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東京都八王子市の「Green Gallery Gardens」の堀田裕大店長は、地域のガーデニングマニアに頼りにされている「マニア中のマニア」とも言える人。遠方からわざわざ訪ねてきて、アドバイスをあおぐ人も多い。
今回は、そんな堀田店長に人気の観葉植物、エバーフレッシュについて解説してもらおう。根粒菌との共生、夜は葉を閉じて就眠運動をするなど、個性的な特色を持つこの植物の上手な育て方、魅力などについて、大いに語ってもらった。
園芸分類 | 観葉植物 |
科・属 | マメ科・コヨバ属 |
原産地 | ボリビア、ブラジル |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | あり |
エバーフレッシュの成長期は5~9月。元気に育ってくれる。気温が低くなると休眠期になり、成長が緩慢になってからも5~7日ごとに水やりをしよう。屋外で育てる場合、7~8月の真夏は朝と夕方の1日2回の水やりでもOK。
エバーフレッシュは、南米原産のマメ科の植物。
被子植物のなかでもキク科、ラン科に次いで3番目に大きな科といわれるマメ科の植物は、地球上のあらゆる環境に適応する性質があって、養分の少ない痩せた土地でも丈夫に育ち、成長も早いです。その秘密は、マメ科の植物の多くが、根粒菌という微生物と共生しているところにある、といわれています。
土壌のなかでマメ科の根に侵入してコブ状のかたまりになる根粒菌は、宿主である植物から光合成産物をもらうかわりに、大気中の窒素を土壌に固定する役割を果たしているのです。
窒素(N)は、リン酸(P)とカリ(K)と並んで肥料の3要素のひとつですから、マメ科の植物は根粒菌と、見事なギブ&テイクの共生関係を築いているといえるでしょう。
植え替えをするとき、根を少しほぐしただけで根粒菌が出てきます。ちなみに、レンゲやクローバーなどのマメ科の植物を刈り取り、土壌へすき込むことで作物を元気に育てる農法を「緑肥(りょくひ)」といって、古くから世界各地で行われています。ちょっとした“マメ”知識でした。
それから、マメ科の植物には「就眠運動」といって、夜になると葉を閉じて水分の蒸散を最小限に抑える性質を持つものもあります。ネムノキやオジギソウが有名ですが、エバーフレッシュも代表例のひとつです。
蒸散とは、植物が根から水を吸うため、葉の表面の気孔から水蒸気を排出して体内の水分調節をすることをいい、主に夜間に行われますが、エバーフレッシュは就眠運動によって葉を閉じることでその働きを抑えるのです。
従って、夜でもないのに葉が閉じていたり、夜になっても葉が閉じないのは黄信号で、水が足りてない証拠です。土の表面が乾いていないかをチェックして、すぐに水やりをしてあげてください。
ともあれ、こうした葉の表情の豊かさこそが、エバーフレッシュのあでやかな魅力だと思います。
エバーフレッシュの葉は、葉の軸から左右に小葉がズラリと並ぶ「羽状複葉(うじょうふくよう)」という形になっていて、その複雑な模様がとても美しいです。
でも、植え替えのため、日陰に30分ほど置いておいただけで葉が就眠運動をはじめました。この表情の豊かさがエバーフレッシュの魅力でもあります。
エバーフレッシュは、花も楽しめる植物です。春から夏にかけて、提灯のような直径2~3センチの丸い、黄色がかった白い花を咲かせるんです。花はその後、赤いサヤのなかに黒い種子の入った実をつけます。エバーフレッシュが「アカサヤネムノキ」という和名を持つのは、こうした性質に由来しています。
夜の間は葉を閉じてしまうエバーフレッシュですが、日が昇ると元気いっぱいに葉を広げて生き生きとします。そもそも日の光が大好きな植物なんです。ですから、明るいところで育ててあげるのが最適です。
これは、植物全般にいえることですが、鉢植えをした場合、置き場所をコロコロと変えるのは植物にとっていいことではありません。暑くなったり寒くなったりしたとき、人間なら快適な場所に移動することができますが、植物はそういう能力がないかわりに置かれた場所の環境に適応する能力があるからです。
夏の強い日射しを当てると、葉焼けを起こして変色してしまうことがありますが、最初から直射日光が当たる環境で育てれば、見事に抵抗力を発揮することがあります。エバーフレッシュも、そんな植物のひとつです。
ただし、エバーフレッシュの葉は、他の植物に比べて薄く、小さな葉が密集したような形になっているので水分を蓄える力にとぼしく、乾燥した環境が苦手です。室内で育てる場合、エアコンが当たる場所に置いたりすると、すぐに葉がパリパリに乾いて落ちてきたりしますので注意が必要です。
