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プロレスのリングにもホースが使われている! 意外と知らないホースの正しい使い方

メーカー

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高橋正

高橋正

工業用ホースの国内トップシェアを誇る、ホース業界(耐圧樹脂ホース)のトップメーカー「株式会社トヨックス」の営業企画部 部長。 国内・海外の現場で豊富なソリューション経験あり。

ホースのひみつを聞きに行く

こんにちは、工業製造業系ライターの馬場です。

ホースは正しく使わないと硬くなって割れることがある。プロレスのリングにもホースが使われている。ご存じでしたか?

ホースは家庭や工場で多く使われています。誰でも1度は使ったことがあるはずです。しかし、どのように作っているかを見たことがある人は多くありません。また、ホースの正しい使用方法を確認したことがある人はどれぐらいいるでしょうか? ホースは、何でもいいから買ってきて、蛇口につければOKというものではありません。用途に合わせて色々な種類があり、使用上の注意も異なります。身近な存在のホースですが、実は知らないひみつが多くあります。

ホースのひみつをメーカーに行って聞いてきました。

同じようなホースでも、素材や機能が全くことなります。

同じようなホースでも、素材や機能が全くことなります。

今回訪問したのは、富山県黒部市の株式会社トヨックスです。工業用ホースの国内トップシェアを誇る、ホース業界(耐圧樹脂ホース)のトップメーカー。ホースと自社ホース専用継手の開発、製造、販売を行っています。

株式会社トヨックス本社

株式会社トヨックス本社

株式会社トヨックスは、昭和38年(1963年)にプロパン用ホース製造を行う会社として創業しました。その後、スプリングホース、ブレードホースなどの各種工業用ホースの製造を開始します。昭和58年には現在の株式会社トヨックスに社名を変更。海外にも販売・製造拠点を持ち、国内外の工場で、トヨックスの作るホース、継手が数多く使用されています。

家庭用では、園芸用散水ホースやシャワーホースを製造しています。家の外に置いてあるガーデニング用のホースを見てみると、実はトヨックス製だったなんてことがあるかもしれません。

高橋さん。ホースのプロです。

高橋さん。ホースのプロです。

今回対応していただいたのは、営業本部営業企画部部長の高橋さんと、営業企画部販売促進DXグループのグループ長の宮崎さん。ホースの種類や使用上の注意などについての説明いただいた他、実際の生産ラインや検査室の見学なども対応いただきました。

ホースの製造方法

それでは、ホースの製造方法から見ていきます。

工場にあった工場見学用資料より

工場にあった工場見学用資料より

ホースの製造工程は上の写真のような流れになります。まず、原材料を混ぜて練り合わせ、細かい粒状(ペレット)に加工。出来上がった粒を加熱して溶かしたら、型から管状に押し出して冷却します。冷却したら、その上から補強材を巻きつける。更に上から別の粒を溶かしたものをかぶせて再び冷却。最後に型番、品名等を表面に印字し、ボビンに巻きつけたら完成です。

ちなみに、ホースと同じように、ゴムや樹脂でできた管状のものにチューブがあります。高橋さんの話によれば、一般的にはホースとチューブの定義ははっきりしていませんが、ホース業界的にはホースとチューブは別物として区別されているそうです。ホースは、補強層のような機能を持つ複数の層を持った樹脂製の管状の物。それに対してチューブは単管(単一の素材でできた管)の物を指します。この違いを知っていれば、ホースとチューブを選び間違えることはありません。

各種原材料とペレット

各種原材料とペレット

では、製造工程に戻ります。最初に原材料を混ぜ合わせる工程です。ホースの素材には、軟質塩化ビニール、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素、ナイロン、ポリアセタール、ポリオレフィンなどの各種樹脂などが用途や機能に併せ用いられています。これらの素原料と、各種添加剤、色をつけるための顔料を、加熱しながら練り合わせた後に冷却粉砕してペレットを作ります。

