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ビールの品質は昔「木製ベンチ」で検査していた?

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矢野竜広

矢野竜広

ビアエッセイスト。1980年生まれ、東京都出身。コピーライター、放送作家を経て2013年、妻の故郷である鳥取県に移住しフリーライターに。著書に『ビールの図鑑』『日本のクラフトビール図鑑』(ともに共著、マイナビ)、『山陰クラフトビール』(今井出版)などがある。山陰と世界のブルワリー探訪をライフワークにすべく活動中。

大手メーカーもクラフトビールも品質検査は厳しい

ビールは口に入るものだからこそ、数え上げたらキリがないほど膨大な検査を経て販売される。

例えば、大手メーカーの場合、原料の受け入れ時チェック、水質検査、設備のチェック、半製品(製造途中の製品のこと)の検査、パッケージング工程での検査、最終製品の分析評価、出荷時の検査を経て、さらにそれらを全て記録するというすさまじく緻密な検査体制を築いています。

比較的規模の小さいクラフトビールメーカーでも、製品として世に出す前の商品中に有害菌がいないかを、なんと遺伝子レベルで判定できる精密機械でチェックしているところがあります。

また、ビールのスペックはアルコールの濃度に始まり、炭酸ガスのボリューム、苦みのレベル(IBU)、液色の明るさ(EBC)など全て数値化され、全ての値が基準値内に収まっているかどうかチェックされます。

人がビールを飲む“官能チェック”も

これらのビールの検査は主に機械が主役となって行いますが、ビールを飲むのはあくまでも人。嗜好品という特徴もあって、人が検査する“官能チェック”も欠かせません。

大手のビール工場にはパネリストと言って、造られたビールを試飲してチェックする役職が存在します。メーカーにもよりますが、100人以上いるところも。仕事でビールを飲めるのだから羨ましい限り…と思ってしまいますが、そんなに簡単な仕事ではありません。

検査はお昼前に行われることが一般的。これは空腹時の方が感覚が鋭敏になるため。体、特に食道や胃の粘膜にとっては負担がかかりますが、全ては品質のため。

検査項目は見た目の色や香り、泡の様子、喉ごしなど多岐にわたります。正解は商品が目指すコンセプト。商品の特性にどれだけ合致しているのかが重要で、これらもまた全て数値化されます。

ただし数値だけではなく、どのような香りや味を感じたか、また気になったところなどのコメントも同時に記録。定期的に自分達の工場以外の別の工場の検査をしてまでビールの味の均一化を目指すメーカーもあり、品質に対する尋常ではないこだわりに頭が下がります。

…しかし、機械と人の両輪で緻密な検査をしている現代に比べて、中世ヨーロッパの品質検査には、牧歌的で思わず笑ってしまうものもありました。

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