日の光が少ない環境も同様で、一列に並んだ小葉が飛び飛びに黄色くなって落ちてきます。それらを防ぐためには、こまめに葉水をして、健康状態をチェックするのが重要です。
ちなみに、葉水をするときにはハダニやカイガラムシなどの病害虫がついていないかもチェックしましょう。一般的にハダニは葉の裏側、カイガラムシは枝の股の部分がチェックポイントといわれていますが、エバーフレッシュの葉は薄いので、どちらも表面を見るだけですぐにわかります。
病害虫や病気対策には、ベニカXネクストスプレーのように殺虫殺菌効果があって、一度スプレーすれば効果がある程度続くものがオススメです。
春から夏にかけて成長期にあるエバーフレッシュを育てていると、「この植物はお水が大好きなんだな」とつくづく感じます。
基本的には土の表面が乾いたらすぐにあげるのがポイントです。
「水やりのタイミングがよくわからない」という方に、僕はよく水やりチェッカーの「サスティ」をオススメしています。ペン型の形状をしていて、鉢の土に刺しておけば、土のなかの水分量を表示してくれるんです。表示板の青色が白色に変わったら水やりのタイミングです。
ただ、成長期のエバーフレッシュの場合、表示板がまだ青色を示しているのに葉に元気がなくなってきたりすることがあります。つまり、サスティが役に立たないんです。
エバーフレッシュは水枯れをすると、昼間でも葉を閉じたり、夜でも葉が開くことがあることはすでに述べましたが、逆に、そんな風にわかりやすい「おねだりサイン」をしてくれるのがエバーフレッシュの魅力のひとつといえるかもしれません。
園芸好きには、「お手入れするのが楽しい」という方も多くいらっしゃって、「水やりや施肥など、かわいがるつもりでやり過ぎてしまうのは禁物ですよ」とアドバイスすると残念そうな顔をされたりします。でも、エバーフレッシュなら、そんな方にも自信を持ってオススメできます。
屋外で育てる場合、エバーフレッシュなら真夏の7~8月は昼と夕方の1日に2回のペースでも水やりをして構いません。
だからといって用土については、水持ちのいい土で育てるのはあまりよくありません。お水が大好きといっても、エバーフレッシュには水分の吸収力に限界があって、保湿性の高い土に植えると吸えずに水分が溜まって根を傷める原因(根腐れ)になるからです。
なんだか矛盾した表現になってしまうかもしれませんが、水はけがよく、たくさん水を与えても余計な水分を排出してくれる用土がエバーフレッシュには向いているのです。
エバーフレッシュは、成長期に肥料を施してあげると元気に育ってくれます。
冒頭の根粒菌の説明でチラリとふれましたが、肥料の3要素は窒素(N)とリン酸(P)とカリ(K)です。
その働きを、要素別に説明すると次のようになります。
エバーフレッシュは、根粒菌の働きで土のなかに窒素を固定することできますが、肥料で補給してあげるとさらに効果を発揮します。
そのため、窒素(N)とリン酸(P)とカリ(K)の3要素がバランスよく配合された肥料が最適です。
また、肥料には大きく分けて植物にゆっくりと栄養を与える緩効性肥料と、即効性のある液体肥料の2種類がありますが、後者の肥料は成分が効き過ぎて根を傷める原因になることがあるのでエバーフレッシュにはあまり向いていません。
「具体的にどんな肥料がいいですか?」と聞かれたときは、「IB化成肥料がいいですよ」と答えています。
IB化成肥料とは、イソブチルアルデヒド縮合尿素(IBDU)を配合した肥料のこと。肥料の3要素をバランスよく含んでいる化成肥料です。
粒状の肥料を置き肥しますが、肥料成分が水にとけてゆっくりと土に沁みていくので根にやさしく、粒の大きさを変えることによって効果の続く期間を調整することができます。
秋から冬にかけての休眠期のエバーフレッシュは成長が緩慢になり、肥料を与え過ぎると肥料焼けをする可能性があるので、施肥は控えましょう。
エバーフレッシュはよく、「熱帯地域で生まれた植物だから、寒さに弱い」といわれます。
確かにその通りで、冬が近づいて気温が下がってくると成長が緩慢になり、葉も落ちてきます。エバーフレッシュが元気に育つ温度は20度前後といわれていますが、最低気温が15度になると休眠期に入っていきます。そうなると、水もあまり必要としなくなるため、5~7日程度の水やりで十分です。肥料も必要ありません。
葉っぱが全部、落ちてしまったとしても大丈夫。冬を越えて、春になれば、また芽から葉っぱを元気に茂らせてくれます。エバーフレッシュと同じマメ科の落葉高木であるネムノキは、公園や街路樹として野外に植えられていますが、毎年、春を過ぎるときれいな花を咲かせていますよね。エバーフレッシュも、それと同じたくましさを持っています。
そのとき、ポイントになるのが芽を残しているかということ。エバーフレッシュの新芽は、古い枝から新しい枝が伸びる根元のところに出てきます。黒っぽい、茶色のシミのように見えるため、「枯れてきたのでは?」と驚く人もいるかもしれませんが、これは立派なエバーフレッシュの新芽なので、剪定するときは落とさずに残しておきましょう。
