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【カクレクマノミの飼育】飼育セットからイソギンチャクとの相性まで初心者目線で解説

スタッフ

カインズ How to ペット編

カインズ How to ペット編

カインズ・スタッフ自らが実践した情報満載。動画で見る「カインズ How to」のペット関連のコンテンツを文字起こししています。

海水魚のなかでも特に知名度が高いカクレクマノミ。映画『ファインディング・ニモ』で一躍有名になり(※)、水族館やアクアリウム店では必ずといってよいほど見かける種類になりました。小さく色鮮やかな体をふるわせて泳ぐ姿がかわいらしく、自宅で飼ってみたくなった方も多いのではないでしょうか。

カクレクマノミは飼育難易度が低い海水魚ですが、アクアリウム初心者の方には難しく感じる面もあるようです。飼育アイテム、餌、メンテナンスなど、さまざまな疑問や不安が出てくるでしょう。

そこでこの記事では、カクレクマノミの飼育全般について解説します。入手方法や値段、ランニングコストの一例についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

(※実は、ニモはカクレクマノミではなく「イースタンクラウンアネモネフィッシュ」という近縁種です)

カクレクマノミってどんな生き物?

カクレクマノミってどんな生き物?

カクレクマノミはスズキ目スズメダイ科クマノミ属に分類されている海水魚の一種です。温帯~熱帯のサンゴ礁の海を好み、奄美諸島以南の日本、フィリピン、インドネシアといった西太平洋域に多く分布しています。

外見の特徴

クマノミのなかには15cm程度に成長する種類もいますが、カクレクマノミの体長は8~10cmと小型なほうです。全身は濃いオレンジ色で、3本の白い帯(バンド)が特徴。ヒレには黒い線も見られます。

食事

カクレクマノミは雑食性です。自然界では小魚や小型の甲殻類、プランクトン、藻類などを食べています。

繁殖と寿命

魚類は成長過程で性転換する種類がおり、カクレクマノミを含むクマノミもその一種です。カクレクマノミは、最初はすべてオスとして生まれ成長し、群れのなかで一番強く大きな個体がメスに性転換します。これを「雄性先熟」と呼びます(オスがメスに変わる場合は「雌性先熟」です)。

群れのなかでメスが一匹しかいないため、カップルとして誕生するのは一組だけです。メスが死んでしまった場合は、群れのなかで二番目に強く大きなオスがメスへと変わります。

カクレクマノミはこのようにして繁殖し、短ければ5年、長ければ10年以上生きます。天敵のいない飼育下であれば15~20年生きることも可能でしょう。

イソギンチャクとの関係

イソギンチャクには毒がありますが、カクレクマノミは幼魚期からイソギンチャクの側にいるため毒の耐性を獲得しています。カクレクマノミがイソギンチャクを棲家にしているのは、イソギンチャクを盾にすれば外敵から身を守れることを知っているからです。一度に食べきれない大きな餌を見つけたときは、イソギンチャクに隠しておく習性も確認されています。

イソギンチャクはイソギンチャクで、カクレクマノミが持ち込んだ餌や彼らの体表にいる寄生虫を食べることができます。これが、両者の共生が成り立っている理由です。

なお、イソギンチャクであればどのような種類とでも仲良くできるわけではありません。自然界で共生が見られるのは、センジュイソギンチャクやハタゴイソギンチャクなどです。

カクレクマノミの購入・飼育費用

カクレクマノミの購入・飼育費用

カクレクマノミは海水魚のなかでも特に人気があるため、多くのペットショップやアクアリウム店で入手できるでしょう。カインズが展開するpetsone(ペッツワン)でも取扱店があります。価格が1,000~2,000円程度と求めやすいのも人気の理由です。

カクレクマノミの改良種やクマノミの仲間

カクレクマノミはブリードされた個体がよく出回っており、改良された品種も人気です。カクレクマノミだけでなく、クマノミの仲間も非常に人気が高いです。ここでは、代表的な種類と価格の目安を紹介します。

