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「お互い様だよね」といえる関係へ カルビー・武田雅子氏が目指すダイバーシティ

スタッフ

西田政之

西田政之

株式会社カインズ CHRO、ネッツ トヨタ ニューリー北大阪株式会社社外取締役、日本CHRO協会理事、日本アンガーマネジメント協会顧問、MBTI認定ユーザー、シガーエキスパート、森林組合員、日本証券アナリスト協会検定会員。

カインズ執行役員CHRO(最高人事責任者)西田政之が経営者や各分野のエキスパートをゲストに「ビジネスの本質」や「キャリア」について探求する企画「CHRO TALK LIVE」。今回はカルビー株式会社 常務執行役員 CHRO兼人事総務本部 本部長の武田雅子氏との対談をお届けします。

早生まれの「表彰状必殺請負人」

西田:本日のゲストはカルビーの常務執行役員兼人事総務本部長の武田雅子さんです。武田さん、よろしくお願いします。

武田雅子氏(以下、武田) よろしくお願いします。

西田:はじめに、武田さんが今のポジションにつくまでどんなキャリアを歩まれたのかお話していただけますか。

武田:現在はカルビーで人事の責任者をしているのですが、2018年より今のポジションについたのでちょうど3年半が経ちました。

その前は約29年、クレディセゾンというクレジットカードの会社におりました。

そちらでは営業現場、新入社員の教育、人事担当の取締役、最後の2年間は営業のトップもやらせていただいて、すごく面白い経験、貴重な経験をたくさんしてきました。

西田:武田さんは営業時代、トップセールスでもいらしたんですよね。

武田:そんな風に言われがちなんですけど、チームで成果を出すのがうまかっただけで、私自身はどちらかと言うと落ちこぼれで……。

新人時代は月末が怖い、数字が怖い、そんな若手でした。

武田:チーム時代になってからは、皆でやったり、クライアントさんに協力をしていただいたりと知恵を絞るようになりました。

表彰式では絶対に賞状をもらってくる、「表彰状必殺請負人」になっていましたね。

西田:小さいころからチームで何かをするのが得意だったのでしょうか。

武田:私は早生まれで、しかも3月31日生まれなんです。

いつも人の後ろ、遊ぶときもオミソ、そういう存在でした。そのかわり、みんながどう遊んでいるのか、どういう人が強いのか、今回はどうしたらオミソじゃなくて入れてもらえるかをずっと観察していました。

今でも全体の仕組みとか、何かのお作法とか、そういうものに気がつくのは多少人よりも敏感かもしれないですね。

西田:観察眼が鋭い方だったんですね。

武田:そう、入れてもらえないから……。巡り巡った結果、マネジメントや人事にすごく役立ちました。

ジャガイモ1個たりとも無駄にしちゃいけない

西田:カルビーは、僕の郷里でもある十勝で研修をされていますよね。北海道の研修について詳しくお聞かせください。

武田:北海道のジャガイモの収穫の季節、今だと9月まるまると10月はじめにかけてのほぼ1ヶ月間、十勝にある大きな倉庫で行う新入社員の研修ですね。

倉庫は十勝の農家さんが収穫したジャガイモを1年間分貯蔵しているのですが、貯蔵するところのお手伝いを現地の方たちと行っています。

西田:目的や狙いはどこにあるのでしょうか。

武田:カルビーに入ってくる社員のほとんどは、新しい商品を作りたい人が大多数です。

でも、畑で実際の生産者さんがどういうことをご苦労されながら、どういう思いで作られてるのだろう、どういったものをお預かりして商品にしていくのだろう、といったスタート地点を知らないとビジネスは語れないんです。

研修はスタート地点を必ず知ってもらいたいという思いから始まっています。私が入社してからは新入社員だけではなく、中途の方も全員参加することになって、今年は80名弱の方々が参加をしました。

西田:参加したメンバーの皆さんは、行く前後でどういう変化があるのでしょうか。

武田:一番違うのは、顔つきが変わりますよ。

研修では生産者さんたちが1年間頑張って作ってきたものを、いくらで買い取るのかの​​検査もします。自分たちの仕事が彼らの収入を決めることになるので、今年参加したあるメンバーは「ジャガイモ1個たりとも工場で無駄にしちゃいけないと思った」といっていましたね。

西田:農家さんとの直接的なコミュニケーション、あるいは地元の皆さんとのふれあいはあるのでしょうか。

武田:地元の皆さんは本当にあったかくて。最近はコロナ禍でなかなか難しいですが、休みの日もお食事に呼んでもらったり、遊びに連れて行ってもらったりするメンバーもいます。