原材料を練り合わせる装置

原材料を練り合わせる装置

作られたペレットは、一度貯蔵タンクに保管されます。貯蔵タンクは工場建屋の2階部分に位置し、製造計画に合わせて必要なペレットが階下の加工装置へ流れていきます。

ペレット貯蔵タンク

ペレット貯蔵タンク

これ以降の工程で、いよいよホースの形になっていきます。最初に内側の層をつくる工程です。

ホースの内側の層を作る装置。近づくとちょっと熱い。

ホースの内側の層を作る装置。近づくとちょっと熱い。

写真の左側の三角形の所に2階からペレットが入り加熱されます。加熱されて柔らかくなったペレットは、管状に穴の開いた金型から押し出されていきます。写真の右端です。

押し出されたホースの冷却。このあと数メートル続いています。

押し出されたホースの冷却。このあと数メートル続いています。

押し出されたものはすぐに冷却され、ホースの形状が作られていきます。

このままでは単管でチューブの状態。強い圧や曲げに耐えられません。続いて補強層の形成工程です。

補強の糸を巻く直前。この中に入ると表面に補強層が出来る。

補強の糸を巻く直前。この中に入ると表面に補強層が出来る。

補強層の形成では、表面に糸や金属製のスプリングを巻きつけていきます。実際に糸を巻くところは事情によりお見せできないのですが、例えば出来上がった補強層はこのような形状になっています。

補強層により圧に強く折れにくくなります。

補強層により圧に強く折れにくくなります。

他にも、下の写真のように複雑な形状に編み込まれた補強層もあります。

特殊編み込み構造でねじれにくく、巻き取り、引き出しが楽になります

特殊編み込み構造でねじれにくく、巻き取り、引き出しが楽になります

補強層が入ることで、圧力や、折れ、ねじれなどの負荷に強くなります。

外側の層を作る装置。奥がペレットを加熱する装置

外側の層を作る装置。奥がペレットを加熱する装置

補強層が出来たら、その上から加熱した別の樹脂をかぶせて冷却してホースの形にします。最後に型番、品名の印字し、ボビンに巻きつけたら完成です。

基本的な製造工程はこのようになります。製品によっては、補強層の下に遮光層を設けたり、複数の補強材を入れたり、様々な工程により複数の層を重ねてホースが作られています。

ホースを正しく使っていますか?

ホースには製造工程が数多くあるように、使用用途も様々です。

用途や機能によって様々な種類のホースが展示されている

用途や機能によって様々な種類のホースが展示されている

単純に水や空気を流すだけのもの。非常に高い圧力に対応したもの。腐食性の高い薬品を流すもの。食品を流すもの。油を流すもの。粉末を流すもの。流すものや、流す条件により使うホースが異なります。

一般配管、耐油用ハイブリッドトヨロンホース

一般配管、耐油用ハイブリッドトヨロンホース

例えばこちらは、工場内の一般的な配管に使われるホース。水やエアの他、燃料油(ガソリン等)以外の油などの流体に使用できます。こういった補強用の糸が入ったホース(ブレードホース)は、圧力をかけて流す「圧送」用のホースです。内側からの圧力に強くできています。

一般配管、耐油用トヨスプリングホース

一般配管、耐油用トヨスプリングホース

逆に何かを吸引して送るような場合は、このようなスプリングが入ったホースを使います。外から押される力に強いので、吸引しても潰れにくく、形が保たれるので流れが止まりません。掃除機のホースのイメージです。

各種食品用ハイブリッドトヨフーズ-Nホース

各種食品用ハイブリッドトヨフーズ-Nホース

他にも、食品を流したいならば、食品衛生法に適合したホース。粉末を流す場合は静電気の発生が抑えられるように、帯電防止機能のあるホース。臭い移りが気になる場合は、低溶出で臭い移りの少ないホース。お湯(100℃以下)を流す場合は耐熱用ホースを選んで使用します。

高橋さんによれば、配管関係でトラブルを起こさないようにするには、使用条件や目的に合わせて適切なホースを選ぶことがなによりも大切とのこと。また、接続の際にも、蛇口の径に合わせたものを使い、専用の継手を使うことで、抜けや漏れを防止できるそうです。

ホースの仕様については、カタログを見るか、売り場の人に聞く、またはトヨックス製のものならば問い合わせれば確認できます。確認して使いましょう。

トヨックスでは装置による耐圧、耐熱等の検査他、飲料用ホースを流した液体の認定資格者による官能試験が行われていました。これは安心

トヨックスでは装置による耐圧、耐熱等の検査他、飲料用ホースを流した液体の認定資格者による官能試験が行われていました。これは安心

更に、高橋さんは家庭のホースでも起こるトラブルを教えてくれました。皆さんは庭で使っているホースをどこに置いていますか?日のよく当たるような場所に放置していたら、直射日光の当たらない場所に移動してください。

ホースを直射日光の当たる場所に置いたままにしていませんか?(画像提供 株式会社トヨックス)

ホースを直射日光の当たる場所に置いたままにしていませんか?(画像提供 株式会社トヨックス)

