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2020.06.24

調べてみた

戦後「せんたく洗剤の歴史」 粉末からジェルボール、容器の変遷

日用雑貨事業部 開発担当N

日用雑貨事業部 開発担当N

カインズ 日用雑貨部 日用雑貨事業部。全国のカインズでの店舗勤務を経て、日用雑貨のバイヤーに。洗剤やトイレットペーパーなどのプライベートブランド商品の開発を数多く手がける。

昔の洗濯洗剤は、デカかった!

昔の洗濯洗剤は、大きな箱に入った粉末洗剤が主流でした。昭和の家庭には、洗濯のたびに重たい容器を持ち上げる苦労がありました。

しかし最近は、ジェルボール洗剤やプッシュ式洗剤、さらに超コンパクトサイズの洗剤なども販売されるようになり、洗濯洗剤の多様化が進んできています。

洗濯洗剤の容器の進化イメージ

私は長年、洗濯洗剤の開発を担ってきました。洗濯洗剤の進化の過程を見ると、ふだん何気なく使っている洗剤に対する見方がちょっと変わってきます。

そこで私なりに洗濯洗剤の「形状」とその「容器」に着目し、日本における洗濯洗剤の歴史を振り返ってみたいと思います。

2003年頃、粉末洗剤から液体洗剤が主流に

戦後日本における洗濯洗剤の形状は「粉末」が中心でした。やがて粉末から「液体」へと人気が移り、現在の主流は液体洗剤になりました。

日本石鹸洗剤工業会の調べによると、2018年の合成洗剤(洗濯用液体・粉末)の販売量は71万9,737トン(前年比95%)、販売金額は1864億2700万円(前年比95%)ですが、液体洗剤の利用者は2003年頃から増え、2018年では56万2547トン。2003年(9万1846トン)から比べると6倍以上(約55万トン)も増えていることがわかります。

一方、粉末洗剤は2003年頃から減少し2018年では15万7190トン。2003年(65万5616トン)から比べると約50万トンも減っています。

洗濯用合成洗剤 「液体洗剤」と「粉末洗剤」の推移(経済産業省生産動態統計調査および日本石鹸洗剤工業会資料をもとに編集部で作成)

洗濯用合成洗剤 「液体洗剤」と「粉末洗剤」の推移

(経済産業省生産動態統計調査および日本石鹸洗剤工業会資料をもとに編集部作成)

数字を見ても明らかなように、今やホームセンターやスーパーなどの洗濯洗剤売り場で粉末洗剤は減少し、液体洗剤の陳列が増えています。それでも粉末洗剤には汚れを落とす洗浄力が強く比較的安価なので、今でも根強い人気があります。

日本初の粉末洗剤「花王粉せんたく」

日本で初めて洗濯用の粉末合成洗剤が発売されたのは1951年、花王「花王粉せんたく」(1953年「ワンダフル」に改称)でした。「花王粉せんたく」は袋入りで、1回の使用量は150g/30L。第二次大戦後、電気洗濯機が一般家庭に普及している最中で、それと同時に粉末洗剤も市民権を得ていきました。

袋入りの粉洗剤

袋入りの粉洗剤

その後、洗濯洗剤は袋から箱入りに変わります。4kg以上の重たい容器を持ちあげて、そのままドバドバ洗濯機に入れるスタイルが定着しました。当時は洗剤がこぼれやすく、今以上に洗濯に手間がかかっていました。

コップを使って洗濯機に洗剤を入れている家庭もありましたが、その頃はまだ洗剤の量を測って洗濯するという習慣は少なかったそうです。

大容量の粉洗剤トップ

大容量の粉洗剤

1970年代、液体洗剤「ボーナス」が登場

液体洗剤が登場したのは1970年代。1976年にP&G「ボーナス」という液体洗剤が発売されます。Lサイズの取っ手がついたプラスチックボトルの液体洗剤で存在感があります。大きいのでスペースを取り、持ち上げると重い商品でした。

1970年代に登場した液体洗剤ボーナス

1970年代に登場した液体洗剤

スプーンで計量できる粉末洗剤が定着

1980年代になると、粉末のコンパクト型が発売されます。これまでの洗剤の4分の1の大きさになり、フタや吊り手がついてラクに持ち運びができ、片手で持てる重さになりました。

