肉肉肉の高タンパク超絶ガッツリ系チャーハンを喰らえ! ――ぼくのかんがえた最強の定食
リンクをコピーしました
目次/ INDEX
木の枝に擬態している昆虫・ナナフシ。ユニークな姿に魅了され、「飼ってみたい!」と思うお子さんもいるのではないでしょうか。ナナフシの飼い方は比較的容易で、簡単な飼育設備で育てられます。多くのナナフシはメスだけでも生殖することができるので、数を増やすのもさほど難しくないでしょう。
ただし、飼育するにあたっての注意点はもちろんあります。誤った飼い方をすると一夜にして死んでしまう恐れもあり、飼育前に知識を備えておくことが大切です。この記事でナナフシの飼い方を予習し、できるだけ元気に過ごさせてあげましょう。
ナナフシはナナフシ目に分類される昆虫の総称です。木の枝に擬態していることから、英語では「Stick insect」や「Walking stick」と呼びます。漢字では「七節」と書きますが、節が7つあるわけではありません。また、学名は「Phasmatodea(ナナフシ目)」で、「Phasma」には「異様なもの」という意見があります。
細長い体に細長い脚をしており、英名のように「歩く木の枝」を体現した形をしています。代表的な種「ナナフシモドキ(ナナフシ)」の大きさは、成虫で10cm近くになることもあります。幼虫は数cmから、終齢幼虫の成虫に近い大きさのものまでいます。
多くのナナフシの体色は緑、グレー、茶褐色で、木や葉などで周りの環境に溶け込んでいます。擬態に特化したためか、翅がない、あるいは退化した種類が多いです。
日本にいるナナフシの多くは本州、四国、九州、南西諸島で見られ、北海道でもナナフシの仲間は生息していますが、見つけるのはなかなか難しいです。世界規模で見ると熱帯や亜熱帯の地域で多くの種類が確認されていることから、ナナフシは温かい気候を好むと考えられます。
平地から山地まで幅広く生息しており、島嶼(とうしょ)部にも生息しています。
ナナフシは草食の昆虫で、主に木の葉を食べて暮らしており、種類によってどの葉を食べるのかの好みが分かれます。南西諸島のヤエヤマツダナナフシのように、特定の植物の葉を好む種類もいます。
ナナフシは温かくなると活動しはじめ、多くの種類が冬を迎える前に息絶えます。寿命は成虫になってから2〜4か月程度と短く、擬態しているとはいえ、鳥などの天敵に食べられる個体も多いです。
ナナフシの多くは「単為生殖」といい、メス単体でも生殖が可能です。
牧田さん
ナナフシモドキ(ナナフシ)の場合はオスが存在することすら珍しく、見つけることができればかなりラッキーでしょう。
ナナフシの卵は植物の種子のような見た目をしており、硬い殻も持ちます。卵のときから擬態が始まっているともいえるでしょう。鳥に食べられても無傷で排泄されるケースも確認されています。
卵の状態で越冬し、暖かくなると成虫と同じ形の幼虫が孵化してきます。サナギにはならない「不完全変態」であり、数度の脱皮を繰り返して数か月で成虫になります。なお、幼虫時のみ再生能力があり、脚が取れても生えてきます。
世界には2,500種類以上のナナフシがいるといわれていますが、日本で確認されているのは30種程度です。ここでは、身近で見かける代表的な種類をいくつか紹介します。
体長 | 約6~10cm |
分布 | 本州・四国・九州 |
主な餌 | カシ・コナラ・ケヤキ・エノキ・サクラなどの葉 |
活動時期 | 6月~11月 |
日本で単に「ナナフシ」といえば、このナナフシモドキか次に紹介するエダナナフシのどちらかを指すことが多いです。ナナフシ科の代表種ともいえるのに「モドキ」と付いているのは、漢字の「七節」には「木の枝がたくさんあること」を示しているためです。
北海道を除く地域で幅広く確認されており、主にカシ・コナラ・ケヤキ・エノキ・サクラなどの葉を食べています。翅がないのに各地で確認されているのは、一説によると、ナナフシモドキの卵を食べた鳥が無傷のまま排泄し、そこら中で孵化することができたからだともいわれています。なお、メス単独で生殖できるためか、オスはほとんど発見されていません。
体長 | 約6~11cm |
分布 | 本州・四国・九州 |
主な餌 | サクラ・ノイバラ・カシ・コナラなどの葉 |
活動時期 | 6月~12月 |
ナナフシモドキと同じく本州・四国・九州に幅広く分布しており、身近なナナフシといえます。食べる葉もサクラ・ノイバラ・カシ・コナラなど、ナナフシモドキとほぼ変わりません。
