「最強の定食」の定義から考える。「色」と「方向」重視の定食
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目次/ INDEX
ライターのネルソン水嶋と申します!
ここは沖永良部島(おきのえらぶじま)。70万年前からサンゴ礁が隆起をつづけてできた島で、地底の石灰岩を雨水が溶かすことで洞窟が生まれ、その数なんと200以上。
日本の洞窟探検界では「洞窟の聖地」と呼ばれているそうです。
後ろにある洞窟は、沖永良部島でも屈指の観光スポットのひとつ昇竜洞です。
ところで洞窟って、マンガや映画で知られる割には、「実際に見たことがない」という方がほとんどじゃないでしょうか。実際に洞窟に入るときって、いったい何を持っていけばいいのでしょう!?
……そこで!
プロの洞窟探検家に初心者におすすめの探検グッズを聞いてみました!
右から、洞窟探検家の新納佳輝(にいろよしき)さんと平健也(たいらけんや)さん。
1年の半分以上は洞窟に潜っているという新納さんと平さん
新納さん
水分と食料ですね!
ネルソン
即答なんですね! ちなみにどんなものを持っていくんですか?
新納さん
洞窟に潜る前にコンビニなんかに寄って、ガムやチョコバー、ベビースターラーメンなどを買います。人によってはプロテインバーも買いますね。動きながら食べる行動食なので、僕は胸ポケットからすぐ取り出せる個包装の柿ピーがお気に入りです。
ネルソン
なんだか、小学生の買い食いみたいなノリ……!
平さん
洞窟は孤独なので、食べ物とファッションくらいしか楽しみがないんですよ。
洞窟に一人で入ることはないにしろケイビング(洞窟探検)は「自己完結のスポーツ」とも呼ばれるそうで、探検前のお菓子選びは楽しみのひとつらしい。もちろん、命綱でもある。
ちなみに新納さんは、なるべく持ち物を小さくするために「押しつぶしたパン」を持っていく。
や、やめて~!
ふかふか感ゼロに
新納さん
あと、水分は大事です。とくにつなぎを着てるとすぐ汗だくになるので、僕はいつも日帰りで500mlペットボトル2本は持っていきます。昔洞窟で脱水症状を起こしちゃって、呂律は回らないわ足は上がらないわ、ギリギリで帰れた、なんてことがありましたね。
洞窟の様子。ライトがなければもちろん真っ暗闇
ネルソン
行き帰りって基本的に計算して入るものなんじゃないですか?
新納さん
あれはもう若気の至りですね。当時は、もう結構進んだし、あと少し歩けば逆に外に出られるんじゃない? と思っちゃったんですよ。
ネルソン
発想がギャンブラーのそれ。
なお、沖永良部島の洞窟は水が豊富。しかし、畑に撒かれた農薬や、動物の死骸から細菌が地下まで入り混んでいる可能性もあり、体調を崩して脱水症状を引き起こしかねないため基本的には飲まない。水分と食料は探検に限らず生きる基本。ロープ以上に命綱とも言える。
穴探し中の新納さんと平さん
新納さん
あとは、探検ならいろいろ触るだろうし、手袋は持っておきたいですね。僕の場合はロープも使うのでゴムではなく滑らせやすいスウェードっぽい素材で、紐を結んだりと細かい作業に向いているオープンフィンガー仕様にしています。
ネルソン
素手だと探索どころじゃないですもんね。
そんな手袋にまつわる、スペインの洞窟で体験した恐怖体験を教えてくれた。
新納さん
島の縦穴は最長30メートルくらいですが、倍の60メートルを降りることになったんです。周りも下も真っ暗で、それだけで怖いんですけど、3つの荷物を抱えているので自分の体重も含めると100キロあって。少しずつ下るけれど、そのときの摩擦熱がすごい。
ロープも太さはさまざま
新納さん
というのも、すぐ横に滝があって水しぶきが跳ねてくるんですが、それがロープに当たるたびに目の前で『ジュッジュッ』と音を立てて蒸発するんです。事前に『摩擦熱でロープが焼き切れることもあるよ』と聞いていたので、あれはめちゃくちゃ怖かったです。
ネルソン
ブチッと切れたら数秒後に死にますもんね……。
新納さん
あとはライト。探検中はどうしてもぶつかってしまうので、接触不良で突然消えることが結構あるんですよ。だからいつも、予備のライトは持っていくようにしています。
これがメインのヘッドライトで
こっちが予備のライト
手持ちのライトも。右はとくに鉄塊という感じで、めちゃくちゃ頑丈
洞窟向けの製品を扱う海外メーカーもあり、とくにライトは超強力。10万円もするというライトの明るさは1万ルーメン。これはかなりのモンスター級で、「一般的な体育館よりも広いホールの照明」と同じくらい。逆に想像できない。
1万ルーメンのライトがこれ。直接目に当てたら怪我します
新納さん
それくらいかなー。
ネルソン
このホイッスルはいつも携帯してるんですか?
