春の花30選|3月・4月・5月に咲く種類や育て方を一覧で解説
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誰しも一度は落とせなかった経験があるであろう、服についた墨汁のシミ。子どもの頃には習字の授業で服につけて親に怒られたこと、親世代になったら子どもが服につけた墨汁シミが取れず途方に暮れたことがあるのではないかと思います。
そもそも墨汁が落ちにくいのはなぜなのでしょうか? 服についてしまった墨汁は、どうすれば落ちるのでしょうか? 悩ましい墨汁のシミを自宅で落とす方法について、おうちクリーニング研究家のハナさんに解説してもらいました!
墨汁が衣類に付着すると、なかなか落ちないのはなぜでしょうか。その原因には墨汁の成分が関係しています。
近年、一般的に市販されている簡易な墨汁の原料は、カーボンブラックと呼ばれる炭素微粒子(ガスや油を不完全燃焼させて作るスス)と合成樹脂を水に混ぜたものです。墨汁の黒い成分であるカーボンブラックは、水にも油にも溶けない不溶性で、それだけでは乾燥すると取れてしまうため、糊の役割として合成樹脂が配合されています。この合成樹脂が接着剤として、半紙にカーボンブラックを固着させるわけです。
カーボンブラックはとても小さな粒子であるため、繊維の奥まで入り込んでしまいます。乾くと合成樹脂で固定されてしまうので、かなり取れにくいシミとして残ります。だからこそ、墨汁が衣類についてしまったら、できるだけ早く対処することが大切なのです。
どのアイテムで綿100%の生地につけた墨汁汚れを落とせるかを実験
そこで、手に入れやすい身近な洗剤や材料で、綿100%の生地に付着した墨汁汚れがどのくらい落ちるのかを調べてみました。今回、実際に試した墨汁汚れ落としアイテムも含めると、次の7つです。
1アイテムずつ、実験の手順などを説明していきましょう。
なお、墨汁の汚れ落ち度をわかりやすく比較するため、最大星3つ(★★★)をつけてそれぞれのアイテムの評価を行っています。(★が多いほど優れている、という評価で見てください。)
「重炭酸曹達(ソーダ)」、略して重曹は、料理から掃除、洗濯にまで使える身近な万能アイテム。粒子が粗いことから自然の研磨剤として活用できますが、洗濯に用いるには粒子が粗く、水に溶けにくいというデメリットがあります。また、洗浄力は強くないので、今回の実験では液体漂白剤と混ぜてペースト状にして、“シミの王様”墨汁に挑みます。
少しシミの表面が薄くなったように感じる程度で、染み込んだ汚れは落とせないようです。
ウタマロ石けんの原料は、脂肪酸と呼ばれる油の一種。そのため、汗汚れや油汚れを落とすのに最適です。ただし、白い衣類をより白く見せる効果のある「蛍光増白剤」入りなので、白物衣類以外には使わないほうが良いでしょう。
シミが薄くなったと感じますが、まだまだ落ちたとは言えないでしょう。
溶剤に含まれる界面活性剤が、汚れを分解して落とすマジックリン。不溶性の墨汁に対しての効果はどうでしょうか?
ウタマロ石けんと同様、落とせたとは言えない結果に。
デンプンのり(ご飯粒)そのものには洗浄力がありませんが、その粘着力を利用した方法です。繊維の奥に入り込んだ墨汁をデンプン成分で吸着し、水洗いで流し落とす仕組みです。
ただし、デンプンのりは小さめの歯ブラシなどを使って、かなりピンポイントで汚れを攻めないと、汚れ移りが起こるため注意が必要です。
あまり変化が感じられず、完敗です。
1~4の落とし方の実験結果は、なんとどれもいまひとつ……。さすがはシミの王様、そう簡単にはきれいに落ちてはくれないようです。
どうにかリベンジできないかと考え、墨汁を落とせたほうだったマジックリンとウタマロ石けんの合わせ技でも実験してみました。
完全とまでは言えませんが、70%程度の墨汁汚れを落とすことができました。1~5の落とし方の中では、一番効果が高い、おすすめの方法と言えそうです。
キッチンや衣服などの漂白剤として使用されている塩素系漂白剤・ハイター。今回はピンポイントで墨汚れに密着しやすいよう「キッチン泡ハイター」を用いた墨汁の落とし方をご紹介していきます。
墨汁のシミはほとんど目立たなくなります。しかし、シミがあった部分をよく見てみると若干の色残りがあることも。比較的汚れ落ち効果が見込めるキッチン泡ハイターですが、1つ注意点があります。それは塩素系漂白剤であるがゆえに服の色落ちリスクがあり、色柄物には適していないことです。
キッチン泡ハイターで墨汁の汚れを落とす際は、白い生地の服のみにご使用くださいね。
酸素系漂白剤の代表格であるオキシクリーン。酸素のパワーで洗浄、漂白、ニオイ消しまで行ってくれます。 オキシクリーンは酸素の力で汚れのみを落とせるので、色落ちしにくく、生地自体に影響が出にくいのもメリットです。色物や柄物、プリント物の服であっても使用できます。
ただし、ウール・ウール混紡製といった特殊な素材や、手洗い表示があるデリケート服などの使用は生地を傷めることがあるので避けましょう。
墨汁汚れがひどい場合、浸け置きしながらこすり洗いをするとより効果が高まります。
オキシクリーンは漂白力が高く、墨汁をきれいに落とすことができます。真っ白とまではいきませんが、これまでご紹介した方法の中でも高確率でしつこい墨汁のシミを落とせることが期待できます。
これまでに紹介した実験では、綿100%の生地を用いて行いましたが、まったく同じ方法の実験をポリエステル65%・綿35%の生地でも行ってみました。その結果、大きな変化が見られました! どの方法でも綿100%の生地より汚れを落とすことができましたが、特にウタマロ石けんは、ほとんど目立たないくらい汚れを落とすことに成功したのです。
ウタマロ石けんを使うと、ポリエステル混の生地に付着した墨汁汚れがこんなにきれいに!
これは、ポリエステルという素材自体の吸水性が低く、繊維の奥まで汚れが染み込みにくいという特徴によるものです。ポリエステルなどの人工繊維が多く含まれている生地ほど、墨汁汚れは落ちやすくなるようです。
というわけで、習字をするときはポリエステル素材の衣類を着ることをおすすめします!
汚れの中でも落ちにくさナンバーワンの墨汁汚れは、身近な漂白剤や洗剤を使ってもなかなか落とせません。そんな頑固な墨汁汚れを何とか自分で落とそうと、無理にこすり洗いなどをすると、生地を傷めたり、色移りや色落ちの原因になったりすることも。どうしても自分で落とせない汚れは、クリーニング専門店を頼るのも手です。
墨汁汚れは、時間が経って乾燥すると一層、落としにくくなるため、できるだけ早く対処すること。そして墨汁を使うときは、汚れが落ちやすいポリエステル素材の服を着ることをおすすめします。