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「斎藤さん、料理の専門家から教わって調味料を手作りしてみませんか?」
そんな唐突なオファーが「となりのカインズさん編集部」から届きました。
僕は料理上手でもないし、好きでもない......。普段はスーパーで買ってくる「○○の素」(生姜焼きの素とか、麻婆豆腐の素とか)を使って、モチベーション低く日々の料理をこなしているレベルです。
ちょっと、彼らは一体なにを言っているんだ。調味料の手作りって一番めんどくさいやつじゃないですか。残念ですが、今回の話はナシにしてください。
「でも、調味料って意外と作るの難しくないですよ」
「それに、一度作っちゃえばいろいろな料理に使えますし」
「自分で作ればきっとおいしいので、総合的にコスパがよくなるんじゃないですか」
……確かにそうかもしれません。一度の手間で、いろんな料理の底上げができる。悪くないかもしれません。
そこで今回、お話を聞いたのは「手作り調味料研究家」のオザワエイコさん。
オザワ エイコ
手作り調味料研究家。自家製調味料の仕込み教室「かもしラボ」主宰。編集者。旬の食材を使った調味料や保存食のレシピを伝えることをライフワークとし、これまでのべ4,000人以上にレッスン。著書に『だから作る調味料』(ブロンズ新社)がある。
すごい、本職の人だ……。初心者の僕はおそるおそるオザワさんに以下のレシピを教えてくださいとリクエストしました。
なによりも、「料理へのモチベーションが低い」僕のような人間でもちゃんとできそうなもので……。めんどうかもしれませんが、そこをぜひ、なんとかお願いします。
オザワさん
とはいえ、「ゼロから調味料を作る」のは、やっぱり手間がかかる部分もあります。がんばってください!
ありがてえ……。それではさっそくやってみましょう。
まずは「朝食のトーストに塗るだけでハッピーになれるペースト」からです。
りんごジャム 80g
はちみつ 小さじ2
シナモン 少々(小さじ1/8)
くるみ(ビニール袋に入れて叩いて砕いたもの) 小さじ2
以上の材料を用意して……。
オザワさん
すべて混ぜます。以上。
えっ。混ぜるだけ? それだけでいいのか。
混ぜました。これで完成!
確かにこれはすごくラクだな。トーストに塗ってみます。
あっ。うまい。これはうまいです。はちみつとりんごジャムの2つの甘さが合わさって、この時点でかなりうまい。
そこにプラスされたシナモンパウダーで、味が一気に引き締まります。そしてダメ押しのようなくるみ。歯ごたえがあって、これで一気にゴージャスな雰囲気に。
朝ごはんのトーストって、食べている最中に「飽き」がきません? 僕にはそういうことがあるのです。これだと食べていて全然飽きないし、一気にペロッといけちゃいますね。
オザワさんからのレシピタイトルが「たちまち楽園! はちみつシナモンりんごくるみジャム」でした。なるほど、楽園でトーストが出てくるとしたら、きっとこういうものに違いない。
オザワさん
できあがったジャムはトーストにたっぷり塗ってどうぞ。ヨーグルトにかけてもいいですね。冷蔵で1週間くらい保存できます。
今回ジャムを保存したのは、カインズで買った耐熱ガラスの容器。耐熱なのでレンチンできますし、中身も見えて使い勝手いいですね。
「朝食のトーストに塗るだけでハッピーになれるペースト」をもう一つ教えていただきました。塗るだけでガーリックバタートーストができてしまうそうです。
生クリーム 200ml
(乳脂肪分35〜47%のものを。植物性油脂を使ったホイップ用の安いものはNG)
塩 小さじ1/4~1/2(好みで調節)
おろしにんにく 小さじ1/4
ハーブ(パセリ、オレガノ、バジル、タイムなど) 少々 ※あれば
あれ、材料の中にバターがありません。これは……?
オザワさん
1:きれいなペットボトルなどに生クリームを入れてフタを閉めます。
ふむ……。これはひょっとして、生クリームからバターを手作りするということでしょうか? 高速で生クリームを振るとバターになる(虎がバターになっちゃったって話ありますよね)って聞いたことがあります。やったことはありません。
オザワさん
2:ひたすら上下に激しく振ります。
おおおお、やっぱりバターだ!
でも、ちょっと待ってください。液体の生クリームをバターにするって、どのくらい振ればいいんでしょうか?
オザワさん
3:ただ漫然と振っているだけではダメ。持てるチカラをすべてこめて振り続けてください。
レシピにこんな厳しいこと言われると思わなかった。「持てるチカラすべて」って、 勇者がラスボス戦の時に発揮するやつじゃないですか、それ。
思えば、いままでの人生でそんなにがんばったことってなかった。この調味料作りでそのカラを破ることになるとは……。
ペットボトルの中がホイップクリームになっちゃいました。もう振っていてもぜんぜん動きません。これ以上振って意味あるのか?
