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オールペットクリニック所属。日本獣医皮膚科学会認定医。 アメリカChi University Veterynary Food Therapyコース修了。
大きな体でライオンのような飾り毛が特徴のレオンベルガーですが、レオンベルガーを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、オールペットクリニックの五十嵐里菜先生に教えていただいた、レオンベルガーの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- レオンベルガーの歴史やルーツ、英語名は?
- レオンベルガーのオスとメスの体高や体重は?
- レオンベルガーの平均寿命は?
- レオンベルガーの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
- レオンベルガーはどんな性格、習性?
- レオンベルガーを迎える際にかかる費用は?
- レオンベルガーのしつけと社会化トレーニングのポイント
- レオンベルガーに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- レオンベルガーを飼うのに向いている人は?
- レオンベルガーがかかりやすい病気と予防法は?
- レオンベルガーの日常のお手入れ
- レオンベルガーとの生活で注意すべきことは?
レオンベルガーの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | レオンベルガー |
英語名 | Leonberger |
原産国 | ドイツ |
分類 | 超大型犬 |
グループ | 2G:使役犬 |
レオンベルガー【英語:Leonberger】は、ドイツが原産の超大型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、番犬や警護、作業をする「2G:使役犬」に属します。
レオンベルガーは、1846年にドイツ人のエインリッヒ氏によって作出されました。誕生した街の名前“レオンベルガー”が犬種名となっています。ニューファンドランド、セント・バーナード、グレート・ピレニーズなどがベースになっているとされています。
見張り能力と牽引能力が高く評価され、牧畜犬として活躍していました。現在では、優れた家庭犬としてだけでなく、泳ぎが得意なので優れた水難救助犬としても活躍しています。
レオンベルガーのオスとメスの体高や体重は?
体高:オスは72~80cm、メスは65~75cm
体重:オスは約40kg以上、メスは約37kg以上
レオンベルガーは超大型犬に分類されます。
レオンベルガーの平均寿命は?
レオンベルガーの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、大型犬の平均寿命は11.5歳となっています。レオンベルガーは超大型犬なので、これより平均寿命が短い可能性があります。
犬を迎える際は、最期の時までしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
レオンベルガーの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
ジャパンケネルクラブの犬種標準では、レオンベルガーの毛色はライオン・イエロー、レッド、レディッシュ・ブラウン、サンド(フォーン、クリーム)、さらにこれらの組み合わせすべてとされていて、マズル(口吻)にブラック・マスクが入ります。
水泳に適したコートは厚く、防水効果があります。さらに水で濡れて身体が冷えないように、首周りと脚の後ろ側の被毛が長く飾り毛になっています。
外貌は筋肉が発達したがっしりした体つきで、瞳はチェスナット、大きくて黒い鼻、長いふさ毛の尾が垂れています。
また、指の間の皮膚は水かきのように発達しています。
レオンベルガーはどんな性格、習性?
レオンベルガーは、温和で愛情豊かな性質です。家族や子どもに対して親愛の表現が素直で、優れた家庭犬となります。
吠えることは少なく、番犬には向きません。
自信に満ちてゆったりとした落ち着きがあり、学習能力や記憶力に優れています。
レオンベルガーを迎える際にかかる費用は?
犬を飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。
レオンベルガーは超大型犬であるため、生活用品や消耗品の費用は紹介する金額より高くなると見込んでおきましょう。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
ペットショップ、ブリーダー |
約50万円~ ※ブリーダーによる |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000~10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約10,000円~ |
飼い始める際にかかる費用
レオンベルガーは、ペットショップでは販売が珍しい犬種ですが、国内にブリーダーがいます。迎える際の価格目安は、血統や月齢などによりますが、50万円前後からが目安となるでしょう。
ブリーダーから購入する際はあくまで目安となり、価格は変動することがあります。また、常に子犬が産まれているとは限らないため、レオンベルガーのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくと良いでしょう。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。また、レオンベルガーは自治体によって飼育に規制がある場合もあるため、事前に確認しましょう。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。
母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回摂取するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。体の大きい犬種だとグッズ代やトリミング代などが高額になるなど犬種によって大きく異なるため、目安としてレオンベルガーの場合は平均より高額になると考えておきましょう。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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犬を迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。レオンベルガーは泳ぎを得意とする犬種のため、水遊びの環境を用意できれば理想的です。
犬の生体代を除く初期費用としては、5~7万円程度を見込みましょう。レオンベルガーは体が大きくなるため、クレートやケージ、サークル費用は平均より高くなる傾向にあります。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどですが、レオンベルガーは体が大きいので食事量は多く、トイレシーツも大型タイプを選ぶ必要があるので平均よりかかると見込みましょう。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまった時に、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。
装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。
そのため、レオンベルガーを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。
レオンベルガーのしつけと社会化トレーニングのポイント
レオンベルガーは、賢く飼い主に忠実なため、トレーニングは得意です。
攻撃性がなくおおらかな性質なので、子どもに対しても優しく接することができます。
とはいえ超大型犬に育ち、それなりの力もあるので、しっかりと飼い主が犬の興奮や力をコントロールできなくてはいけません。子犬の頃から毅然とした態度で一貫した訓練を行い、信頼関係をきちんと維持することが大切です。
また、子犬の頃からたくさんの人に会わせ、多くの経験をさせることで、見知らぬことに対して過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。
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レオンベルガーに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:1時間以上を1日2回
✓運動量:多い
✓おすすめの遊び:水泳
体の大きなレオンベルガーは、その分多くの運動量を必要とします。
散歩は1時間以上を1日2回が理想です。身体が大きいため、関節に負荷がかからないように激しい運動よりは長時間散歩をしてあげる方が向いています。
また泳ぎが得意な犬種なので、暖かい季節は海や川に連れて行ってあげると喜ぶでしょう。
レオンベルガーを飼うのに向いている人は?
