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パキラの育て方! 枯れる原因は? おすすめ肥料|植え替え・剪定方法を解説

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堀田裕大

堀田裕大

1300坪の敷地に花苗、植木、観葉植物をはじめ、植木鉢や雑貨を世界中から取り揃えているガーデニングショップ「GreenGalleryGardens」の店長。2017年日比谷公園ガーデニング賞コンテナガーデンコンテスト農林水産大臣賞を受賞した。

東京都八王子市の植物専門店「Green Gallery Gardens」の堀田裕大店長によると、「パキラはガジュマル、ドラセナに続いて3大人気を誇る観葉植物」だそうです。

成長力が強く、太陽に向けて特徴的な大きな葉を広げるパキラの魅力。その経験に裏打ちされた「パキラの正しい育て方」について語ってもらいました。

パキラの基本情報

園芸分類 観葉植物
科・属 アオイ科・パキラ属
原産地 ブラジル
耐寒性 弱い
耐暑性 強い
耐陰性 あり

パキラの作業カレンダー

パキラの作業カレンダー

パキラは水を好む植物なので、春から夏にかけての成長期は3~5日ごと、冬場の休眠期には7~14日ごとが水やりの適切なペース。

机の上のパキラ

外に置かれたパキラ

パキラの特徴|まっすぐ幹を伸ばして葉を広げる、しなやかな成長力

 パキラは、占いや風水などで「金運アップ」のご利益があると言われているそうですね。僕はそういうことについて、あまりくわしくないので本当かどうかはわかりませんが、この植物を育てていて、「パキラから元気をもらったな」と思うことはよくあります。

 というのもパキラは成長力が強く、適切に育ててあげればすくすくとまっすぐに幹を伸ばして、アーモンドのような形の特徴的な葉っぱをしゃきっと空に向けて広げます。その様子を見ていると、「本当にしなやかな植物だな」とつくづく思うんです。

もともとはブラジル生まれですが、戦前にはその成長力を買われてパルプ材の材料として台湾などの国から輸入されたそうです。やがて、観葉植物としても親しまれるようになりました。

そんな中、観葉植物としてのパキラをイッキに有名にさせたのが「編み込みパキラ」の登場でしょう。3~5本の苗をひとまとめにして、まだ小さいうちに編み込んで育てていくのです。

日本に出まわっている編み込みパキラのほとんどが輸入品ですが、海外から日本に持ち込むとき、土を一緒に持っていることはできないので、根を切った状態で出荷されます。そんな状態で鉢に移しても、日本の環境に根を張って、元気に育ってくれるということは、パキラの生命力のたくましさを証明していると思いますね。

その一方、編み込みではない、タネから発芽された実生(みしょう)のパキラの人気にも、根強いものがあります。

今回、紹介する実生のパキラは、発芽して1年くらいで高さが50センチほどですが、そのまま成長していくと数年で2メートルほどになり、根元は直径20センチのたくましい幹を持つようになります。卓上でも床置きでも楽しめるのが、パキラの魅力のひとつでもあります。

パキラのたくましい根元

2メートルの高さに育った床置きのパキラの直径約20センチのたくましい根元。

地植えのパキラ

沖縄に買い付けに行ったときに見つけた地植えのパキラ。鉢植を置きっぱなしにしてそのまま着生したものだそうで、沖縄だとビニールハウスの屋根を超えるほどまで成長するんですね。

パキラの置き場所と水やり|日光と水はパキラの大好物

1年中温暖で、降雨量の多い熱帯地域で生まれたパキラが四季のある日本でも育つのは、環境への適応力にすぐれているから。ですから、その適応力を無視して置き場所をコロコロ変えるのはよくありません。

「観葉植物は直射日光に当てると葉焼け(変色)する」とは、よく言われることですが、パキラは日光が大好きな植物なので、最初から直射日光の当たる場所に置いて育てれば葉焼けすることはありません。

逆に、パキラが葉焼けをするケースを考えてみると、日陰や半日陰の環境に置いていたパキラを急に直射日光に当てたりするケース。環境適応力が追いつかないので、葉焼けをしてしまうのです。

