食べられる家具をショコラティエが本気で作ろうとした
リンクをコピーしました
目次/ INDEX
おうちで植物を育てて楽しみ、癒しを与えてくれるガーデニング。マンションのベランダやバルコニーなどで気軽に楽しめるベランダガーデニングも浸透し、おうち時間をガーデニングで楽しむ人が老若男女問わず増えています。
観葉植物や多肉植物など、豊富な植物の中から好きなものを選ぶだけでもワクワクしますが、すぐに枯らしてしまった……など、失敗はなるべく避けて楽しく育てたいですよね。
そこで今回は、花の育種や園芸教育、ガーデニングの普及活動などをしている富山昌克さん監修のもと、ガーデニング初心者でもできる育て方・苗の見極め方をQ&A形式にてご紹介します!
富山昌克
1964年大阪府生まれ。千葉大学園芸学部卒業。花の育種、園芸機材の開発、教育機関での園芸教育、ガーデニングの普及活動、講演活動を行っている。著書多数。植物バイオテクノロジー研究から、園芸一般への応用に取り組む。植物全般のクローン増殖など植物バイオテクノロジーが専門。
絶対に失敗しない季節は、4~5月と10~11月です。真夏と真冬は避けましょう。ただし、大型連休以前の4月中は遅霜(平年より遅く降りる霜。新芽を害する)に注意し、霜が降りない軒下やベランダに置くといいでしょう。
日当たりを意識して朝夕に移動させるのもポイントです。
また、パンジーやビオラなどの花苗を春に備えて9月頃に植えてしまうと、暖かい気温に反応して間延び(必要以上に育ち、病弱・虚弱化すること)してしまいます。
そのため、11月頃に切り戻し(伸びすぎた枝や茎を切り取って、植物の樹形を整えること)をするといいでしょう
日本の四季は気温や気候も大きく変化しますが、植物にとっても快適な季節と不快な季節があります。春や秋は成長するのに快適な季節ですが、熱帯並みの暑さの夏、寒帯並みの寒さの冬は成長を止めてしまうとのこと。
また、梅雨の時期は蒸れて枯らしてしまうこともあるので、季節ごとの特性を理解してガーデニングをはじめましょう。
まず、売り場に屋根があるかどうかを確認してください。屋根がなく、雨が当たる陳列棚で販売している場合は、泥の跳ね返りで苗が痛んでいる可能性があります。
入荷後すぐに購入するのがポイントで、分からなければ店員さんに花苗が入荷した日を教えてもらいましょう。
また、花苗のポットを持って、ほんの軽く左右に振動を与えてみてください。その時、左右に異常に揺れてしまうものは根腐れ(根部分が腐ってしまう病気)を起こしている可能性があるため避けます。
苗を選ぶ時は、その姿形ばかりを見てしまいがちですが、大事なのは苗が置かれている場所と入荷後すぐに購入すること。
花苗は鉢内で根が回り、鉢内が苦しくなると(※)、植物は地上部を美しく綺麗に咲かせようとするそうです。見た目の美しい苗がその後すぐに具合が悪くなることもあることを知っておきましょう。
「見た目が美しい=健康状態も良いとは限らない」ので、富山さんのアドバイスをもとにしっかり見極めましょう。(※)鉢内で根が回ったら(鉢穴から根が飛び出してきたら)、すぐに2まわり大きな鉢に鉢増し作業をすると、すこぶる健全に育っていきます。
はじめから大きすぎるコンテナに植えて育てるよりも、やや根詰まりしてきたタイミングで、3号ポット→5号ポット→7号ポットと鉢増しを繰り返すことが栽培のポイントです。
部屋の中で育てる場合は、日光が良く入る窓辺に置きましょう。植物は東から上がって南に行くまでの光が大好きなので、おすすめの方角は南東。次に南側、南西側、西側、北側になります。また、レースのカーテンは遮光材の代用になりますので必需品です。
ベランダで育てる場合は、強い風から守ってあげることがポイント。強風下で栽培を続けると、成長を止める老化ホルモンであるエチレンが放出し、育ちにくくなります。通風条件が良すぎるベランダでは、風除けのタープなどを張って対策しましょう。
また、直射日光が強い5~9月の間は、50%寒冷紗をかけるなどして植物を強い日差しから守ってあげることも大切です。
