意外と簡単。ホコリとカビまみれの浴室乾燥機を自分で掃除してみた
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ナルトのような渦巻き模様の殻がトレードマークのカタツムリ。「デンデンムシ」「デデムシ」「マイマイ」といった呼び名もあり、見た目のかわいらしさから子供たちに人気です。「飼ってみたい!」というお子さんもいるのではないでしょうか。
しかし、カタツムリは都市化や気候変動などで減少傾向にあり、見つけるのが難しくなりました。カタツムリを取り扱っているペットショップもありますが、数が多いとはいえません。
カタツムリはどうすれば入手できるのか? 飼育するのに何が必要か? どれくらい生きるのか?など、この記事ではカタツムリの飼い方全般をわかりやすく解説します。カタツムリがもたらす意外な注意点もあるため、カタツムリを飼いたい方はぜひ参考にしてみてください。
カタツムリは童謡にも登場する身近な生き物ですが、その生態を知る人はあまりいません。カタツムリとはどのような生き物なのか、ナメクジとの違いはどこにあるのか、カタツムリを飼う前にその生態を知っておきましょう。
カタツムリは陸に生息する貝の仲間(軟体動物)です。サザエやタニシ、ウミウシといった巻き貝(腹足類)の一種で、陸上での生活に適応しているため、肺呼吸ができます。
見ての通り移動能力が低いため、地域ごとにさまざまな種に枝分かれして進化していった歴史があります。結果、国内だけでも約800種類ものカタツムリが確認されています。
漢字では「蝸牛」と書きます。和名としては「ミスジマイマイ」「ツクシマイマイ」など、末尾に「マイマイ」を付けることが多いです。かつては「カタツムリ」「マイマイ」のほか、「デンデンムシ」「デイロ」など、地域によってさまざまな呼び名がありましたが、そうした呼び名は現在ではほとんど失われてしまいました。
カタツムリも種類によって生態が大きく異なるものがいますが、以下は、主にミスジマイマイなどのマイマイ属のカタツムリの生態を中心に紹介します。
カタツムリの特徴といえば、何より背中の大きな殻です。一般的な種類では5~6層のうずまき模様を持ち、一部の種類を除いてほとんどが右巻きです。
殻の主成分は炭酸カルシウムであり、殻の中には心臓や肺、消化器官などの内蔵が入っています。カタツムリにとって殻は体の一部であり、成長とともに大きくなります。ヤドカリのように自由に出入りすることはできないため、はがすと弱って死んでしまいます。
野島さん
ただし、少し壊れた程度なら、傷を治すように自分で修復することができます。
一方、ナメクジに殻はありませんが、生物としてはカタツムリと同じ仲間です。共通のグループでありながらも、進化の過程で殻を不要とした種がナメクジと呼ばれるようになりました。ナメクジは殻を捨てることで身軽さを手に入れた一方、人間からは「不快害虫」と見なされやすくなり、忌み嫌われる運命をたどることになります。
カタツムリの多くは植物食で、藻類やコケ、葉や花びら、果実などを食べるほか、落ち葉や朽ち木も食べます。また、野生のキノコも好物のひとつです。
殻を維持するにはカルシウムが必要なため、コンクリートを食べることが知られています。コンクリートの原料である石灰石などの炭酸カルシウムを含んだ石や土のほか、鳥などの卵の殻、死んだカタツムリの殻を食べることもあります。
野島さん
雨水は弱酸性であり、コンクリート中の炭酸カルシウムが溶け出しやすく、カタツムリはよく雨の日のコンクリートに集まります。
カタツムリは春から梅雨にかけて産卵シーズンを迎えるのが一般的です。雌雄同体であり、2個体が交尾をして、両方とも産卵します。
一度に30~50の卵を産みますが、無事に孵化できても鳥などの外敵に食べられてしまうことも多いです。
カタツムリにとって過ごしやすいのは春先や秋頃で、夏の猛暑や冬の厳寒時は休眠します。寿命は種類によって違いますが、個体差も大きく、一概にはいえません。コハクオナジマイマイなどの1年しか生きない種もあれば、大型の種類やキセルガイなどは5年以上生きることもあります。