日光と同様、パキラはお水も大好きです。気温が20~30度くらいの成長期は、たっぷりと水やりをしてあげてください。水やりのタイミングは、5月から10月の成長期は3~5日おき、11月から翌4月までの休眠期は7~14日おきがいいでしょう。

よくお客さんから「1度にあげる水の量は、どれくらいがいいですか?」と聞かれることがありますが、「鉢の底の穴から水がポタポタとこぼれ落ちるくらい、たっぷりあげてください」と答えています。

水やりには水分の補給だけでなく、土の中の空気の入れ換えという目的もあるんです。植物は、昼は光を浴びて光合成をしていますが、夜は呼吸をしていますので、土の中には二酸化炭素が貯まっています。水やりをすることで古い空気を押し出し、新しい空気を入れてあげるのです。

水がポタポタとしたたり落ちるくらい水やりを

水やりの分量は、鉢の底の穴から水がポタポタとしたたり落ちるくらい、たっぷりとあげましょう。

お水は土だけでなく、葉にもかけてあげてください。葉にホコリがたまったりすると、光合成効率が悪くなったり、乾燥を好む葉ダニやカイガラムシなどの病害虫がつく原因にもなるからです。

卓上で育てているパキラは、お風呂場やベランダなどで、上からシャワーをかけるようにしてあげるといいでしょう。高さのある床置きのパキラの場合は、葉水といって、スプレーで水を吹きかけてあげます。

パキラを手でおさえる

病害虫がいないかチェック

葉水をするときは、病害虫がいないかチェックをしてください、葉ダニは葉の裏側、カイガラムシは枝の股の部分がチェックポイントです。

ちなみに、編み込みパキラの場合ですが、見た通りに細い幹を束ねたものなので、まっすぐに育つパキラと比べて根の水分の吸収力が弱いため、水のやり過ぎに注意してください。土の水の量が根の吸収力をうわまわって、土がつねに湿った状態だと根腐れといって、根の先端から少しずつ腐ってしまうのです。

そうなると、編み込んだうちの1本だけが枯れてしまう、ということもよくあって、その場合はなるべく早く、枯れた幹を取り除く必要があります。

もうひとつ、置き場所について注意して欲しいのは、風通しのよさです。

パキラは高温多湿の環境を好みますが、そのような環境ではカビが発生しやすく、葉が斑点状に枯れる炭疽病の原因にもなるのです。置き場所を風通しのよいところを選ぶと、そうした病気のリスクをおさえることができます。

パキラの肥料|窒素(N)・リン酸(P)・カリ(K)の肥料3要素が大事

パキラは成長力が強いので、成長期に肥料を与えてあげると、すくすくと幹を伸ばし、葉っぱを広げてくれます。

ただし、これは植物全般に言えることですが、肥料によって成長のペースが早くなり過ぎると、ある時点で成長のサイクルがゆるくなり、枯れるのが早くなるということがあります。栄養の取り過ぎが、寿命を短くさせてしまうんですね。

また、肥料焼けといって、葉が黄色に変色したり、全体の生育が悪くなることもあります。水のやり過ぎで根腐れが起こるように、栄養過多になると根が傷んでしまうのです。ですから肥料は、幹や葉の健康状態を見ながら、商品の用法用量を確認して正しく使うことが大切です。

「パキラには、どんな種類の肥料が合いますか?」という問い合わせもよく受けます。肥料の種類は、そこに含まれている3要素によって作用の仕方が変わります。その3要素とは、窒素(N)とリン酸(P)とカリ(K)です。

その働きは、要素別に分けると次のようになります。

肥料の三要素

花や野菜の肥料は、リン酸(P)が多く含まれている肥料です。

美しい花を咲かせる植物には向いていますが、パキラのように幹と葉が主役の観葉植物の場合、花や実を楽しむ植物ではないのでリン酸が多い肥料はあまり向いていません。

ですからパキラの肥料には、窒素、リン酸、カリが同じ位の割合の肥料か、窒素かカリの割合が多い「カリ高」の肥料を選ぶとよいです。

肥料選びをするときは、3要素のうち、どの要素が多く配合されているかをよく見て、目的に合わせて選んでください。

肥料の比較

ちなみに、肥料には大きく分けて「液体肥料(液肥)」と、土の表面に敷く「置き肥」の2種類があります。

「液肥」の特徴は、「速効性」があることです。すぐに効果が出て、製品にもよりますが、その作用は1週間程度続きます。

ですから、植物の状態を見ながら、肥料の作用をコントロールしやすいというメリットがあります。

例えば、肥料のあげどきは成長期が始まる5月ごろですが、休眠期からあけて間もないときには肥料の吸収力が鈍いときがあります。そんなときは、肥料を薄めたり、量を減らしたりして、少しずつ与えてあげると目覚めの時期が早まります。