ブラックオセラリス

ブラックオセラリス

  • 体長:8~11cm
  • 価格:2,000~4,000円

カクレクマノミの改良品種で、体色のオレンジ色が黒に置き換わったタイプ。国内で繁殖が成功しているため、さほど高値ではありませんが、希少価値が高まれば価格が跳ね上がる可能性も。生態はカクレクマノミと変わりありません。

ハマクマノミ

ハマクマノミ

  • 体長:約14cm
  • 価格:1,000~1,500円

ハマクマノミは、カクレクマノミよりもやや大きなクマノミの仲間です。「トマト」と呼ばれるほど真っ赤な体色が特徴ですが、色の濃淡には個体差があるほか、生息地域によっては黒色の斑点が見られることもあり、カラーバリエーションは幅広いといえます。比較的丈夫で餌付けもしやすく、初心者の方でも飼育しやすいでしょう。

ナミクマノミ

ナミクマノミ

  • 体長:13~15cm
  • 価格:1,000~2,000円

カクレクマノミの知名度に押しやられていますが、一般的にクマノミといえばナミクマノミを指すことが多いほど代表的な種類です。体色は黄色、褐色、黒色など生息地によって違い、バンドの入り方にもバリエーションが見られます。日本近海にも生息しており、流通量が安定していることから入手しやすい価格が多いです。多くのイソギンチャクと共生可能なので、イソギンチャクとセットで飼いたい方は検討してはいかがでしょうか。

ハナビラクマノミ

ハナビラクマノミ

  • 体長:7~9cm
  • 価格:2,000~3,000円

その名の通り、花びらのような桜色をしている珍しいクマノミです。体長はカクレクマノミよりもさらに小型で、性格はおとなしめ。気の荒い魚がいると、イソギンチャクに隠れて出てこないことがあります。比較的丈夫なので飼いやすい種類といえますが、水質にはデリケートなため、日々のメンテナンスは重要です。

トウアカクマノミ

トウアカクマノミ

  • 体長:約10~13cm
  • 価格:1,000~1,500円

クマノミの仲間では大型に属する種類で、15cm程度まで成長する個体もいます。分厚く頼もしい見た目をしており、頭部および背中の中央に大きな白斑バンドが見られます。食欲旺盛で餌付けが簡単なのと、大きさのわりに温和な性格をしているため、初心者の方でも飼育に困らないでしょう。

    クマノミの選び方と注意点

    ワイルド(野生)で採取された個体よりも、ブリード個体のほうが輸送費等のコストがない分、割安なことが多いです。さらに、生まれたときから水槽暮らしであるため、人工飼料も毛嫌いすることなく食べてくれます。

    ワイルド個体は輸送中の事故でダメージを負っていたり、人工飼料を食べてくれなかったりと、多少の世話を焼く可能性があります。しかし、「自然下で生きていた」という点が魅力でしょう。イソギンチャクとの共生もしやすく、産地の生息環境を再現したい、こだわり派の飼い主さんにおすすめできます。

    ブリード、ワイルドにかかわらず、カクレクマノミをお迎えする際に注意したい外見上の特徴は次の通りです。

    • 口に傷はないか?赤くただれていないか?
    • 背肉が痩せていないか?
    • ひれがボロボロになっていないか?(多少切れている程度なら問題なし)
    • 体色は濃いオレンジか?薄くなっていないか?
    • 体表に傷や穴はないか?
    • 泳ぎ方は正常か?じっとしていたり、俊敏に動きすぎたりしていないか?

    カクレクマノミに必要な飼育セット

    カクレクマノミに必要な飼育セット

    カクレクマノミを飼育するのに必要なもの、あったほうがよいものを紹介します。

    • 水槽・ふた
    • 人工海水・カルキ抜き・水質調整剤
    • フィルター・プロテインスキマー
    • ライブロック・底砂
    • 照明
    • 温度計・オートヒーター

    水槽・ふた

    水槽サイズは最低でも30cm、できれば45~60cm程度のものを用意しましょう。小型の魚には不相応な大きさだと思うかもしれませんが、大型水槽のほうが水量や水質が安定しやすく、飼育環境の維持管理が楽になります。