オザワさん
4:しばらくすると音がしなくなり、生クリームがホイップ状になるはずです。が、そこであきらめない。さらに激しく振り続けます(途中で休んでもOK)。
あ~。やっぱりあきらめちゃいけないんですね。がんばります。
こんなことをいつまで続けなくちゃいけないんだ?手軽に作れる調味料を求めていたはずなのに……。
いい加減もう全部やめて、家に帰ろう。あれ、でもここが家じゃん。おれはどうすればいいんだろう?
そんなことを考え始めた時です、その瞬間は突然訪れました。
オザワさん
5:10〜20分くらいがんばって振り続けると、あるとき「パシャ」と水の音がして、生クリームが固形物(バター)と水分(バターミルク)に分かれます。さらに少し振って、固形物と水分にしっかり分かれたら……おつかれさまでした。完成です。
本当にレシピ通りに「パシャ」と水の音がしたんです。ペットボトルを切ってみると、固形物ができていました。バターです。なにこれ。
バターって振り続けると、突然できるものなんですね。神の奇跡みたいだ。知らなかった。
オザワさん
6:バターに塩を混ぜます。生クリームの脂肪分によってできるバターの量が違うので、まずは小さじ1/4から、味見しつつ加減してください。さらにおろしにんにくも。好みでハーブを加えると、おいしいし色味もGOOD。
ここからは、後で冷凍できるようジッパー付きの袋に入れて作業しました。
最後にトーストに塗ってみると……。
うまい!!! できたてのバターっておいしいんだな。脂のはずなのに、全然しつこくないのがすごいです。それに塩の味を自分で調節できるのもいいですね。
にんにくとハーブも効いていて、朝から一気に目が覚める感じがします。いや、これはペットボトルを振っていたから目が覚めたのかもしれませんが。
オザワさん
できあがったらトーストに塗って、バターがとろりと溶けたところでガブリ! バゲットに合いますし、パスタや魚介(ホタテ、タラなど)のソテー、アヒージョなどにも。冷蔵で3〜4日、冷凍で約1か月保存できます。
使い道めっちゃありますね。パスタに使うの、簡単そうでよさげ。冷凍保存できるのもうれしいです。がんばって振った甲斐がありました。
ちなみに、バターを作る途中でできたホイップクリームは、少し取っておきました。砂糖と混ぜて、りんごジャムと一緒にトーストに塗っています。これも新鮮なクリームという感じですごくおいしいです。
続いて「どんなサラダにもあうちょっとすっぱいドレッシング」として教えていただいたのはコーンドレッシングです。
コーン缶(ホール)100g(冷凍でも茹でたものでもOK)
サラダ油 大さじ4
レモン汁 大さじ4
甘酒 大さじ2
塩 小さじ1
粗びき黒コショウ 少々
「レモン汁」は理解できるのですが、「甘酒」がちょっとふしぎな感じがしますね。どうなるのだろう。
オザワさん
1:コーンの水気をきります。
ザルで水気をきりました。ドレッシングにコーン入れるのいいですね。この時点でゴロッとした食感が約束されておる。
オザワさん
2:すべての材料を合わせて、ブレンダー(ミキサーまたはフードプロセッサーでも可)にかけたらできあがり。
材料をドバッと全部入れました。うちにはヒモで引くタイプのフードプロセッサーがあるので、それを使って混ぜてみます。
2、3回くらいヒモを引っ張りました。あえてコーンの食感が残るくらいに仕上げております。これで完成。
それではサラダにかけてみましょう!