新納さん
そうですね。もし骨折して動けなくなって、救助を待つときに自分の居場所を伝えるために必要です。実際にその状況で使ったことはないですが、洞窟の中は水の音で声が届かなかったりするので、ロープで人を下ろすときにチームで連携するために使います。
新納さん
携帯といえばライターもですね。これはガスバーナーに火をつけるためですが、山だと温まるために焚き火をしたり、煙を出して救助を求めるときに必要ですよね。
という訳で、プロの探検家に聞いた「初心者におすすめの探検グッズ」はこの通り!
ネルソン
なんだか、防災グッズ!? ……みたいな感じですね。
新納さん
そうですね。結局、探検にしろ防災にしろ、『何かあったときに生きるため最低限必要なもの』ってことですよね。
ネルソン
なるほど……。探検は知らないところに入っていく、防災時(災害時)はいつも知っている場所が知らない状況になっている、『非日常』という点では同じですもんね。
しかし、新納さんは道具よりも大切なものがあると教えてくれた。
新納さん
何を持っていくかも大事だけど、それ以上に誰と行くか、ですよね。お互いに命を預けるので信頼がないとできないし、ロープを使うならなおさら。『自分は大丈夫』だと言う人が一番危ないし、周りが振り回される。怖がりくらいがちょうどいいかと思います。
新納さんと平(たいら)さんの二人もまた、よく組んで洞窟に潜る。そう考えると、探検初心者はまずは先輩探しからはじめた方がよさそうだ。
一方で、プロの持ち物はどんなものなのか? せっかくなので教えてもらおう。
新納さんの荷物をテーブルにどーん!
すべては紹介しきれないが、目についたものを一部紹介したい。
日帰りだとお菓子で十分な食料も、泊まり込みの探検となるとさすがに寂しい。体を温めるためにもフリーズドライフードをお湯で戻して食べることもある。そんなときに必要なものが省スペースの組み立て式お箸。探検家によって、お箸派、フォーク派に分かれるのだとか。
バッグは、中に何を入れようが確実に水に濡れるので、むしろ水を溜め込んで重くならないよう、底の部分を見ての通り最初から穴が空いている。
それでも撮影機材など絶対に濡らせないものを持ち運ぶときは、鉄壁の防水タンク。もともと海外のメーカーが作った薬品を保存するタンクだが、防水性が優秀で、フタも開けやすいため、洞窟探検家の多くが愛用しているとのこと。
洞窟写真家としても活動する新納さん、こちらは海外の「洞窟写真コンテスト」の受賞作。めちゃくちゃかっこいいが……めちゃくちゃニッチ……!
お二人はふだんから探検できる洞窟を探しており、暇さえあれば地形図と経験からの勘を頼りに探索しているらしい。これまでに島で100くらいの洞窟は潜ったとのこと。「穴があったら入りたい」という言葉が、恥ずかしい以外の意味で出てくるとは思わなかった。
恥ずかしくはなくとも入りたい
「初心者におすすめの探検グッズ」を聞いた訳だが、聞けば聞くほど「探検は信頼できる上級者と行いましょう」という言葉に尽きる。みなさん、くれぐれも探検は慎重に!
今日もどこかで洞窟探検!
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ネルソン
ずばり、初心者が探検するときにおすすめする持ち物って何ですか?