    複数匹を飼育するならなおさらです。カクレクマノミは縄張り意識が強いため、狭い水槽だと争いが起こる恐れがあります。大型水槽であれば、3~4匹飼育しても問題ないでしょう。

    また、カクレクマノミは驚いた拍子に飛び出すことがあるため、ふたは必須です。別途購入するか、水槽とセットになったものを選ぶとよいでしょう。アクアリウム初心者の方は、フィルターもセットになったものが扱いやすいかもしれません。設置のしやすさはもちろん、コストも安いため導入しやすいでしょう。

    人工海水・カルキ抜き・比重計

    メンテナンスのたびに海水を汲んでくるわけにはいかないため、人工海水の素を購入します。天然海水に含まれるミネラルを豊富に含んだものや、小分けになって使いやすいものなど、さまざまなタイプがあります。

    水は水道水を利用しますが、そのままでは塩素が入っており、海水魚には有毒です。カルキは半日~1日ほど汲み置きしておけば抜けますが、カルキ抜きを使えばすぐに中和できます。

    なお、人工海水の素は比重・濃度を計測して作らなければなりません。カクレクマノミにおすすめの数値は1.020~1.024です。これ以上でも以下でも、カクレクマノミに負担がかかる恐れがあるため、必ず比重計を使って測定しましょう。

    フィルター・プロテインスキマー

    別売りのフィルターを使う場合は、水槽の大きさや飼育数に応じて選ぶことが大切です。フィルターには、上部式、外掛け式、外部式といったタイプがありますが、手軽で便利なのは水槽のふちに掛ける外掛け式です。

    プロテインスキマーもあると水質維持に役立ちます。プロテインスキマーとは、海水を泡立てた力を利用して糞や食べ残しといった汚れを外部へ吐き出す機器のことです。

    ライブロック・底砂

    ライブロックとは、主にサンゴの死骸でできた石炭質の岩のことです。石灰藻や微生物といった生き物が付着した自然の産物であり、ライブロックを入れると水槽内の浄化能力がぐんと上がります。

    ろ過能力が高くないフィルターを補う装置として、また、カクレクマノミの隠れ家としても機能する便利なアイテムです。電気代がかからないうえ、水槽内の見た目も自然に近づきます。

    ちなみに、ライブロックは文字通り「生きた岩」であり、死ぬと真っ白になったり、磯の香りがしなくなったりします。デッドロックになったら必ず取り替えてください。

    また、底砂にはサンゴ砂を使うとよいでしょう。水質を弱アルカリ性に保ってくれる効果があります。

    照明

    照明はカクレクマノミのバイオリズムを整えるのに使用します。美しい姿も鑑賞しやすくなる、一石二鳥のアイテムといえます。

    特別なものは必要ありません。蛍光灯やLEDで十分です。タイマー式であれば、点灯・消灯時間が不規則にならないのでおすすめです。

    温度計・オートヒーター

    カクレクマノミの飼育に適した水温は24℃~30℃です。エアコンの効いた室内であれば問題ないことが多いですが、極端に暑い、または寒い場合は水温調整をしてあげましょう。そのためにも、水温計は必須です。

    カクレクマノミは温帯~熱帯に住む海水魚のため、特に真冬は要注意です。エアコンのない部屋に水槽を置くのであれば、鑑賞魚用の小型ヒーターを用意しましょう。ワット数は水槽サイズに合わせて選びます。

    餌は、一般的な海水魚用の人工飼料でかまいません。ただし、カクレクマノミでも食べられる小粒の商品を選びましょう。

    カクレクマノミの水槽の立ち上げ方

    カクレクマノミの水槽の立ち上げ方

    水槽の立ち上げとは、水槽内を飼う魚に適した状態に整えることをいいます。水槽設備を組み立て、すぐにカクレクマノミを入れるとダメージを与える可能性が高いため、必ず立ち上げしてからお迎えしましょう。

