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ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。
がっしりとした体格が特徴的なニューファンドランドですが、ニューファンドランドを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、ヤマザキ動物看護大学動物看護学部准教授の福山貴昭先生に教えていただいた、ニューファンドランドの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- ニューファンドランドの歴史やルーツ、英語名は?
- ニューファンドランドの体高や体重は?
- ニューファンドランドの平均寿命は?
- ニューファンドランドの毛色の種類、被毛、外貌の特徴は?
- ニューファンドランドはどんな性格、習性?
- ニューファンドランドを迎える際にかかる費用は?
- ニューファンドランドのしつけと社会化トレーニングのポイント
- ニューファンドランドに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- ニューファンドランドを飼うのに向いている人は?
- ニューファンドランドがかかりやすい病気と予防法は?
- ニューファンドランドの日常のお手入れ方法
- ニューファンドランドとの生活で注意すべきことは?
ニューファンドランドの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | ニューファンドランド |
英語名 | Newfoundland |
原産国 | カナダ |
分類 | 超大型犬 |
グループ | 2G:使役犬 |
ニューファンドランド【英語:Newfoundland】は、カナダが原産の超大型です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、番犬、警護、作業をする犬「2G:使役犬」に属します。
ニューファンドランドのルーツはカナダ・ニューファンドランド島の土着犬で、バイキングやヨーロッパの漁師が連れてきた犬と交配してつくられたといわれています。はるか昔から、遭難した猟師を救ったり海の仕事の手助けをするなど、人々の生活に密着して暮らしていました。
ちなみに、島流しされたナポレオンが脱出する際に、船から転落して溺れそうになっていたところを助けたのがニューファンドランドだったという言い伝えがあります。
ニューファンドランドの体高や体重は?
体高:66~71cm
体重:54~68kg
ニューファンドランドは超大型犬に分類されます。筋肉質で骨太、頑丈な体付きをしています。
ニューファンドランドの平均寿命は?
ニューファンドランドの寿命は7~11歳くらいだといわれています。『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、大型犬の平均寿命は11.5歳となっています。ニューファンドランドは超大型犬のため、これより寿命が短い可能性があります。
犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
ニューファンドランドの毛色の種類、被毛、外貌の特徴は?
ニューファンドランドの毛色は、ブラックとブラウンがあります。また、ホワイトが混ざったブラック&ホワイトもあります。被毛の色によっては異なる犬種名にする団体もあります。被毛はダブルコートでやや長めです。オーバーコートは固く直毛で、防寒の役目をはたすアンダーコートは豊富です。水辺の作業に耐えられるよう被毛は皮脂で覆われます。
ニューファンドランドは頑丈な骨格で筋肉質、がっしりとした体格をしています。また、水中で活動するため指の間に水かきがついているのも特徴です。
ニューファンドランドはどんな性格、習性?
ニューファンドランドは温厚で大らか、人懐っこい性格です。甘えん坊で、飼い主家族といつも一緒にいたがります。一方、警戒心も持ち合わせており家族が危険にさらされていると判断したときは、懸命に助けようとする一面もあります。友好的な性質を伸ばす飼育は必須です。
ニューファンドランドを迎える際にかかる費用は?
ニューファンドランドを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
ペットショップ、ブリーダー |
約30~50万円 |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000~10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約10,000~30,000円 |
飼い始める際にかかる費用
ニューファンドランドをペットショップから迎える際の価格の目安は、約30~50万円です。月齢や血統などにより、値段が上がることもあります。ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。また、常に子犬が産まれているとは限らないため、ニューファンドランドのブリーダーにあらかじめ問い合わせたりしておくと良いでしょう。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加し、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。また、ニューファンドランドは自治体によって飼育に規制がある場合もあるため、事前に確認しましょう。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計2回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを2回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。2回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打つことが多いです。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育する上での生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。体の大きい犬種だとグッズ代やトリミング代などが高額になるなど犬種によって大きく異なるため、目安としてニューファンドランドの場合は平均より高額になると考えておきましょう。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるようにしておきましょう。
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ニューファンドランドを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。ニューファンドランドは水辺の遊びが大好きですから、水遊びの環境を用意できれば理想的です。
犬の生体代を除く初期費用としては、5~7万円程度を見込みましょう。ニューファンドランドは体が大きくなるため、クレートやケージ、サークル費用は平均より少し高くなる傾向にあります。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどですが、ニューファンドランドは体が大きいので食事量は多く、トイレシーツも大型タイプを選ぶ必要があるので平均よりかかると見込みましょう。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主の元へ返すための重要な役目を果たします。装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの装着が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。QRコード付きの高機能の迷子札も人気があります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策を取るのもおすすめです。
ニューファンドランドのしつけと社会化トレーニングのポイント
ニューファンドランドは、人と共同して仕事をしてきた犬種ですので、トレーニングをしやすい犬種だと言えます。驚いて暴れたり急に走り出したりしないよう、子犬の頃からさまざまな刺激に慣らしておきましょう。
また、ニューファンドランドに限らず、犬は初めて見るものや知らない人と出会ったとき、恐怖心と警戒心から吠えたりすることがあります。恐怖心や警戒心が強く現れる前の子犬の時期にトレーニングすることで、社会性を身に付けられます。
なお、超大型犬で力が強いため、引っ張られて転倒することがないよう、リーダーウォークを根気強く教えましょう。
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ニューファンドランドに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:1時間を1日2回
✓運動量:普通
✓おすすめの遊び:犬用プール、海や川など水辺での遊び
ニューファンドランドはさほど活発ではなく激しい運動は不要ですが、運動不足でストレスが溜まらないよう、散歩は1日に2回、それぞれ1時間程度の散歩をするのがよいでしょう。
原産国のカナダでは水難救助犬として、あるいは漁師のパートナーとして活躍しています。
水場で活動してきたことから、運動不足にならないよう、十分な運動量が必要です。
犬用プールや安全な海、川で遊ばせてあげたり、泳がせてあげたりするのもよいでしょう。
ニューファンドランドを飼うのに向いている人は?