見た目もナナフシモドキとほぼ同じですが、触覚の長さを見れば区別が付きます。エダナナフシの触覚は非常に長く、逆にナナフシモドキは短いです。触覚は幼虫時代から長いため、孵化したての1令幼虫でも見分けられるでしょう。
体長 | 約5~7.5cm |
分布 | 本州・四国・九州 |
主な餌 | バラ・イチゴ・ノイバラ・アザミなどの葉 |
活動時期 | 6月~12月 |
トゲナナフシはナナフシ科のナナフシであり、その名の通り体にトゲを持っているのが特徴です。主にバラ・イチゴ・ノイバラ・アザミなどトゲのある植物の葉を食べていることから、食卓に合わせて体を変化させたのかもしれません。ほかにもさまざまな葉を食べ、青果店で売られている小松菜なども食べるようです。餌付けの苦労は少ない種類でしょう。
ナナフシモドキと同じく単為生殖が可能で、オスかなり珍しいです。
体長 | 約4~5cm |
分布 | 本州・四国・九州・沖縄 |
主な餌 | クヌギ・コナラ・シイ類などの葉 |
活動時期 | 6月~11月 |
ニホントビナナフシはトビナナフシ科のナナフシです。ナナフシモドキなどとは違い翅を持つナナフシの一種ですが、木から飛び降り滑空して枝に移る程度の飛行能力です。また、メスはオスより体が大きいため飛べないようです。
主な餌は、幼虫はクヌギやクリ、成虫はクヌギ・コナラ・シイ類などの葉です。本州以南から沖縄まで幅広く分布していますが、九州以北の個体は単為生殖、屋久島以南の個体は両性生殖を行うことが確認されています。
体長 | 約4~5cm |
分布 | 北海道・本州・四国 |
主な餌 | ミズナラ・カシワなどの葉 |
活動時期 | 8月~9月 |
シラキトビナナフシはトビナナフシ科の仲間です。ナナフシの多くは暖かい地域を好みますが、シラキトビナナフシは北海道でも確認されています。主な餌はブナやミズナラで、その樹状で見かけることも。前胸背板の真ん中に茶色い縦模様が入ることで、他のトビナナフシ科の種類との見分けが付きます。
体長 | 約3~5cm |
分布 | 九州・沖縄 |
主な餌 | ツユクサ・ヤマモモ・シラカシ・コナラなどの葉 |
活動時期 | 6月~11月 |
コブナナフシはコブナナフシ科のナナフシです。名称通りゴツゴツとしたコブを持ち、体は太く短いのが特徴です。一般的に、ナナフシは同じ種類でもさまざまな色の個体がいますが、コブナナフシは灰褐色やこげ茶色が多く、緑色の個体はほとんどいません。
生息地域は九州以南から沖縄方面で、中国や台湾でも確認されています。森の低木に止まっていることが多いので、目を凝らして見つけましょう。餌はツユクサ・ヤマモモなどの葉です。
ナナフシは昆虫ショップで取り扱われているほか、爬虫類専門店で餌として販売されていることがあります。価格は数百円~2,000程度と幅広く、その年の流通量によって変動します。オークションサイトに出品されていることもあるため、購入したい場合はこまめにチェックするとよいでしょう。
購入しない場合は自然にいる個体を採集します。ナナフシが活発になる夜間に、ナナフシの餌となるクヌギやコナラなどの周辺を探してみましょう。木の幹や葉に擬態して見つけにくいため、揺すってやると驚いて動いたり、落ちてきたりします。このとき、葉下に虫取り網を広げておくとうまくキャッチできることがあります。
網から外して虫かごに入れる際は、強く引っ張らないよう注意してください。ナナフシの脚はもろく、取れてしまうことも珍しくありません。また、驚いたナナフシ自身が自切するケースがあります。欠損を防ぐコツは、ナナフシ自身に歩かせるようにして虫かごに誘導することです。翅がない種類であれば飛んで逃げられる心配がありません。
念のためナナフシを見つけた場所の木の枝や葉を持ち帰ってもよいですが、持ち出しを禁止している場所もあります。事前に調べ、ルールに則って行動しましょう。
ここでは、ナナフシモドキ(ナナフシ)の飼い方を代表に解説します。ほかの種類に共通することも多いため、ぜひ参考にしてみてください。必要なもの、あったほうがよいものは次の通りです。
飼育ケースは一般的な虫かご(プラケース)や水槽で問題ありません。大切なのはサイズです。ナナフシモドキ(ナナフシ)は意外と動き回り、天井にぶら下がることもよくあるため、狭い飼育容器だとストレスが溜まります。幼虫であれば小さな容器で構いませんが、成虫を飼うならやや大きめの容器を用意しましょう。