    とはいえ、海水魚の立ち上げはそう複雑なプロセスは踏みません。まずは次の4つを終わらせましょう。

    設備のセットと動作確認

    1. 水槽にフィルターやライト、温度計などの外部設備をセットする
    2. 底材のサンゴ砂を水洗いし、2cmほど敷く
    3. 水槽に水道水を7割程度注ぐ
    4. セットした設備の電源を入れ、正常に作動するか確認する

    水位を7割ほどで留めるのは、この後にライブロックを入れることで水位が上がる(8割ほどになる)ことを想定しているためです。また、カクレクマノミの飛び出しを防ぐ意味もあります。「4」まで問題なく完了したら、次の5~8に取りかかります。

    5.人工海水を作る

    水道水を使って人工海水を作りますが、まずはカルキ抜きが必要です。専用商品を使えば簡単にできるので、特に苦労はしないでしょう。

    塩素を取り除いたら、人工海水の素で海水を作ります。比重計を用い、1.020~1.024の間に収めましょう。メーターの針に気泡が付着すると誤差が出るケースがあるため、使用前に数時間ほど水に浸けておきましょう。これだけでも気泡が取れやすくなります。

    6.ライブロックを入れる

    ライブロックは、カクレクマノミ投入後は気軽に配置換えできないため、レイアウトを考えながら入れましょう。水通りをよくするため、ガラス面とはある程度離すのがコツです。

    また、ライブロックの数が水量に対して少ないと、想定以下の浄化能力しか発揮できません。カクレクマノミの隠れ家にもなることを考えると、「岩場を組む」くらいの感覚で多めに入れてもよいでしょう。

    7.フィルターを回して待機

    このままカクレクマノミをお迎えしても問題なさそうに思えますが、現状だとライブロックが(正確には付着している微生物が)人工海水に馴染んでいません。狭い水槽内で微生物が死ぬと、カクレクマノミに悪影響を及ぼす可能性が高いです。

    水質を維持するために、フィルターを稼働させた状態で2週間~1か月様子を見ましょう。そのくらい待てば、人工海水に馴染めない微生物はいなくなるうえ、ライブロックが持つ浄化作用も浸透しています。

    8.水槽の4/5の量の水を換える

    2週間~1か月経ったら、水槽の水の4/5を入れ替えます。そのままではライブロックから出た微生物の死骸が残っているためです。

    再び人工海水が必要なので、手順5に戻って作成しましょう。必ずバケツなど別の容器内で作り、完成した水を水槽内に足してください。水槽内に直接水道水を足して調整しようとすると、せっかく浸透した浄化作用が台無しになります。

    カクレクマノミの上手な飼育方法

    カクレクマノミの上手な飼育方法

    必要なものがそろっても快適で安全な暮らしができるとは限りません。カクレクマノミが過ごしやすいよう、上手な飼い方のポイントを紹介します。

    餌は一度に食べ切れる量を

    餌は1日2~3回、一度に食べ切れる量を与えましょう。食べ残しは水質悪化の原因になるため要注意です。食べ残しが出たら、スポイトなどで除去してください。

    また、人工餌は複数種類を与えたほうが飽きを防げます。特にワイルド個体は餌付けが難しいため、いろいろと与えて食いつきが良いものを見つけるとよいでしょう。

    メンテナンスは2週間~1か月に一度が目安

    メンテナンスとは、「水換え」「水足し」「水槽・周辺機器の掃除」を指します。

    水換えは飼育水のすべてを交換するのではなく、全体の1/3程度に留めるのがコツです。水槽の立ち上げ時を思い出し、人工海水を別途作ってください。交換前と交換後で水温が違うとカクレクマノミが驚いてしまうので要注意です。

    水を抜くついでに水槽の内壁やライブロックを洗うと効率的でしょう。特にフィルターにはゴミが溜まりやすく、入念な点検が必要です。また、ライブロックはきれいに見えても汚れが溜まっていることがあります。

    なお、ライブロック本来の浄化能力が働けば水換えはほぼ不要になるともいわれています。メンテナンスの頻度は2週間~1か月に一度が目安ですが、水質が適切かどうかは測定してみないとわかりません。水質検査キットや試験紙など便利なアイテムを利用して調べてるとよいでしょう。

