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毎年6月に実施される「歯と口の健康週間」。歯と口の健康に関する正しい知識を普及するための日本歯科医師会らによる啓発活動である。昭和33年から約50年間は「歯の衛生週間」と呼ばれていたが、10年前「歯と口の健康週間」に名称が変更された。歯だけでなく、口腔内を清潔に健康に保つことが重要視されてきたからだ。
そんな中、今注目を集めているのが、「舌磨き」である。最近では感染症予防としてもメディアに取り上げられ、店頭で舌磨き用のブラシを見かけることも多くなってきた。舌を磨くことで、どのような効果がもたらされるのだろうか。舌ブラシ専門メーカーSHIKIEN株式会社で話を聞いてみた。
SHIKIEN株式会社 営業部 宮永憲二さん
「口腔ケアは、口臭や誤嚥性肺炎の予防など、口腔内の細菌が直接身体に害を及ぼすことを予防するために必要です。直接の因果関係はまだ解明されていないのですが、口腔内の細菌を飲み込んだり、歯周病により体内に入り込むことで、脳疾患や心臓疾患、糖尿病などの成人病の引き金になるとも言われています。健康を維持するために大事な口腔ケアですが、口の中でも大きな面積を有している舌を磨くことが、口腔ケアの中で最も重要だと私たちは考えます」
舌を磨くことがさまざまな病気のリスクから身を守ると話してくれたのは、SHIKIEN株式会社取締役営業部長の宮永憲二さんだ。
口腔内には、数百種類、5千億個以上の細菌が存在するといわれている。特に舌には、口臭最大の原因である「舌苔(ぜったい)」(食べかすや細菌が付着して白っぽい苔状に見える汚れ)がつきやすい。この舌苔を舌ブラシで磨き取り除くことで、口臭予防だけでなくさまざまな疾患予防につながり、コロナ禍の今、感染症予防としても効果があるのではないかと研究が進んでいる。
「舌の上には、コロナやインフルエンザなどのウイルスを体内に入れる役目をする、レセプターと呼ばれる受容体があると報告されています。まだ完全なエビデンスとしては発表されていないのですが、実は口腔内には、ウイルスを体内に入れる手助けをする細菌がいることもわかってきました。舌についた細菌を取ることで、ウイルスが口に入っても、体内への侵入を防ぐことができるのではないかと注目を集めています」
2007年に「舌ブラシW-1」を発売し、これまで13年にわたって舌磨きの大切さを啓蒙してきたSHIKIEN株式会社。新潟県に本社を構える同社は、もともと有限会社「四季園」という花卉生産を営む企業であり、舌ブラシ開発は一事業であったという。
「舌ブラシ開発のきっかけは、弊社社長・田中のお母さまが入院中、本来の病気とは違う『誤嚥性肺炎』で亡くなってしまったことでした。食べ物や唾液が誤って気管を通って肺に入ってしまうことを誤嚥といいますが、免疫力が低下している中で、細菌の混ざった唾液などを誤嚥してしまうと肺炎を引き起こしてしまう病気です。調べていくうちに口腔内の不衛生が病気につながることがわかり、そこから舌を磨くことにたどり着いたと言います」
国内で販売されている舌ブラシを数多く試したという田中社長だが、満足いくものが見つからず、2005年に自社で製造することを決意。当時、接触嚥下を研究していた新潟大学大学院医歯学総合研究科の井上教授と共同研究開発の契約を結び、約2年間を経て、「舌ブラシW-1」が完成した。
「発売時は花卉生産の『四季園』として二足の草鞋で営業活動を行っておりましたが、思うように売上は伸びず四苦八苦しておりました。しかし、これからの日本は高齢化が進み、『必ず口腔ケアによる舌磨きが必要不可欠になる』と考え、2011年、有限会社四季園から舌ブラシ事業を移管してSHIKIEN株式会社を設立。人員を増やして本格的に営業販売活動を始めました」