洗剤の量も1回あたり40gだったのが25gと約半分に。内包されているスプーンで洗剤を計量して洗濯することが習慣になりました。

容量がコンパクト化した粉洗剤1

容量がコンパクト化した粉洗剤2

容量がコンパクト化した粉洗剤

1987年に発売された花王の粉末コンパクト型「アタック」。“バイオの力により、スプーン1杯で驚きの白さに”というコピーは、世間に大きなインパクトを与えました。

現在の「アタック」は、コンパクト化以前の洗剤と比べて1回の使用あたり製品の重量で50%、箱の体積で70%も削減され、さらにコンパクトになっています。

投げ入れる「キューブ型洗剤」が登場

キューブ型洗剤の登場

キューブ型洗剤の登場

2000年になると個装洗剤が登場。P&G「アリエール キューブ型アリエール」です。粉末洗剤をギュッと固めてキャラメルのような形にしたものです。

洗濯量にあわせてキューブの洗剤を洗濯機にポンと投げ入れるだけなので、計量する手間が省ける洗剤です。これは当時、画期的でした。

アリエールは、同じ年にジェルタイプの「アリエールジェルウォッシュ」を発売しています。液体ではなくジェルなので、飛び散りにくく洗濯機の周りを汚す心配がありません。

この頃から、液体洗剤も超コンパクトに進化していきます。2009年には、花王「アタックNeo」が超コンパクトの液体洗剤を発売しました。1回の使用量が25g/30Lだったのが10g/30Lへ。洗剤の改良によって1kgの液体洗剤を400gまでコンパクト化することが可能になりました。

花王の超コンパクト液体洗剤の現行商品「アタックZERO」

花王の超コンパクト液体洗剤の現行商品「アタックZERO

手が汚れない「ジェルボール型洗剤」の衝撃

2014年には、最近売上が伸びているジェルボール型が登場。当時、海外ではすでにジェルボール型が発売されていましたが、日本に初めて登場したのは「アリエール パワージェルボール」です。

ジェル状の超濃縮洗剤が水に溶けるフイルムに包まれてボール状になっている、手が汚れない洗剤が登場したのです。箱に入ったジェルボール型洗剤は、洗剤とは思えない形態です。P&Gは、「アリエール」の他に「ボールド」でもジェルボール型の洗剤を発売しています。

アリエール ジェルボール3D プラチナスポーツ

P&Gのジェルボール型洗剤の現行商品「アリエール ジェルボール3D プラチナスポーツ」

カンタン押すだけ「プッシュ式洗剤」の開発

そして、2019年に登場したのがプッシュ式の液体洗剤。洗剤を測る手間がなく、こぼさないよう洗濯機に投入する手間が軽減される容器です。

CMでも注目を集めているこのプッシュ式の洗濯洗剤ですが、実はカインズのプライベートブランドでは約10年前からプッシュ式の洗剤を販売していました。

2000年代後半、アメリカで私は食器用のプッシュ式洗剤が販売されているのを発見。それをヒントに衣料用のプッシュ式洗剤を開発しました。おそらく日本で初めてのプッシュ式洗濯洗剤でなかったかと思っています。

しかし、製品化して意気揚々と棚に並べたものの、さっぱり売れませんでした。当時は液体の超コンパクトサイズが主流の時代。プッシュ式の洗濯洗剤は見向きもされませんでした。

そして2019年、プッシュ式洗剤の認知が広がり、カインズで販売しているプッシュ式洗濯洗剤「CAINZ 超濃縮 衣料用液体洗剤」もようやく売れるようになりました。今夏にはプッシュ式柔軟剤を販売する予定ですが、柔軟剤のプッシュ式タイプは、まだ他社も出していないので日本初になるかもしれません。さらに洗濯がラクに楽しくなると思います。

洗濯の手間を解消する「容器と形状」の進化

洗濯洗剤は粉末から液体、ジェル(濃縮液体洗剤)、ジェルボール型(超濃縮液体洗剤)へと進化してきました。容器の改良も重ねられてきましたが、こうした背景には、洗濯機の進化や環境への意識変化などに加え、いかに家庭での洗濯の手間を減らすか、という開発者たちの創意工夫がありました。

今後、主流となる洗濯洗剤の形態は、私の予想ではジェルボール型ではないかと思っています。理由は、手間がかからないことが挙げられます。 洗濯は面倒な家事です。作業工程が多く、とくに洗剤の「計量」は洗濯のストレスにつながっています。ジェルボール型の洗濯洗剤は、ボールをポンと洗濯機に投入すれば完了するので、計る手間がかかりませんし、こぼす心配もありません。

一方で、プッシュ式洗剤も進化を遂げていくでしょう。プッシュの部分だけでなく、フォルムなど容器全体を含めた進化になっていくのではないでしょうか。

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