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「土づくりはよく分からないけれど、何となく良さそうだから堆肥をたくさん使っている」という方も多いのではないでしょうか。
確かに土づくりには堆肥は重要ですが、使い方を間違えると逆効果になる場合もあります。作物が育ちやすいフカフカの土を作るには牛糞堆肥の適量散布が大切です。
この記事では牛糞堆肥の特性や、正しい使い方、使いすぎてしまったときの対処法などを紹介します。
牛糞堆肥とは、牛ふんにワラやおがくず、もみ殻などの植物性副資材を混ぜて発酵させた有機肥料です。主に土壌改良の目的で利用されますが、肥料成分が含まれているため、肥料としても効果を発揮してくれます。
通常、家庭菜園で使われる牛糞堆肥は「完熟」のものが好ましく、匂いもなくサラサラした触感が特徴です。
堆肥には、牛ふん以外にも鶏ふんや豚ぷん、馬ふんなどの「動物性の堆肥」と、バーク堆肥や腐葉土などの「植物性の堆肥」があります。種類によって含まれる栄養素や用途に違いがあるため、使用する際はよく確認してから使うようにしましょう。
牛糞堆肥は高い土壌改良効果が期待できる資材です。牛のエサは主に牧草のため、フンにも繊維質が多く含まれます。繊維質を土に混ぜ込むと、土と土の間に入り込み隙間を作ります。その結果、土壌の通気性が改善されるという仕組みです。
また、牛糞堆肥を土に混ぜ込むと微生物が元気になります。微生物は牛ふんを分解すると同時に、カチカチだった土をフカフカの状態に変える働きがあります。このフカフカの土を団粒構造の土といい、植物を元気に育てるには欠かせない存在です。
団粒構造が形成された土は、保水性や肥料持ちがアップするため、植物の根がよく伸び、効率よく栄養を吸収できる良い土となります。
ただし、団粒構造の土は牛糞堆肥を混ぜてすぐに出来上がるものではありません。数年かけて牛糞堆肥を畑に混ぜ込んでいくことで、土の団粒化が進み、植物に適した土が出来上がるのです。
牛糞堆肥は植物の成長に必要な栄養素、窒素・リン酸・カリをバランスよく含んでいるため、肥料として使うこともできます。化学肥料のような高い栄養成分や速効性はありませんが、遅効性の性質を活かして、バラや庭木などの寒肥として多く利用されています。
また、鉄や銅、亜鉛などの微量要素を含んでいるのも大きな特徴です。微量要素はもともと土の中に含まれている栄養素ですが、作物を育てる過程で作物に吸収されたり、雨で流されたりと、徐々に失われていきます。
微量要素が不足すると、葉の変色や作物の変形などの生育障害を引き起こし、収穫量の減少につながります。微量要素は化学肥料では補給できないため、牛糞堆肥を投入して補う必要があるのです。
牛糞堆肥は、ウネ全体に撒いて混ぜ込む「全面施肥」という方法で散布します。
クワを使って土の中に叩き入れるイメージですき込みましょう。土の表面だけでなく地中15cm〜20cmほどに混ぜ込むのがポイントです。
牛糞堆肥は肥料成分が含まれているため、散布しすぎると肥料過多になり、作物に悪い影響を与えます。
土壌改良を目的とする場合は、1㎡あたり2〜3kgが適量です。ここにバーク堆肥や腐葉土などの、栄養素をほとんど含まない植物性の堆肥を混ぜ込むと、肥料過多を防ぐことができます。
牛糞堆肥は肥料効果が長く続くため、生育期間が長い作物の元肥に向いています。
例えば、ナスやトマト、ピーマンなどのナス科の野菜です。実ができる頃になると牛糞堆肥の肥料効果が薄れてくるため、速効性のある鶏糞や化成肥料で追肥してください。
また、ほうれん草も牛糞堆肥が向いている野菜です。ほうれん草は、鶏ふんや化成肥料などの速効性のある肥料を与えると、味に苦味やえぐみが出てしまいます。そのため、牛糞堆肥でじっくり育てたほうが甘いほうれん草が収穫できます。
「未熟」な牛糞堆肥を撒いたあとは1ヶ月ほど空けてから植え付けを行ってください。その理由は、牛ふんは発酵する過程でアンモニアガスや亜硝酸ガスを発生させるからです。これらのガスは植物の根や葉にダメージを与え生育障害を引き起こします。発生するガスの量は牛糞堆肥の散布量に比例するため、撒きすぎには十分注意してください。
一方、「完熟」の牛糞堆肥であれば作物をすぐ植えることができます。完熟の牛糞堆肥は発酵が完全に終わっているため、アンモニアガスや発酵熱の心配がほとんどありません。ただし、完熟は見分けるのが難しく、パッケージに「発酵済み」や「完熟」と書かれていても、発酵が不完全なものが多く販売されています。
完熟かどうかは、匂いや色、手触りで判断する必要があります。鼻を近づけても土の匂いしかしない、黒褐色になっている、水分が抜けサラサラの手触りになっているなど、実際に見て触って確認するようにしましょう。
もし心配であれば、完熟の牛糞堆肥を散布してから1週間ほどあけてから植え付けると良いでしょう。
牛糞堆肥に含まれるリン酸やカリウムは、化成肥料に匹敵するほどの肥料効果があります。牛糞堆肥の入れすぎは、肥料過多の原因になるので注意してください。また、牛糞堆肥のリン酸は、土壌の微量要素を打ち消す働きがあります。そのため、堆肥を入れすぎると鉄や亜鉛などの微量要素が欠乏してしまいます。
さらに、牛糞堆肥のカリウムは、土壌の多量要素までも打ち消してしまうため、カルシウムやマグネシウムの欠乏が発生します。この打ち消し合う性質を「拮抗作用」といい、牛糞堆肥を入れすぎるほど土壌の栄養素がなくなっていくため、過剰投入には注意が必要です。
特に、じゃがいもやサツマイモは影響が出やすく、茎や葉だけが大きくなり実が成長しない「つるぼけ」の状態になりやすいです。牛糞堆肥をたくさん使った方が良い土が出来そうですが、入れすぎは栄養不足を招くので、適量を心がけましょう。
牛糞堆肥を入れすぎてしまったら、まず放置することです。2週間〜1ヶ月は植え付けを行わないようにしましょう。
少しでも早く植え付けたい場合は、珪酸塩白土の使用がおすすめです。珪酸塩白土は、アンモニアガスを吸着する効果や、吸着したガスを植物の栄養に変換してくれる働きがあり、牛糞堆肥との相性がとても良いです。
土の上に撒いてクワやスコップで混ぜ込んで使用します。肥料ではないので与えすぎの心配がなく安全な資材と言えるでしょう。
通常、牛糞堆肥と苦土石灰は同時に使うことはできません。
牛糞堆肥に含まれる窒素分は、苦土石灰の石灰分と混ざるとアンモニアガスとなって放出されます。せっかく牛糞堆肥を撒いても十分な栄養素が供給できないことになります。
牛糞堆肥を先に混ぜ込んでおき、1〜2週間あけてから苦土石灰を撒くと、無駄なく栄養を供給できるでしょう。
ここでは、牛糞堆肥の使い方について紹介しました。
牛糞堆肥は土壌改良に優れた効果を発揮し、肥料としても利用できる、使いやすい有機肥料です。使いすぎによる弊害があるため、散布量を守って正しく使うことが大切です。
野菜を美味しく安全に育てるために、このページを参考に牛糞堆肥を使ってみてはいかがでしょうか。