別が細かくて難しかったりとか。古民家を買った際、中に家具がまだたくさん残っていたので処分が必要だったのですが、どこに、どうやって捨てればいいのかがわからずに困ってしまいました。スウェーデンだと、そういったゴミは全部無料で捨てられますから。

ゴミのルールがこんなに面倒なのに、なんで街並みが綺麗なんだろうって、日本に対してさらに興味が沸きましたね。

アントンさん

──ポジティブに捉えたのですね。こんなに文化の違いがあると、「もう帰りたい」と思うことはなかったのでしょうか。

アントン:いえ、なかったですね。日本にどうしても住みたい気持ちが強かったので。もちろん、コロナ禍でスウェーデンにいる友達や家族がとても恋しくなったことはありますが、文化やルールの違いに悩んで、自分の国に帰りたいと思うことは一切なかったです。

後悔や嫌なことがあっても、日本に来たことが原因ではないと考えています。

暗い気持ちになった時は、家に帰って友達と話したり、テレビ電話で家族に話を聞いてもらうことで気分を落ち着かせていたりしました。

宮大工に憧れ、築86年の古民家を購入。階段もバルコニーも自分でリフォーム

空き家ルームツアー

──アントンさんは2022年の4月に築86年の古民家を購入し、自分でリフォームを進めていますが、そもそもなぜそんなに古い家を買おうと思ったのですか?

アントン:最初に日本を訪れたときから、宮大工に憧れがありました。釘無しで家を建てる技術は素晴らしいと感動し、自分もいつかそんな家に住みたいと思っていたんです。

父が2年半前に日本へ遊びに来た際、古い日本の家が見たいということで、一緒に不動産屋へ行って物件探しをすることになり、いろいろな物件を回りました。購入した家は、そのうちの一つです。今の家を見た時に、リフォームしたら絶対に綺麗になると思い、購入を決めました。

──購入してから今まで、リフォームの状況はいかがですか?

アントン:中の家具などがそのままの状態だったので、使えないものを処分するところから始めました。先ほど話したように、最初はどうやって捨てたら良いのかわからず、業者に頼んだところ150万円ほどの見積もりが来た……なんてこともありました。

築86年の古民家

大規模な作業だと、床を一度壊してコンクリートにしたことです。木のままだと、虫が住み着いてしまうし、湿気にも悩まされますから。

床を一度壊してコンクリートにした

リフォームを進める中で、柱がシロアリに喰われひどい状態になっているのがわかったので取り外し、その代わりに上に梁を入れました。自分では難しかったので、建築士の方や大工さんと相談しながら進めました。

柱がシロアリに喰われひどい状態になっている

あとは断熱材を入れたり、天井の一部を壊して吹き抜けにしたり、大工さんの指導を受けながら階段をつくったりしました。

階段をつくった

外のベランダもコンクリートで固め、シャワーを取り付けました。今後、テントサウナを置けたら良いなと考えています。

シャワーを取り付け

キッチンやキッチンタイル、窓はまだ未着手です。綺麗な松の板を購入したので、壁も張り替えたいと思っています。

──そこまでやるなんて、すごいですね……! どんなお家を目指してリフォームしているのでしょうか?

アントン:畳の部屋などで日本っぽさを残しつつも、北欧を感じさせるデザインを目指しています。できれば、今年中に完成させたいですね。

「DIYは当たり前」スウェーデンでは、新築よりもリフォームが主流

アントンさん

──日本とスウェーデンの住宅事情ってかなり違いがあると思いますが、実際に住んだり家を購入してみて、どのように感じましたか?

アントン:日本は建て替えのペースが早いなと感じました。例えば、新築で建てた家でも、35年くらい経ったら壊してまた新しい家に建て直したりしますよね。

スウェーデンだと、全く違います。僕の実家は、築120年の木造建築でしたから。両親は自分たちでリフォームして、家の間取りやデザインを変えながら暮らしていました。僕が4〜5歳までずっと作業をしていて、今考えると工事現場に住んでいるような感じでした。

アントンさんの実家

スウェーデンの実家

──スウェーデンでは家のベースはそのままで、古民家を改造していくアントンさんのように、リフォームして住み続けていくのですね。

アントン:そうです。日本だと、「何LDK」とか、間取りを重要視する人も多いかと思いますが、スウェーデンでは「何平米」など、家の大きさをまず大事にします。

僕にとっては、間取りを気にするのはすごく不思議なんです。「何LDK」とかって、デザインやインテリアの配置によっては変更させる必要がありますし、壁を一つ壊せば、平米は一緒でも一部屋のスペースが大きくなります。

今の海外のトレンドでも、デザイナーズマンションだけじゃなくとも、部屋をなくしてなるべく広い空間で住む、という傾向があります。

なので、スウェーデンでは家を次々に建て替えることはあまりなく、家のベースはそのままで、そこに住んだ人たちが自分の好みに合わせてリフォームしていく、という感覚が根付いているんです。

アントンさん

──日本だと「築年数が経った家=価値が低い」という感覚があり、新築が好まれがちなので、リフォームして何世代も住み続けるというのはなかなかないですね。

アントン:それは、「自分でリフォームする」という選択肢を知らないからだと思います。例えば、この家はもう古くて住めないから新築に建て替えようという考え方が一般的に浸透しているからこそ、他の選択肢をあまり考えることがないのではないかなと。

スウェーデンは、日本に比べると圧倒的にハウスメーカーも少ないです。古い家でも自分たちでリフォームして住む、という考えが先に来ますから。もちろん、自分たちで難しいところは業者さんや職人さんにお願いしていますよ。

新築でハウスメーカーに頼む場合は、決まった型の中でしか選べないことが多いですよね。でも、リフォームだと「ここにこれがほしい」とか、細かい部分まで自分でカスタマイズできるのが良いと思います。

完璧を目指すとなると業者の方に頼んだりするかと思いますが、スウェーデンの人は、あんまり完璧を追い求めていないんですよ。むしろ、「自分はこれをつくった!」って、DIYしたものはなんでも自慢したがります。

アントンさん

──なるほど。別に完璧じゃなくてもいい、という考えが根付いているんですね。

アントン:そうですね。逆に、完璧な状態ってなんだろう、とも思います。僕が暮らしていた家でも、両親はずっとリフォームやDIYを繰り返し、未だに完成した状態ではありませんから。今後も完成することはないと思います。

スウェーデンでは、70年前から誰もがDIYを学ぶ!?

