粘土ってバラになれるんだ。元花屋がホームセンターの材料で枯れない花を作ってみた【クレイフラワー】
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昼間は窓辺でうたた寝をして過ごし、夜になると目を光らせて活動する。猫に対してそんなイメージを持っている人は少なくないでしょう。
確かに夜に活動的になる猫もいますが、猫は本質的には夜行性ではありません。
かといってスズメやカラスのように昼行性でもなく、「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」の性質を持っています。
薄明薄暮性は「クリパスキュラー」とも呼ばれ、主に明け方や黄昏の時間帯に活発になる習性を持つ生き物を指します。猫以外では、犬やウサギ、ハムスターやフェレット、チンチラなどの動物も本質的には薄明薄暮性です。
猫が薄明薄暮性なのは、野生時代に獲物を狩って暮らしていたためといわれます。明け方に活動をはじめる鳥や、夜行性で夕暮れ時に現れ出すネズミなどの獲物に合わせて猫も活動していたと考えられています。
日差しが強い日中の時間を避けて行動することは、体力の消耗を防ぐ役目もあります。猫の祖先は主に砂漠地帯に生息していたため、日が昇り切らない明け方や日差しが和らぐ夕暮れ時に捕食を行う方が余計な体力を消耗せず効率的だったのです。
また、家畜化された猫にとっても薄明薄暮性は理にかなった習性でした。農場や船上の穀物をネズミの被害から守るために飼われていた猫は、獲物が動いている時間帯だけいそいそと仕事をし、日中はうたた寝しながら体力を温存していたのです。
現在は飼い猫の多くが室内でキャットフードをもらいながら人間と一緒に暮らしています。人間に合わせて生活リズムを変える猫もいますが、なかには夜明けと共に目覚めて飼い主さんを叩き起こすのが習慣…なんて猫もいることでしょう。
飼い猫は生きるために狩りをする必要はなくなりましたが、薄明薄暮性は本能として残っているのです。
薄明薄暮性である猫が、しばしば夜行性と誤解されるのはなぜなのでしょうか?
猫が夜行性に見られる主な理由と、現代の猫の生態についてまとめたので参考にしてください。
猫は「寝子」に由来しているという説もあるほど、とにかくよく寝る動物です。成猫の1日の平均睡眠時間は大体14~16時間くらいで、子猫や老猫になると1日のうち18~20時間寝ることも珍しくありません。
「寝る」といってもその間ずっと熟睡しているわけではなく、うとうととうたた寝している「休息」の状態も含まれています。休息は猫にとって大事な習性の1つです。日が高い時間帯は体力を温存しつつ、周囲に獲物が来たら反応できる状態で過ごしているのです。そうして、夕暮れや明け方の本格的な狩りの時間に備えています。
とはいっても、人間から見たら「昼間はほとんど寝ている」ように見えることに変わりはありません。日が出ている間はのんびり寝て過ごし、日が暮れてから活動的になる猫の姿を見て「猫は夜行性だ」と勘違いしてしまう人が多いのも頷けます。
猫はわずかな光さえあれば暗闇でも活動できる目を持っています。闇夜にキラリと目が光る猫の姿は、まさに夜行性の動物のように見えてしまいます。しかし実は猫の目が光る理由は夜行性だからではありません。
猫の目が光るのは、人間にはない「タペタム」という器官によるものです。タペタムは網膜の外側を囲むように存在していて、一旦網膜を通り過ぎた光を反射して網膜へ送り返す反射板の役割を持っています。
猫の目が光って見えるのは、この反射を見ているためです。猫はタペタムによって光を増幅させることで、薄暗い夕暮れ時や夜でも視覚的に周囲を捉えることができます。
また、猫は体のサイズの割に瞳孔が大きく瞳孔を完全に開くと目の表面積の90%にもなります。瞳孔には取り込む光の量を調節する役目があるので、大きく開くとその分たくさんの光を取り込むことができます。
猫はこの目を利用して、薄暗い明け方や黄昏時でも獲物の姿を捉えて狩りをしているんです。
都会で暮らす野良猫は特に、深夜の時間帯に活動的になることが多いといわれています。
朝から晩まで多くの人や車が行き交う都心は、猫にとっては危険が多い環境です。わざわざ深夜に動き回るのは、人が集まる日中より人の往来が少なくなる時間帯の方が危険が少ないと考えてのことだろうといわれます。
都会なら夜中になっても田舎のように真っ暗闇になることはありません。都会で暮らす野良猫はゴミなどを食料にしていることも珍しくないので、明け方や夕暮れ時に動く獲物を狙って狩りをする必要もないのです。
都心に暮らしている人々は、夜中に公園や道端でよく野良猫を見かけることで猫は夜行性だと思ってしまうのかもしれません。
室内で飼われている猫もまた、夜中に活動的になるケースがあります。
人間が眠っている深夜、飼い猫が電気が消えた部屋の中を駆け回って運動会をしたり、大声で鳴き叫ぶので困っている…なんて話を聞いたことはありませんか?