✓子どものいる家庭でも大丈夫
レオンベルガーは、子どもに優しく気遣いができる犬種だといわれています。とはいえ、体が大きい犬種なので、徹底した訓練が必要です。
✓力持ちで体力のある人
体重が40kg以上になる大きな体と力を制御できるくらい力持ちで、一緒に運動できる体力のある人が向いているでしょう。
✓超大型犬のしつけトレーニングをできる人
体が大きい犬種なので、ちょっとしたことが事故につながることがあります。しっかりと犬の興奮をコントロールできるように訓練できなくてはいけません。
レオンベルガーがかかりやすい病気と予防法は?
レオンベルガーがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓胃捻転
大型犬にリスクの多い病気です。胃がねじれてしまい、短時間で急激に全身状態が悪化する危険な病気です。緊急手術が必要になるケースもあります。原因となる早食い、ドカ食いをさせないようにしたり、食後の運動を控えるなどの予防策を意識しましょう。
✓股関節形成不全
大型犬にリスクの多い病気です。成長過程で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。急激な肥満などが誘発することがあるので、体重管理を心がけましょう。
✓副腎皮質機能低下症(アジソン病)
副腎機能が低下して、ホルモンが作れなくなる病気です。重症化すると、多飲多尿や震え、痙攣などの症状が現れます。ホルモンを補充する内科治療を行いますが完治はせず生涯治療を続けます。若齢で発症するケースが多いようです。
✓レオンベルガー多発性ニューロパチー(LPN)
レオンベルガー特有の病気で、生後数か月で発症する遺伝子疾患です。後ろ足の運動麻痺などの症状があります。
レオンベルガーの日常のお手入れ
✓ブラッシング:毎日
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:不要
全身を覆う豊富なコートのお手入れは毎日行いましょう。特に春と秋は換毛期で抜け毛が増えるため、入念にお手入れが必要です。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯みがきは毎日~2日に1回、耳掃除や爪切りは1カ月に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。
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レオンベルガーとの生活で注意すべきことは?
✓事故予防にトレーニングはしっかりと!
レオンベルガーを含む超大型犬は、ちょっとしたことが事故につながってしまうことも考えておきましょう。頑丈なケージを用意したり、入ってほしくない場所には入れないように仕切りを設置したりするなどして事故を予防します。また力が強いので、人や動物に飛びついたりしないよう、日頃からのトレーニングも大切です。
✓飼育スペースは十分な広さを確保!飼育費も準備して
レオンベルガーは超大型犬で、トイレも寝る場所も大きな体の分広さが必要になります。さらに、食費やペットシーツ代などの消耗品や、医療費、ペットホテル費なども、小型犬、中型犬より高額になります。住居スペースや金銭的な負荷を考慮したうえで迎え入れるようにしましょう。
✓暑さ管理に注意が必要
レオンベルガーは厚い被毛のおかげで冬の寒さにはとても強い反面、日本の高温多湿な気候は苦手です。熱中症対策は万全にしましょう。
✓自治体の特定犬制度の対象か確認、準備しよう
レオンベルガーを含む大型犬や超大型犬は、人に危害を与える可能性がある特定犬として飼育規制が設けられている自治体があります。各自治体で定められている遵守事項のほか、飼養義務があるためレオンベルガーを飼う際は条件を満たす環境であるか、確認しておきましょう。