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目次/ INDEX
今日はいきなりはしゃいでおりすみません。カメライターのコウカ(右)です。
これは『SASSEN(サッセン)』という「次世代ITチャンバラ」にチャレンジしている一コマです。光っているのはLEDとBluetoothを搭載した発泡ポリエチレン製の刀で、当たったかどうかの判定にはスマホの専用アプリを用います。
私は下手の横好きで空手をやっており、時折このような自作のソフトナイフで対武器を想定した稽古をしているのですが、ITを組み合わせてスポーツ化している団体があったとは驚きです。
使わなくなったジョイントマットを切り抜き、持ち手にはテーピングテープを巻いたソフトナイフ
対ナイフの空手の訓練。付き合ってくれているのは空手仲間のUさん
こう話すのは、生涯スポーツSASSENを主催する本村隆馬さん。ホームセンターの商品をDIYして何か良い稽古道具を作れないか、とはずっと考えていたのですが、まさかこれほど先を行く方がいたなんて。
SASSENの試合の一コマ。武器となるSASSEN刀にはセンサーが内蔵されており、打撃が当たると専用アプリがカウントする仕組み(※)
こちらは本村さんがDIYした練習用のSASSEN刀。練習用なのでデジタル機器は搭載されていないシンプルな作り
聞けば、本村さんの実家は北九州にある空手道場で、自身も師範代を任されている武術家とのこと。
本村さん
そうなんです。今でこそSASSENは老若男女が気軽に楽しめるスポーツに改良していますが、元々は道場内でやっていた「対武器」の稽古でした。
対武器! これほど私好みのお話はないので、今回は本村さんにSASSENの魅力や楽しみ方について教えていただきました。そして、何ならちょっとこの人と戦ってみたいと思って軽くビビりながらオファーしてみたところ……。
本村さん
もちろん大丈夫ですよ! 場所やスケジュールの都合が合わなければ、コウカさんのお近くに住む公認インストラクターを紹介します。
なんと!! ありがとうございます。空手経験者ではあるけれどSASSENは初心者の私がどれくらい相手になるのか、とても楽しみです。まぐれで勝っちゃった場合、無事に帰してもらえるかちょっと心配ですが。
本村 隆馬(もとむら りゅうま)
株式会社SATSUZEN 代表取締役/一般社団法人 全日本サッセン協会 代表。甲南大学マネジメント創造学部卒業。新卒でイベント展示会出展営業を経験後、医療事務へ転職。幼少期から続けている実家の空手道場で師範代となり子供から大人まで指導しながら医療事務空手家として活動。その後「生涯スポーツSASSEN(サッセン)」を共同創設し独立。株式会社SATSUZEN代表取締役に就任。現在は実家の空手道場を運営しながらSASSENの発展に力を入れている。0からスポーツを立ち上げる最中である経験を活かし『スポーツデザイナー』として他のマイナースポーツとも連携し多方面で活動している。
コウカ
まずはSASSENというスポーツについておさらいしておきたいのですが、圧力センサーを内蔵したソフト刀で有効打を競い、審判はBluetoothで連携させたスマホアプリに任せる、という認識で合っていますでしょうか。
本村さん
はい! 試合時間は1分間で、センサーが反応した「有効打」を「一本」とし、二本先取もしくは1分経過時点で本数の多いほうが勝利となります。攻撃できるのは1試合5打まで(空振り含む)、フィールドから出るとペナルティで相手に一本が入るというルールもあります。
〈SASSEN公式ルールの補足〉
SASSENの公式ルール。SASSEN刀を投げつけるなどの危険行為も反則としている(※)
コウカ
1試合5打までか〜。ちょっと気になるルールですが、後ほどお聞きするとして……。スマホに審判をさせるといっても、副審のような形で仕切る人もいますよね?
本村さん
試合やイベントのような公式の場ではもちろんいますよ。ですが、あくまで補助的な立ち位置です。たとえば、打数を数えたりとか。ほかには刀が地面に当たって反応したときや、反則としている箇所に当たったときのカウントを取り消すなどの判断は人間の審判の役目です。
コウカ
主審をデジタル化しようと思われたのはどうしてでしょうか?
本村さん
「ちゃんと当てたのか」や「どちらが先に当てたのか」は、人の目では判断を誤ることがあります。また、審判は人間なので主観が入ることもあるでしょう。実際に私が選手時代も、審判の裁量で納得のいかない判定を下され涙を飲んだ経験が何度かありまして。
コウカ
あ〜、かすっただけなのに「技あり」を取られたりとか、単純に手数が多いだけで「優勢勝ち」になったりとかですよね。まあ、自分が有利になるケースもあるので悪いことばかりじゃないとは思うのですが。
本村さん
そうですね。でも、フェンシングのように、いろんな判定ミスをテクノロジーで解決できないものかと思っていたんです。SASSENとして協会を立ち上げる頃には、もはや不可欠な要素ではないかと考えていました。ただ、それを実現させる知識や技術は私にはありません。
本村さん
そんな折に実家の空手道場の同窓会がありまして、そこで久しぶりに再会した元門下生がなんと、筑波大学院卒でロボカップ世界2位の技術者になっていたんです。
コウカ
それはすごいご縁! しかもロボカップ世界2位は半端じゃない!
本村さん
判定のデジタル化について相談してみると、構想を実現させること自体は普通にできるといってくれたので、「マジかっ!」となって。センサーを搭載した刀とスマホアプリの開発に協力していただくことになりました。
SASSENのセンサー刀専用アプリ(iOS版)
コウカ
心強すぎる仲間ですね。平成28年12月22日には、『スポーツ交戦装置』として特許も取得されたと聞いています。
本村さん
もちろん、すんなりと今のクオリティができあがったわけじゃないですけどね。開発当初はアプリもなかったですし、ルールも安定していないこともあって、機械に判定を任せられるレベルではありませんでした。
コウカ
昔はどの程度の精度だったのでしょうか?
本村さん
創世記は「1分二本勝負」ではなく「1分間に何回当てられるか」で戦っていたこともあるんです。刀に仕込んだ加速度センサーとPCを用いてカウントするのですが、ビュンビュン振り回すともうダメでしたね。これは判定を巡って揉め事が起きるなと(笑)。
コウカ
専門家が支えてくれるとはいえ、そう簡単にはいかなかったわけですね……。
本村さん
今のセンサーであれば手数を競う勝負でも成り立つのですが、そのルールだと振り回すだけで時間を使いきっちゃう人が出てくるんですよね(苦笑)。勝負の駆け引きや見てる側の楽しさも考慮して、1分間の二本先取で落ち着きました。
コウカ
あ! それで打数制限もあるんですね。
本村さん
あと、創世記は試合用のSASSEN刀自体も発展途上の出来だったので、あんまり乱暴に振り回してほしくないというのも正直ありました(笑)。
コウカ
ホームセンターに足繁く通ってようやく完成したものですもんね! SASSEN刀ができるまでについてもお聞かせください。
本村さん
僕も練習用の刀を作るにあたり、ホームセンターには100回以上通いました。試作した刀は100本じゃ効かないかもしれません。