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こんにちは、工業製造業系ライターの馬場です。自宅や実家の庭に大きな木が生えていて扱いに困っていませんか?
植えた頃は背丈ほどの木だったが、今は家を超えるほどの大きさになって手入れが難しい。秋になると沢山の葉が落ちて掃除が大変。周囲から苦情も来る。木が弱って倒木の危険が出てきたので、台風シーズンが心配だ。遠方の実家が空き家になってしまい、木の手入れが出来ない。そんな悩みを持っている方は、多いと思います。
空き家の庭はすぐにこうなります。借りた古民家の最初の状態。
庭は手入れをしていないと、草も木も好き放題に伸びて大変なことになります。木については、出来れば切って除去したいと考える人もいるでしょう。でも、どうやったらいいか分からない。そもそも、こんな大きな木を庭で切り倒せるか心配だ。そう思うかもしれません。
実際に庭の大きな木の伐採についてプロに聞いてみました。
今回、大きな木の伐採についてお聞きしたのは、埼玉県本庄市の末廣ガーデンの安村さん。安村さんには、事業用に借りた古民家に生える2本の木(センダン、メタセコイア)の伐採をお願いしました。
安村さん。写真の後ろに写る2本の木の切り倒しをお願いしました。
以前、ホップを自分で栽培して追いホップビールを飲む記事でも書きましたが、埼玉県大里郡寄居町に移住しまして、ライター業をしつつトレラン向けのランニングステーションを作ろうとしています。その事業用に借りた古民家に大きな木が生えていて、持ち主の許可を得て伐採することとなりました。
一番古い部分は築90年ぐらいらしい。
借りた古民家は家の中にかなりの物があり、庭も草だらけでした。中の物の多くは近所の欲しい方にもらってもらい、一部は古家具屋に引き取ってもらってかなり減らせています。草や低い木は、鎌やスコップ、レシプロソー、刈り払い機で除去してひとまず目立たない状態になりました。残っていた切り株のいくつかは、ジャッキを使って自分で引き抜いています。
家具や着物、本、食器など、荷物はここに写る何倍もありました。建物の再生はまだ先。
大きな木もチェーンソーを使って自分でいけるかなとも思いましたが、何しろ7、8mぐらいあると思われる大木です。チェーンソーを持っての慣れない高所作業をしないといけない。もし変な方に倒したら大惨事になる。さて、どうしようかと考え、安村さんに聞いてみました。
安村さん、お願いします。
安村さんによれば、大きな木の伐採は、安全面やその後の処理なども含め、プロにお願いする方が良いとのご意見。そりゃそうだ。
安村さんでも、大きな木の切り倒しはかなり緊張する作業だそうです。実際に作業中は、太い枝を落とす場所や、木を倒す方向に何度も注意を払っていました。ないなら自分で作ってしまえ! 出来るなら自分でやってしまえ! のDIYですが、危険を冒すのは良くない。今回は安村さんにお願いします。大きな木の伐採は、プロに任せましょう。
プロにお願いしますが、伐採に使用していた各種道具については、普段の庭の手入れでも便利そうなので、紹介します。まずはこちらのノコギリ。
道具その1 剪定ノコギリ
剪定ノコギリです。主に、それほど太くない枝の切断に使います。よく見る両刃のノコギリよりも切断面が広く、切り屑が切断面から出ていきやすいのが特徴です。切断面が粗くなるものの、切断面との摩擦が減るのでスムーズに枝が切断できます。
特に、写真のように曲がった柄の物は、真っすぐな柄を持つときのように手首を曲げなくていいので、握って前後に動かしやすいです。1本あれば、庭の手入れが楽になります。
道具その2 カーブノコギリ
もう1本もノコギリで、カーブノコギリです。こちらも剪定ノコギリですが、刃が円弧を描いています。主に太い枝や、肩よりも高い位置の枝を切るときに使います。
太い枝を真っすぐ切っていくと、切断面に挟まれる部分が徐々に広くなることで刃にかかる抵抗が増えます。特に生の木は切断面が膨らんでくるので、切るのに力が必要です。そのため、太い枝は枝の丸みに沿って刃を動かして切るのがいいのですが、真っすぐな刃のノコギリの場合、腕を前後に動かすのに合わせて上下に動かす必要もあるので、その分疲れます。
高枝切断用のカーブノコギリは、胸の位置で構えるのがいいそうです。
カーブノコギリは、前後に動かすだけで丸みに沿った動きが出来るので、太い枝でもスムーズに切れます。特に、上下の動きが難しい高い位置の枝の切断には最適です。
ただし、刃の触れている位置が慣れるまで分かりにくいため、切り抜ける位置に注意が必要です。枝を真下に落としたいのに、斜め下方向に切り抜いたことにより、予期せぬ方向に枝が飛んでいくことがあるそうです。
道具その3 剪定ハサミ
次は剪定ハサミです。刃がカーブしていて、細い枝ならこのハサミでスムーズに切れます。これと合わせて持っているといいのがこちらのハサミ。
道具その4 高枝用剪定ハサミ
長い柄のついた剪定ハサミです。握力が弱い方でも楽に使えます。高い位置の枝も一発で切ることができるので便利です。安村さんに使わせてもらった後、カインズへ早速買いに行きました。
道具その5 チェーンソー
そして、やはり1台欲しいのがチェーンソー。枝の剪定程度ならば、剪定ノコギリやレシプロソーでもいいのですが、直径が10㎝超えてくるような幹の切断にはないと厳しい。借りた古民家は一度大量に庭木が切られたようで、壁際に丸太が沢山転がっていました。そのため、私も電動のものを入手しています。