    水足しは、最初にセットした水位よりも低くなったときに行います。飼育水が蒸発して水位が減り、水量に対して海水濃度が高くなっている状態のため、カルキ抜きをした水道水で薄めてください。

    イソギンチャクはいないほうが飼いやすい

    カクレクマノミとイソギンチャクは自然界では共生していますが、飼育下ではいなくても困りません。困らないどころか、イソギンチャクを混泳させることでデメリットが増える恐れすらあります。

    イソギンチャクの飼育はカクレクマノミよりも難しく、より自然界に近い生活環境を整えなければなりません。水質の悪化にも弱く、死んでしまうと水質が急速に悪化します。また、イソギンチャクを入れることでカクレクマノミの縄張り意識が刺激されることがあります。ハゼ類やハギ類など仲良くできる相手でも攻撃してしまうため注意しましょう。さらに、イソギンチャク自体がハゼ類やハギ類を食べてしまうこともあります。

    以上の理由から、イソギンチャクの混泳は初心者の方は避けたほうが無難です。どうしても飼いたいのであれば、カクレクマノミだけがいる水槽で、カクレクマノミと相性が良いイソギンチャクを選びましょう。例えば、サンゴイソギンチャクやタマイタダキイソギンチャク、シライトイソギンチャク、ロングテンタクルスアネモネなどです。

    カクレクマノミを繁殖させるなら

    カクレクマノミの繁殖させるなら

    飼育下のカクレクマノミを繁殖させることは、一般の飼い主さんでも十分可能です。ここでは、カクレクマノミの繁殖から産卵、稚魚の育て方までの流れを紹介します。

    カップルを成立させる

    まずは、カップルになり得る2匹の個体を限定しましょう。カクレクマノミは群れのなかで一番大きな個体がオスからメスへと性転換し、残りのオスのどれかと結ばれます。一つの水槽内で生まれるのは一カップルだけのため、サイズ差のある2匹を選びましょう。

    繁殖用の水槽に移す

    ほかのオスがいると気が散る恐れがあるため、繁殖用の水槽を別途用意するのが望ましいです。通常の設備に加え、産卵床を兼ねたシェルター(植木鉢など)を入れてあげてください。

    暖かく清潔な環境でたっぷり食べさせる

    水温は27~28℃とやや高めに設定したほうが交尾を促せます。体力を付けさせるため、餌はたっぷり食べさせましょう。食べ残しが出た場合はきれいに取り除いてください。水質の悪化は産卵や孵化に影響するためです。

    産卵までは根気よく待つ

    産卵の準備ができたメスは腹部が膨れ、産卵床の中を掃除しはじめます。ペアリングしてから産卵するまでの期間はバラつきがあり、数週間~2か月の場合もあれば、年単位でかかる場合もあります。

    孵化直線の照明はオフに

    カクレクマノミは孵化するまでの約1週間、卵の中である程度の大きさまで成長します。産卵直後はオレンジ色だった卵が、徐々に黒っぽく変色してくるはずです。孵化の準備ができれば飛び出すだけですが、自然下では日没後に孵化するため、卵の中から見える景色が明るいと出てきません。したがって、照明は必ずオフにしましょう。

    孵化直後は生き餌が必要

    孵化したばかりの仔魚(幼生)は非常に弱々しく、遊泳力も低いため、仔魚だけで飼育しましょう。ろ過装置はまだ必要ありません。

    また、孵化直後でも餌は食べますが、人工飼料は口にできません。はじめはワムシやブラインシュリンプといった生き餌を与えてください。餌を見つけやすいよう、照明は24時間点灯することもポイントです。人工飼料は孵化して1か月も経てば食べられるようになるでしょう。

    稚魚になれば水槽メンテナンスを行う

    人工飼料を食べ、カクレクマノミの縞模様が確認できるほどに成長した頃になれば、水換えをしましょう。溜まった汚れを落とし、清潔な環境に戻してあげます。この辺りのタイミングでフィルターをセットしますが、稚魚が吸い込まれないよう弱めの設定に調整しましょう。