カタツムリは雑木林や森林公園といった自然豊かな場所のほか、市街地でも社寺林などの自然の残された場所があれば、出会える可能性が高いです。ブロック塀の近くや、木の幹や枝、葉などをよく見てみましょう。基本的には夜行性なので、明るい時間は隠れていますが、雨の日であれば日中でも元気な姿を見ることができます。
冬眠中は落ち葉の下などに隠れていて見つけにくいですが、晴れた日の日中でも、木陰などの目立たない場所を探すと休眠中のカタツムリを見つけられるかもしれません。おすすめは梅雨時または9~10月。特に穏やかな雨の降る日には、日中でも活動が活発になる傾向があります。
カタツムリは国内だけでも約800種が生息しており、実に多種多様です。ただ、多くの身近なカタツムリでは基本的な飼い方は変わらないため、発見できたものを捕まえるとよいでしょう。
用意するものは虫かごくらいで十分です。野生の生物には雑菌や寄生虫がいることもあるので、触れた後はよく手を洗いましょう。特に、沖縄や鹿児島など、アフリカマイマイという外来種が繁殖している地域は寄生虫のリスクが高いです。手袋をするなどよく気をつけましょう。
下記は、数いるカタツムリのなかでもほんの一部です。広域種もいますが、特定の地域で繁殖を遂げてきた「ご当地マイマイ」と呼ばれるカタツムリもいます。
本州に広く分布する中型のカタツムリです。殻は高く山形で、黄褐色から濃褐色をしているのが特徴。山林などの周縁部や草地でよく見られます。
北海道に分布しており、サッポロマイマイと共にご当地を代表するカタツムリです。殻はややポテッと太ったような形をしているほかは、色や模様が個体によって大きく異なるため見分けが難しいですが、その分個性豊かな姿を楽しめるという魅力があります。
関東地方に広く生息しているカタツムリ。特徴は殻に入っている褐色の筋で、3本が代表的ですが、変異が多く、個体によっては1本や2本のものもいます。殻の色にも個体差が見られ、バラエティ豊かです。
名称の通り殻の渦が左巻きのカタツムリです。本州に広く分布しており、他の右巻きの大型種と同様に主に雑木林や草原で暮らし、藻類、枯れ葉、キノコなどを食べています。右巻きのカタツムリとは殻の巻き方だけでなく、臓器の位置も左右反対なので、繁殖させるなら同じヒダリマキマイマイを同居させる必要があります。
口紅色に染まった殻口がトレードマークのカタツムリです。近畿地方や中部地方ではおなじみの品種といえ、山地や平地の樹上で見かけること多い種です。
殻の中央の黄色が特徴的なカタツムリです。発見時は九州地方の新種でしたが、現在は関西や関東でも確認されており、人間の活動に伴って移動した「国内外来種」だとみられています。
ウスカワマイマイは例外的に全国に分布するカタツムリで、畑地や公園から海岸林まで幅広い場所に住み、民家の庭にいることもあります。沖縄県にはオキナワウスカワマイマイという亜種がおり、沖縄県ではもっとも身近といえる一般的なカタツムリです。
カタツムリを捕まえられない場合は、ペットショップで入手することも可能です。残念ながら需要が多いとはいえないため取扱店は限られますが、ネットショップのほか、対面販売のお店もあります。
価格は数百円~1,000円程度と安価ですが、海外産の珍しい種は値が張るケースが多いです。ただ、カタツムリに限らず海外の生き物は条約等の規制があり、それらを正規にクリアしているお店は限定されます。
野島さん
また、購入する場合は、最後まで責任を持って飼育し、繁殖しても野外に放してはいけません。海外由来の寄生虫が広まったり、国内産のカタツムリであっても本来の生息地でないと生態系に悪影響を与える恐れがあります。実際に、アフリカマイマイという東アフリカ原産のカタツムリは世界各地で外来種として繁殖し、農作物の被害や寄生虫の伝播、在来種への悪影響などが大きな問題となっています。
カタツムリを手に入れたら、快適に生活できる環境を用意してあげましょう。必要なものは次の通りです。
短期間の飼育であれば、ペットボトルを半分に切ったものや丸い瓶などで構いません。カタツムリをよく観察できるよう、透明のケースがおすすめです。呼吸できるよう、蓋には空気穴を開けてください。目の荒いガーゼを蓋代わりにする方法もあります(輪ゴムなどで止めます)。
長期にわたって飼育する場合は、大きめの水槽や虫かごを用意することをおすすめします。カタツムリが十分に動き回れるスペースを確保でき、石やミズゴケといった装飾品も配置しやすくなります。