それに比べて「置き肥」は、「緩効性」のある肥料です。土の表面に置いた肥料が徐々に土に入っていって、効き目が長持ちするのです。

製品によって効果が1カ月持続するもの、3カ月持続するものなど、いろいろな種類があります。ですので、成長期が始まるころには「液肥」を中心にあげて、しっかりと成長するようになってから「置き肥」を併用していくのがいいでしょう。

パキラの用土|水はけのいい土を使えば「根腐れ」や「肥料焼け」を防げる

市販されている観葉植物の用土(培養土)の多くは、ミズゴケやスゲなどの水棲植物が蓄積してできた原料にしたピートモス等を主体にして、水はけがよくなる軽石や、保温性や耐熱性のあるパーライトなどを配合して、植物が育つのに適した状態にしています。

マニアの中には、関東ローム層から採れる「赤玉土」や「鹿沼土」などをブレンドして、オリジナルの用土を作る人もいます。これらの土は、pH値を調整して、植物にとって理想的な状態にするのです。

すでに肥料が配合されている用土には「元肥(もとひ)」とか、「肥料入り」などと表示されているものがあります。製品にもよりますが、ほとんどの肥料入り用土は効果が1カ月持ちますので、その後、追肥をしていきます。

このとき注意したいのは、根腐れを起こして弱ってしまったパキラを植え替えるとき、肥料の成分の強い「元肥」はなるべく避けるということ。根腐れによって根が養分を吸収する力が弱まっていますので、「肥料焼け」を起こしてさらに衰えてしまうのです。

パキラを育てる用土について、全般的に言えるのは水はけのいい土を使うということ。パキラは成長力、生命力ともにすぐれた植物ですが、花や野菜を栽培するための保水性、保肥性の高い土に植え替えたりすると、それが根腐れの原因になってしまうのです。

そこで僕がよくオススメしているのは、最近、プロトリーフが発売している「インドアグリーンの土」。赤玉土や鹿沼土などを粒状にしたもので水はけがよく、水分を含むと色が変わるので水やりのタイミングもわかりやすいのです。

また、有機物が入っていないのでコバエやカビなどの発生も防ぐことができるというメリットもあります。実際、この土をオススメするようになって、根腐れについての相談はぐっと減りました。

インドアグリーンの土

植え替えのときにオススメしているプロトリーフの「インドアグリーンの土」。たい肥を使わないので虫がよりつかないというメリットも。

パキラが枯れる原因|「水のやり過ぎ」「寒さ」に注意

「最近、ウチのパキラの元気がない」、「葉が枯れて落ちてきた」などの相談を受けたとき、その原因としていちばん多いのが「水のやり過ぎ」。

パキラは水が大好きな植物なので、水をたっぷりあげることはよいことなんですが、保水性の高い土で育てている場合、根の吸収が追いつかないほど多くの水をあげてしまい、根腐れを起こしてしまうのです。特に編み込みパキラの場合、根の吸収力がそもそも普通のパキラと比べて低いので、こうした現象がよく起こります。

水のやり過ぎに次いで多い原因が、「寒さ」です。もともと1年中温暖な熱帯地域の植物ですから、寒いのは苦手です。でも、置かれた場所の環境に適応することで、それを乗りこえているのです。

最初から窓際などの直射日光の当たるところに置けば、葉焼けをしないのはそうした適応力によるものだということは前述しましたね。

ただ、冬場の窓際は、夜から早朝にかけて気温が0度に近くなることがあります。すると、さすがの適応力も及ばず、葉っぱが傷んだり、幹が弱って傾いてしまうことがあります。