使用時は安全のための用具が必要です。こちらはチェーンソーパンツ。
チェーンソーを使う際には、ヘルメットやシールド、ゴーグル、防振グローブ、チェーンソーが跳ね返ってきたとき(キックバック)のための防護服など、安全のための各種用具の装着が必要です。
プロに扱い方の注意点を改めてお聞きしました。
チェーンオイルの充填やチェーンの張りの調整など、使用前の確認、メンテナンスも欠かせません。電動のものはエンジンのものに比べて扱いやすいですが、パワーは十分にあります。使用には細心の注意を払う必要があります。
とはいえ、庭の整備だけでなく、丸太をもらってきて焚火やバーベキューのときの薪を作りたいといった希望があるならば、是非1台欲しい道具です。
道具その6 園芸用三脚
最後に園芸用三脚です。高いところに登るならば脚立でもいいですが、脚立は4点で地面に立てるので、地面の状態により安定しない場合があります。木の近くは起伏が多く脚立が近づけにくいですが、3点だと安定して木の近くに置けるので、造園業の方は三脚を多く使うそうです。
梯子が倒れないようにロープで固定。
もちろん普通の脚立や梯子を木に立てかけて使うこともあります。その場合は、下で誰かが支えるか、上部を固定する対策が必要です。工業系の話で言うと、脚立や梯子からの転落事故は、労働災害の中でも発生率が非常に高い事故です。一番上の板に立ったり座ったり、最上部をまたぐような危険な使い方は止めましょう。
それでは実際に木を伐採する方法です。主に4つあります。
1つめは、根元から切って切り倒す方法です。これは、倒して問題ない広いスペースがある場合に限る方法です。幸い借りている古民家の庭は広く、倒して問題なかったのでこの方法でやってもらいました。
結構な音がするので、近隣住民の方には事前にお知らせしました。
2つめは、人が乗れる箱のついた高所作業車やクレーンを使って上から少しずつ切っていく方法です。安全に倒せるスペースはないが、木の周りに大きな車が寄せられるような場所に生える木で使われます。特に大型重機が近づけられる場所ならば、重機で木を挟んで切ることもあるそうです。
3つめは、木の周りに足場を組んで上から少しずつ切っていく方法です。高所作業車や重機の入れない狭い場所で行われます。
4つめは、空師に頼む方法です。空師は、特殊な道具や技術を使って木に登り、上から木の伐採を行う専門家です。地上で作業を行う庭師に対して、木の上で作業をするので空師といいます。都市部の特に狭い場所や、神社仏閣のような重機の入れない場所に生える木の伐採には欠かせない存在だそうです。
安村さんは空師ではないそうですが、木の上で太い枝を切っていました。
大きな木の除去の費用に関しては、当然方法によって異なります。単に倒すだけだと1本数万円から。それに加え、出張費や機材費、切った木の処分費など各種かかります。重機や足場、特殊技術を使うとなると、その分費用が増えます。作業の内容により、1本で十万前後から数十万円まで変わり、作業を行う業者によっても値段は変わるそうです。このあたりは実際に見積もってもらわないと分からないので、詳しくは近くの造園業の方等に聞いてみてください。
それでは実際に木を伐採してもらいます。最初は手前のセンダンの木です。まず、横に伸びた枝を切り払い、1本の幹にします。これはどの方法で伐採する場合でも同じです。1本にしたものを上から少しずつ切っていくか、根元を切って切り倒します。
安村さんの使うエンジン式の大きなチェーンソーでも大変そうでした。自分では無理。
今回はドーン! と庭に倒してしまうので根元を切ります。まず、倒す方向を考えて切れ込みを入れる。次に反対側から切って切り離し、切れ込みの方向に倒します。と、簡単に書きましたが、反対側から切る際に、上手く切り離さないと予期せぬ方向に倒れることがあるので注意が必要です。
人生初の切り倒し補助
手前に積んである切り落とした枝は、あえて除去していません。クッション替わりとのこと。途中で違う方向に倒れたりしないように、念のため上部にロープをつけて倒したい方向に引いておく作業をお願いされました。最終的には、倒れる寸前まで切り込んだ後、安村さんが引いて倒しています。
倒れる前に掛け声をかけるみたいなことはなく、静かに倒れ始め、地面を叩く音が周囲に響き渡りました。これで、1本伐採完了。
敷地内でベンチなどに再生したかったので、割と大きめに切断してもらいました。
運べる程度の大きさに切り分けてもらい、次の伐採の邪魔にならない位置に移動させます。伐採した木や枝は処分してもらえます。もちろん処分費が必要です。
根本まで朽ちていた幹。早めに倒せて良かった。
もう1本も同様に伐採してもらって作業は終了です。切り株を見たら、メタセコイアの方は根元まで朽ちていました。センダンの木も、切り分けたら上部の方の中心がかなり朽ちていました。どちらも倒木の危険が迫っていたので、早めに倒せたのは良かったです。
安村さん、ありがとうございました。
庭に幾つもあった切り株は自分で抜いています。各種道具が必要。
ところで、木は伐採したら切り株が残ります。実はこれも厄介。根元から新しい枝が伸びてきたり、シロアリの温床になったりするので、出来れば除去しておくのがいいです。
切り株の除去には各種道具があれば一応自分で抜けます。その話はまたいずれ。