    カクレクマノミの飼育で注意する点

    カクレクマノミの飼育で注意する点

    ここでは、知らないとついやってしまいがちな、カクレクマノミの誤った飼い方をいくつか解説します。カクレクマノミは比較的丈夫で飼いやすい海水魚ではありますが、飼い方によっては急速に元気がなくなり、気付いたときには手遅れ……という状態にもなりかねません。注意点をあらかじめ把握しておくことで、不幸な事故や病気を回避できます。

    飼ったばかりのカクレクマノミには「水合わせ」が必要

    カクレクマノミを購入すると、人工海水が入った小さな袋にパッキングされた状態で受け取るのが一般的です。ほかに良い方法がないとはいえ、カクレクマノミにとって過酷な環境であることは間違いなく、時間が経つにつれ衰弱していきます。

    したがって、実店舗で購入した場合は早急に帰宅して水槽に入れてあげたいところですが、ここに落とし穴があります。水槽内と袋内の水質・水温は違うことがほとんどのため、すぐに移し替えるとショック死してしまうかもしれません。

    そこで行うのが「水合わせ」という作業です。水槽内の水に徐々に慣れてもらうために、袋に入れた状態のまま水槽に浮かべる作業をいいます。具体的には、次の方法で行います。

    1. 袋に入った状態のまま水槽内に浮かべる
    2. 30分程度経過したら袋の中の水を1/4捨て、捨てた分を水槽内の水から補填する
    3. そのまま20~30分程度待つ

    「2」と「3」は4~5回繰り返し、水槽内の水が占める割合を増やしていけば、水合わせは完了です。

    ほかの海洋生物との混泳は必ず相性確認を

    カクレクマノミはイソギンチャクのほか、ほかの海水魚と混泳できます。水槽内に小さな海の世界を作り上げるのは、アクアリウムの楽しみ方の王道といえるでしょう。

    しかし、混泳させる生き物の相性には注意してください。カクレクマノミは縄張り意識が強く、自然界では共生関係にあるイソギンチャクですら相性が合わない種もいます。また、カニなどカクレクマノミを捕食する生き物もいるため要注意です。

    参考までに、カクレクマノミと相性が良い主なイソギンチャク・海水魚を紹介します。

    カクレクマノミと相性の良い主なイソギンチャク

    • サンゴイソギンチャク
    • シライトイソギンチャク
    • センジュイソギンチャク
    • タマイタダキイソギンチャク
    • ハタゴイソギンチャク
    • ロングテンタクルスアネモネ
    • ジュズダマイソギンチャク

    カクレクマノミと相性の良い主な海水魚

    • デバスズメダイ
    • ヒフキアイゴ
    • ハタタテハゼ
    • ヒレナガハギ
    • ニセモチノウオ
    • マンジュウイシモチ
    • キンセンイシモチ
    • ルリヤッコ

    水槽は直射日光が当たる場所へ置かない。電源近くも危険

    直射日光が当たる場所は水温が変わりやすく、コケも生えやすくなるためメンテナンスに手間を取られます。また、水槽のガラス面は必要以上に水槽内を明るくし、光のまぶしさでカクレクマノミがストレスを感じるかもしれません。さらに、水槽の材質によっては紫外線で劣化してしまいます。これらの理由から、直射日光が当たる場所に水槽を置くのはデメリットが多いといえます。

    電源近くはフィルターや照明を使うのに便利ですが、人工海水がかかるかもしれません。ふたを締めていても、地震で水槽が揺れて水が飛び出す可能性があります。

    以上から、水槽は「直射日光が当たらない」「電源の近くではない」「地震などで落下・損傷しない」場所に置くとリスクヘッジができます。理想は水槽用のキャビネットを組むことです。各メーカーからさまざまな商品が販売されていますが、DIYする方もいます。

    よくかかる病気を知っておく

    カクレクマノミに限った病気ではありませんが、白点病とトリコディナには要注意です。どちらも死にいたる恐ろしい病気です。症状の特徴と予防策・治療法を押さえておきましょう。

