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「当たり前だけど生えていないよ」
「耳にカビが生えるわけないじゃん......」
と、きっと思われるでしょう。
でも実は、耳にカビを生やしてしまうアイテムを多くの現代人は持っているのです。
そのアイテムは、イヤホン。
イヤホンの汚れを放置すると、耳に悪影響を及ぼす危険があるのです。そうならないためにどのようなお手入れが必要なのか、数百個のイヤホンを所有するイヤホンマニア・猫居こうたさんに伝授いただきます。
──掃除方法を詳しく伺う前に気になっていたのですが、イヤホンマニアにもなると全部でどのくらいイヤホンを持っているんですか?
猫居:ちゃんと数えたことはないのですが、現在保有しているだけで300個くらいはあります。知り合いに高性能のイヤホンを借りて全く音の聞こえ方が違うことに感動したことがきっかけで、10年ほど前から集め始めました。イヤホンはその時々の気分によって使い分けています。
──想像を遥かに超えていて、びっくりしました。毎日順番に使っても年に1回出番があるくらいなのに、なぜそれだけの数を集めるほどイヤホンが好きなんですか?
猫居:製品ごとにデザインも音質も違うので、聴き比べるのが楽しいんです。例えば、同じ「音」に関するものでもスピーカーだと何個も所有したらどうしても自宅で場所を取ってしまいますよね。その反面、イヤホンなら手元にたくさん収納できるので、集めやすいんです。
インナーイヤー型イヤホン
──イヤホンを300個も所有する猫居さんであれば、イヤホンのお手入れもきっとこだわりを持っているのではないでしょうか。そもそも、イヤホンの汚れを放置するとどんなデメリットがあるんですか?
猫居:イヤホンは手入れをしないと、フィルター部分に耳垢や埃、衣服の繊維などが詰まります。そうすると、こもったように聞こえるなど音質が悪くなってしまうんです。外耳に直接触れる部分なので、清潔に保たない状態で長時間着用していると、最悪の場合、耳にカビが生えてしまうこともあります。
──えっ、耳にカビ!? 私は今まで一度もイヤホンの掃除をしたことがないので、恐怖を感じています......
猫居:それはぜひ一度、掃除してみてください。普段使いせずに収納しているイヤホンでも、僕は月に1回掃除しています。
──なんと。急に自分が汚部屋の主みたいな気持ちに......そもそもイヤホンに掃除が必要だという概念を持っていなかったです。
猫居:一般的にはそういう方が多いですよね。僕の友人には、掃除しないままイヤホンを使いすぎた結果、耳の中がかゆくなって外耳炎になってしまった人もいます。
──外耳炎、怖すぎます。そうならないためにもまずはイヤホンのことから教えてください。
──そもそも、イヤホンと一言で言っても、色々な形状をした種類がありますよね。大体どれくらいの種類があるんですか?
猫居:耳に接する部分の形状では、カナル型とインナーイヤー型の2つに大別されます。さらに、首掛け型や耳掛け型などイヤホン全体の形状ごとに分類されますね。
──なるほど。聞き慣れない名前が出てきたんですが、それぞれどういった特徴があるんですか?
猫居:1番メジャーなのはカナル型イヤホンです。耳に接する箇所にイヤーピースがついています。
──イヤーピースって、ぷにぷにしてるやつのことですよね?
猫居:それです。ゴムのような部分のことです。メリットとしては、音質が1番安定していて、低音が出やすいことが挙げられます。一方で、外耳道に直接イヤホンを差し込むので、外耳炎に最もなりやすく、長時間つけていると耳に負担がかかりやすいというデメリットがあります。
イヤーピース
──私が使っているのもカナル型なのですが、メリットとデメリットどちらも心当たりがあります。もう1つのインナーイヤー型はどんなものでしょうか?
