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目次/ INDEX
東京都八王子市の「Green Gallery Gardens」の堀田裕大店長は、地域のガーデニングマニアに頼りにされている「マニア中のマニア」とも言える人。遠方からわざわざ訪ねてきて、アドバイスをあおぐ人も多い。
今回は、そんな堀田店長にサボテン語りをしてもらおう。砂漠などの過酷な土地で生まれたこの植物は、他の植物にはない個性的な特徴があるという。
その経験に裏打ちされた「サボテンの正しい育て方」について、大いに語ってもらった。
園芸分類 | 観葉植物 |
科・属 | サボテン科 |
原産地 | 中央アメリカ~南アメリカ |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | あり |
冬の断水の時期の開けと終わりは土の表面が乾燥した後、5~7日後に水やりをし、5~10日の成長期には表面が乾くたびに水やりをする。植え替え、剪定、株分けは、成長期に行うが、梅雨と秋雨の時期は雑菌が発生しやすいので避けよう。
ウチワサボテン(左)と柱サボテン(右)。
サボテン科の植物は、約140属もの種類があって、さらにその下の分類を合わせると、全部で2500種にも及ぶ多彩な多肉植物です。多肉植物とは、内部にたくさんの水分を蓄えられるように葉や茎を肉厚に進化させた植物の仲間のこと。他の植物にはない、個性的な姿が園芸マニアの心を揺さぶるのです。
その形態も、今回紹介する柱サボテンのように空に向かってまっすくそそり立っているもの、ウチワサボテンのように平べったく広がっているものなど、さまざまなバリエーションがあります。丸くて球の形しているサボテンも女性を中心に人気を呼んでいますが、柱サボテンやウチワサボテンも、見ていて飽きない姿をしています。種によって、2500もの形が多様にあるという点も、コレクション趣味をそそりますよね。
種の違いによってサボテンの生態は、大きな違いがありますが、共通点として第一にあげられるのが、トゲを持っているということでしょう。実はこのサボテンのトゲ、葉が退化して針状になったとする説があるんです。
植物の多くは「蒸散」といって、体温を調節したり、根から水分を吸い上げるために葉の裏などにある気孔という部分から水蒸気を出します。ところがサボテンは、砂漠など乾燥した場所で生きるため、葉を退化させて、蒸散による水分の損失を最小限に抑えるという生き方戦略をとったわけです。
従って、光合成についても、サボテンは独特なやり方をします。一般的な植物は、昼の間、日光のエネルギーを用いて、水と二酸化炭素を吸収してデンプンや糖などの有機化合物を合成しますが、サボテンは二酸化炭素の取り込みを日光のない夜に行い、その養分を昼に還元するのです。これを、「CAM型光合成」といいます。砂漠のような水分が慢性的に不足していて、かつ昼夜の温度差が大きい環境に適応するために生み出した特殊な生き方戦略なんですね。
こうした、一般的な植物とは違う、サボテンの奇妙でヘンタイ的な生き方が園芸マニアの好奇心をくすぐるのでしょう。
余談になりますが、サボテンと非常によく似た植物にユーフォルビアがあります。アメリカ大陸で生まれたサボテン科の植物と違って、ユーフォルビアは南部アフリカやマダガスカルで生まれたトウダイグサ科の多肉植物。植物の分類上では大きく異なるのに、見た目がほとんど一緒なんです。
でも、ポイントを抑えておけば、その違いを簡単に見分けることができます。そのポイントとは、アレオーレとも呼ばれる「刺座(しざ)」があるかないかということ。
刺座は、サボテンのトゲの付け根にある白い綿毛のことで、ユーフォルビアにはこれが見られないのです。つまり、刺座があるのがサボテン、ないのがユーフォルビアということになります。
なぜサボテンが進化の過程で刺座を持つようになったのか、明確な理由はわかりませんが、多肉植物の中でサボテンが寒冷な土地で生まれていることが多いことから考えると、寒さ対策のため、空気中の水分をまとめて温度調整しているのかもしれません。
見た目はサボテンにそっくりなユーフォルビア。サボテンが持っている「刺座」がないのが大きな特徴です。
こうしてサボテンとユーフォルビアを同じ棚に並べると、ほとんど見分けがつかなくなりますが、「刺座」を注意して観察すれば、一瞬で見分けられるようになります。