なるほど。なるほどなるほど。こういう味になるんだ。
まず「すっぱいドレッシング」というリクエスト通り、しっかりとしたすっぱさがあります。でも、すっぱすぎない。オザワさんの調節が絶妙ですね。作るときはきっちりと分量を量った方がいいでしょう。
気になっていた「甘酒」の味は前面には出てきません。ただ、サラダを2口、3口と食べ進めていくと、単なるすっぱさだけではない、コクのようなものが感じられてきます。甘酒が隠し味としてはたらいていて、こんなふうになるのでしょう。
そして、単純にコーンがたくさん入っているのもうれしい! サラダに具としてコーンを入れることはあるんですが、ドレッシングの具として使った方が味がなじんでおいしいですね。
オザワさん
リクエスト通り、すべてのサラダに合いますよ。アボカドやナチョス、タコスなどにもぴったりなはずです。好みで、豆板醤やゆずこしょう、カレー粉を加えても◎。冷蔵で1週間くらい保存できます。
最後に「蒸した鶏肉にかけるだけでめっちゃおいしくなるソース」です。最近、タンパク質が流行っていませんか? 僕も流行りに乗って、意識的に取るようにしていて。そこで蒸した鶏肉をよく食べるようになっているんです。
えのきだけ 1/4株(約40g)
ニラ 1/4束(約25g)
ゴマ油 大さじ4
<以下、A>
おろしにんにく 小さじ1
おろししょうが 小さじ1
コチュジャン 小さじ1
砂糖 小さじ1
しょうゆ 50ml
酢 50ml
酒 50ml
材料の時点でなんだかめっちゃうまそうな予感しかしませんね。作るの楽しみ。
オザワさん
1:Aを混ぜ合わせます。 えのきだけとニラは5mm幅にカット。ニラは耐熱容器に入れておいてください。
にんにくとしょうが。僕はにんにくとしょうがが入っていればだいたいのものはうまいと思っています。したがって、この時点でだいぶ「料理したな」という気分になっています。しかし調理はこれからなのだ。
オザワさん
2:鍋にゴマ油とえのきだけを入れ、軽く色づくまで炒めます。焦がさないように注意。
普通に炒めるだけですね。ゴマ油のいい匂いがしてきました。
ところで、このフライパンはカインズで1年くらい前に買った「取っ手が外せる ストーンマーブル フライパン」です。
テフロンが長持ちしているし、値段安いし、けっこういいですよ。テフロンコーティングのフライパンって、ある程度使っていると絶対にどこかでテフロンがはがれてしまうんですが、その時はまたこれを買い換えると思います。
オザワさん
3:先ほどのAを加え、中火で混ぜながら1〜2分加熱。酒のアルコール分が飛んだら火を止めます。
さっき混ぜ合わせておいた「A」を入れます。ひとまとまりになったものを「A」と呼ぶのはレシピによく出てくる表現ですが、どこか数学っぽさがありますよね。かっこいい……。
オザワさん
4:熱いうちに、耐熱容器に入れておいたニラにじゃっとかけてよく混ぜます。ニラがなじんだらできあがり。
これで完成です! ニラは余熱でしなっとするから熱しなくてもいいんですね。手数は多少ありましたが、そんなに難しくない。それでいてかなり本格的なソースが作れている気がします。うまそう。
さっそく蒸し鶏(レンチンした鶏のモモ肉)にかけてみます。
うまい。これは店です。どこかの中華居酒屋でいろいろ食べた後に友達が「ちょっとここらへんでサッパリしたおつまみ頼んでおく?」って気を利かして注文してくれた、蒸し鶏のソースがけ。そういう味がします。時間は22時以降です。
このご時世、居酒屋に行きにくい日々が続いていますよね。でも、これを食べた途端にそういう記憶がよみがえってきました。泣きそうだよ、おれは。
オザワさん
えのきの旨味と粘りがよい仕事をしていますよね。むし鶏、ゆで鶏はもちろん、ゆで豚や豚しゃぶ、餃子のつけだれ、焼き魚(サバ、サケなど)、炒めもの、チャーハンなどに使うのもおいしいです。冷蔵で1週間くらい保存できます。
この味は豆腐にも合いそう。そう思ってかけてみました。ちょっと辛味を追加したくなってラー油も追加。これも中華居酒屋を思わせる味です。蒸し鶏から一貫した世界観になりました。
ビールにもごはんにも、どっちにも合いますね。調味料だけじゃなくて、この料理自体を作り置きしておくのもよさそうです。
最後にオザワさんから調味料作りに関してのメッセージをいただきました
オザワさん
手作り調味料のよいところは「買うよりもおいしいし、自分好みの味にできる」というところ。できあがりの味に決まりはありません。味見をしながら塩などを足していき、「おいしい」と思えたら完成です。
「おいしい」と思えたら完成。めんどくさいなんて思っていたのは、勝手な思い込みだったかもしれません。もっといろいろな手作り調味料を作ってみてもいいのかも。
オザワさん
ちなみに、今回の手作り調味料はあくまでも斎藤さんでもできそうな簡易版でした。これで調味料の自作に目覚めたら、ぜひ、自家製みそやマヨネーズ、ケチャップ、ゆずこしょう、ポン酢、めんつゆ、焼き肉のたれなどにも挑戦してみてください! 手作り調味料作りは、料理というより修行です。ひたすら刻む、煮込む、つぶす、発酵熟成を待つなど、ちょっと大変な面もあるのですが、そのぶん喜びもありますよ。
なるほど。簡単なのに慣れたら、「修行」コースに進むんですね。ゲームをノーマルモードでクリアした後に「ハードモード」にチャレンジするみたいなことでしょうか。
ともあれ、「手作り調味料への苦手意識」が一つ消えて、料理のレパートリーが増えたと思います。自分もほんのちょっとレベルアップできたかもしれません。
オザワさん
斎藤さん、モチベーションが低いんですね(笑)。大丈夫です。今回紹介するレシピは以下の点に気をつけました。