中には研修が終わってからもプライベートで生産者さんの方へ遊びに行くメンバーもいます。

西田:研修後のフィードバックではどんなことをしていらっしゃるんですか。

武田:皆にA3の紙を配って、自分を真ん中に、その周りに期間中に触れ合った人たちを​​全て書き出してくださいとお願いしています。

送り出してくれた家族、本当に現地でお世話になった職場の方たちや生産者さん、ホテルの方々。その方たちに向けて、もう少し勇気があったら伝えたかったことや、やり忘れたことなどを書いてもらっているんです。

途中からウルウルしながら書き出すメンバーがいたり、ここに書いたけどまだ帰るまで数時間あるんで、連絡入れますなんていう声もあります。すごくいい時間、豊かな時間になりますね。

カルビーの親分肌

西田:武田さんはコロナ禍でもすごいリーダーシップを発揮されていて、一言でいうと「親分肌」の印象を受けたのですが、武田さんのリーダーシップについて詳しく聞いてもいいでしょうか。

武田:人事なのであのときは、皆のことが心配で心配で……。

会社に来てないから、顔が見えないし、皆どうしているんだろうと気になったので、オンラインの中に色んな場をたくさん作ったんですね。例えば、みんなが雑談する場や緩く学ぶ場を設けるところから、オフィスのリニューアルまでしました。

最初は勇気がなかったですし怖くて、みんなに呼びかけても集まってくれるのかなと何日間かすごく悶々としていました。でも、ここで呼びかけないと、一生後悔すると思って、えいっと送信ボタンを押しました。

結果は、やってみて本当によかった。むしろ皆からパワーをもらいました。これをリーダーシップというのかはわからないですが、ドキドキしたのは未だに思い出しますね。

西田:カルビーは武田さんのリーダーシップもあって、女性活躍の土壌作りやダイバーシティが進んでいるなと感じるのですが、具体的にどんなことをしているのでしょうか。

武田:正直な話すると、私が来たときは女性活躍を結構力ずくでやることに、皆くたびれていたんですよ。

数字での管理が優先されるやり方が限界まで来てたんです。でも、男女だけでなく世代間やもちろんLGBTを含めて、色んなダイバーシティがあります。

特に女性は色んな働き方、生きていく選択肢があるので、それをお互いが理解していくことが重要です。気づきの機会をマインドセットやワークショップで与えて、現場でどんな仕事をしてもらうのかなどをうまく役割分担する感じです。

西田:一般論でいうと、ライフイベントは仕事にかなり影響を与えるファクターですよね。例えば、自分の意思を通そうとすると、周りに迷惑をかけてしまうから手を上げるのをためらってしまうとか。

こうしたメンバーについてどういう対応をして、導いていらっしゃるんですか。

武田:今は育児や介護を男性もされますし、事情があってフルに働くのは難しい人もいますよね。これはお互い様なので、そこの気持ちをどれだけお互いが持っているかが大切です。

「お世話になります」という人には、毎回「『信頼貯金』を使ってね」と伝えています。みんな今まで頑張って働いてきて、会社や色んなチームにたくさん信頼貯金を積んでるはずなんです。

信用貯金を貯めるばかりではなく、使う時期があってもいい。「お互い様だよね」といえる関係が、ダイバーシティの最初の一歩だと思います。

よりメリハリのある仕事に

西田:今後の武田さん自身の抱負やチャレンジしたいことについて教えていただけますか。

武田:任せるところは任せて、もう少し踏み込むところは踏み込んでと少しメリハリを持ってやっていきたいですね。

そういう意味では、コロナ禍もあって新しいインプットが減ってるので何かできたらいいなと思案中です。

西田:何かすてきなことになりそうですね。最後にカインズのメンバーに、武田さんからメッセージをいただけるとうれしいです。

武田:私はカインズが本当に大好きなんです。行くと絶対発見があるし、新しいことに常にチャレンジしていると感じます。

これからも色んな広がりも出てきたりすると思うので、また行ったときに、ワクワクドキドキさせてくれるような、そんなお店になってほしいです。

西田:本日はありがとうございました。

※本記事はカインズの社内ラジオ"らららジオ"の対談企画「CHRO TALK LIVE」の書き起こしです。通常は社内でしか視聴できない内容ですが、となりのカインズさんを通じて社外の皆様にもお届けいたします。

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