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chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。
そうめんや豆腐のトッピングなどで活躍するしそ(大葉)。香りが高く、人間にとっては食欲増進にも一役かってくれる食材ですが、犬に与えるメリットはあるのでしょうか? 今回の記事では、犬にしそ(大葉)を与えたときの健康面のメリット、栄養素、注意点などをchicoどうぶつ診療所所長で獣医師の林美彩先生監修のもと解説していきます。
目次
- 犬にしそ(大葉)を与えても大丈夫!
- 子犬やシニア犬にしそ(大葉)を与えても大丈夫?
- 持病のある犬にしそ(大葉)を与えても大丈夫?
- しそ(大葉)に含まれている栄養素は?
- 犬にしそ(大葉)を与えるメリットは?
- しそ(大葉)を食べてアレルギーを起こす犬はいる?
- 犬にしそ(大葉)を与える際の一日あたりの適量は?
- 犬にしそ(大葉)を与える際のおすすめの調理法は?
- 犬にしそ(大葉)を与える際の注意点は?
犬にしそ(大葉)を与えても大丈夫!
まずは、しそと大葉の違いとは何なのかを明らかにしてから、犬にしそ(大葉)を与えても大丈夫なのか確認しましょう。
しそと大葉の違いとは?
しそとは、シソ科シソ属の総称で、エゴマや食用の赤しそや青しそも含めて「しそ」と呼びます。「大葉」はしその中でも食用の青しその葉のみを指し、緑色の葉で料理や香味野菜として使用する機会が多いでしょう。一方で葉が赤いものを「赤しそ」といい、梅干しの着色などに用いられます。
主に東日本では「しそ」、西日本では「大葉」と呼ぶことが多く、青しその呼称には地域差もあるようです。この記事では「しそ(大葉)」として取り上げます。
犬にしそ(大葉)を与えても大丈夫
しそ(大葉)はビタミンやミネラル、食物繊維などを多く含んでいて、薬膳の観点からも胃腸の働きを調整する作用がありますので、犬に与えても問題ありません。生でも加熱してもどちらでも大丈夫ですが、食べやすいように細かく刻んで与えてあげましょう。
赤しそを与えても大丈夫
赤しそは6月〜7月頃と季節ものでいつもある食材ではありませんが、青しそのように抗菌、血液浄化などの作用を持つ栄養素が多く含まれていますので、犬に与えても問題ありません。与える際は、青しそ同様に細かく刻んで与えてあげましょう。
子犬やシニア犬にしそ(大葉)を与えても大丈夫?
しそ(大葉)を与えること自体は問題ありません。子犬やシニア犬の消化吸収に負担がかからないように、与える際は細かく刻んだり、ペーストにしたりしましょう。
持病のある犬にしそ(大葉)を与えても大丈夫?
しそ(大葉)に対してアレルギーを持っている犬の場合、皮膚に赤みやかゆみが出る場合があります。また、嘔吐や下痢などのアレルギー症状を引き起こす可能性もありますので、与えないようにしましょう。
しそ(大葉)に含まれている栄養素は?
しそ(大葉)にはどのような栄養素が含まれているのでしょうか。栄養素の種類とその働きについて詳しく見ていきましょう。
水分
体の6〜7割を担う水分はとても重要な栄養素です。
カリウム
塩分を排泄してくれるので血圧維持が期待できるほか、利尿作用によって体のむくみの軽減に役立ちます。
カルシウム
骨や歯の代謝に影響し、骨密度の低下や骨粗しょう症などの予防に役立ちます。
ペリルアルデヒド
シソの香りの成分で、食欲増強作用が期待できます。
βカロテン
抗酸化作用を持つためアンチエイジングに役立つほか、体内に取り込まれた後はビタミンAに変換されるため、皮膚や粘膜の強化、免疫の調整に役立ちます。
α-リノレン酸
オメガ3脂肪酸で犬の体内でDHAやEPAに変換され、皮膚の炎症を抑えたり、乾燥による皮膚のかゆみを防いだりするのに役立ちます。
ロスマリン酸
ポリフェノールの一種で、アルツハイマーや認知症の発症予防が期待されています。
ビタミンE
抗酸化作用によるアンチエイジングが期待できます。
ビタミンK
造血や骨の維持に役立ちます。
食物繊維
食物繊維が豊富に含まれ、腸内の掃除をしてくれるため、排便促進や腸内環境を整えるのに役立ちます。
犬にしそ(大葉)を与えるメリットは?