✓力持ちで体力のある人
体重が50kg以上になる大きな体と力を制御できるくらい力持ちで、一緒に運動できる体力のある人が向いているでしょう。余裕のある住空間、大きな庭や犬が遊べるプールがあれば理想的です。
✓子どものいる家庭でも大丈夫
ニューファンドランドは子どもが好きな犬として知られているため、小さなお子さまがいるご家庭でも犬がストレスを感じにくいでしょう。とはいえ、体が大きい犬種なので、大人しく振る舞う訓練が必要です。子犬期からしっかりとトレーニングをすれば、優れた家庭犬になります。
✓超大型犬のトレーニングをできる人
体が大きい犬種なので、ちょっとしたことが事故につながることがあります。しっかりと犬の興奮をコントロールできるように訓練できなくてはいけません。
ニューファンドランドがかかりやすい病気と予防法は?
ニューファンドランドがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓拡張型心筋症
心臓の筋肉が薄くなり、収縮力が低下して血液をうまく送れなくなる病気です。進行すると元気がなくなり、運動を嫌がるようになり、不整脈で突然死を起こすこともあります。
発症を予防するのは難しく、定期的に心臓検査を受けて異常が見つかったら早期に対応することが大切です。
✓胃捻転
ニューファンドランドを含む大型犬にリスクの多い病気です。胃がねじれてしまい、短時間で急激に全身状態が悪化する危険な病気です。緊急手術が必要になるケースもあります。原因となる早食い、ドカ食いをさせないようにしたり、食後の運動を控えたりするなどの予防策を意識しましょう。
✓股関節形成不全
ニューファンドランドを含む大型犬にリスクの多い病気です。成長過程で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。急激な肥満などが誘発することがあるので、体重管理を心がけましょう。
✓外耳炎
湿気が耳道にこもりやすい垂れ耳の犬種に多い病気です。原因はアレルギーや細菌性の炎症など。強いかゆみを引き起こし、頭を激しく振ったり、耳を足で激しく掻きむしったりしますが、点耳薬などで治療できます。定期的な耳掃除で予防しましょう。
そのほか、心臓の弁に異常が起きて全身の血流が悪くなる「大動脈弁狭窄症」、心室を分ける中隔に穴が開き血液が逆流する「心室中隔欠損症」という心臓疾患になりやすいと言われています。
ニューファンドランドの日常のお手入れ方法
✓ブラッシング:毎日
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:1カ月に1回程度
衛生面を保つためにも、1カ月に1回程度、定期的にシャンプーを行います。
また、被毛も非常に厚く長毛種で毛玉もできやすいため、毎日のブラッシングは欠かさないようにしましょう。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯磨きは毎日~2日に1回、耳掃除や肛門腺絞り、爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床で滑りやすくなるためカットしてください。
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ニューファンドランドとの生活で注意すべきことは?
ニューファンドランドと生活する上で注意すべきポイントを紹介します。
✓事故予防にトレーニングはしっかりと!
ニューファンドランドは超大型犬のため、入ってほしくない場所には頑丈な仕切りなどを設置して、事故を予防しましょう。力が強いので、ほかの人や動物に寄っていったり、飛びついたりしないよう、日頃からのトレーニングが大切です。
✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに!
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。
✓熱中症に注意!
黒い被毛を持つ犬は、全身で太陽光の熱を吸収しやすいため注意が必要です。晴天下で過ごす際は特に、口呼吸(パンティング)が激しくないか、体が熱くなっていないかこまめに確認しましょう。屋外では、充分な水分補給や太い血管のある場所を冷やすなど、暑さ対策は万全に。
✓定期的にブラッシングをしよう!
ニューファンドランドのようなダブルコートの犬は毛が密生しているため、むだ毛が絡まったり、毛玉になったりすることを防ぐためにも定期的なブラッシングを心がけましょう。超大型犬のため、寝転んで全身をブラッシングできるようにしておくと、犬も飼い主もラクです。
その他、月に1度の頻度でシャンプーすることもおすすめです。肌のバリア機能が低下する原因にもなるため、洗いすぎは禁物です。シャンプーが難しい場合はプロの手を借りましょう。
✓口元をこまめに拭こう!
ニューファンドランドはよだれが多い犬種です。運動や食事の後は口元をこまめに拭いてあげましょう。屋内ではよだれで家具などが汚れることを考え、あらかじめカバーをかけたり定期的に掃除を行ったりしましょう。