    白点病

    その名の通り、体の表面に白い点が浮き上がる病気です。クリプトカリオン・イリタンスという繊毛虫の一種が寄生することで発症します。水温の急激な変化や水質の悪化が原因であることが多く、カクレクマノミの免疫が低下していると発症しやすくなります。したがって、購入したばかりのカクレクマノミを水合わせすることは本当に重要です。

    病気が進行するとエラなどにも白点が表れ、呼吸困難になって死亡します。治療法は、まずは水槽環境の改善が第一。殺菌灯を設置するのもよいでしょう。それでも回復しなければ硫酸銅や銅イオンの水溶液で薬浴するほかありませんが、容量や使用法の管理が難しいため、初心者の方は必ず専門家のアドバイスを受けてください。

    トリコディナ

    トリコディナ属という繊毛虫に寄生された結果、体表に薄い膜ができたり、一部が白く変色したりします。トリコディナに侵されたカクレクマノミは泳ぎ方がおかしくなったり、食欲減退でやせ細ったりと、明らかな異変が見られます。進行スピードが早いため、すぐに治療しないとあっという間に死んでしまう恐ろしい病気です。

    原因は水質の悪化であることがほとんどのため、メンテナンスは怠らないようにしましょう。治療法で有効なのは淡水浴です。淡水は飼育水と同じ温度にするのはもちろん、カルキ抜きも必要です。また、エアレーションセット、pH調整剤を用意し、pHを8.1~8.3程度に上昇させます。

    準備ができたらカクレクマノミを移し、2~3分ほど泳がせてください。淡水浴中に白く小さな塊が落ちるのが見えたら、それが寄生虫であり、トリコディナにかかっていた証拠です。水槽内にもトリコディナの卵がある可能性が高いため、水換えすることをおすすめします。

    なお、カクレクマノミを飼育水に戻す際は、水合わせをお忘れなく。

    もうちょっと知りたい! カクレクマノミの飼育Q&A

    もうちょっと知りたい! カクレクマノミの飼育Q&A

    カクレクマノミを飼うにあたってよく頂く質問にQ&A形式でお答えします。これから購入する方はもちろん、すでに飼育している方もぜひ参考にしてください。

    Q.初期費用以外にどのくらいお金がかかるでしょうか?

    A.あくまで目安ですが、電気代(ヒーター、フィルター、照明)は月500~1,000円程度でしょう。人工海水の素やカルキ抜きはさまざまな価格がありますが、一度にすべてを使い切るわけではないため、月換算するとワンコイン以下に抑えることも可能です。

    Q.出張などで家を空けることも多いのですが……それでも飼えますか?

    A.日頃からきちんとメンテナンスを行っていれば特に問題ないでしょう。心配なのは餌やりですが、カクレクマノミはある程度の「食いだめ」ができる海水魚です。数日間の絶食なら耐えられます。念のため、留守にする数週間前から多めに餌を与え、体力を付けさせておきましょう。

    Q.人工飼料を食べてくれません

    A.自然採取されたワイルド個体ではよくある例です。そもそも餌として認識していない可能性が高いでしょう。そのようなときは、冷凍のイサザアミやブラインシュリンプを与えてみてください。嗜好性が高く、栄養もたっぷりなので喜んで食べてくれるはずです。徐々に人工飼料も混ぜていけば餌付けが可能です。

    まとめ

    カクレクマノミの飼い方まとめ

    カクレクマノミは初心者の方でも飼いやすい海水魚です。価格も手頃で、飼育費用もさほどかかりません。相性の良い生き物を選べば混泳も楽しめ、水槽内を小さな水族館にできます。ただし飼育難易度は上がるため、混泳は中級者以上になってからチャレンジすることをおすすめします。

    比較的丈夫な魚ですが、白点病やトリコディナといった病気には要注意です。水温や水質の管理には十分注意してください。購入したばかりの個体は環境の急変で体調を壊しやすいため、よく観察しましょう。

    何か疑問や不安があれば、購入したショップに相談してみてはいかがでしょうか。カクレクマノミはカインズが展開するpetsone(ペッツワン)でも取り扱っており、お答えできる範囲でアドバイスいたします。お気軽にご相談ください。

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