縄文時代の鍋料理が食べたくて、とりあえず土から鍋を作ることにした
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近年、健康食として注目されている「もち麦」。スーパーマーケットやホームセンターでも頻繁に見かけるようになりました。
その栄養価は高く、食物繊維量は白米に比べてなんと25倍。健康志向の人やダイエットを目的にする人など、多くの消費者に使用されています。
一方で、インターネットでは「もち麦は危険」といった記事が散見されます。
健康食として有用なもち麦に、なぜ危険といった噂がまわるのか? 真実を明かすべく、もち麦をはじめとした穀物のリーディングカンパニー「はくばく」を直撃。もち麦が備える特性から正しい知識、健康を意識した食べ方まで、じっくりとお話をうかがって来ました。
お答えくださったのは株式会社はくばくの湯ノ口毅彦さん
そもそももち麦とは何なのでしょうか。つい、もち米の一種かと思いがちですが、もち麦は大麦の一種。さらに大麦の中でも、もち性にカテゴライズされます。
「名前が似ているので混同されますが、お米の仲間であるもち米とはまったくの別物です」
画像提供:おいしい大麦研究所(はくばく)
もち性の大麦であるもち麦には、粘りが強いアミロペクチンというでんぷんが含まれており、その名のとおり「もちもちとした食感」が特徴です。一方、同じ大麦でもうるち性の大麦は、比較的サラッとした食感をしています。
もち麦が注目されている理由。それはなんといっても驚異的な食物繊維量です。その量、なんとゴボウの約2倍、玄米の約4倍、白米の約25倍!
食物繊維は腸の働きを整えるだけでなく、食後の血糖値の急上昇や血中コレステロールを抑える働きもありますが、現代人の食生活には不足しがちと言われます。しかし、もち麦を食生活に取り入れることで健康面に役立てられます。
画像提供:おいしい大麦研究所(はくばく)
「食物繊維を摂ろうと思うと野菜サラダをいっぱい食べなくちゃ!となりがちですが、もち麦の最大のメリットはお米などの主食に混ぜて食べられる点だと思っています。ごはんを炊く時に混ぜるだけで浸水も不要なので、本当に手軽なんです」
食物繊維含有量(g/100g) もち麦:株式会社はくばく調べ 玄米他:日本食品標準成分表2015年版(七訂) 画像提供:おいしい大麦研究所(はくばく)
ちなみに、食物繊維には水に溶けやすく血糖値を抑えて腸内環境を整える水溶性と水に溶けずお腹の中で膨らんで排便を促す不溶性がありますが、もち麦はどちらも兼ね備えています。
安全性の確保と品質向上のため、国内外にかかわらず必ず現地の農場まで出向いて調査を重ねている
もち麦の有益性を理解する一方で、インターネットには「もち麦は危険?」といった記事が散見されます。その多くは「海外産だから」というのが理由のようです。
「海外産だから危険ということはありません。ご安心ください。はくばくでは、国内産からアメリカやカナダといった海外産の大麦まで幅広く使っていますが、生産される農場はもちろん、その周辺環境に至るまで自社で入念にチェックを行っています」
さらに危険と噂される要因に、もち麦に食物繊維が豊富に含まれるがための食べ過ぎがあるようです。
仕入れをする度、約400項目にわたり残留農薬の検査を行っている
「食べすぎには注意いただきたいですね。食物繊維の過剰摂摂取はかえって腸の調子を狂わせて便秘や下痢を引き起こす恐れがあります。あくまで全体の栄養バランスを考えた食事を心がけていただきたいと思います」
「もち麦を食べるならぜひ朝食で」と言う湯ノ口さん。なぜ朝がベストなのでしょうか
「もち麦に多く含まれるβ-グルカンは、糖質吸収を抑制して血糖値の急上昇を抑える働きがあるのですが、最初の食事だけでなく次の食事にも影響を及ぼします」
これが、いわゆるセカンドミール効果と呼ばれるもの。朝食に取り入れることで、まる一日トータルの糖質吸収を抑えられるのだそう。
「もち麦を白米に混ぜると、腹持ちがいいという声をたくさんいただいています。ダイエット中だったり、間食の量を減らしたいという方には試していただきたいですね」
穀物業界の大手らしく、オフィス内の会議室名は「もち麦」
オフィス内では常に炊飯実験を重ねている。それにしても壮観な眺め!
ぶちぶちした弾力のある歯応えがもち麦の魅力
もち麦を普段の食事にどう取り入れればいいのでしょうか。もっとも手取り早いのは、白米に混ぜて一緒に炊くこと。
「もち麦ビギナーの方には、まずはお米と一緒に炊飯器で炊いてみてください。もち麦はお米のように洗う必要もなく、浸水してもしなくても構いません。ただ加えるだけです」
メーカー推奨の分量は米1合(といつもの水加減)あたりにつき、もち麦50g(米カップ3分の1)と水100ml。社内で何度も実験を重ねてたどり着いた黄金率だそう
「もち麦ビギナーの方に推奨している分量は、お米10に対してもち麦3割程度。もち麦のプチプチした食感を感じながら、なおかついちばん食べやすい割合だと考えています。また、この配合率であればお茶碗1杯※で⾷物繊維が約2.3g摂れ、1⽇2⾷※で不⾜分が補えます」※ 1食分=お茶碗1杯150g
また炊き上がりを意識して、製造工程でも工夫を重ねています。
「麦類というと褐色のイメージが強く、特にご年配者だと抵抗感を持たれる方も多いので、品種の選定や削り方を苦労してなるべく白くしているんです。そうすることで、炊き上がった時に見かけ上の違和感がほとんど残りません」
もち麦(左)で白米。サイズ感的にも米とのギャップはさほど感じさせない
おにぎりに加えることで食感も豊かに
「もち麦の面白いところは、アレンジがしやすいこと」と湯ノ口さん。
もち麦だけ炊いて冷凍保存しておき、食べたい時にスープにそのまま入れたり、解凍してサラダにかけたり、さまざまな料理に活かすことができます。
野菜に混ぜてライスサラダ風にアレンジ
「もち麦自体に風味はさほどありません。逆にいえばどんな味づけにもマッチするのがメリット。ぷちぷちした食感を楽しみながら、気軽に利用してほしいですね。個人的には(もち麦と一緒に炊いたお米での)チャーハンがおすすめです!」
「もち麦は危険」というネット上の噂は、はくばくの商品に関する限り、まったく根拠のないものでした。それどころか、日々の食生活にうまく取り入れることで料理のバリエーションが広がり、健康面にも良さそうです。
もち麦が新たな食のトレンドになる日も近いのではないでしょうか。