太陽の光は植物に当たっていればどこでも大丈夫だと思いがちですが、季節によって入る角度が違い、その強さも変わってきます。おうちの中に植物を置く際は、1日の入射角度を確認し、最適な場所を探してみましょう。
また、マンションなどの集合住宅のベランダでは仕切り板(蹴破り戸)の近くは非常時に備えて空けておく必要がありますので、大型の鉢やプランターを設置しないようにしてください。
雨の跳ね返り、泥の跳ね返りを防止するためのインテリアバーク(木くず)やマルチングシートなどは必須です。
植えた苗が枯れる原因は、泥の跳ね返りが葉裏に付着して、病原菌が葉のなかに侵入するためです。昔の農家は藁を敷いて対処していましたし、コストをかけたくなければビー玉でも大丈夫。とにかく中の土が見えないように隠してあげましょう
苗の見極め方でもあった通り、泥の跳ね返りを防ぐことが地植えで育てるポイント。ちなみに雪が積もっても植物は案外平気(熱帯圏の植物を除く)なそうですが、雪解け水から泥が葉に付着するなども考えられますので、跳ね返り対策はしっかり行いましょう。
ハナニラ、スイセンなどの秋植え球根、多年草のエリオプスデージー、ローズマリー、アジュガ、宿根草のギボウシなどはとても良く育ち、何年も長持ちして育っていきます。もし枯らしてしまったらガーデニングをやめましょう(笑)。
ヘンリーヅタ、斑入りノブドウなどのつる性植物も長年良く育ちますし、ツルニチニチソウ、ゴシキドクダミ、ノウゼンカヅラなどは繁殖力が凄まじく、植えた後に後悔するほどの最強植物。
季節限定の一年草としてのパンジー・ビオラなどの春用花苗、ニチニチソウやマーガレットなどの夏用花苗もおすすめです。寒さに弱い熱帯性植物(コチョウランなど)や、暑さに弱い高山植物(ケシ、マスデバリアなど)は管理が難しいため、上級者向けの植物といえるでしょう。
温帯由来の植物は3月、寒がる熱帯由来の植物は5月。暑がる高山植物は暑さが和らいだ9月頃。植物の特徴を確認し、気候に合わせて植える時期を見極めましょう。
最も汎用性が高いのは赤玉土+腐葉土です。赤玉土だけでなく腐葉土を配合することによって、植物が良く育ちます。赤玉土:腐葉土の配合の割合は7:3か6:4が理想。
また、宮崎県で産出されるひゅうが土(日向土)は、水、養分、空気を保つ効果があるため、培養土に混ぜるのがおすすめ。
その他にも、そのまま使える市販の培養土も便利です。庭の土は水はけが悪く、そのまま使うと植物が良く育ちません。その場合はパーライト(人工砂礫)や日向土の細粒を全体の2割ほど混ぜ、水はけを良くして使いましょう。
鉢の適した大きさは目的次第で変わります。タネまきや苗づくりには3~4号のポリポットか6~7号の浅鉢、ごく普通の鉢植えには4~6号の鉢、寄せ植えや花木、果樹などには10号以上の大鉢を使うといいでしょう。
苗に対して鉢が大きすぎると、鉢の中が乾きにくく、いつも水があると根を伸ばす努力をしなくなります。植物は小さい鉢で根が鉢に当たると枝分かれし、水を求めて成長するため、徐々に大きい鉢に鉢上げしていきましょう。
また、鉢底の排水穴が大きい場合は、土の流出と害虫の侵入を防ぐために鉢底ネット(防虫網、サナ)を敷くことも忘れないようにしましょう。
鉢土の表面が乾いたら、水やりするのが基本。濡れっぱなしにしていたら土の中の空気がなくなり、根腐れの原因になります。見極めが難しい場合は、割り箸を刺してみて、握ってみましょう。湿っていたら水やりは不要です。
はじめて使う人には、緩効性の化成肥料が手軽で便利。施したときからゆっくりと長期間肥効が続き、肥料やりの回数が少なくて済みます。施肥後すぐに効果を出したい場合は、液体肥料がおすすめです。
ただし、植物の基本的な主食は「光」であり、肥料はあくまでも「おかず(副食)」。与えすぎは毒になることを理解しましょう。
植物を育てる上で最も大事なのは、植物の特性を理解すること。なぜ枯れてしまうのかを理解し、その上で置き場や水やり、肥料やりなどの作業をすると、生き物としての成長をより実感することができます。基礎知識と植物を大切に育てる心をもって、あなただけのガーデニングを楽しんでくださいね。