サボテンの置き場所は、日当たりのいいところが適しています。日の当たる乾燥した土地で生まれたサボテンは、日光を好むからです。
ただし、日本の夏の日射しはサボテンには強過ぎて、直射日光に当てると「葉焼け(茎焼け?)」を起こして変色してしまうことがあるので、夏の間だけは遮光シートをかけるなどして直射日光から守ってあげるといいでしょう。
サボテンは生命力が強く、地植えや鉢植えで屋外でも育てることができますが、雨は禁物です。雨が下に溜まることで、土の中が蒸れて根っこが傷みやすくなったり、雑菌が繁殖したりして枯れる原因になるからです。
品種によっては雨に弱いものもあるので、雨に濡れても湿気が溜まり過ぎないように対策する必要があります。風通しが悪く、蒸れて多湿になっている環境は、サボテンを育てるのに向きません。
直射日光、雨に次いで注意すべきなのは、夜間の明かりです。サボテンが夜間に二酸化炭素を取り込むCAM型光合成の多肉植物であるということはすでに述べましたね。
ですから、外の街灯の光だったり、室内の常夜灯の光などがあると、光合成の働きが鈍ってしまいます。従って、夜は光のない、暗い場所というのがサボテンにとっての適切な場所と言えます。
さて、これまでサボテンの置き場所について、教科書的な説明をしてきましたが、基本的にサボテンは生命力の強い植物ですから、驚くような例外もたくさんあります。
下の写真を見てください。これは、僕が東京都八王子市内で見つけたウチワサボテンです。
屋外に地植えされたウチワサボテンなんですが、高さ2メートル近くになるほど成長しています。八王子市の夏は、最高気温が 35度に達することもありますし、冬はマイナス5度になる日もあります。もちろん、梅雨の時期には長雨になります。
でも、このウチワサボテンは、ここまで育つまでの10数年(あるいは20年以上?)もの間、雨、直射日光、寒さという苦手な環境を乗りこえているのです。
もちろん、すべてのサボテンがこれと同じように成長するわけではありません。最初に述べた教科書的な説明を意識しながら、なおかつ強い生命力を信じて過保護に扱わない(置き場所をコロコロ変えたり、水をやり過ぎたりしない)というのがサボテンとの上手な付きあい方だと思います。
多肉植物は、生育する季節によって春秋型種、夏型種、冬型種という、3つのタイプに分類されます。
夏型は、夏に成長し、冬は休眠します。
冬型は逆に、冬に成長し、夏は休眠します。
春秋型は、春と秋に生育し、夏は生育が緩慢になり、冬は休眠します。
約140属、2500種以上もあるサボテンは生態も多様なので例外はありますが、その多くが夏型種です。
夏型種のサボテンの育て方として特徴的なのは、休眠期の冬には「断水」をするということ。水を断つというからには文字通り、冬の12月から翌3月までの4か月間は水をいっさい与えないのです。サボテンが体内に水分を蓄える能力は、それだけ高いんですね(ただし、冬の間は病害虫を防ぐために表面にスプレーをして「葉水」をしてあげてください)。
断水をすることには、花を咲きやすくするという意味があります。まったく水のない環境を経験させ、「子孫を残さないと」という危機感を与えることで、花を咲かせ、実をみのらせようとする力を引き出すわけです。
年間を通じて降雨量が少ないのが砂漠の特徴ですが、冬を越せば短い雨期がやってきます。するとサボテンは、このチャンスを逃すまいといっせいに水分を補給し、冬の間に蓄えていた花芽を咲かせるのです。
とはいえ、休眠期から成長期へ移行する4月の水やりは、急にドッと与えるのではなく、「土の表面が乾いて1週間後」という緩やかなペースが適切です。「土の表面が乾いたらあげる」のは、5月を過ぎたころから様子を見て、夏の成長期を目指して水やりのペースを増やしていきましょう。
また、成長期から休眠期へと移行する11月も、いきなり断水するのではなく、「土の表面が乾いて1週間後」というペースで水やりをしてください(前出の「サボテンの作業カレンダー」を参照してください)。
それから、水やりをする時間についても気を遣ってあげてください。
夏の成長期のサボテンを元気に育てるには、たっぷりの水を必要としますが、CAM型光合成をするサボテンは、昼の間の活動を最小限に抑えていますので、たくさんの水を与えてもあまり吸収しません。
そのため、土に含まれた水が強い日射しで温められて、サボテンの根を傷めてしまう原因になるのです。従って、夏場の水やりは、夕方に行うのが適切です。
