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キリギリスは童話と同じで短命?上手な飼い方や餌、必要なアイテムとは

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監修者:後藤 啓

監修者:後藤 啓

1959年、大阪府生まれ。鳴く虫研究社の代表。各種鳴く虫生体を販売しながら、2016年からテレビ、ラジオ、新聞、雑誌で鳴く虫文化や、鳴く虫の魅力を発信している。2022年から、YouTubeで、鳴く虫の採集方法や、飼育方法の動画を公開中。

スズムシやコオロギと同じく「秋の癒やし」の象徴といえるキリギリス。バッタと似ており、手間もかからなさそうなことから、飼ってみたい方もいるのではないでしょうか。

キリギリスは秋の季語として使われますが、実は夏の昆虫です。また、コオロギやバッタと比較すると飼育・繁殖が難しく、前知識がないとすぐに死なせてしまう恐れもあります。

このように、あまり知られていないキリギリスの生態はたくさんあります。そこでこの記事では、キリギリスの上手な飼い方や必要なアイテム、長生きさせる注意点などを詳しく解説します。

キリギリスってどんな虫?

キリギリスってどんな虫?

キリギリスとバッタは非常によく似ています。それもそのはずで、キリギリスは「バッタ目キリギリス科」に分類されるバッタの仲間です。

見た目の特徴

体長は約3~4cmと、バッタ目のなかでは大柄なほうです。触覚は体長よりも長く、体色は種類によってバリエーションが豊富。鮮やかなライトグリーンをしたキリギリスもいれば、茶と緑がナチュラルにまざったキリギリスもおり、観賞用としても人気があります。

バッタとの見分け方は主に2つ。前述した触覚の長さと耳の位置です。体長よりも触覚が長ければキリギリスの仲間、短ければバッタの仲間です。バッタの耳は胸部にありますが、キリギリスの耳は前脚の脛節にあります。キリギリスは左右の脚を広げることで、音源の位置や種類を正確に把握できます。

鳴き声

オスはメスにアピールするため、「ギー」「ギース」「チョン」などと鳴きます。これらの鳴き声が機織の動作音を思わせることから、昔は「ハタオリ」「ハタオリムシ」などと呼ばれていました。ちなみに、平安時代から江戸時代までは、コオロギのことをキリギリスと呼んでいたと考えられる資料もあります。

キリギリスが鳴きはじめるのは6月中旬~下旬頃からで、実は秋ではありません。秋の季語とされているのは、旧暦では7・8・9月が秋だとされていた頃の名残でしょう。

食生活

キリギリスは肉食寄りの雑食です。野菜も大好きですが、自分より小さな虫を捕食する肉食性の一面が強いです。

ライフサイクルと寿命

キリギリスの寿命は3~4か月です。

春頃に孵化した幼虫は脱皮を繰り返して成虫となり、夏頃から秋にかけて繁殖活動を行います。オスの鳴き声に引かれて、メスのほうから交尾を求めにいくのが特徴。無事に交尾・産卵を終えると、本格的な冬が始まる前に息絶えます。

卵のままで越冬し、3~4月頃に孵化しますが、それが産卵の翌年とは限りません。卵の状態で適切な温度変化を経験すれば孵化が可能なのであり、2年後のケースもあれば、3年、4年後のケースもあります。

以上の理由から、キリギリスを人工的に繁殖させるのは難しいといわれています。

身近にいるキリギリスの種類  

身近にいるキリギリスの種類

キリギリスの種類やその仲間は世界で5,000種以上いるとされています。日本だけでも60種以上が確認されています。そのなかで従来、キリギリスと呼ばれていた種類は、最近の研究によって「ヒガシキリギリス」と「ニシキリギリス」の2種に分けられました。

ヒガシキリギリス

主に青森県から近畿地方に分布している個体です。体色は緑色あるいは褐色をしており、どちらかといえば褐色を帯びた個体が多いです。ニシキリギリスに比べると前翅にある黒斑紋が多いのが特徴。体長はヒガシキリギリスのほうが小柄で、翅が短めなのもわかりやすい違いでしょう。

ニシキリギリス

ニシキリギリス

主に近畿地方から九州地方に生息しているキリギリスで、体色は緑色あるいは褐色ですが、ヒガシキリギリスより比較的、緑色が多いです。前翅にある黒斑紋を持たないか、あっても一列程度なのがヒガシキリギリスとの大きな違い。また、体格はヒガシキリギリスよりもやや大柄で、脚がやや長いです。

キリギリス亜科やクサキリ亜科に分類されるキリギリスの仲間

ヤブキリ

キリギリスってどんな虫?