散水ホースに使われている素材は主に軟質塩化ビニールです。塩化ビニールは、熱可塑性樹脂と呼ばれ、常温では硬い素材です。灰色の塩ビパイプがそれにあたります(塩ビパイプは硬質塩化ビニールです)。しかし、一定の温度まで加熱すると柔らかくなります。この柔らかい状態を保つために添加剤を使用します。製造工程の紹介の最初に出てきた写真に写っていた可塑剤がそれです。

可塑剤。塩化ビニールホースを柔らかくする材料です。

可塑剤。塩化ビニールホースを柔らかくする材料です。

この添加剤は、熱や紫外線、油などに弱く、ホースから溶け出すことがあります。そうなると、ホースがベタつき、最終的には塩ビパイプのように硬くなって割れてしまいます。硬くなったホースは元にもどりません。ということで、家で使うホースは日の当たらないところや、高温になる場所を避けて保管してください。家庭ではやらないと思いますが、油を流すのもダメです。(油を流す場合は耐油用ホースを使用する)

散水用のシャワーノズルは水を抜きましょう。(画像提供 株式会社トヨックス)

散水用のシャワーノズルは水を抜きましょう。(画像提供 株式会社トヨックス)

また、散水ホースの先にハンドルで開閉するようなシャワーノズルを付けている場合は、使用が終わったら蛇口を閉じてレバーを引いて水を抜いておきます。そうしないと、ノズルやホースに常に圧がかかった状態になり、劣化が早まります。風呂場のシャワーも同じです。冬場に凍結するような寒さの時にも、ノズルが壊れる場合がでてきます。水はしっかり抜いてしまいましょう。

意外なところで使われるホース

メーカーの指定する使用条件、目的を守って使うホースですが、実は意外な使われ方をしているものもあると高橋さんはいくつか教えてくれました。

その一つがプロレスなどの格闘技のリングの周りのロープです。あれにホースが使われているとのこと。

こんな感じの透明の糸入りのホースがリングロープに使われているそうです。本来は工場設備機器配管用。

こんな感じの透明の糸入りのホースがリングロープに使われているそうです。本来は工場設備機器配管用。

リングのロープは金属製のワイヤーで出来ていて、その周りを覆っているのがホースなのだとか。高橋さんが見ると、自社のホースが使われているかどうかも分かるそうです。

プロレスだと、ロープに体を当てて弾んだりするので、ワイヤーがむき出しだと切れたり刺さったりすることもあるかもしれません。緩衝材が必要なのでしょう。また、頻繁に当たるので、緩衝材の消耗も早いのかもしれません。今度、プロレスを見る機会があったらロープに注目してみたいと思います。

そして、もう一つ意外な使われかたをしているのがこちらのホース。

ホース製造時にも使われているクーラントホース

ホース製造時にも使われているクーラントホース

冷却用の水やオイルをかけるためのクーラントホースです。この形を見て、あれだなと思った方もいると思います。手すりに絡ませて固定することのできるカメラの自在三脚に、このホースが使われているものがあるそうです。任意の方向に曲げて、曲がった状態が固定できるのは、三脚としても好都合な機能なのでしょう。

他にも、透明性のあるホースに電球を通して装飾として使うといった例もあるのだとか。プロレスのリングのロープも、自在三脚も、指定する使用条件、目的とは全く異なりますが、そもそもホースとして使っていません。メーカーとしては、ひとまずOKなようです。

正しく使って環境負荷を下げる

ホースを見た時、昔も今も見た目はそれほど変わらず、変化してきていないものと思う方もいるかもしれません。しかし、機械の性能があがれば、それを接続するホースに求められる性能も上がります。耐熱、耐圧、耐油、耐薬品等、求められる要求は様々。クリアする条件は年々上がっていきます。

トヨックス製の自社ホース向け専用継手の数々

トヨックス製の自社ホース向け専用継手の数々

トヨックスでは、新しい素材、構造を積極的に取り入れることで新しい機能を追加し、高い要求に対応できるよう日々開発を続けているそうです。漏れ、抜けがなく、エネルギーロスの少ない安心な配管が出来れば、それだけ環境負荷も低くなります。

トヨックス製のホースと専用継手の組み合わせ

トヨックス製のホースと専用継手の組み合わせ

「使用条件に合ったものを使ってください。それが一番です。」と、高橋さんは重ねて言っていました。ホースは、使用条件、目的を守って正しくお使いください。それが、環境負荷低下に一番効果的です。

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