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甘く香りのよい「シャインマスカット」は、種なしで皮ごと食べられる栄養満点のブドウで、高い人気を誇ります。シャインマスカットは、比較的栽培しやすいブドウの種類で全国的に栽培が拡大している一方、値段がなかなか下がらない高級品種でもあります。
そんなシャインマスカット、実は家庭でも栽培が可能なのです。今回は、シャインマスカットの栽培の始め方から旬の時期の収穫方法までをご紹介します。
シャインマスカットは、日本の農研機構が1988年に交配し、2006年に品種登録されたブドウの種類です。欧米雑種の食用ブドウ・スチューベンなどを交配親にもつ種類で、国が作った最高傑作の品種ともいわれます。
樹勢が旺盛で病気にも強いため、栽培しやすく、九州から東北まで広い範囲で栽培されています。最近では、北海道で栽培に成功している例もあります。
黄緑色の大粒の果粒は、皮ごと食べられて歯ごたえが良く、日持ち、輸送性、貯蔵性にも優れています。甘く、酸味は控えめで、爽やかなマスカット香が特徴です。種なしの果粒は食べやすく、子どもから大人まで愛される人気のブドウです。
シャインマスカットは、体や脳をリフレッシュさせる糖質をはじめ、カリウム、ビタミンB1・B2、食物繊維など、さまざまな栄養素が豊富に含まれています。
また、ブドウ全般に含まれるポリフェノールは、果皮に多く含まれるため、皮ごと食べられるシャインマスカットは、抗酸化作用の高いポリフェノールを効率よく摂取するのにも適しています。
シャインマスカットの苗を選ぶときのポイントは、主に5つあります。よい苗を選ぶことが、その後の栽培のしやすさ、実のつきやすさを左右するので、慎重に選びましょう。
シャインマスカットの栽培は、苗の植え付けから始まります。植え付けに最適な時期は、春先か秋口。鉢植えでも地植えでも栽培できますが、樹勢が旺盛なので、スペースを確保しにくい家庭では鉢植えがおすすめです。
鉢植えで育てる場合は、通気性と排水性のよい鉢を選びましょう。素焼きやテラコッタ製の鉢は、通気性も排水性も高いことが利点ですが、重さがデメリットになります。
一方、プラスチック製の鉢は軽量ですが、通気性と排水性が劣ります。ただ、プラスチック鉢でも、中小容量のスリット鉢なら通気性と排水性を確保できます。
そのため、苗を生育する1~2年目は、素焼き鉢、テラコッタ製の鉢、スリット鉢を使うとよいでしょう。重いようなら、3年目以降に軽量なプラスチックの鉢に変えることをおすすめします。
シャインマスカットは、日当たりのよい場所を好みます。しかし、真夏に強い西日が当たる場所では、葉から水分が蒸散して水切れを起こしやすくなるため、鉢を日陰に移動させたり、すだれなどで陰を作ったりして、西日が直接当たらないよう工夫しましょう。
シャインマスカットの栽培に適した温度は10~20℃です。また、昼夜の気温差が大きい場所ほど、糖度の高いシャインマスカットができます。九州から東北まで幅広い地域で栽培可能なシャインマスカットですが、山梨、長野、山形などで盛んに栽培されている理由のひとつは、昼夜の寒暖差が大きいためです。
シャインマスカットの水やりは、春と秋は朝に1回、夏は朝と夕方に計2回、冬場は1週間に1~2回、たっぷりと与えます。ブドウは、葉に水がかかると病気になりやすい植物です。なるべく葉に水がかからないよう、根元をめがけて水やりしましょう。
シャインマスカットが水切れを起こすと、果実の生育不良に直結します。夏場は特に水やりが重要ですが、気温の高い日中に水をやると土の中が蒸れて逆効果です。朝晩の涼しい時間帯に水やりするよう心がけましょう。
シャインマスカットを育てる土は、排水性が良好なものを選びましょう。
鉢植えで育てる場合は、市販の草花用や果樹用の培養土をそのまま使うか、赤玉土や川砂を配合して排水性を高めます。培養土:赤玉土:川砂の割合は、5:3:2を目安に配合するとよいでしょう。
土の酸度は、pH6.5~7程度が最適です。これより酸性だと、葉脈が黄色っぽくなったり、葉が枯れてしまったりすることがあります。生育の過程でこれらの症状が出た場合は、苦土(マグネシウム)を施してpH値を調整してみてください。
シャインマスカットには、動植物由来の有機質肥料と、化学肥料と呼ばれる無機質肥料の両方を与えます。無機質肥料には、2~3種以上の要素を組み合わせた化成肥料があり、速効性のものと緩効性のものに分かれます。
地植えでは、収穫後の9月と10月下旬~11月上旬の2回、有機質肥料と速効性の化成肥料を与えます。鉢植えの場合、肥料が流れやすいため、2月、6月、9月の3回を目安に、有機質肥料と緩効性の化成肥料を与えるのが効果的です。
必要な肥料の種類や量は、生育環境や個体差に左右されます。葉の状態や果実の実り具合、生育状態を観察しながら、調整してみてください。
シャインマスカットを鉢植えで栽培する場合は、根詰まりに注意が必要です。鉢の底から根が出ていれば、根詰まりを起こしています。また、水がなかなか浸透しなかったり、逆にすぐに乾いてしまったりするのも、根詰まりのサインです。植え替えして根詰まりを解消しましょう。
植え替えに適した時期は、11月中旬~12月下旬、または2月下旬~3月頃です。
まず、鉢から根幹を引き抜き、根を軽くほぐした後、古い根を間引いて、鉢底や側面に届く根の先端を3cmほど刈り込みましょう。