ヤブキリという名称は、「藪の中にいるキリギリス」からきています。日本全国に生息し、体色は鮮やかな緑が多いですが、まれに黒褐色な個体もいます。キリギリスとほぼ同じ大きさで、性格は非常に獰猛。自分より大きなセミのほか、ときにはカマキリでさえ倒して捕食するほどです。

ヒメギス

ヒメギスは水辺の草地や牧場でよく見られるキリギリスの仲間です。体色は黒褐色で背面は褐色、または緑色をしており、胸部の後方には白線状の縁取りが見られます。体長はキリギリスよりも小さめです。

成虫になっても羽が短いのは「コバネヒメギス」と区別され、腹部の下面の色(黄褐色~黄緑色)でも違いを確認できます。

クビキリギス

クビキリギス

出現率1000分の1といわれるピンク個体

クビキリギスはイネ科の穂を好むキリギリスの仲間で、頭部の先端が突出しているショウリョウバッタのような外見をしています。「ジー……」「ズィーン……」と鳴くのが特徴。近縁種に「オガサワラクビキリギス」もいます。

カヤキリ

カヤキリ

日本国産(沖縄南西諸島除く)のキリギリスの仲間では最大級で、体長は7㎝近くあります。

同じくイネ科の植物を好み、草丈の高い草原などに生息します。尖った頭部が特徴ですが、クビキリギスほどではありません。体色は淡い緑色、まれに淡褐色の個体も見られます。

必勝! キリギリスの捕まえ方

必勝! キリギリスの捕まえ方

キリギリスはペットショップで数百~千円程度で購入できますが、身近にいる個体を捕まえたほうが早い場合もあるでしょう。ただ、キリギリスを目視だけで見つけようとすると苦労するかもしれません。声を頼りに草原などを探そうにも、人の気配を感じるとぴたりと鳴くのを止め、草むらに身を潜めるためです。

そこで利用したいのが、玉ねぎを使った「キリギリス釣り」です。キリギリスは玉ねぎに目がなく、玉ねぎのにおいを嗅ぐと飛びついてくることがあります。作り方は簡単。玉ねぎを輪切りにしてタコ糸などを巻きつけ、木の枝や竹などに結び付ければできあがりです。

草むらでキリギリスを見つけたら、口元に玉ねぎをそっと近づけ、食いついたらゆっくり引き上げましょう。急に引き上げると玉ねぎが切れるほか、キリギリスが驚いて逃げる恐れがあります。

ゆっくり引き上げたら、食事に夢中のキリギリスを慎重に捕まえます。キリギリスの顎の力は侮れないため、噛まれないよう注意してください。できれば軍手などをして指を守るのがおすすめです。

捕まえたら虫カゴに入れ、念のため周囲にある草も入れてあげてください。

キリギリスの餌や飼育に必要なもの

キリギリスの餌や飼育に必要なもの

キリギリスを飼うにあたって必要になるものは、次の通りです。

  • 飼育ケース
  • 床材・草

飼育ケース

一般的な昆虫用飼育ケースで問題ありません。よく選ばれているのは、キリギリスの様子を観察しやすい透明のケースです。

床材・草

キリギリスは地上性のコオロギと違い草上性で、基本的に土は不要です。プラスチックの床や壁を移動できますが、そのままだと足を痛める可能性があるため、乾いた砂やバーミキュライト、あるいは新聞紙などを敷いてあげたほうがいいでしょう。メンテナンスのしやすさを重視するなら新聞紙がおすすめです。

草上性であることから、草や葉を入れてやると安心します。キリギリスを捕まえた周辺の草を持ち帰るとよいでしょう。枯れたら新しいものに交換してあげてください。

キリギリスは肉食寄りの昆虫なので、コオロギやミルワーム、バッタといった小型の昆虫を与えるのが理想です。生き餌を確保するのが難しい場合は、ドッグフードやスズムシの餌、魚用のペレットなどで代用できます。カツオブシや煮干しを与える方もいます。

植物性の餌は、キリギリス釣りでも活躍する玉ねぎのほか、キュウリ、ナスなど野菜なら何でも食べます。

水分は野菜からでも補給できますが、念のため湿らせた脱脂綿や水苔を入れておくとよいでしょう。

水は腐る恐れがあるため、少なくとも3日に1度は交換してあげましょう。真夏の高温時は毎日交換してもよいくらいです。ミズゴケは2~3週間は持つのが一般的ですが、様子を見ながら必要に応じて交換してあげてください。