前述のようにさまざまな栄養素を含んでいるしそ(大葉)ですが、犬に与えることでどのようなメリットがあるでしょうか。それぞれ見ていきましょう。
梅雨バテや夏バテ対策
ビタミンやミネラル、オメガ3脂肪酸やロスマリン酸などの多くの栄養素を含んでいますので、梅雨バテや夏バテ対策の栄養補給としても有効です。
疲労回復、ストレス軽減に期待できる
ビタミンBや鉄分、亜鉛など、様々な栄養素を含むことから、疲労回復やストレス軽減が期待できます。
アレルギー抑制効果
ロスマリン酸によるアレルギー抑制効果が期待できます。ロスマリン酸には認知症発症予防も期待できるので、シニア犬にはおすすめです。
血液の浄化
体内の変換酵素によりα-リノレン酸がEPA、DHAに変換されることで、血液浄化作用が期待できます。ただ、この変換酵素は犬では数%程度しか働かないと言われていますので、どこまで血液浄化に役立つかは不明です。
食欲増進
香り成分でもあるペリルアルデヒドには食欲増進、消化を助ける作用、防腐、抗菌作用があるため、夏バテなどで食欲が落ちているときには有効です。
しそ(大葉)を食べてアレルギーを起こす犬はいる?
与えることでメリットも多いしそ(大葉)ですが、アレルギーを起こす犬はいるのでしょうか。
アレルギーを起こしやすい犬の特徴
特徴はありませんが、アレルギー体質の犬や何かしらのアレルギーを持病として持っている犬は、ごく少量から与えた方がよいでしょう。
アレルギーを起こした場合の症状
アレルギーを起こした場合、以下のような症状が見られます。
下痢
アレルギーによって腸の炎症が起こり、軟便、下痢などの症状が出ます。
嘔吐
しそ(大葉)を食べた後、30分〜1時間程度で嘔吐することがあります。
喘息
まれにアレルギーで呼吸器症状が起こることもあります。
皮膚のかゆみ
アレルゲンによる免疫反応でヒスタミンが分泌されるため、かゆみが見られることがあります。
元気がない
下痢や嘔吐などの症状から、体力が奪われ元気がなくなることがあります。また、アレルギー反応によって体に炎症が起こることで、何となく不調になるということもあります。
アレルギーを起こした場合の対処法
軽度の症状であればしばらく様子を見ておいてもいいですが、基本的に自宅で対処はできないため、出来るだけ早く病院を受診しましょう。
犬にしそ(大葉)を与える際の一日あたりの適量は?
トッピングやおやつとして与える場合は、犬の1日の摂取カロリー量の10%以内と言われています。小型犬であれば1~2枚、中型犬で3~4枚、大型犬で5~7枚くらいが目安です。ただし、しそ(大葉)を主食レベルで食べることはありませんので、あくまでも「トッピング」という認識で与えるようにしましょう。
犬にしそ(大葉)を与える際のおすすめの調理法は?
前述のように、しそ(大葉)を主食では与えませんので、胃腸に負担がかからず消化しやすいよう、細かく刻んでフードにトッピングしてあげましょう。
犬にしそ(大葉)を与える際の注意点は?
最後に、犬にしそ(大葉)を与える際の注意点を確認しておきましょう。
初めて与えるときは少量から与える
アレルギーの有無がわからない場合には、少量から与えて様子を見るようにしましょう。また、特徴的な香りのため、初めからたくさん与えると食事そのものを食べなくなることもあります。
嫌がる犬には与えない
必ず与えなくてはいけないという食材ではないので少量から与えてみて、食べてくれない場合は無理に与えないようにしましょう。
適量を守る
必要以上に与えるとアレルギーを誘発してしまう可能性もあります。前述の適量の範囲にとどめるようにしましょう。
刺身に添えられているしそ(大葉)は与えない
衛生面を考慮し、新鮮なしそ(大葉)のみ与えるようにしましょう。