次に、新しい土を入れた鉢の中央に位置するよう調整して、木の先端がまっすぐ上を向くよう手で支えながら、鉢に用土を敷き詰めます。
植え替え後は、水をたっぷり与えましょう。
シャインマスカットは、剪定して樹形を整えたり、余分な枝を整理して健康的な新梢を育てたりすることが大切です。落葉後、2月頃までの休眠期に剪定を行いましょう。
シャインマスカットの剪定の方法は、全ての枝の付け根から1~3つの芽を残して切り詰める「短梢剪定」と、残す枝以外を間引いたうえで、枝の付け根から7~9つの芽を残して切り詰める「長梢剪定」があります。
家庭菜園や鉢植えでシャインマスカットを育てるなら、初心者でも行いやすい「短梢剪定」がおすすめです。
シャインマスカットはつる性植物なので、茎や枝を誘引して仕立てます。仕立て方は、「あんどん仕立て」「オベリスク仕立て」「垣根仕立て」「棚仕立て」「ポール仕立て」など、さまざま。スペースやそれぞれのメリット・デメリットに応じて、仕立て方を検討するとよいでしょう。
シャインマスカットの枝から発芽した芽は、放っておくとどんどん成長し、風通しや日当たりが悪化します。そこで、環境を整え、栄養の分散を防ぐために、弱い枝や強すぎる枝を取り除く「芽かき」作業が必要になります。
芽かきは、新しい枝から葉が2~3枚生えてくる4~5月の間、数回に分けて行いましょう。かき取る枝の選別は悩ましいですが、鉢植えで栽培する場合は、新しい枝はさほど多く出てきません。仕立て方に応じて誘引したい枝を残し、他をかき取るとよいでしょう。
市販のシャインマスカットが種なしで食べやすいのは、「ジベレリン処理」が施されているためです。ジベレリンとは、開花や果実の肥大を促進したり、果実を種なし化したりするために使われる植物ホルモンの一種で、ジベレリン水溶液に花穂を浸して処理を行います。
種なしのシャインマスカットの収穫を目指すなら、5~6月中旬にかけてジベレリン処理を2回行います。1回目は、花房が満開を迎える2週間前、つぼみの色が薄くなり、つぼみとつぼみの間の隙間が開き始める時期です。2回目は、花房が満開になった10~15日後。これら2回のジベレリン処理で、果実の種なし化と肥大化を促します。
シャインマスカットの旬は、7~10月頃。収穫できる時期は地域によって異なりますが、9~10月に収穫のピークを迎える地域が多いようです。
家庭でシャインマスカットを栽培していて、爽やかなマスカット香がしてきたら、収穫期を迎えたサインです。試しに房の下部にある果粒を一粒食べてみましょう。下部の果粒が甘ければ、房全体が甘くなっている証拠です。
シャインマスカットの収穫は、房がなっている柄の部分をもち、付け根からハサミで切り取ります。収穫の時間帯は、果粒が肥大して裂果が起きやすい早朝を避け、午前10時以降に行います。もっとも、気温が高すぎると収穫後の日持ちが悪くなります。その日の気温によって、収穫のタイミングを見計らいましょう。
なお、旬を迎える前段階、果粒が大豆くらいの大きさまで育った頃に、混みあった果粒を間引く「摘粒」という作業があります。シャインマスカットの摘粒は、1房30~36粒を目安に、生育の悪い果粒を間引きます。これにより、肥大化した果粒が密集して裂果するのを防ぎます。
シャインマスカットは比較的病気に強いブドウですが、黒とう病にかかることがあります。
黒とう病は、5~9月、梅雨の前後に発生しやすい病気です。この病気にかかると、枝、葉、果粒に黒褐色の斑点が発生し、収穫量が激減してしまいます。
黒とう病の病原菌は、発芽時期、雨に濡れて胞子を作り、水滴を伝って感染します。このため、黒とう病の予防には、日当たりと風通しをよくすること、雨に当たらないようにすることが有効です。
感染を発見したら早期に取り除き、被害枝や巻きひげを除去しておきましょう。
シャインマスカットにつく代表的な害虫は、チャノキイロアザミウマ、クワコナカイガラムシ、ブドウトラカミキリ、ブドウスカシバです。
チャノキイロアザミウマは、幼虫や成虫が果粒に寄生して汁を吸うので、果粒が傷つけられたり肥大が妨げられたりします。剪定や摘粒を徹底し、風通しを確保しましょう。
クワコナカイガラムシは、幼虫や成虫が果房や葉に寄生して、汁を吸います。また、排泄物はカビの原因になります。風通しを確保するほか、幹の外側の古い樹皮をカンナで削り取る「粗皮削り」も有効な対策です。
ブドウトラカミキリは、茎の中で幼虫が越冬し、食害で新梢を枯らしてしまいます。対策としては、春先に樹液が漏れている枝を針金でつつき、中の幼虫を駆除することができます。
家庭での小規模なシャインマスカット栽培であれば、地道な対策で害虫を防ぐことも可能です。しかし、対策が奏功しない場合は、それぞれの害虫に対する防除剤を利用するのも一案です。
青果店やスーパーマーケットでは、値段が高く、なかなか手が出せないシャインマスカット。実は、比較的栽培しやすく、あまり園芸の経験がない方でも、育て方を調べながら慎重に育てれば、実をつけることは可能です。
育てる手間はありますし、おいしく育てることは簡単ではありませんが、自分で育てて食べる楽しみは何ものにも代えがたいものです。このページを参考に、シャインマスカット栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?