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ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。
しわだらけの顔と赤毛が特徴のボルドー・マスティフですが、ボルドー・マスティフを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、ヤマザキ動物看護大学動物看護学科准教授、ドッググルーミングスペシャリストの福山貴昭先生に教えていただいた、ボルドー・マスティフの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- ボルドー・マスティフの歴史やルーツ、英語名は?
- ボルドー・マスティフのオスとメスの体高や体重は?
- ボルドー・マスティフの平均寿命は?
- ボルドー・マスティフの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
- ボルドー・マスティフはどんな性格、習性?
- ボルドー・マスティフを迎える際にかかる費用は?
- ボルドー・マスティフのしつけと社会化トレーニングのポイント
- ボルドー・マスティフに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- ボルドー・マスティフを飼うのに向いている人は?
- ボルドー・マスティフがかかりやすい病気と予防法は?
- ボルドー・マスティフの日常のお手入れ
- ボルドー・マスティフとの生活で注意すべきことは?
ボルドー・マスティフの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | ボルドー・マスティフ |
英語名 | Bordeaux Mastiff |
原産国 | フランス |
分類 | 超大型犬 |
グループ | 2G:使役犬 |
ボルドー・マスティフ【英語:Bordeaux Mastiff】は、フランスが原産の大型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、番犬や警護、作業をする「2G:使役犬」に属します。
起源は古く、古代フランス犬種の中でも最も古い犬種のひとつで、ローマ人が戦争や競技場で使ったグリーク・マスティフが祖先だという説や、ケルト民族が狩猟に使っていたマスティフが祖先だという説などがあります。
猪や熊などの大型獣の猟犬として、また家や家畜の護衛犬として、さらに闘犬として活躍した歴史から、かつてはどう猛な性質でしたが、現在では改良されて家庭犬や番犬として愛されるようになりました。
日本はもとより原産国フランスでも希少な犬種です。
ボルドー・マスティフのオスとメスの体高や体重は?
体高:オスは60~68cm、メスは58~66cm
体重:オスは50kg~、メスは45kg~
ボルドー・マスティフは超大型犬に分類されます。
ボルドー・マスティフの平均寿命は?
ボルドー・マスティフの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、大型犬の平均寿命は11.5歳となっています。ボルドー・マスティフは超大型犬なので、これより平均寿命が短い可能性があります。
犬を迎える際は、最期の時までしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
ボルドー・マスティフの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、ボルドー・マスティフの毛色はフォーンで、マホガニーからイザベラまで許容されるとされています。白い小班が胸と足先にある場合もあります。
ブラックかブラウンのマスクがあるもの、マスクがないものがあります。
コートは短く、柔らかい手触りです。
非常に筋肉質で闘犬らしい頑丈な体つきで、頭部は大きいです。
顔は、皮膚がたるんだシワと、先が丸く前方に垂れた耳が特徴です。
背中も皮膚がシワのようにたるんでいます。これは闘犬だった名残で、咬まれても皮膚が伸びて痛くないようになっています。
ボルドー・マスティフはどんな性格、習性?
ボルドー・マスティフは、闘犬だったことから攻撃的な性質がありましたが、闘犬廃止後改良され、温和で愛情深い性質になりました。攻撃性を見せることなく落ち着きがあり、飼い主を良く慕って非常に愛情深い性質です。
ボルドー・マスティフを迎える際にかかる費用は?
犬を飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる一般的な費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
ペットショップ、ブリーダー |
※ブリーダーによる |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000~10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000~10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
ボルドー・マスティフは、ペットショップでの販売ではなく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。
また、常に子犬が産まれているとは限らないため、ボルドー・マスティフのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくと良いでしょう。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。また、ボルドー・マスティフは自治体によって飼育に規制がある場合もあるため、事前に確認しましょう。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。
母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。
子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回摂取するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。
体の大きい犬種だとグッズ代やトリミング代などが高額になるなど犬種によって大きく異なるため、目安としてボルドー・マスティフの場合は平均より高額になると考えておきましょう。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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犬を迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。ボルドー・マスティフは成長しきるまで激しい運動を避け、犬用のプールや水遊びのおもちゃなどを揃えておくとよいでしょう。
犬の生体代を除く初期費用としては、一般的には5~7万円程度ですが、ボルドー・マスティフは体が大きくなるため、クレートやケージ、サークル費用は平均より高くなる傾向にあります。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどですが、ボルドー・マスティフは体が大きいので食事量は多く、トイレシーツも大型タイプを選ぶ必要があるので平均よりかかると見込みましょう。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまった時に、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。
装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、ボルドー・マスティフを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。
迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。
ボルドー・マスティフのしつけと社会化トレーニングのポイント
ボルドー・マスティフは、温和な性質で飼い主に忠実なため、トレーニングは難しくないでしょう。
しかし、普段は穏やかな犬種ですが、体が大きく闘犬だったこともあり破壊力は相当です。しっかりと飼い主が犬の興奮や力をコントロールできなくてはいけません。子犬の頃から毅然とした態度で一貫した訓練を行い、信頼関係をきちんと維持することが大切です。
また、子犬の頃からたくさんの人に会わせ、多くの経験をさせることで、見知らぬことに対して過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。
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ボルドー・マスティフに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:30分程度を1日2回
✓運動量:普通
✓おすすめの遊び:ボール遊び、プールなどの水遊び
ボルドー・マスティフは身体が大きいため、腰や関節に負荷がかからないように激しい運動よりは庭での自由運動や散歩をしてあげる方が向いています。
また、ボール遊びや犬用プール、安全な海、川といった水場で遊ばせてあげたり、泳がせてあげたりするのもよいでしょう。
ボルドー・マスティフを飼うのに向いている人は?