インナーイヤー型イヤホン
猫居:インナーイヤー型はイヤーピースがついておらず、耳の外側に引っかけて使います。代表例はAppleのAirPodsですね。外耳道を塞いでしまわないので、カナル型より耳への負担がかかりにくいのがメリットです。デメリットとしては、耳から外れやすいことと、密閉感がないため低音が出にくいことがあります。
──確かにインナーイヤー型イヤホンを片耳だけ落としてしまったという話はチラホラ聞きます。それぞれ良し悪しがあるんですね。
骨伝導型イヤホン
猫居:あとは、骨伝導型もあります。頭のこめかみ付近に音の出る部分を当て、その振動によって骨を震わせて蝸牛(かぎゅう)という内耳の聴覚器官に伝導させる仕組みです。外の音を聞きながら音楽も聞けるので、ジョギングする際に最適です。ただ、音漏れしやすいこと、こめかみに当てることで頭が痛くなることがあるのはデメリットです。
その他には、低音が出にくいこともデメリット。低音の量感は一般的にカナル型>インナーイヤー型>骨伝導の順なので、重低音が好きな方には少しものたりなく感じてしまうかも。
オープンイヤー型イヤホン
また、骨伝導に似たものだと、オープンイヤー型イヤホンという、耳を塞がない『ながら聴き』を目的とした種類のイヤホンもあります。
──音楽を聴くのに集中したいときや、外部の音も聞きたいときなど、用途別でそれぞれのイヤホンを使い分けられるんですね! イヤホン全体の形状としては、どんな種類がありますか?
耳掛け型イヤホン
猫居:まず、耳掛け型といって、耳の上側に留め具を挟む形状のイヤホンがあります。安定感があり、スポーツをする際に適しています。デメリットは、骨伝導と同じくイヤホン部分が当たっているところが痛くなる場合があることです。
首掛け型イヤホン
首掛け型もスポーツ向きで、イヤホンを外しても首からぶら下げられるのが便利ですね。
──スポーツジムで、それらのイヤホンを使っている人をよく見かけます。ちなみに、ヘッドホンにはどんな特徴がありますか?
ヘッドホン
猫居:ヘッドホンは振動板にあたるドライバーという部分の面積が広いので、低音が出しやすいです。
イヤホンよりも空間で認識できる音の幅が広がり、臨場感ある音を楽しめます。ただ、大きくて持ち歩きづらいのと、夏場だと蒸れるのが欠点です。イヤホンのように外耳を塞がないメリットはあるものの、音量を大きくすればイヤホンと同様に耳への負担がかかるので、音量の上げすぎには注意が必要ですね。
──イヤホンと一言で言っても、さまざまな種類があることがよくわかりました。では、各種類別の掃除方法を教えていただけますか?
猫居:まず、カナル型からご説明しましょう。カナル型はイヤーピースを外し、軸にあたるノズルのフィルター部分を掃除します。ここで使うのは、歯間ブラシです。
──えっ、歯間ブラシをイヤホン掃除に使うんですか?
猫居:意外に思われるかもしれませんが、そうなんですよ。歯ブラシでも代用できますが、細かい作業をするなら歯間ブラシがベストですね。
──意外や意外です。何かコツはありますか?
猫居:フィルターを下に向けて、ゴミを掻き出すようにすることですね。フィルターが上向きだと、ゴミがフィルター内に入ってしまうからです。あとは有線であれば、スマホに差し込むプラグ部分をクロスで拭きましょう。
──隙間に詰まっている汚れも除去できるということで、歯間ブラシが役に立つんですね!驚きましたが、これは納得です。
猫居:次にイヤーピースを掃除します。シリコン製であれば丸洗い、もしくはウェットティッシュで拭いた上で、隙間を綿棒で掃除すればよいです。
ほとんどのイヤーピースはシリコン製なのですが、まれにあるウレタン製は水洗いもアルコールも使えないので、消耗したら処分するしかありません。
左がシリコン製、右がウレタン製
──耳に直接触れる部分は念入りなお手入れが大事になるんですね!