キリギリスの上手な飼い方と注意点 

キリギリスの上手な飼い方と注意点 

キリギリスが元気に過ごせる飼い方を、やってしまいがちな注意点と併せて解説します。

飼育ケースは日当たり・風通しが良い場所へ置く

キリギリスは日光浴が大好きなので、飼育ケースは日当たりの良い窓辺などに置いてあげると喜びます。ただし、あまりに直射日光が当たり続ける場所へ置くのは要注意。飼育ケース内の温度が上昇すると死んでしまう恐れがあります。適度に風が通る、明るく暖かい場所がよいでしょう。

キリギリスは昼行性

朝から夕方にかけて、昼間盛んに鳴きます。夜もたまに鳴きますが、休んでいる個体も多いので、夜はそっとしておいてあげましょう。

共食いを避ける工夫を

キリギリスは肉食性が強いため、仲間を襲って食べます。産卵を控えたメスが栄養補給のためにオスを襲うこともあります。以上から、キリギリスは1匹ずつ別々で飼育するようにします。累代飼育する場合など、やむを得ない場合は次のような工夫が必要です。

  • 特大サイズの飼育ケースで飼う
  • 十分な動物性たんぱく質(生きた昆虫)を与える

産卵したら温度・湿度管理が重要

捕まえた個体が子持ちのメスだった場合、飼育ケース内で産卵することがあります。繁殖させたい場合は飼育ケースを屋外に出し、卵を冬の外気に当てなければなりません。また、卵が乾燥しないよう適度な湿度を保つことも必要です。

うまくいけば2年目、3年目の春に孵化するでしょう。1年目に孵化する確率は数%で、4年目となるとさらに確率が落ちます。

赤ちゃんキリギリスたちを確認したら、共食いを防ぐために数匹だけを残し、残りは親キリギリスを捕まえた場所に還してやるとよいでしょう。幼虫も食欲旺盛であり、成虫と似た食生活をしますが、体が小さいため、他の昆虫の幼虫やアブラムシなども食べます。

噛まれないよう細心の注意を払う

キリギリスは肉食性のため顎の力が強く、その戦闘力は格上のカマキリをやっつけることもあるほどです。餌を与える際などに噛みつかれないよう、十分に注意してください。

もうちょっと知りたい! キリギリスの飼い方Q&A

もうちょっと知りたい! キリギリスの飼い方Q&A

ここでは、キリギリスの飼い方についてよく頂く質問をQ&Aにしてまとめました。役立ちそうであれば、ぜひ参考にしてください。

Q.繁殖させるのはそんなに難しいのでしょうか?

A.極めて難しいわけではありません。しかし、バッタやコオロギのように繁殖方法が確立しているとはいえないため、難易度はやや高めだといえます。

相性の良いオスとメスがいて、飼育ケース内に土や砂がある場合、産卵するまでの過程はそう複雑ではありません。難しいのはその後の温度・湿度管理であり、孵化までの期間が長い(多くは2年後)点です。

もちろん、累代飼育を推奨していないわけではないため、繁殖させたいのであればぜひチャレンジしてみてください。お庭やベランダなど、きちんと外気温にさらされる場所で卵を管理すると成功率が上がるといわれています。

Q.キリギリスがまったく鳴かないのですが…

A.考えられるのは次の4つです。

  • 飼っている個体がメス
  • 成虫になっていない
  • 羽化後、3~7日しか経っていない
  • キリギリスに似たバッタである

まず、鳴く昆虫の多くはオスの成虫です。オスは鳴き声でメスを誘ったり、ほかのオスと縄張り争いをしたりしています。キリギリスの仲間も基本的に同じですが、なかには例外もいます。また、キリギリスの仲間とバッタは非常に似ている種類もいることから、飼っているのがバッタである可能性もあります。

Q.オスとメスはどうやって見分ければよいでしょうか?

A.鳴く・鳴かない以外の見分け方はお尻です。メスは産卵管を持っているため、お尻が突出しています。

短命だからこそ大切に飼ってあげよう

短命だからこそ大切に飼ってあげよう

童話『アリとキリギリス(※)』では、冬を越せずに死んでしまうキリギリスですが、現実のキリギリスも越冬はできず、寿命は3~4か月です(※もっとも、原作ではキリギリスではなく、セミではありますが……)。

短い命だからこそ、キリギリスが快適に生活できる環境を整えてあげてください。ペットショップで購入した個体なら、知識が豊富なスタッフの方を頼るのもよいでしょう。

後藤啓さんアイコン

後藤さん

捕まえてきた個体であれば、ある程度一緒に過ごした後に元いた場所に帰してあげるのも、選択肢の一つです。

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