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日・米・英にて行動診療やパピークラスを実施する動物行動コンサルティングはっぴぃているず代表。日本でまだ数十名しかいない獣医行動診療科認定医として幅広く活躍。
スラリとした体格にホワイトベースの毛色が愛らしいワイアー・フォックス・テリアは、イギリス生まれの犬種です。ワイアー・フォックス・テリアを家に迎える際は、飼いやすさやしつけの方法など、気になることが多いですよね。今回は、ワイアー・フォックス・テリアの性格の特徴やかかりやすい病気、しつけ方のコツなどについて動物行動コンサルティングはっぴぃているず所属の獣医師、フリッツ吉川綾先生に解説していただきます。
目次
- ワイアー・フォックス・テリアの歴史やルーツは?
- ワイアー・フォックス・テリアの体高・体重・平均寿命は?
- ワイアー・フォックス・テリアの毛色の種類や特徴は?
- ワイアー・フォックス・テリアの外見や吠え声の特徴は?
- ワイアー・フォックス・テリアはどんな性格?オスとメスで性格の違いはあるの?
- ワイアー・フォックス・テリアは飼いやすい犬? 飼う上で気をつけることは?
- ワイアー・フォックス・テリアのしつけを始める時期や、心がけておくべきことは?
- ワイアー・フォックス・テリアを飼うのに向いている人は?
- ワイアー・フォックス・テリアがかかりやすい病気やアレルギーは?
- ワイアー・フォックス・テリアを散歩させる際に気をつけることは?
- ワイアー・フォックス・テリアにおすすめの遊び方は?
- ワイアー・フォックス・テリアの食事の注意点は?
- ワイアー・フォックス・テリアの日常のお手入れで気をつけることは?
ワイアー・フォックス・テリアの歴史やルーツは?
ワイアー・フォックス・テリアはイギリス原産で、非常に歴史のある犬種です。かつてイギリス貴族がキツネ狩りに狩猟犬として同行していたため、「フォックス」という名前が入ったと言われています。その後、ハウンドやテリアと混血されワイアー・フォックス・テリアが誕生しました。
ワイアー・フォックス・テリアの体高・体重・平均寿命は?
ワイアー・フォックス・テリアの体高・体重・平均寿命は以下の通りです。
ワイアー・フォックス・テリアの体高・体重
ジャパンケネルクラブによると、オスの平均的な体高は39cm、体重は約8kgです。メスは体高、体重が平均よりやや下回ります。
ワイアー・フォックス・テリアの平均寿命
中型犬としては標準的な13歳前後です。
ワイアー・フォックス・テリアの毛色の種類や特徴は?
特徴的な外見を持つワイアー・フォックス・テリア。主な毛色や毛質は以下の通りです。
ワイアー・フォックス・テリアの毛色の種類
ホワイトベースが多く、顔や耳などにブラック、タン(薄茶色)、ブラック&タンのミックスが入ることが多いです。
被毛はダブルコートが主流
上毛であるオーバーコートは硬く抜けづらいです。しかし、絡みやすいので、こまめなブラッシングを心がけましょう。
ワイアー・フォックス・テリアの外見や吠え声の特徴は?
体の高さと長さがほぼ同じで、スラリとしたスクエア型の体型をしています。小さい体でありながらも、しっかりとした筋肉と骨量を持っています。長方形の顔につぶらな瞳と、逆三角に折れた耳が魅力です。
ワイアー・フォックス・テリアは狩猟犬にルーツがあるため、吠えやすく、吠え声は甲高くよく通るので子犬の頃から、吠えて要求を伝える習慣をつけないようにしましょう。
ワイアー・フォックス・テリアはどんな性格?オスとメスで性格の違いはあるの?