エバーフレッシュの新芽は、新しい枝の分かれ目のところに出てきます。枯れたような色をしていますが、枯れたわけではないので安心してください。
剪定するときは新芽を切らずに残しておきます。
エバーフレッシュは成長が早く、春から夏にかけての成長期にはどんどん葉を茂らせていくため、そのままにしておくと風通しが悪くなって病気や害虫の発生の原因となるため、剪定をする必要があります。
そのとき、新芽を残してあげると、冬の休眠期に葉っぱをすべて落としてしまったとしても、この芽から新しい葉が生まれて、みるみる元の元気なエバーフレッシュとしてよみがえるんです。
僕自身、売り場に出しておいても3年も売れず、合計3回の冬越えをしたエバーフレッシュを育てたことがありますが、巷でよくいわれるように「エバーフレッシュは寒さに弱い」とは簡単にはいいきれないなと思います。
冬の間、ずっと外置きするにしても、早朝の最低気温が0度までならしっかり耐えてくれます。でも、八王子の朝はマイナス5度になる日もありますから、そういう日は夜間だけ屋内に入れるくらいのケアは必要です。
剪定するとき、切らずにいた新芽は、こんな形で残り、翌年には新しい枝葉を出してくれます。
ここからは、実演でエバーフレッシュの「植え替え」と「曲げ仕立て」を解説していきます。
エバーフレッシュは成長の早い植物ですから、園芸店などから買ってきたものでも、1年を過ぎると鉢のなかに根がいっぱいになり、根詰まりを起こして成長のさまたげになることがあるので、「植え替え」のタイミングには注意しておいてください。
それから今回は、「曲げ仕立て」についても実演していきたいと思います。
エバーフレッシュは、普通に育てればまっすぐに幹を伸ばしていきますが、ここ最近、幹をS字に曲げたり、先端から垂らしたり、いろいろな形で幹に曲線をつける「曲げ仕立て」が流通するようになり、エバーフレッシュ人気に拍車をかけています。
ですから、エバーフレッシュを買うとき、幹の曲線に着目して「これぞ!」と惚れ込んだ枝振りのものを購入することをオススメしますが、今回は自分でも簡単にできる「曲げ仕立て」に挑戦してみることにしましょう。
まずは、「植え替え」から実演していきます。
鉢の底の穴にネットを添え、底石の軽石を敷きます。底石は、水はけをよくするためと、鉢の重さを軽くするために軽石を用います。
深めの鉢には4分の1から、3分の1くらいの軽石を詰め、その上に水はけのいい用土を入れていきます。
土の表面には効果のなくなった肥料やカビ、雑草の種などが含まれているため、しっかり取り除いてください。
根についた土も、根かき棒を使って落としていきます。
生産者は沖縄など、温暖な地域にあって、植物によっては温室で適度な温度管理をしながら育てています。ですから、保湿性のある土でもエバーフレッシュを育てることができるんですが、その土は寒い冬のある地域で育てるには向かないので、水はけのいい土と入れ替えてあげる必要があるのです。
最後に、鉢を水はけのいい土で満たしたら「植え替え」は終了です。
続いてはいよいよ、「曲げ仕立て」を実演していきます。
エバーフレッシュの「曲げ仕立て」は、生育して1~2年くらいの若い幹のうちに行います。それを過ぎてしまうと幹が固くなって、思うように曲がらなくなります。無理に曲げようとすると、ポッキリと折れてしまうのです。
まずは、幹のどの部分をどのように曲げるかを事前にイメージします。そして、曲げたい方向だけでなく、反対方向にも幹をストレッチするかのように前後にならします。これは、無理に力を入れ過ぎて、幹を傷めないようにするためのケアです。
「曲げ」を固定するには、ビニール紐を使います。
盆栽では、銅線やアルミ線などを使って複雑な形に枝を曲げたりしますが、観葉植物の場合、幹に与えるストレスはなるべく最小限に抑えたいところ。
生け花の世界では、「枝をためる」という手法がありますよね。親指で枝をなでながら、ゆるやかな曲線を枝に与える手法ですが、どちらかというとそれに近い繊細さで接するといいと思います。
ビニール紐はすべりやすいため、枝の根元の角度のついたところに引っかけて、力を入れて曲げるのがコツです。
今回は、3カ所をビニール紐で固定して、Sの字の「曲げ仕立て」をつくってみました。
この形は約1カ月で固定しますので、その後は紐をはずします。固定しないうちに紐をはずすと元の形に戻ってしまいますが、その場合は形が固定するまで、もう一度同じ作業を繰り返してください。
エバーフレッシュは、根粒菌との共生、就眠運動など、他の植物にはない個性いっぱいの観葉植物です。工夫次第で楽しみ方は無限に広がると思いますので、是非とも育ててみてください。