猫居:カナル型はパーツが多いので、全ての種類の中で掃除が1番面倒なイヤホンです。
──面倒な行程が必要なほど、汚れが溜まりやすくなっているということですよね。インナーイヤー型など他のタイプはどうでしょうか?
猫居:インナーイヤー型はフィルターがそのままむき出しになっているので、カナル型と同様、歯間ブラシでゴミを掻き出してください。
──骨伝導や耳掛け、首掛けは何か他にやるべき掃除はありますか?
猫居:それらは、肌に当たる部分をクロスで拭くだけでOKです。乾いたクロスで優しく拭いてあげましょう。
──首や耳の裏などは汗をかいてそうですもんね。ワイヤレスイヤホンの場合は、また何か異なる掃除が必要なのでしょうか?
猫居:ワイヤレスもまたひと手間あるんです。充電の際に接続する端子の部分を、イヤホンとケース両方とも綿棒で拭くとよいです。この手間を怠ると、充電がうまくいかなくなることもあるので、充電の接触が悪いと感じたら掃除してみることをお勧めします。
──なんと、そんなところまで掃除が必要なんですね!ヘッドホンはいかがですか?
猫居:ヘッドホンのパッド部分は肌に触れている部分なので、拭くことをおすすめします。ただ、革製品はアルコールがかかると色落ちしてしまうので、ノンアルコールシートか空拭きしてください。
──いつもどのようなグッズでお掃除されているのですか?
猫居:僕が日頃使っている掃除道具はこちらです。
左から、ウェットティッシュ、綿棒、歯間ブラシ、タオルです。特殊なものではないので、家にあるものだけで簡単にお掃除できます。
カインズだとこのあたりがおすすめです。
お掃除グッズを選ぶコツは、歯間ブラシは細めのものを選んだ方が汚れをかき出しやすいです。肌が当たる部分は、繊維が細かくて柔らかいマイクロファイバークロスを使いましょう。使い捨てなので衛生的でおすすめです。
また、綿棒を選ぶ際のポイントは隙間の汚れも取り除けるように、通常よりも細めのものを選びましょう。
───ところで、イヤホンの掃除はどれくらいの頻度ですればよいですか?
猫居:カナル型のイヤーピースは使うたびに拭くのが望ましいですね。フィルター部分も毎日使っているイヤホンであれば、週1回お手入れした方がよいと思います。
──使うたびですか......
猫居:僕は普段使いするイヤホンは、週1回は掃除するようにしています。
──すごい! 300個も持っているのに、こまめにお手入れされているのには頭が下がります。
猫居:まめな掃除を徹底するのは難しいかと思いますが、フィルターよりもイヤーピースの方が掃除の必要性が高いことを意識して、イヤーピースの方を優先度高く掃除していただければと思います。
──掃除以外だと、イヤホンを長く使うためにどんなことに気を付ければよいでしょうか。
猫居:有線であればコードの断線を防ぐため、イヤホンケースにきちんと収納することですね。ワイヤレスはしばらく使わないときもこまめに充電した方がよいです。そのままにしていると、自然放電してしまって最悪の場合使えなくなってしまいます。
──ワイヤレスイヤホンもスマホと同じように長期間充電しないと使えなくなってしまうんですね。有線用のイヤホンケースがあることも初めて知りました。
猫居:イヤホンを長期間使わずに収納する場合は、湿気のない場所で乾燥剤と一緒にケースに入れておいてください。僕は収納ボックスとデスクの引き出しにずらっとイヤホンをしまっています。
──今までイヤホンの掃除をきちんとしたことがなかったのですが、今日猫居さんから色々と教わって、早速実践してみたくなりました。
猫居:イヤホン掃除は、耳にとっても機械にとってもいいことしかありません。面倒な部分もありますが、まずは一度チャレンジしてみてください。