✓力持ちで体力のある人
体重が50kg以上になる大きな体と力を制御できるくらい力持ちで、一緒に運動できる体力のある人が向いているでしょう。
✓超大型犬のトレーニングをできる人
ボルドー・マスティフは体が大きい犬種なので、ちょっとしたことが事故につながることがあります。しっかりと犬の興奮をコントロールできるように訓練できなくてはいけません。
ボルドー・マスティフがかかりやすい病気と予防法は?
ボルドー・マスティフがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓胃捻転
ボルドー・マスティフを含む体の大きな犬にリスクの多い病気です。胃がねじれてしまい、短時間で急激に全身状態が悪化する危険な病気です。緊急手術が必要になるケースもあります。原因となる早食い、ドカ食いをさせないようにしたり、食後の運動を控えたりするなどの予防策を意識しましょう。
✓股関節形成不全
体の大きな犬にリスクの多い病気です。成長過程で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。急激な肥満が病気を助長することがあるので、体重管理を心がけましょう。
✓関節疾患
関節に過剰な負荷がかかるとトラブルを起こします。居室の床材を滑りにくいものにしたり、ソファやベッドへの上がり降りをさせたりしないようにするなどの対策が有効です。また肥満も関節に負荷をかける要因となるので、体重管理に気を付けましょう。
ボルドー・マスティフの日常のお手入れ
✓ブラッシング:週2回程度
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:不要
ボルドー・マスティフのブラッシングは週2回程度で良いですが、よだれが多いので、口周りはこまめに拭きます。顔や背中のシワの間に汚れや抜け毛が溜まって皮膚トラブルになりやすいので、かたく絞ったタオルで拭うなど清潔に保つようにします。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯みがきは毎日~2日に1回、耳掃除や爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。
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ボルドー・マスティフとの生活で注意すべきことは?
✓事故予防にトレーニングはしっかりと!
ボルドー・マスティフは超大型犬のため、ちょっとしたことが事故につながってしまうことも考えておきましょう。頑丈なケージを用意したり、入ってほしくない場所には入れないように仕切りを設置したりするなどして事故を予防します。また力が強いので、人や動物に飛びついたりしないよう、日頃からのトレーニングも大切です。
✓飼育スペースは十分な広さを確保!飼育費用も準備して
超大型犬は、トイレも寝る場所も大きな体の分広さが必要になります。犬がゆっくりとくつろげる大きさのケージが必要です。さらに、食費やペットシーツ代などの消耗品や、医療費、ペットホテル費なども、小型犬、中型犬より高額になります。住居スペースや金銭的な負荷を考慮したうえで迎え入れるようにしましょう。
✓マメな皮膚のチェックをしよう!
ボルドー・マスティフは皮膚炎にかかりやすいため、皮膚に赤みや脱毛がないか、痒がったりしていないか、日頃から様子をチェックしておきましょう。特に顔や背中のしわの間や口のまわりは炎症を起こしやすいので、気をつけてお手入れしてあげましょう。
✓口元をこまめに拭こう!
ボルドー・マスティフはよだれが多い犬種です。運動や食事の後は口元をこまめに拭いてあげましょう。屋内ではよだれで家具などが汚れることを考え、あらかじめカバーをかけたり定期的に掃除を行ったりしましょう。
✓自治体の特定犬制度の対象か確認、準備しよう
マスティフ系の犬種は、人に危害を与える可能性がある特定犬として飼育規制が設けられている自治体があります。各自治体で定められている遵守事項のほか、飼養義務があるためボルドー・マスティフを飼う際は条件を満たす環境であるか、確認しておきましょう。