床材は必須ではありませんが、フンや卵を確認しやすくなるため、新聞紙やキッチンペーパーを敷くのがおすすめです。もちろん、土でも構いません。
餌はカシやコナラ・ケヤキ・エノキなどの木の葉を枝ごと与えてください。幼虫を飼う場合は、柔からかく食べやすい新芽を与えましょう。
餌となる葉は園芸店やホームセンターで入手できますし、ナナフシを捕まえた場所に生えている葉を採集してもよいでしょう。ただし、園芸店などの植物は農薬を含んでいる場合があるため要注意です。また、採集が禁じられている場所で勝手に取ってきてはいけません。
枝を挿すための容器は、空き瓶でも花瓶でも構いません。園芸用の吸水スポンジを使うのもよいでしょう。枝を真っ直ぐに立てるなど、好きな状態に調整できます。
霧吹きは必須アイテムです。餌の葉には霧吹きで水をかけ、湿らせた状態を保ちましょう。乾燥するとナナフシが食べてくれないかもしれません。また、ナナフシモドキ(ナナフシ)自身への吸水や、飼育容器内の湿度調整時にも役立ちます。
ナナフシ類の飼育はさほど難しくありませんが、油断をすると死なせてしまいます。特に餌の鮮度には要注意なので、気を配ってあげてください。ここでは、引き続きナナフシ類の上手な飼い方と注意点を解説します。
餌の葉は新鮮な状態を保ってください。3〜4日ごとに新しいものに交換できるのがベストです。枯れてから交換しているようでは、ナナフシが新鮮な葉を食べれず、弱ってしまう恐れがあります。
枝付きの餌を挿す容器の隙間に卵やフンが落ちることがあります。卵の場合は取り出すのが大変なので、キッチンペーパーや脱脂綿などを詰めて隙間を閉じておきましょう。
選んだ容器にもよりますが、縦置きが可能なら縦にして高さを出しましょう。ナナフシは木の枝に登ったり、天井にぶら下がったりと縦の動きを好むためです。
高さを出すことは脱皮のしやすさにもつながります。枝や葉にぶら下がって脱皮をするとき、地面に付いてしまうとうまく脱皮できないことがあります。
ナナフシは風通しの良い木陰などにいることが多いため、飼育容器も似たような環境の場所に置くほうがベターです。また、夜は電気の灯りに注意しましょう。夜行性の昆虫にとって活動の妨げになる恐れがあります。
ナナフシモドキ(ナナフシ)はメス単体でも繁殖できるため、気付いたら床面に卵が落ちているかもしれません。孵化させたい場合は、湿らせた脱脂綿やミズゴケなどの上で管理しましょう。
自然界では春頃に孵化するのが一般的ですが、暖かい室内では冬でも孵化する可能性があります。もし孵化したら、水分や柔らかい新芽を与えてください。産まれたばかりの赤ちゃんは脚に縞模様があり、枝や葉になりきれていません。しかし、本人は立派に擬態しているかのようなポーズを取り、とてもかわいいです。
ナナフシを飼うにあたっての疑問や不安などをQ&A形式でまとめました。役立ちそうなものがあれば、ぜひ参考にしてください。
A.海外には毒を出すナナフシもいるようですが、日本のナナフシにそのような種類はいません。「ナナフシには毒がある説」の大元は、江戸時代に書かれた『千蟲譜(せんちゅうふ)』という書物だと考えられます。そこでナナフシは「大毒蟲」と呼ばれ、クモの仲間だと勘違いされていました。
A.飼育容器のメンテナンスを怠っていなければ心配ないでしょう。ただ、ナナフシのなかには身を守るために特殊なにおいを出す種類がいます。たとえば南西諸島に生息するヤエヤマツダナナフシは、驚異を感じるとミント臭のする白い液体を噴出します。
A.幼虫であれば脱皮時に再生します。しかし、成虫になると生えてこないため、扱いには注意が必要です。ナナフシが身の危険を感じるような行為は控えてください。
A.ナナフシは「ナナフシ目」というグループに属し、ゴキブリが属する「ゴキブリ目」には属さないため、別の生き物です。ゴキブリ嫌いな方はご安心ください。
ナナフシは枝に登ったり降りたりと上下運動を好むため、飼育容器はある程度の高さを確保しましょう。餌は鮮度が重要です。さまざまな種類の葉を食べますが、鮮度が落ちていると口にしない可能性があります。また、定期的に霧吹きで水をかけ、ある程度の湿度を保ってあげてください。
牧田さん
メスだけでも生殖ができるため、産んだ卵を見かけたら脱脂綿やミズゴケなどの上に置き、湿度のある環境で管理してあげましょう。春頃にはかわいい赤ちゃんが産まれてきます。
牧田さん
なお、ナナフシモドキ(ナナフシ)は幼虫の脚にのみ、自然界では「警戒」を意味する縞模様が見られます。幼虫時は擬態能力が不完全のため、縞模様で敵を牽制しているのでしょう。