土はカタツムリを見つけた場所の土を採取してもよいですが、有害な細菌やそれを媒介する虫が紛れ込んでいる恐れもあります。安全を重視し、昆虫用に販売されている腐葉土をおすすめします。園芸用の土を使う場合は、殺虫剤や化学肥料が使われていない商品を選びましょう。
野島さん
また、土の代わりに湿らせたペーパータオルなどを敷く方法もおすすめです。掃除が楽になるので、衛生的に飼育しやすいという利点があります。
できるだけ自然界に近づける意味で、土の上に装飾品を足してやります。落ち葉や木の葉、枝、小石などを入れるとよいでしょう。カタツムリが登ったり降りたり、また隠れたりでき、居心地が良くなります。ミズゴケも入れると飼育ケース内の保湿ができます。
なお、カタツムリは石の下などで休むことも多く、あまりに大きな石を入れると、なにかの拍子につぶれてしまう恐れがあるので注意しましょう。
霧吹きは飼育ケース内の湿気を保つための必需品です。大量の水を直接浴びせたり、水たまりができるほど入れたりするとカタツムリが溺れる恐れがあるため止めましょう。
カタツムリはたいていの野菜や果物はよく食べます。ペットのカタツムリに与える定番のエサはニンジンやキュウリ、キャベツ、白菜、キノコ類などです。個体によって好き嫌いが異なることもあります。ペットの好みを把握するために、いろいろと与えてみるのもよいでしょう。
なお、カタツムリといえばアジサイですが、アジサイの葉は人にとっては有毒です。カタツムリにとって毒なのかどうかはわかりませんが、カタツムリも食べません。食べるわけでもないのになぜアジサイの上にいるのかは、諸説ありますが、身を隠すのに適しているのでしょう。
カタツムリを飼育するためのアイテムがそろっても、適切な飼い方をしないと死なせてしまいます。ここでは、カタツムリの上手な育て方と、それに伴う注意点を解説します。
カタツムリは乾燥が大の苦手です。飼育ケース内の水苔や落ち葉が乾く前に霧吹きで水を吹きかけましょう。
ただし、乾燥しないように密閉してしまうと、蒸れて雑菌が繁殖しやすくなり、かえって弱ってしまうこともあります。乾燥すると自分で殻に引っ込むので、こまめに霧吹きをしつつも、風通しの良い環境で飼育することが大切です。
何らかの事情で霧吹きできない日が続く場合は、ケース内に湿らせたペーパータオルや濡れた布などを置く手もあります。
野島さん
ペーパータオルなどの紙は植物性であり、炭酸カルシウムも含まれているため、カタツムリが食べることもあります。
ペーパータオルなどの紙は植物性であり、炭酸カルシウムも含まれているため、カタツムリが食べることもできます。
エサは基本的に毎日与えます。もし食べ残しがあっても、翌日は新しい新鮮なものを与えてください。
カタツムリの殻の成長のために、カルシウムを含むメニューも入れましょう。卵の殻などが最適です。予算に余裕があればカトルボーンや、カルシウムサプリメント(濃度20%以上)もおすすめです。
カタツムリに与えると命取りの危険性がある食べ物もあります。代表的なのは塩分が強い食べ物で、体内の水分を奪うため避けたほうが無難です。基本的に、刺激物は与えないほうがよいでしょう。
カタツムリはきれい好きです。飼育ケース内は清潔に保ってあげましょう。よくフンをするので、汚れが目立つのであればその都度きれいにします。その上で、2週間に1度程度は全体的に掃除をします。とはいえ、こまめに掃除しすぎるとカタツムリにとってストレスになる恐れがあるため、ほどほどで構いません。
掃除する際のポイントは次の通りです。
飼育ケース内に雑菌や寄生虫がいる可能性もあるため、掃除を台所でするのはやめましょう。もちろん、外で行う場合も、掃除後は周囲をきれいに洗い流してください。
カタツムリは真夏や真冬などには、身を守るために休眠することがあります。特に冬は、早ければ11月頃から殻の入口に膜を張り、こもって出てこなくなります。もぐって休眠できるように、水苔や落ち葉をたっぷりと入れておきましょう。
休眠したカタツムリにできるお世話は、霧吹きをかけて乾燥を防ぐことくらいです。飼育ケースを温度変化が少ない場所に移動させるのもよいでしょう(真夏であれば直射日光が当たらない場所が好ましいです)。掃除は必要ありません。
