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天気に影響されずプライバシーも守られる「部屋干し」ですが、デメリットは衣服が臭くなりやすいこと。生乾きの匂いが気になって、もう一度洗濯することも少なくありません。
そこで衣服が臭くならない簡単な方法を、洗濯のプロ・田村嘉浩さん(三共クリーニング代表)に教えていただきます。洗剤の入れ方や臭くならない干し方、さらにはエアコンや扇風機(サーキュレーター)の上手な使い方などを詳しく伺います。
田村さん:「外干し」では急な雨やプライバシーの他に、布団の「ダニ」も心配です。例えば、マンションやアパートで表に布団を干してパンパンと叩きますね。そのときホコリのように出てくるものの中には、ダニの死骸が含まれている可能性があります。そうすると叩いた瞬間にダニやその死骸が全部飛ぶわけです。その下の階などで布団を干していれば、当然降りかかることも考えられます。そうしたリスクを減らすためにも、「部屋干し」で上手に乾かすテクニックを知ってもらいたいですね。
まず知りたいのは、なぜ部屋干しで衣服が臭くなるのか。雑菌の影響で臭くなると聞いたことはありますが、実際にはどうなのか気になります。
田村さん:部屋干しのあの嫌なニオイは、衣類に残ったタンパク質や皮脂などが酸化し、それを栄養に雑菌が繁殖することで発生します。複数の雑菌がいるんですけど、実は洗剤でいくつかの常駐菌は殺しているわけです。しかし洗剤では完全には殺せない常駐菌も何種類かいるんですね。その中でも、モラクセラ菌という常在菌がわずかに残り繁殖して雑巾のようなニオイになるといわれています。
カビは小さな胞子のときには目に見えません。増殖して人間社会における「街」のような大きさになって初めて白っぽく見えるようになり、「カビが生えている」と認識できます。それでは、悪臭の原因となる雑菌の繁殖を防ぐためには、どんなことが大切なのでしょうか?
田村さん:対策はとても単純で、モラクセラ菌、カビなどが繁殖する前に早く乾燥させることです。無風で温度・湿度がちょうどよく、栄養になるものがあると雑菌は繁殖するので、その条件を一つでいいので崩すようにしましょう。無風という条件を崩すことが一番手っ取り早いので、サーキュレーター(扇風機)などで風を送ることをオススメします。
雑菌の栄養になるものは、皮脂や食べこぼしの汚れはもちろん、衣服・タオルの素材である「綿」が挙げられます。動物の毛であるウールのセーターなども「タンパク質」なので雑菌の栄養になります。さらに意外なところでは「革」も。田村さんのお店では雑菌が繁殖したレザージャケットを預かることも多いそうです。
田村さん:ポリエステルやナイロンなどの化学繊維は、そのままの状態では雑菌の栄養になりません。しかし、体から出る汚れの洗い残しがあったり、食べ物の汚れが残ってたりするところが栄養になって雑菌が繁殖することがあります。
雑菌の繁殖を抑えるためにまず重要なのは、衣類やタオルを洗濯するときの「洗剤の選び方」です。
田村さん:衣類によっては使用できない場合もありますが、除菌・抗菌効果のある洗剤を選ぶようにします。表か裏のラベルに「除菌効果」「抗菌効果」「部屋干し」などの文言が書いてあると思います。一般で販売されている洗剤で代表的なところでいうと、「アタック」、「ナノックス」、「アリエール」などがあげられます。
既に生乾きのニオイがする場合には、そのまま洗うだけでは完全には取れません。酸素系漂白剤(殺菌)に浸してから洗うようにしましょう。一般的な衣類なら40℃で20分程度、熱に強い綿素材の衣類やタオルなら50℃で20分程度、つけおきして除菌します。
衣類が臭くなるのは、洗濯をする前の段階に原因があることも多いとのこと。特に湿った衣類やタオルをそのまま洗濯カゴに入れるのは、極力避けるようにしましょう。
田村さん:風に当たっていると雑菌が増殖しにくいので、洗う前なるべく通気性のよい洗濯カゴに入れておくことがポイントです。脱いだ衣類に湿気がある場合はすぐに洗うか、一旦干してから洗うようにしましょう。湿った状態で放置すると、数時間で臭う程度に雑菌が繁殖するので洗濯物はまめに洗った方がいいと思います。
また、洗濯に入浴後のお湯を使う場合、お湯は洗浄力を上げるので良いのですが、お風呂のお湯には皮脂と雑菌が多く含まれており、時間が経つと暖かいので雑菌が増殖しやすくなっています。入浴後出来るだけすぐに使うようにして、洗濯の「すすぎ」は新鮮な水道水で行うようにしましょう。
田村さん:雑菌の繁殖を抑えたいのであれば、「すすぎ」のあとの脱水を入念にして乾燥を早めましょう。「脱水後のシワが気になる」、「アイロン掛けが面倒」という方は、1分脱水して停止、1分脱水して停止、と小まめに少しずつ脱水するのがおすすめです。洗濯後のシワもある程度防ぐことができます。また、洗濯後にそのまま洗濯機で乾燥させる場合には、乾燥機能の容量を確認するようにしましょう。入れ過ぎると乾燥に時間がかかったり、生乾きのままになってしまいます。洗濯機内部に雑菌が繁殖する原因をつくらないためにも、定期的に掃除しながら使うようにしましょう。
急いで衣類を乾燥させたいときには、乾いたタオルを入れるのが良いそうです。タオルに衣類の残りの水分が分散され、乾きが早くなります。
雑菌の繁殖を防ぎながら洗濯〜脱水まで完了しても、干し方が悪いと一気に衣類が臭くなってしまいます。臭くならない干し方のポイントは、どんなところにあるのでしょうか?
