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香り付きのオーラルケア製品。ポップなデザインが人気
「歯ブラシだけでは不十分」
それは口腔ケアが虫歯予防になるだけではなく、糖尿病などの生活習慣病や全身の健康を保つことにつながるとわかってきているからだ。
歯と歯の間や歯周ポケットなど、歯ブラシだけでは清掃することが難しい部分をそのままにしていることで、歯周病を患う人は依然として増加傾向にある。オーラルケアに欠かせない歯間ブラシやデンタルフロスの併用の重要性について、歯科医院やマスメディアが伝え始めたのはここ10年くらいのもの。この数年はデンタルフロスの普及率が右肩上がりで伸びており、歯科医院だけではなく一般の量販店でも扱うようになっている。
少しずつ市場に増え出したデンタルフロス。このなかで一際異彩を放つラインナップを展開しているのが、大阪市に本社がある株式会社オカムラだ。「ジューシーな味と香り付き、気分の上がるビビッドカラー、クリームチークのようなデザインなどがあります」。営業部部長の中山瑞樹さんが紹介してくれた商品は実にバラエティ豊か。
洗面所に置いてあるだけで楽しい雰囲気を演出する製品群。オカムラはなぜ、従来の歯磨きグッズと一線を画す、ユニークなアイテムを揃えているのか。その背景には海外市場との強いつながりがあった。
デンタルフロス製品を100年以上研究・開発するオカムラ社内
日本ではオーラルケアアイテムに遊び心に満ちたアイテムは少ない。ところが、欧米では自由な発想で生み出されるユニークなアイテムが多いという。
「例えば、アメリカは見た目が派手なものが多い特徴があります。色もとてもカラフルだったりします。またデンタルフロスも日本だと一般的な商品が多いですが、あちらではフッ素が付いていたり、香りが付いていたりするのも当たり前です。オカムラでは、そういった欧米の製品コンセプトやデザインを日本向け製品に組み込み、他社にはない独自の製品スタイルを構築しています」
この転機となったのが、生産拠点を2002年からベトナムへ移したことだった。英語のHPを作って情報発信していると、次第に欧米からの受注も増加。いつしか米国最大手のメーカーやドイツの大きな代理店と接点ができ、そこからさらに世界的なシェアを有する機械メーカーとパートナーになった。中山さんはこう振り返る。
「弊社は明治40年から歯ブラシなどを扱っていましたが、1980年代に入って大手メーカーが一気にシェアを伸ばしたことで苦境に立たされました。活路を求めて海外に出たわけですが、海外で活動を続けているうちに高品質の製品を低価格で生産できるようになり、これで道が開けてきました」
環境に配慮した竹製ハンドルの歯ブラシも展開している
現在、オカムラの売上の地域別内訳はアメリカ35%、ヨーロッパ35%、日本25%、アジア5%とのこと。地域別の特徴について中山さんはこう語る。
「アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスへはフロスピックと歯間ブラシを多く販売しています。特にアメリカ向けの製品はカラフルな色使いや、ミントやフッ素付きといった日本市場にはあまりないものが多く、今後は日本でも展開したいと考えています。生産拠点のベトナムは親日国なこともあり、日本向けの製品が歓迎される傾向がありますね。あえて日本語をパッケージに入れたりしています」
アジアはベトナムの他に、タイ、カンボジア、台湾、シンガポールが含まれているそうだ。オカムラが市場で戦っていく武器が情報収集。世界にネットワークを張り巡らすことで、鮮度の高い情報が入ってくるという。
「世界のオーラルケアメーカーはもちろん、機械メーカー、さらには歯科医師などとのネットワークがあるので、歯科業界のトレンドや新技術の情報が入ってきます。それを社内で情報共有し、事業に役立てています。この情報量は弊社の強みだと思いますし、そこで差を付けていくことが大事だと考えています」
歯ブラシのハンドル部分に様々なイラストを自由にプリントできる
では、日本ではどのような展開をしているのだろうか。日本独自の対応をしながら、デザイン歯ブラシの分野でシェアを拡大しているという。
「日本の市場は欧米と比べると、商品に対して厳しい目線を持っている消費者が多い傾向があります。これまでも消費者からいただいた様々なご意見をもとに、品質改良を重ねてきました。現在は、歯ブラシの柄にオリジナルのデザインを印刷できる“デザイン歯ブラシ”が特に好評を得ています。小ロットで展開できるのも大きな魅力となっています」
これまで歯ブラシのハンドルに印刷する際は、印刷用の版を作らなければならなかった。これだと印刷価格が高額になるのに加え、印刷ロットが大きくないと成立しない。ところがこの分野で技術革新があり、歯ブラシへの応用を試みたところうまくいった。
「この技術のおかげで、1本からでもオリジナルのデザインを歯ブラシへ印刷することが可能になりました。生産当初は風景やイラストなど普通のデザインが多かったのですが、最近では一部透明な箇所を設けたり、半透明の印刷で奥行きがあるように見せたりと凝ったデザインが増えてきています。個人の結婚式の引き出物や歯科医院のQRコード入りなど、用途も広がってきています」
新商品の開発会議は毎月、定期的に行われている。ブレインストーミングから始まり、自分が使ってみたいと思う商品や既に流通している製品に新しい要素を加えるアイデアを発表し合う。
「全社員で新商品のアイデアやデザインを出し合って、コンペを行ったうえで好評だった案を組み合わせて製品化することもあります。私も以前、Y型の糸ようじのアイディアを提案しました。糸をワックスで固め、テンションの具合を調整することで汚れを取りやすくしたものです。我々営業のスタッフも開発を兼ねていますから」
これまで日本には一般的な製品しかなかったデンタルフロスに、外国流の色使いやフレーバー付きといった付加価値を付けてきたオカムラ。今後は、日本市場のアイテムを海外に展開することにも注力していくという。
「高齢化が進む日本では、介護や訪問歯科分野を強化することができます。高齢者でも持ちやすい歯ブラシや、口の中に溜まった唾液を吸い込める機能を持たせた歯ブラシなどです。これからはそういった日本市場向けに開発したものを海外市場にも送れたらと考えています。今後もそれぞれの国で起きていることをしっかり把握し、適切な商品開発をしていく所存です」