一方、春の断水明けの時期と、秋の断水入りの時期は、夜の気温が下がりますので土が冷たくなり、根を傷める原因にもなります。そのため、春と秋の水やりは夕方ではなく、昼の間に行うのがいいでしょう。
サボテンを大きく育てたり、きれいな花を咲かせたい場合は成長期に肥料を与えてあげるとスムーズにいきます。ただし休眠期は、断水するのと同様、肥料も与える必要はありません。
肥料の種類は、そこに含まれている窒素(N)とリン酸(P)とカリ(K)の3要素によって作用の仕方が変わります。
その働きは、要素別に分けると次のようになります。
葉と幹が主役の観葉植物は、カリ(K)が多く含まれる肥料が使われますが、サボテンは花にも魅力のある植物なのでリン酸(P)も必要です。
従って、3つの要素がバランスよく配合された肥料が向いています。
ただし、サボテンの根はデリケートなので、肥料の与え過ぎは禁物。強い肥料を与えたり、量が多過ぎたりすると、吸収できずに根腐れを起こしてしまいます。
ですから、効果が短期間で切れてしまう速効性のある肥料よりも、効果が一定期間持続する緩効性のある肥料を使うといいでしょう。
例えば、「マグァンプK」という肥料は、植え替えなどのときに粒状の肥料を土に混ぜ込むタイプの肥料ですが、小粒なら約2カ月、中粒なら約1年、その効果が持続します。(効果が約2年に及ぶ大粒は、サボテン向きではありません)。
肥料には大きく分けて、植物性または動物性の有機物を原料にした「有機肥料」と、鉱物などの無機物を原料として化学的方法によって製造された「化成肥料」がありますが、サボテンには化成肥料が向いています。
有機肥料は、土の中の微生物の働きで植物が吸収できる養分を分解するので、効果が出るのにある程度の時間がかかりますが、成長期のサボテンには遅過ぎるケースがよくあるからです。
用土についても、説明しておきましょう。
サボテンは、普通の観葉植物用の用土でも育てることができますが、水やりのタイミングがむずかしくなります。というのも、サボテンは茎に水を多く含んでいるため、水持ちの良い土を使うと根腐れの原因になってしまうのです。
ですから、「多肉植物用」とか、「サボテン用」などと書かれた土を選ぶのが安心です。それらの用土は、サラサラで空気を通しやすく、水はけのよさに特化した土なので、サボテンを育てるのに最適です。
「最近、ウチのサボテンの元気がない」、「変色して枯れてきた」といった相談を受けたとき、その原因としていちばん多いのは、水やりのし過ぎ、です。
サボテンはよく「少ない水やりで育てられるので、初心者向き」と言われることがありますが、すでに説明した通り、断水明けや断水入りのときの水やりのタイミングにはコツがありますし、季節によって昼と夕方と時間帯を変えたりするなど、決して簡単ではありません。他の観葉植物と同じようなタイミングで水やりをすると、根腐れを起こしてしまうケースが多くなるのです。
枯れる原因として、水のやり過ぎに次いで多いのが「病害虫にやられる」ことです。ハダニ、アブラムシ、ナメクジなど、他の観葉植物の害にもなる虫もサボテンを好んで襲いますが、もっとも多いのはカイガラムシです。
この虫は、体長1~3ミリの動きの鈍い昆虫ですが、茎の表面の繊維を破って吸汁(きゅうじゅう)するので、放っておくとサボテンの形が変わるくらいボコボコになったり、排泄物から雑菌が付着したりして、さまざまな病気の原因になります。見つけたら、ツマヨウジのような細くて尖ったヘラで取り除きましょう。
ただ、茎が固くて分厚い皮で覆われている観葉植物と比べて、サボテンの茎の表面は柔らかくて、トゲの根元など隠れる部分も多いので、病害虫や雑菌が駆除しきれずに広がってしまうケースも少なくありません。
そこでオススメしたいのが、浸透性の高い殺虫剤をスプレーしておくこと。「ベニカXファインスプレー」は、カイガラムシだけでなく、アブラムシやハダニ、それからうどんこ病や灰色かび病の原因となる菌も駆除してくれます。効果は約1カ月ほど持続しますので、頻繁に与える必要がないのも魅力的です。
サボテンは、他の観葉植物と比べて成長のペースがゆっくりしているので変化がわかりにくいかもしれませんが、健康な状態なら確実に成長していきます。従って、同じ鉢で育て続けていると根詰まりを起こしてしまうこともありますので植え替えする必要があります。
植え替えの目的は、土を入れ替えて根を最適な環境にしてあげること。それから、鉢を大きくすることで大きく成長するのをうながすところにあります。