──スウェーデンではなぜそこまでDIYの文化が根付いているのでしょうか?

アントン:理由の一つとして、普通の学校でもDIYの授業が充実していることがあると思います。僕の通っていた学校では、9歳の頃から週一回、3時間のDIY授業がありました。木材やペンキの塗り方、技術を勉強して、基礎を学びます。

スウェーデンでは70年以上前から習慣としてあるみたいですね。

──普通の学校でも、しっかりDIYについて学ぶ機会があるのは驚きです。そうなると、アントンさんは子どもの頃からDIYを日常的にやってきたんですね。

アントン:はい。両親が家をリフォームする際に余った木材などを使って、妹と一緒にいろんなものをつくっていました。

一番大きいものだと、庭に3階建ての小屋をつくりました。ただ、お父さんが「これはちょっと危ない」ということで、3階を潰して2階建てにしたんですが、それでも3メートルほどの高さはあったと思います。

アントンさんがつくった小屋

アントンさんがつくった小屋(左)と当時のアントンさん(右)

今考えたらいろいろ粗い部分だらけだったと思いますが、当時の自分にとってはものすごく自慢のDIY作品でした。妹と遊んだり、友達を呼んで自慢したりしていましたね。

日本とスウェーデン。ホームセンターの共通点と違い

──ここまでDIYの浸透度が異なると、ホームセンターの内容もかなり違いそうです。

アントン:そうですね。まず、スウェーデンは土地がある分、ホームセンターの規模がものすごく大きいです。

あとは日本のホームセンターって、キッチン用品や掃除グッズだったり、家庭的な商品が多く、プロ用の商品は専門店でないと手に入らない場合が多いと思うのですが、スウェーデンはそういった生活用品の取り揃えはあまりありません。職人も一般の人も同じお店に行くので、工具や木材など、ホームセンターに行けば何でも手に入る、という感じです。

スウェーデンでも日本っぽいホームセンターがありますが、一般的にそれを「ホームセンター」とは呼ばないですね。

アントンさん

ただ、共通点もあるなと思っていてどの国のホームセンターでも、店員さんに相談や質問をすると、何でも答えてくれるんです。知識が豊富で安心感があるので、日本でもホームセンターの店員さんに相談しながら商品選びをすることがあります。こういう直し方もあるよ、とたくさん選択肢を出してくれるんです。ホームセンターで働いている人は、すごく発想が豊かだなと。

──ホームセンターの店員さんの知識量は、万国共通なのですね。

アントン:日本のホームセンターですごく良いなと思った点は、木材や大きなものを運ぶ際に、軽トラックを貸してくれることです。これ、海外ではありえないですから。一般的なサービスとして車を貸してくれるのは、日本の治安があってこそだと考えています。

DIYは失敗して当たり前。「失敗=ダメ」ではなく、ちょっとでも良くする方法を考える

アントンさん

──お話を聞いて改めて考えると、日本って結構DIYしやすい環境が整っているのかも……?

アントン:そうだと思います。ただ、日本に暮らして思ったのは、DIYの捉え方が海外と違うのかもしれないなと。例えば、スウェーデンだと余ったものを使って、とりあえず何か面白いものをつくってみるという感覚でDIYをします。ただ、日本のDIYが好きな友達は、DIYのために新しい木材や材料を買って、しっかりプランニングをしてつくっていくんですよね。

──確かに! 失敗したくなくて、ちゃんと1から行程を決めてやりたくなります。

アントン:いや、DIYはだいたい失敗するものだと思いますよ。僕だって、最初は失敗だらけでした。勉強して、少し上手になって、また失敗して。その繰り返し。職人さんも、同じですよね。何年もの経験と失敗を積み重ねているからこそ、上手にできるようになります。

いくらYouTubeでやり方を見たり、勉強したとしても、最初は失敗するのが当たり前ですよ。

──失敗しても続けられるコツってあるのでしょうか?

アントン:そもそも感覚として、失敗したからそれでダメとは思っていないんです。ちょっとそこに手を加えて、少しでもいい状態にできたらOKという感じ。完成した作品の見た目がイマイチでも、ちょっと削ったら少しは良くなるかな、とか。手を加えていって成長させて、最初の状態より格好悪くならなければそれでいいんですよ。

メーカーがデザインしてつくったものは、もちろん綺麗ですし、それが「完璧」に見えるかもしれません。ですが、僕の考えからすると、失敗しても時間がかかっても、自分が好きなようにできるほうが楽しいです。

YouTubeでDIYの発信をしていると、意外にも視聴者から「やってみたい!」という声をいただくことが多くて。興味を持ってやりたいと思っている方はすごく多いなと気づきました。

日本の賃貸や住宅事情は海外に比べると厳しいですが、今は穴を開けずに使えるDIYグッズも増えてきていますし、工夫次第でいろいろできると思います。これからどんどんDIYする人が増えてきたら嬉しいですね。

アントンさん

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