植物の幹は、樹皮に覆われていて、幹の内部が日光や湿気、気温などの変化の影響を最低限におさえようとしています。でも、パキラの樹皮は他の植物と比べて薄いため、寒さへの耐性がそれほど強くないのです。

葉っぱにしても、他の植物と比べて薄いので、寒さの影響をもろに受けてしまいます。ですから休眠期には、7~14日間隔の水やりのタイミングで、パキラが今の寒さに耐えられているのか、健康チェックをすることをオススメします。

少し弱っているようであれば、窓際から離して、温度差の激しくない、風通しのいい場所に置きなおしてもいいでしょう。

パキラの植え替えと剪定|植え替えで成長を促し、「葉オモテ」を意識して美しく剪定

パキラは、小さいうちから卓上でも楽しめますが、そのまま2メートルくらいの高さに育てていって床置きにもできる、息の長い観葉植物です。

そのためには、成長のサイクルを見極めながら、定期的に大きな鉢に植え替えをして、成長の幅を広めていく必要があります。

植物は成長すると、鉢の中の土に根を張っていきますが、それが限界に近づくと「根詰まり」といって、下の葉を落としてダイエットをしたり、根腐れを起こして枯れてきたりします。そのため、植え替えは定期的に行う必要があります。

「定期的に」というのがどれくらいの期間なのかは、そのパキラがどんな環境で育ったかによって異なります。1~2年過ぎても大丈夫なこともあれば3年くらいでちょうどいいケースもあったりします。基本的には「2~3年に1回」くらいを目安にしておきましょう。

1年のうちで植え替えに適切な時期は、梅雨時がベストです。休眠期を過ぎて、成長サイクルが安定している時期。パキラが大好きな高温多湿の環境があるため、別の鉢に植え替えても環境の変化にすぐに順応してくれるんです。

それでは、実演していきましょう。

鉢

鉢に敷き詰められた石

底に穴のあいた鉢に網を敷き、軽石を入れる

底に穴のあいた鉢に網を敷き、軽石を入れます。今回、用土として使うのは、先に述べたプロトリーフの「インドアグリーンの土」。軽石の上からちょうどいい高さまで鉢の中に満たしていきます。

土の表面を丁寧に取り除く

効果のなくなった置き肥や、カビや雑草の根などがある土の表面は、丁寧に取り除きます。

ただ、根が張った下のほうの土は、あまり崩さないようにしてください。というのも僕の経験上、この段階でパキラの根をほぐし過ぎると、植え替えたあとでもなかなか元気になってくれないケースが多いからです。

えっ、他の植物だったら大丈夫だったのに、なぜパキラだけ? と疑問に感じましたが、それがなぜなのかはいまだにわかっていません。とにかく、パキラの植え替え時には、根と土をほぐし過ぎないように気をつけるようになりました。

それから、植え付けのときにその植物の魅力を引き立てるために意識して欲しいポイントがあります。「どちらが表で、どちらが裏か?」という視点です。

僕は、どんな植物にも、表と裏があると思っています。表というのは、眺めたときに見映えがいい面のこと。見る人の好みや感性で決めていいと思いますが、パキラの場合、太陽に向かって葉が傾いている方向が表だと思っています。

その一方、盆栽の場合、葉よりも幹を基準に表を決めることが多いようです。幹の先端がお辞儀するようになっているほうが正面になります。それが、独特の曲線を描いている幹を楽しめる角度なんですね。

というわけで、何を植え付けの基準にするかについて、僕は「葉オモテ」あるいは「幹オモテ」を意識することをオススメしています。

さて、新しい鉢に移したパキラの茎まで土を入れ、水やりをして植え替えは終了です。

パキラの茎まで土を入れる

最後に剪定のタイミングについて、解説します。

成長期のパキラは、水やりや肥料を適切にしてあげれば、すくすくと成長していきますが、葉が広がっていく過程で、下のほうに生えている葉が影になって日を浴びずに成長が遅くなります。また、全体的に風通しも悪くなって成長しにくくなってしまうため、剪定する必要があります。

パキラは初心者でも簡単に育てられる観葉植物ですが、方法を極めていけば、楽しみは無限大に広がる観葉植物です。是非とも育ててみてください。

立派な葉のパキラ

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