実際、筆者が実家で飼っていた猫の姉弟たちは夜中の運動会が習慣化していました。電気がついてなかろうと人間が寝ていようとお構いなしにベッドの上や廊下で追いかけっこをしながら走り回っていたので、そのうちに人間の方が諦めて好き勝手させていたものです。確かにあの姿を見ていたら「猫は夜行性」というのも信じそうになってしまいます。
しかし、本来なら夜中は猫も寝ているはずの時間帯。飼い猫が夜中にやたらと活動的になってしまうのはいくつかの要因が考えられます。
【猫が夜中に騒ぐ原因として考えられること】
夜中に騒ぐ猫をどうにかしたい場合は、次の見出しで解説している内容を参考に日中の過ごし方や生活環境を見直してみましょう。
飼い猫が夜に運動会をしたり、大声で鳴いて騒ぐときの対処法をまとめました。
夜中に鳴き出す猫への一番の対処法は、鳴いてもかまわないことです。
猫は頭が良いので、鳴き声がうるさいからといってかまったりご飯をあげたりしてしまうと「鳴けば要求が通る」と覚えてしまいます。鳴くことで自分の思い通りになるのを学習してしまうと、直すのがますます難しくなります。
「静かにしてね!」などと口に出すのも逆効果なのでやめましょう。叱ったつもりでも猫にとっては「鳴いたらかまってもらえた」という風に変換されてしまう可能性があります。ご近所迷惑を考えるとなかなか難しいかもしれませんが、夜鳴きを直すには夜中にいくら鳴いても無視を決め込むのが一番なのです。
ただし、鳴き声に異常性があったり、明らかに普段と様子が違うような場合は念のため異変がないかチェックしてみてください。何かトラブルが起きているか、体調が悪くて飼い主さんに鳴いて助けを求めている可能性もあります。
深夜に運動会をはじめる猫は、飼い主さんが仕事でいない昼間をひたすら省エネモードで過ごし、あり余った体力を夜にまとめて発散させているケースが多いです。
そういった猫への対処法は、日中にたくさん遊ばせて体力を消耗させることです。特に若くて健康な猫だと、運動不足がストレスになり夜中の問題行動に繋がってしまうこともあるので注意が必要です。
安全なおもちゃやキャットタワーなどを用意して、ひとり遊びができる環境を整えてあげてください。帰宅後や寝る前など、短時間でもいいので猫じゃらしなどで運動させて人間が起きているうちに体力を消耗させましょう。
大抵の猫は飽き性で気分屋なので、みっちり30分間1回だけ遊ぶよりも、5分や10分の短時間で何回か遊んであげる方が満足しやすいです。忙しくてもスキマ時間をみつけて、意識的に遊んであげる習慣をつけましょう。
最も体力を使うのは上下運動なので、できるだけ猫がジャンプをするような遊ばせ方をするのもコツです。
飼い猫の夜行性化を直すには、まず人間が夜行性のような生活を止め、生活リズムを整えることです。
猫は自由気ままに見えますが、完全室内飼いの猫は意外と人間の生活リズムに合わせて行動していることも多いです。猫が深夜に起きているのは、飼い主さんの夜更かしグセが理由かもしれません。
そのような場合はまず人間が規則的な生活をするように意識して、猫もそれに合わせた生活にシフトさせていきましょう。
夜中にご飯やトイレの催促で鳴きだす猫には、鳴かれる前に要求を満たしておく対策がおすすめです。
夜寝る前は必ず猫のトイレをチェックして、汚れていたらきれいにしてから寝る習慣をつけましょう。少しでも汚れていたら絶対に用を足さないような猫もいるので、あまりに催促されるようならトイレを増やすのも手です。
また、夜ご飯の時間を遅くしたり、夜ご飯分を夕方と寝る前に分けてあげるのも有効です。その際は、できる限り時間を決めて習慣化させるようにしましょう。お水は常に清潔なものが飲めるように、複数の場所に設置しておいてください。
朝起きられなくて早朝にご飯の催促をされるという人には、タイマー式の自動給餌器がおすすめです。自動給餌器の他にも、流水式の給水機や全自動猫トイレなどを取り入れることで猫の生活リズムが整って夜中の問題行動が改善されるケースもあります。
もし仕事などの都合で人間が規則的な生活をするのが難しい場合は、ぜひ検討してみてください。
猫は薄明薄暮性ですが、環境や一緒に暮らす人次第で夜行性のような生活スタイルになることがあります。夜中に騒ぐ猫を寝かせたいのであれば、猫の習性や本能を理解した上で、行動の原因を取り除くような工夫をしましょう。
猫にとっても人にとっても快適な生活リズムで一緒に暮らしていけるのが理