なお、カタツムリに限らず、冬眠する生き物はそのまま目覚めず死亡するケースもあります。休眠前に十分な栄養が摂れていない場合や、飼育ケース内の生活環境が適切でない場合に起こる確率が高いです。
心配な方は、飼育ケースを20℃前後に保てる室内に配置し、休眠する必要がないように管理するという方法もあります。
カタツムリには、「広東住血線虫」という寄生虫がいる可能性があります。
ネズミなどに寄生する線虫で、アフリカマイマイやスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)など陸産・淡水産の巻貝、カエルなどから多く検出されています。何らかの接触で口から体内に入ると頭痛、めまい、発熱、吐き気などが起こり、髄膜炎を引き起こす恐れがあります。琉球新報によれば、沖縄県で全国初となる死亡例が2000年に確認されました。
野島さん
野生生物の生食が絶対にNGなのはもちろん、食中毒予防の観点からも、カタツムリだけでなく、野生生物を触った後は必ず入念に手洗いしましょう。特にアフリカマイマイの繁殖する地域(沖縄や鹿児島、小笠原地方など)では、広東住血線虫に要注意です。
カタツムリを飼うにあたっての素朴な疑問をQ&A形式でお答えします。赤ちゃんカタツムリから育てる場合についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
A.複数匹を同じ飼育ケース内で飼っていると交尾し、土中に産卵することがあります。もし卵を見つけたら優しく取り除き、別の飼育ケース(タッパーなどでOKです)に移しましょう。そのままでは親カタツムリに食べられる恐れがあるためです。
避難させた卵は乾燥に気をつけて保管しましょう。室温・湿度が適当であれば約1か月で孵化します。
赤ちゃんカタツムリは成体よりもさらに乾燥に弱いため、1日2回程度は霧吹きで水をかけてあげてください。エサは野菜くずなどで構いませんが、葉物などやわらかいもののほうが食べやすいでしょう。徐々に卵の殻も与え、殻の成長を促します。赤ちゃんは飼育が難しいので、念入りに面倒を見るようにしましょう。
A.飼いやすいカタツムリの種類は?で紹介したヒダリマキマイマイなど、一部のカタツムリは殻の模様が左巻きです。お住まいの地域で見かけないのであれば、生息する場所まで足を運ぶほかありません。なお、ヒダリマキマイマイは自然度の高い場所で目撃された例が多いです。
余談ですが、左巻きのカタツムリは「右巻きのカタツムリを好んで食べるヘビ」から逃れるために進化したと考えられています。
A.死にます。カタツムリとナメクジは同類の生き物なので、「浸透圧」により体から水分が抜けて死んでしまいます。遊び半分でかけると大切な命を失うことになるので、絶対にしないでくださいね。
野島さん
カタツムリやナメクジの体内で起こる現象を簡単に解説すると、彼らの体はヒトのように皮膚が発達しておらず、水を通しやすく、放っておくとすぐに乾燥してしまうため、カタツムリやナメクジは体内から粘液を分泌することで乾燥から身を守っています。
そんな彼らの体に塩をかけると、体の外側と内側の塩分濃度に大きな差ができるため、これを同じ濃さしようとする物理的な性質(浸透圧)が生じます。結果、体の水分が出ていってしまうということになります。
カタツムリは市街地で見かける機会は減りましたが、自然の残された場所であれば十分出会えます。もし見つけられなければ、カタツムリを扱うペットショップで購入するのも一手です。
カタツムリの飼い方に特段難しい点はなく、飼育アイテムやエサも特別なものはいりません。ただし、与えてはいけないエサがあったり、寄生虫を持っていたりと、注意しなければならない点もあります。
のっそり移動する様子や、にゅるっと触角を出す仕草がかわいいと人気のカタツムリ。ペットの飼育が初めてでも飼いやすい生き物なので、この機会に挑戦してみてはいかがでしょうか。
野島さん
ちなみに、カタツムリというのはあくまで総称であり、厳密な学術的定義があるわけではありません。広く陸上の貝類を指すことが多いですが、柄眼目という種類など、陸上の貝類のうちの一部に限定する見解もあります。