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あおば動物クリニック所属

世界には700~800の犬種がいるといわれており、大きさもさまざまです。日本で見かけるのは小型犬、中型犬が多いからか、時折大型犬、超大型犬が散歩しているのを見ると足を止めて見入ってしまう人もいるのではないでしょうか。
この記事では世界一大きい犬はどんな犬なのか、また、超大型犬に分類される犬種の特徴や魅力、飼う場合の注意点を紹介します。
目次
- 【ギネス世界記録認定】最も背が高い犬、グレート・デン
- 大きいけれど性格が穏やかな超大型犬の魅力とは?
- 超大型犬に分類される犬種
- 超大型犬を飼うときの注意点
- まとめ
【ギネス世界記録認定】最も背が高い犬、グレート・デン
2024年6月、ギネスワールドレコーズは当時アメリカ、アイオワ州で暮らしていたグレート・デンのケビンを「存命中で最も背の高いオス犬(tallest living male dog)」に認定しました。一般的なグレート・デンの体高(足先から肩までの高さ)はオスで80㎝以上、メスで72㎝以上といわれていますが、ケビンは体高97cmもあったといいます。
過去にギネス認定され、背の高さ一番の記録を保持している犬種もやはりグレート・デンです。ミシガン州のゼウスという名前の犬でした。その体高は111.8cmで2013年と2014年に新記録として認定されています。
大きいけれど性格が穏やかな超大型犬の魅力とは?
犬の大きさによる分類には正式な定義があるわけではありません。一般的には体重で分類されることが多く、成犬体重が10kg未満は「小型犬」、10~25kg未満は「中型犬」、25kg~40kg未満は「大型犬」、40kg以上は「超大型犬」とされています。
体高による分類は一般的ではありませんが、「小型犬」は40cm未満、「中型犬」は40~60cm、「大型犬」は60~70cm、「超大型犬」は70cm以上が目安となります。超大型犬の場合、脚で立つと成人男性の身長を超える犬種もいます。
また、超大型犬の性格は穏やかで平和主義の犬種が多い傾向にあります。その大きさゆえ存在感があり、性格的には穏やかで安定しているため、盲導犬をはじめとする使役犬として活躍している犬種も多数います。
吠えたり飛びついたりすることはめったにないものの、力があるため犬はじゃれているつもりでも、飼い主の力が弱いと押し倒される可能性もあり注意が必要です。
超大型犬に分類される犬種
どのような犬種が大型犬に分類されているのでしょうか。以下に、代表的な犬種の大きさや特徴を紹介します。
グレート・デン
ギネス世界記録に最も背が高い犬として認定されたグレート・デンはドイツが原産の犬です。体高はオスで80㎝以上、メスで72㎝以上、体重は45~80㎏です。古くから猟犬として活躍しており番犬や警護ができる使役犬に分類されています。
体は筋肉質でがっちりしていますが、首や足が長くすらっとしているため、その立ち姿に高貴さを感じる人も多いのではないでしょうか。性格は基本的には温和で小動物や家族以外の他者には控えめにふるまいます。ただし、攻撃的になることもあるため忍耐力をつける訓練を行うと良いとされています。
レオンベルガー
ライオンのような飾り毛が特徴のレオンベルガー。1800年代、ドイツ人によってニューファンドランド、セント・バーナード、グレート・ピレニーズなどをベースに作られた犬種です。体高はオスで72~80cm、メスで65~75cm、体重はオスが約40kg以上、メスが37kg以上。
性格は温和で家族や子どもに対して素直に愛情表現をするため家庭犬に向いています。飼い主に忠実でおおらかな性質ですが、力が強いため子犬の頃からしっかりトレーニングをして社会性を育てることが大切です。
ナポリタン・マスティフ
顔にはたくさんのシワが寄り、どう猛にも見える外観のナポリタン・マスティフはイタリアが原産です。古代ローマ時代にヨーロッパ中に広がったとされ、多くのマスティフ犬種の祖先となったと考えられています。体高はオスが65~75cm、メスが60~68cm、体重はオスが60~70kg、メスが50~60kgです。
性格は温和で飼い主には甘えん坊の面もあります。古くは闘犬や牧羊犬、サーカス犬として活躍した歴史もありますが、現在は家庭犬として、また家族を守る番犬として親しまれています。
ニューファンドランド
フサフサとした豊かな被毛とがっしりとした体格が特徴的なニューファンドランドは、カナダ・ニューファンドランド島の土着犬です。はるか昔から、遭難した猟師を救ったり海の仕事の手助けをしたり使役犬として暮らしてきました。体高は66~71cm、体重は54~68kg。
