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博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。evergreen pet clinic ebisu行動診療科担当。日本獣医行動学会研修医。藤田医科大学客員講師。

毎日のごはん時間、実は愛犬の“満足度”や“落ち着き”にも影響していることをご存じですか? ちょっとした工夫で、食事がもっといい時間に変わるかもしれません。(PR)
目次
- 愛犬はごはんに何分かけている? 理想的な食事時間
- 5分で完食は早すぎ! 愛犬が『満腹』を感じる20分のヒミツ
- 愛犬との関係も良くなる! 無理なく叶える『20分ごはん』の秘訣
- “20分ごはん”に向けた強い味方! カインズの『早食い防止マット』登場
- 愛犬の“イライラのサイン”にも気をつけて。『早食い防止マット』の注意点
- いざ『早食い防止マット』で愛犬と20分ごはんを目指す!
- バスタオルでノーズワーク! 愛犬と「宝探し」で楽しく時間稼ぎ
- まずは「昨日より少し長く」を意識してみよう
愛犬はごはんに何分かけている? 理想的な食事時間

「うちの子、ごはん食べるの早いな〜」
そう思ったことがある方、きっと多いのではないでしょうか。
あっという間に完食する姿は元気そのもの。フードに勢いよく食らいつく姿を見ると、「食欲があって何より」と、むしろ安心してしまうこともありますよね。
しかしあるとき、獣医師から「犬の理想的な食事時間は約20分」という話を聞いて、思わずドキッとしました。それより早く食べ終える子は“早食い”とされ、満腹感や健康面に思わぬ影響があることもあるのだそうです。
わが家の愛犬たちは、1〜5分でぺろり。
「ちょっと食べるの早いな〜」とは思っていたものの、それが“早食い”と呼ばれる状態で、気をつけたほうがいいものだなんて、考えたこともありませんでした。
「ごはんに20分もかけて食べるなんて無理では……?」と正直思いましたが、早食いを少しでも防ぐことで、行動や気持ちに変化が出ると聞いて、試してみたくなりました。
今回は、獣医動物行動学の専門家・茂木千恵先生に、「早食いのリスク」や「なぜ20分がいいのか?」と「無理なくゆっくり食べてもらうコツ」を伺いつつ、実際にわが家でチャレンジした様子もご紹介します。
5分で完食は早すぎ! 愛犬が『満腹』を感じる20分のヒミツ
ではなぜ、犬の食事には「約20分」かけるのが理想とされているのでしょうか?
獣医動物行動学の専門家・茂木千恵先生によると、その理由は「満腹を感じるまでの時間」と「早食いによるリスク」の両面にあるといいます。

食後に「もうお腹いっぱい」と感じるのは、消化管から出るホルモンのおかげです。犬では、そのひとつであるコレシストキニン(CCK)が食後15分ほどで増え始め、25分ほどでピークに達することがわかっています。こうした仕組みからも、ゆっくり食べることが満腹感につながりやすいと言えるのです。(※1)
つまりあっという間にごはんを食べてしまうと、脳が“満腹”を感じる前に食事が終わってしまい、「まだ足りない」と感じやすくなります。その結果、落ち着かなくなったり、食後にフードを探し回るような行動が出ることもあるそうです。

さらに、健康上のリスクも無視できません。
茂木先生によると、早食いの習慣がある子は、以下のような健康トラブルにつながることがあるそうです。
- フードを丸呑みして喉に詰まり、窒息するリスク
- 食べ物や空気を一気に飲み込むことで誤嚥や吐き戻しが起きる
- 大型犬では、食事の速度が速いことが胃拡張捻転症候群(GDV)につながることもある
実際、食べる速度が速い犬は、遅い犬に比べて胃拡張捻転症候群(GDV)を発症するリスクが約2.36倍高いという報告もあります。(※2)
※ただし統計的な因果関係は明確ではなく、「少なくともゆっくり食べさせることで悪化することはない」とされています。
また、行動面でも早食いによる影響が見られることがあります。

早食いは、食事関連攻撃行動のひとつとされ、犬がごはんなど大切な食べ物を守ろうとする場面でも見られます。特に衝動性や恐怖心が強い犬は、早食いや食事関連攻撃行動を示しやすいことが報告されています
わが家でも、食後に落ち着かない様子や、空になった器を舐め続ける姿をよく見かけていました。
「規定量のごはんをあげているはずなのに、満足できていないんだな」と感じることも……。
20分という時間は、満腹感を得るためだけでなく、健康や心の安定のためにも大切な目安なのだと感じました。
もちろん、いきなり20分かけて食べてもらうのは難しい場合もあります。でも、「今より少しでも長く食べてくれたらOK」くらいの気持ちで、まずはできるところから試してみるのがよさそうです。