ワイアー・フォックス・テリアの主な性格の特徴は以下の通りです。
ワイアー・フォックス・テリアの性格
ワイヤー・フォックス・テリアは典型的なテリア気質を持つ活発で好奇心旺盛な犬です。テリアは穴の中に住む小動物を自ら捕らえる狩猟の役割を担ってきたため、獲物を追いかける粘り強さ、自分で判断する賢さがあります。一方で、それは、興奮しやすく・警戒心が強く、頑固であるということも意味し、家庭犬としてのしつけに苦労する特徴をともなっています。また、ワイヤー・フォックス・テリアはテリアの中でも攻撃性が高いことが知られています。
オスとメスでの性格の違い
オスはメスよりも警戒心が強く、攻撃的なことが多いです。オス同士の争いや脱走などの問題行動を起こす場合は、去勢手術をすることで落ち着くことがあるので検討してみましょう。
ワイアー・フォックス・テリアは飼いやすい犬? 飼う上で気をつけることは?
ワイアー・フォックス・テリアはしつけのしやすい犬種とはいえないでしょう。頑固な性格ゆえにしつけに時間がかるだけでなく、十分に体を動かすことが必要になります。また、子どもへの攻撃性が高いことが分かっているので、お子様のいるご家庭は十分注意してください。
しかし、ワイアー・フォックス・テリアの持つ俊敏さ、粘り強さ、判断力のある賢さはとても魅力的です。一緒に生活されている方、またはどうしてもこの犬種と一緒に生活されたい場合には、ワイアー・フォックス・テリアの個性を受け入れて、うまくリードしながら根気強くしつけができることが求められます。
ワイアー・フォックス・テリアを飼う上で気を付けることとしては、以下の項目が挙げられます。
毎日運動させてあげる
散歩のみではなく、引っ張り遊びやボール遊びをして日頃からしっかり体を動かす必要があります。休日にはドッグランなどで思いっきり走らせたり、自然の多いところに一緒にハイキングに行って嗅覚的刺激をたっぷり与えながら運動させたりするのがおすすめです。
ひとり遊びで暇な時間を少なくする
活発なワイアー・フォックス・テリアにとって暇な時間はストレスです。嗅覚に優れ、獲物を捉えようとする粘り強い性質を活かして、ノーズワークを取り入れたひとり遊びがおすすめです。
毎日トレーニングをする
共通語を持つため、また飼い主との絆を強めるために、アイコンタクトや基本的な指示語(スワレ、フセ、マテ、オイデ、など)を教えておくことが重要です。トレーニングを行う際は、タイミングよく褒め、テンポよく行いましょう。
しっかりとしつけをする
しつけとは生活する上でのルールを教えることです。家族全員の中でルールが矛盾しないように、一貫した態度で接してください。
こまめにブラッシングをする
ブラッシングで不要な被毛を取り除く必要があります。毎日短時間ずつ、おやつなどを与えながらこまめにブラッシングしてあげましょう。
他の小動物を飼っている場合は気をつける
鳥やハムスターなどの小動物を飼育しているご家庭は、思わぬ事故につながる可能性があるため、ワイアー・フォックス・テリアと同じ空間で過ごすのは避けてください。
ワイアー・フォックス・テリアのしつけを始める時期や、心がけておくべきことは?
ワイアー・フォックス・テリアは警戒心が強く、過敏な性格です。家族として迎えた時から、様々な人、動物、音、物などを好意的に受け入れられるように配慮することが重要です。おやつなどを利用して、犬が喜び、受け入れられる方法で色々な経験をさせてあげてください。ワイアー・フォックス・テリアに限らず、犬はたくさん褒めたり、一緒に楽しんだりすることで家族との絆を深めながらルールを習得します。
甘噛みやトイレのしつけにも、できるだけ早期から、根気強く取り組んでいく必要があります。吠えは自己表現としての吠えを定着させてしまわないように注意しましょう。ご家庭でのしつけの他にも、パピークラスやパピーパーティーに通うのもおすすめです。
家庭での生活に慣れたら、基本的な指示語を教えましょう。ワイアー・フォックス・テリアは、自立的な賢さを持ちますので、犬が理解できないことを押し付けて教えようとしたり、逆に簡単にできることを何度も繰り返して飽きさせてしまわないよう注意が必要です。
ワイアー・フォックス・テリアを飼うのに向いている人は?