性格は温厚で大らか、人懐っこく甘えん坊ですが、家族が危険なときは懸命に助けようとする一面もあります。トレーニングによって友好的な性質を伸ばすことも必要です。
ボルゾイ
細長い顔と長い手足、美しい毛並みが特徴的なボルゾイ。身体能力が高く、オオカミを追いかける猟犬としてロシアで飼育されてきた犬種です。体高はオスが75~85cm、メスが68~78cm、体重はオスが34~48kg、メスが27~39kgです。
性格は基本的には穏やかで物静かですが、飼い主に示す態度には個体差があり、愛着を示すタイプと、独立心が強く人に慣れにくいタイプに分かれます。自己主張が強くなりすぎないよう子犬の時期に適切なトレーニングを行う必要があります。
ボルドー・マスティフ
フランスが原産のボルドー・マスティフは、しわだらけの顔と赤毛が特徴的。とても希少な犬種です。起源は古く、古代フランス犬種の中で最も古い犬種のひとつといわれています。過去には猪や熊などの猟犬として、また護衛犬、闘犬として活躍した歴史があります。体高はオスが60~68cm、メスが58~66cm、体重はオスが50kg~、メスが45kg~。
性格は、かつては攻撃的でしたが、闘犬廃止後に改良され、温和で愛情深い性質になりました。現在では家庭犬や番犬として愛されています。
アイリッシュ・ウルフハウンド
骨太の前肢と筋肉が発達した後ろ肢を持つアイリッシュ・ウルフハウンドは、力強くて堂々とした体つきが特徴です。アイルランドが原産で、古くから大型獣やオオカミの猟で活躍してきました。体高はオスが79cm以上、メスが71cm以上、体重はオスが54.5kg以上、メスが40.5kg以上。
性格はおとなしく、人や他の犬に対して寛容です。飼い主には忠実ですが、時に興奮することがあるため子どもがいる家庭では注意が必要です。
セント・バーナード
大きな垂れ耳とふさふさとした被毛、筋肉質のがっしりとした体格が特徴的なセント・バーナード。スイスの山岳救助犬として遭難者の捜索に同行し、多くの人々の救助を行ってきました。家庭犬としても世界中で愛されています。体高はオスが70~90cm、メスが65~80cm。体重はオスが65~80kg、メスが55~70kgです。
性格に個体差はあるものの基本的には穏やかで友好的です。警戒心が強い面もあるので早めの社会化が必要です。
グレート・ピレニーズ
どっしりとした存在感とふさふさの毛が印象的なグレート・ピレニーズ。古くからフランスとスペインの国境にあるピレネー山地で、牧羊犬や護衛犬として活躍してきました。体高はオスが70~80cm、メスが65~75cm、体重はオスが45~57kg、メスが39~52kg。
性格はおおらかで穏やか。素直で思慮深い面もあるため小さな子どもとも仲良く遊ぶことができます。その一方で縄張り意識が強い傾向にあり、攻撃行動が出てしまうと周囲に危険がおよぶ恐れもあるため注意が必要です。

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超大型犬を飼うときの注意点
超大型犬を飼うにはさまざまな面で注意が必要です。主な注意点を紹介するので参考にしてください。
住居スペース
超大型犬であっても暑さ寒さ対策のために室内で飼うことが推奨されています。そのため、飼育スペースはもちろん、家族が暮らす住居スペースも十分な広さが必要です。
食事
病気やけがのリスクが上がるため肥満には注意しなければなりません。体重に合った量を与え、しっかり運動ができる環境も整えましょう。
運動
かつては狩猟犬、牧羊犬として活躍していた犬種がほとんどなのでかなりの運動量が必要です。最低でも1回1時間程度の散歩を1日に2回行う必要があるといわれています。
寿命
一般的に大型犬の平均寿命が11.5歳といわれており、超大型犬はこれより平均寿命が短い可能性があります。
トレーニング
体が大きいため、遊びでじゃれているつもりでも相手をけがさせたりトラブルになったりする場合があります。飛びつきやかみ癖、むだ吠えなどは子犬のころからトレーニングをして社会化を身に着ける必要があります。
資金面
小型犬に比べ食事やトレーニング費用、医療費、老犬介護費は多くかかると覚悟しておきましょう。
まとめ
ギネスの世界記録に認定されている世界一大きな犬は超大型犬に分類されるグレート・デンです。超大型犬の魅力や、超大型犬に分類される代表的な犬種について紹介しました。性格はおだやかですが、飼うにあたっては住居スペースの広さや資金面など注意点も多くあります。