時期については種にもよりますが、買ってきて1年以上経ったら「サボテンが大きくなって鉢とのバランスが悪くなっていないか」、「鉢の底から根が飛び出したり、土に水がしみ込んでいかなくなっていないか」をチェックして、植え替えの準備を始めましょう。
植え替えの時期として適しているのは、サボテンの成長期にあたる春、夏、秋にかけてですが、雨に弱い植物でもあるので、6~7月の梅雨時と10月末からの秋雨の時期は避けましょう。
それでは、実演していきます。
鉢の底の穴にネットを敷いて、軽石を入れます。穴の大きさが軽石より小さければネットは必要ありませんが、サボテンは水はけのよさがポイントなので、底の穴が大きい鉢のほうが向いています。
「多肉植物用」、「サボテン用」などの水はけのいい土を軽石の上に入れます。土に混ぜ込むタイプの肥料を使う場合は、あらかじめ肥料と混ぜた土を入れていきます。
サボテンを鉢から抜いて、効果がなくなった肥料や雑草の種や雑菌を含んでいる可能性のある表面の土を取り除きます
このとき注意してほしいのは、サボテンを持つときはトゲ手袋をするということ。サボテンのトゲには、まっすぐな「直刺型」と、トゲの先端が釣り針状に曲がっている「カギ刺型」、まっすぐなトゲに抜けにくい返しがついている「逆型」がありますが、ウチワサボテンの多くは逆型のトゲを持っています。
まっすぐなトゲは手の皮膚に刺さりやすいですが、返しがあるので抜けにくいという困った特徴があるんです。
丸い棒状の「根欠き棒」で、根にからまっている土を落としていきます。
今回の植え替えの目的は、「大きな鉢に植え替えて大きく育てる」ことよりも、「土を入れ替えて、良い環境を整える」ことのほうが大きいので、太い根は大胆に落としていきます。
根には、「土の水分を吸い取る」という機能と、「太い根を張って茎(幹)を支える」というふたつの機能がありますが、後者の機能を果たす根は、今回の植え替えの目的には重要ではないため、ある程度はハサミで切ってしまいます。
その一方、細くてヒョロヒョロとしている根は、水を吸うために必要な根なので、なるべく土と一緒に落とさないように気をつけます。
最後に用土を鉢に満たして、植え替えは完了です。
このあと、すぐに水やりをしても問題はありませんが、根腐れなどで根が貧弱になってしまったサボテンを植え替える場合は、根が水分を吸う力が弱まっていますから、すぐには水やりをせず、日陰で1~2週間程度乾燥させてから水をやるようにします。
これは、沖縄の生産所で見つけたサボテンの様子。ドラセナ・コンシンネとともにマルチシートに覆われた畝で出荷を待っているところですが、「サボテンは砂漠で生育する植物である」という、こちらの固定観念を打ち砕かれた思いがしました。
今回の植え替えは、こうした生産地で育てた普通の土から、サボテンの生育環境に適した水はけの良い土に変えるという目的がありました。
サボテンは成長していくにつれ、太い株(親株)の脇から小さな株(子株)が生まれてくることがあります。
そのまま育てていくと、子株は親株と同じような大きさになるまで成長していきますが、そうならないように子株が小さなうちから剪定し、挿し木として別の鉢に植え替えることを「株分け」といいます。
親株の脇から子株が生まれます。剪定せずにいると、それぞれが成長して同じ大きさに育っていきます。
株分けは成長期に行いますが、雨を嫌うので梅雨と秋雨の時期は避けたほうが良いでしょう。
このとき注意したいのは、親株と子株を切った断面をしっかりと乾燥させるということ。断面を濡れたままにしておくと、そこから雑菌が入ったりして病気の原因になるからです。だいたい1週間は、放置せずに小まめに観察してください。
切り離した子株は、日陰の風通しのいい場所に置いて断面を乾かすといいでしょう。元気が良ければ1週間のうちに断面から根が出てくることがありますが、根が出ていなくても別の鉢に挿し木をすれば、2~3週間ほどで発根してくれます。
挿し木をした子株は、まだ根も貧弱ですから、水も肥料も与えずに管理してください。成長が安定してきたら、普通のサボテンと同じような育て方で管理をしていきましょう。
また、花が咲いて実がついたときは、種を取り出して実生(みしょう)で増やすこともできます。
生命力の強いサボテンは、手をかければかけるほど、こちらの期待に応えて元気に成長してくれるはず。是非とも挑戦してみてください。