元気で好奇心旺盛なワイアー・フォックス・テリアを飼うのに向いているのは以下のようなタイプの人です。
ワイアー・フォックス・テリアをよく知り、その性質や見かけが好きな人
ワイアー・フォックス・テリアの見た目や性格の特徴をよく知った上で、愛し、家族になりたい!と強く望む人に向いています。
運動が好きな人
ワイアー・フォックス・テリアは、活発で走ることが大好きなので、長時間の散歩ができる人や一緒にアジリティーやボール遊びがしたい人、体を動かすことが好きな人が望ましいです。
冷静に対処できる人
興奮性の高いワイアー・フォックス・テリアは、激しい言動には過敏に反応してしまうので、何事にも冷静に、穏やかながら一貫した態度で対処するスキルが必要です。
根気よくしつけできる人
好奇心が旺盛で、頑固な一面があるため、日常のルールをきちんと理解することに時間がかかります。じっくりとコミュニケーションを取りながら信頼関係を築き、リーダーシップを持って正しい行動を導いてあげてください。
ワイアー・フォックス・テリアがかかりやすい病気やアレルギーは?
ワイアー・フォックス・テリアは以下のような病気にかかりやすいので、注意が必要です。
皮膚疾患
散歩時の砂や汚れやホコリが皮膚に残り炎症を起こすことが多いので、こまめなブラッシングや定期的なシャンプーで清潔さを保ちましょう。皮膚が赤い、体をよく舐める、掻く、などの症状が見られたら、かかりつけの獣医師に相談し、状態に合わせた対応を取ってください。
肩関節脱臼
高いところからのジャンプや、ダッシュの衝撃で肩関節が外れてしまうことがあります。ワイアー・フォックス・テリアにとって運動は必須ですが、普段と違った歩き方やぎこちない動きが見られる場合は、かかりつけの動物病院を受診してください。
ワイアー・フォックス・テリアを散歩させる際に気をつけることは?
ワイアー・フォックス・テリアは体を動かすことが好きなので、毎日散歩に連れて行く必要があります。1日2回、1回1時間程度を目安として、時間が許す範囲でできるだけ多く、長く連れ出してあげてください。体と頭を使うことを意識すると、1回の散歩をより充実できます。匂いとりの時間を作る、舗装路ばかりでなく土や砂利のあるルートをとる、歩く速度をゆっくりから駆け足くらいまで変更する、アイコンタクトや指示語を取り入れながらコミュニケーションを取るなどのポイントを意識して散歩させてみましょう。
ワイアー・フォックス・テリアにおすすめの遊び方は?
ワイアー・フォックス・テリアは日々の散歩に加えて、広い場所やドッグランで思いきり走らせてあげると喜びます。普段と違った環境に行くこともおすすめです。山道や砂利道に出かけることは良い刺激になるでしょう。自然の中で、あちらこちらの匂いを嗅いだり、土を掘ったりすることができる機会を作ってあげることで、日頃のストレスを解消してあげてください。
トレーニングは勉強だと思わずに、遊びの一環と考えてください。同じ練習をじっくり行うのでは飽きてしまうので、テンポ良くステップアップすることで犬も飼い主も楽しむことができます。また、「オイデ」でご家族の間を行き来させるなど、動きのあるトレーニングを取り入れることで、飼い主と共に作業する楽しみを感じるだけでなく、運動量アップにもつながるのでぜひ試してみてください。
ワイアー・フォックス・テリアの食事の注意点は?
総合栄養食のドックフードは、体の栄養バランスを考えられられているため犬の食事として最適です。年齢と犬種を見て商品の表示に合わせた量を与えましょう。手作りごはんを与える場合は栄養バランスに注意し、カロリーや分量を調整してから調理しましょう。
ワイアー・フォックス・テリアの日常のお手入れで気をつけることは?
ワイアー・フォックス・テリアの毛質を考えるとこまめなブラッシングが必要なのですが、性格的には長時間のブラッシングを我慢して受け入れるのが得意とは言えません。ブラッシングが嫌いにならないように、毎日短時間ずつ、おやつなどの喜ぶものを与えなら行うようにしてください。また、皮膚が弱い犬も多いので、シャンプーやカットはそのそれぞれの体質に合わせて頻度や方法を検討すると良いでしょう。