田村さん:干し方のポイントは「無風環境は厳禁」、「早く乾く干し方をする」、この2つです。約5時間で菌が増殖して悪臭を発生させるといわれているので、エアコンやサーキュレーター(扇風機)で空気を循環させ、風が当たるように洗濯物を干すことが重要です。洗濯物の一点に風をあてるのではなく、横から満遍なく風が通るように首振り機能を使用して、全体的に風を通すようにしましょう。
早く乾くといわれている干し方は、長いものを両端に干し、短いものを真ん中に吊るす「アーチ干し」。長いタオルなどは外側、ハンカチなどの小物は内側に干します。
田村さん:干す衣類は、空気に触れる面積を大きくすることが原則です。長い物は水分を多く含んでいて乾きにくく、短い物は比較的水分が少なめとなります。乾きにくい物が真ん中にあると、周りの洗濯物の湿気でさらに乾きにくくなるので、長いもの、分厚い物は空気の通りやすい外側に干すと早く乾きます。内側にはもともと乾きやすい短い物を吊るしておけば、全体がなるべく短時間で乾くというわけです。
田村さん:ズボンやスカートなど筒状のものは、真ん中に空気が通るように干すようにしましょう。また、洋服のゴムが通っている部分など、乾きにくい部分は上にして干します。先に乾いている下の方に水分が落ちるので、全体的に早く均等に乾きます。
裏地が分厚い冬物の衣類などは、裏側を表にして干すことで早く乾きます。下着や靴下を干す時には、握りこぶしほどの間隔(8cmくらい)を空けることで、空気の通り道ができて、乾燥が早くなり、雑菌が繁殖しにくくなります。
家の中にいくつか衣類を干せる場所がある場合、部屋干しに適した場所はどこなのでしょうか。部屋干しの注意点と合わせて聞いてみました。
田村さん:やはり主婦目線で考えると、一番洗濯機に近いところがいいと思います。浴室の風通しが良く乾燥させられる環境なら、近くて最適だと思いますが窓がなくて湿度がある場合は避けた方がいいですね。一方、アパートやマンションではリビングなどに干すことが多いと思うのですが、出来ればカーペットが敷いてない部屋の方がいいですね。そこに干すと湿気が移ってしまって、その部屋が湿気っぽくなってしまいます。フローリングの床など、どちらかというと乾燥しやすい部屋に干すことをおすすめします。
また、部屋干しでは湿気がでるため結露が発生することもあります。寒い時期には、窓を開けて換気したり雑巾で拭くことが億劫になりがちですが、そんなときにはサーキュレーター(扇風機)を上手く活用するといいそうです。
田村さん:部屋の中の空気を循環させることで、結露の原因となる温度差を少なくすることができます。部屋干しでは、サーキュレーター(扇風機)を上手く活用するのがおすすめです。他にも、部屋干しの注意点として、観葉植物の近くで干さないようにしましょう。サボテンなどを除く一般的な植物は、水をよくあげているのでその近くは湿気があります。空気を循環させながら部屋をなるべく乾燥させたいのに、観葉植物が近くにあるとその水分のせいで雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。
エアコンを部屋干しに利用することが有効ですが、部屋の配置によっては上手に洗濯物へエアコンの風をあてることが難しくなります。そんなときに便利なのが、「アルミ折りたたみランドリーラック パタラン」です。
田村さん:風が通りやすい設計なので衣類が乾きやすく、部屋干しにはかなり良いと思います。自由に移動できるので、エアコンの風が通りやすい対面の位置に配置できます。しかも片手で折りたたむことができて、コンパクトに収納できるのは便利ですね。2〜3人の洗濯物なら、十分に干せるサイズではないでしょうか。
こちらも今回使用した洗濯ハンガーです。カインズ史上最大の60個ものピンチがついており、たっぷり洗濯物を干すことができます。
田村さん:フックが3つも付いていて傾かないので、干すときにバランスを取る必要がありません。外干しで使うときにも、多少の風で飛ばされないのは良いですね。ピンチもたくさんついているので、ズボンを筒状に干して早く乾かすときにも便利だと思います。
雑菌の繁殖を防いで少しでも早く洗濯物を乾かすために、便利なグッズを積極的に活用していきましょう。